今回は企業行動のまとめです.
【授業の内容】
前回に引き続き,企業行動,特に費用に注目しています.今回新しく,平均総費用(ATC)と平均可変費用(AVC)という2つの費用が出てきました.この2つは,限界費用と共に図示することで,様々なことが直感的に理解できるようになります.
平均総費用は,生産には様々な費用がかかりますが,それらをトータルして,生産量1個あたりにはどれだけの費用がかかっているかを示すものです.そのため,これより価格が高ければ最終的に黒字になるし,逆であれば赤字になる,という目安になるものです.企業は(当たり前ですが)財が高く売れれば儲かるし,安くしか売れないのであれば赤字になるでしょう.そしてそこには,ここより高く売れれば黒字,そうでなければ赤字という境界線があるはずです.それは損益分岐点と呼ばれ,限界費用と平均総費用が交わる点の価格です.
平均可変費用は,生産量1個あたりにどれだけの可変費用がかかっているかを示すものです.つまり生産したことで発生した費用(これが可変費用ですね)を生産量で割ったものです.平均可変費用が価格よりも低ければ,生産した財1個当たりから得られるお金(価格)の方が,財1個あたりの,生産したことにより発生した費用より高いので,生産しないよりした方が良いことがわかります.ここでも,これ以上の価格で売れるなら生産した方が良いが,そうでなければ生産を停止すべきという境界となる価格があり,それは操業停止点と呼ばれます.図では,限界費用と平均可変費用の交わる点の価格として表されました.
操業停止点についてはちょっとわかりにくいので,異なる説明をしましょう.総費用は可変費用と固定費用からなります.固定費用は生産しようとしまいと,最初から固定です.親の残した借金のようなものと考えれば良いでしょう(ただし相続放棄はできない).その借金(費用)は仕方ないものとして,ではこれから生産すべきか生産すべきでないかを考えましょう.生産すると,その財を販売することで収入が得られます.これが生産のメリットです.一方で生産することで様々なコストが発生します.これが可変費用です.まとめてみましょう.
生産するメリット:収入(R)が生まれる
生産するデメリット:可変費用(VC)が生まれる
このメリットとデメリットのどちらが大きいかで生産するかどうかを決定します.収入の方が可変費用より大きいのであれば(R>VC)生産します.この式を両辺ともに生産量(x)で割ってみましょう.左辺のRはR=P×xなのでxで割ればPが残ります.右辺をxで割ってみるとAVCが出てきます.つまりR>VCとはP>AVCと同じものなのです.
そのため価格が平均可変費用よりも高ければ生産すべきだし,逆であれば生産を停止します.このように,操業停止点というものがあり,その右上の限界費用曲線を見れば,価格がいくらであればどれだけ生産すべきかがわかります.これは企業の供給曲線そのものです.
この範囲の例題はたくさん配ったのできっちりとやっておきましょう.ワンパターンだから覚えることはそんなに多くありません.
これまでの範囲はすべて短期における企業について見てきました.最後に,長期の場合の生産についても確認しました.
2009年6月13日土曜日
ミクロ経済学ベイシックⅠ 第9回
ラベル: 2009, ミクロ経済学ベイシックⅠ
経済政策論 第9回
今回は観光の3回目です.
【授業の内容】
前回の課題として,徳島県によるネットでの広報活動の改善点,観光客の視点で徳島2泊3日のプランを考える,軽井沢の魅力とは何か,の3つを発表してもらいました.
県のサイトとして阿波ナビがありました.これについては,写真や説明が少ない,動画があるが目玉になっていない,などの意見がありました.僕としては,実際に観光した人の口コミが書き込めるようなシステムになっていれば,情報が常にアップデートされるし,情報量も増えるし,もっと魅力的になると感じました.またグルメ情報が少ないこともマイナス点です.じゃらんやるるぶといった民間企業の観光客向けサイトではグルメ情報が充実しています.民間企業のように,もっと観光客の視点に立つことが必要でしょう.
2泊3日のプランは魅力的で,実際に行ってみたいと思わせるものでした.しかし,マイカーを利用したものであり,公共交通機関を使うと,このプランの半分ぐらいしか実現できないんだろうなと感じました.
最後の課題は,軽井沢の魅力の秘密を探ろうというものでした.たくさん挙がりましたが,真似できるものもあればできないものもありました.
さて,次週は実際に知事宛ての提言にできるように,徳島の観光の問題点・解決策について文章をまとめてきてもらいます.県のサイトを見てみると1000字までの投稿ができるようですね.
経済学Ⅱ 第9回
今回は価格決定理論です.今回から,ここまでの知識を使って経済全体を見ていきます.
【授業の内容】
価格決定理論とは,どのようにして財の価格が決定するのかを説明するモノです.
まずワルラス型価格調整メカニズムを説明しました.ワルラス型は,まず価格ありき,です.企業が価格を決定し,それに応じて需要あるいは供給が決定するというものです.その際,需要より供給の方が多い場合(超過供給)は価格が下がり,逆に需要の方が多ければ(超過需要)価格は上がります.
通常の右上がりの供給曲線と右下がりの需要曲線であれば,価格の初期値がどこであっても,試行錯誤を繰り返して,最終的には必ず需要と供給が等しい点(均衡)に行き着きます.このような動きは安定的である(あるいは収束する)と言います.
ワルラス型に対して,マーシャル型価格調整メカニズムというものもあります.こちらは,まず生産量ありき,です.企業が生産量を決め,それに対応する供給価格(売りたいと思う値段)と需要価格(買いたいと思う価格)が決まります.供給価格より需要価格の方が高ければ(超過需要価格),企業は生産量を増やします.逆に供給価格の方が高ければ生産量は減少します.
マーシャル型の場合も最終的には需要価格と供給価格が等しい均衡に無かって安定的に収束します.
皆さんが普段目にする値段で,おそらく一番値動きが激しい財は野菜ではないでしょうか.特に葉物(キャベツや白菜など)は安いときと高いときの差が激しいような気がしませんか?
このように価格が安定的に収束せず,乱高下を繰り返す財の価格を説明する理論として,クモの巣理論があります.これは,完成までに時間がかかり,かつ保存ができない財(まさに野菜ですね)の価格を説明するものです.図を使って説明しましたが,ポイントは,その財の価格が提示されてから生産者は生産量を決定しますが,生産までに時間がかかるため,できあがったときの価格は想定した価格とは異なるという点です.クモの巣理論は需要・供給価格のほんのわずかな傾きの違いにより収束したり,発散したりとなかなか微妙な代物です.