今日はちょっと趣向を変えて,経済学っぽく見えない内容です.でもゲーム理論はいまや経済学から切り離すことのできない一大領域です.心理学科のみなさんも,思わぬ所で出くわすかもしれませんね.
【授業の内容】
Game.1 囚人のジレンマ
まずは有名な「囚人のジレンマ」ゲームです.プレイヤー同士が協力できない状況で,互いに自己の利得を増やすことだけを目的とすると,結果として両者にとってあんまり良くない結果になりました.結果だけを見れば「もっと良い結果だってあるのに」と思うかもしれませんが,両者が合理的に行動した結果です.
Game.2 戦略の逐次消去
次のゲームも同じく,使い途のない戦略を消す(戦略の逐次消去)という方法で答えを出しました.この解法は直感的に理解しやすいという利点はあります.しかし,この解法には限界があり,以下のゲームはこの解法では解けません.
Game.3 ナッシュ均衡
ゲームによっては戦略の逐次消去で解けない場合がありますが,ナッシュ均衡はより強力なので,そういう問題も解ける場合があります.
ナッシュ均衡とは,両者の戦略が互いの戦略に対する最適反応になっているような戦略の組合せです.これまではすべて利得表で考えましたが,ナッシュ均衡はそうでない場合にも応用可能です.
Game.3.5 ホテリング・ゲーム
海岸線のどこに海の家を建てるべきか,というこのゲームでもナッシュ均衡で最適な答えを導くことができました.大事なポイントは,両者とも,ライバルの行動を予測することです.
Game.4 展開型ゲーム(逐次手番ゲーム)
これまでの問題はすべて同時手番,つまりジャンケンのように両者が同時に戦略を決定するゲームでした.しかし,テニスや麻雀のように順番に行動するゲームも存在します.ここではスーパー2社が出店と値引きで争うゲームを考えてみました.脅しは空脅しであることが見破られると意味がないことがわかりましたね.この手のゲームは後ろ向き帰納法で解くことができます.
Game.4.5 1万円配分ゲーム
最後に余った時間で1万円をいかに配分するかというゲームを考えました.こちらも逐次手番ゲームなので,後に行動するプレーヤーの反応をまず先に考え,その後最初に行動するプレーヤーの戦略を予想します.
2007年11月13日火曜日
経済学A 第9回
2007年11月12日月曜日
経済学Ⅰ 第8回
前回に引き続き金融政策です.
【授業の内容】
日銀が市場に貨幣を供給する手段は,前回説明した公定歩合の他に次の2つがあります.
公開市場操作
公開市場操作とは日銀が手形や国債などの債権を売買することで貨幣の供給を調整するものです.
例えば日銀が市中銀行から国債を10億円分購入すると,日銀は国債を手に入れる代わりに代金として10億円を市中銀行に支払います.するとお金は日銀から民間へと流れます.このように債券を買うことにより貨幣供給量を増加させることを買いオペレーション(買いオペ)と言います.
逆に日銀が手形や国債などを売却するとどうなるでしょう?日銀は国債を手放し,その代金を受け取ります.つまり民間側から日銀側にお金が流れるため,マネーサプライは減少してしまいます.こちらは売りオペレーション(売りオペ)と呼ばれます.
支払準備率(預金準備率)の操作
市中銀行は顧客からの預金のうち一定割合を日銀に預けなければなりません(日銀当座預金).この割合を支払準備率と呼びます.突然顧客が「預けているお金を返してくれ!」と言ってきた時の,支払いに準備しておくお金です.ちなみに実際の支払準備率は,預金の種類により異なりますが,おおよそ10%ぐらいです.
日銀がこの支払準備率を上げると,市中銀行は預金のうち多くを日銀に預けなければならないので,当然マネーサプライは減少します.逆に支払準備率を下げれば,マネーサプライは増加しますね.
さて,この支払準備率を理解すると,現金(マネタリーベース)が70兆円しかないのに,貨幣供給量(マネーサプライ)は700兆円もあるのかがわかります.2通りの方法で貨幣が増えていく様子を説明しましたね.この貨幣の増殖?を信用創造と言いました.信用という言葉は以前にも出てきたのを気づきましたか?
最後に,金融政策のまとめとして,金融緩和と金融引き締めがそれぞれどんな効果をもたらすのか確認しました.金融を緩和すると,利子率が低下するので投資を呼び起こし,景気回復につながります.じゃあどんどん金融緩和すれば良い(極端に言えば1万円札をたくさん刷ってバラ撒けば良い)かと言うと,そう簡単ではありません.なぜなら貨幣供給量が増加すると物価にも影響を与えてしまうからです.お金があまりないときと,有り余ってるとき,どちらの場合にある商品に高いお金を出そうと思うか考えてみるとわかりますが,貨幣供給量が増えれば物価は上昇してしまいます(インフレーション,インフレ).
逆に金融引き締めを行えば,物価を落ち着かせる,あるいは下げる(デフレーション,デフレ)ことができますが,利子率の増加を招いてしまうので,企業の投資意欲を削ぐことになります.結果として景気も停滞してしまうでしょう.なかなか一石二鳥とは行きませんね.
とはいえ,中央銀行である日銀がより重視すべきは物価の安定であり,次いで景気だと思います.日銀総裁は,景気をあまり冷え込ませないようにしながらも,物価を安定ささねばならぬという難しい舵取りをしなければなりません.
金融はひとまずここまで.中間テストの範囲もここまでです.
2007年11月8日木曜日
ミクロ経済学ベイシックⅡ 第8回
今日は公共財について説明しました.公共財自体は別に難しい話じゃないよね.
【授業の内容】
公共財とは,非排除性と非競合性という2つの性質を兼ね備えた財です.このような財はその性質上,利用者からお金を徴収することができず,フリーライダーが発生してしまいます.例えば一般道路は我々の生活に欠かせないものですが,料金の徴収係もいないので誰でもタダで利用できます.企業はこのようなものを莫大な費用をかけてまで作ってくれないでしょう.
つまり,公共財は生活に必要にも関わらず市場(民間)に任せておいても生産されない(市場の失敗)ので,政府が供給することになります.道路だけでなく警察,司法,国防なども公共財と言うことができます.法律や言語なども公共財の性質を持っていると言えますね.
市場で供給しなくても政府が供給するから良かった良かった,というわけではありません.市場であれば生産者は消費者の需要を踏まえて価格や生産量を決定するわけですが,政府にはそのような価格調整機能や最適な生産量の決める機能を備えていません.あくまで予測を元に生産してしまうのですが,近くの淡路大橋を見ても明らかな通り予測の精度はあまり褒められたものではないでしょう.というより政治的な力により決定されているような気がするのは僕だけではありませんよね.このように公共財の生産については,以前からその需要予想が楽観的に過ぎることがしばしば指摘されます.
余った時間で中間テスト対策をしました.ちゃんと理解してるかな?
ラベル: 2007, ミクロ経済学ベイシックⅡ