今回はこれまでに皆さんから受け付けた質問に答えました.
【授業の内容】
いろいろ話そうと思って準備をしていたのですが,ほとんど価格の話ばかりになってしまいました.
「ブランド品はなぜ高いのか?」,「ガソリンは高くなるだけで安くならないのか?」,「バナナは高い時期があるのか?」,「作りすぎた野菜を廃棄するニュースを見たことがあるけど,(出荷せず廃棄する)理由がわかりません」などなど,もっとも多かったのが価格に関する質問です.
これらをまとめて考えるための道具として,ワルラス型価格調整メカニズムというものを紹介しました.ワルラスという経済学者は,生産者(企業)が商品の価格を設定し,その時,需要より供給の方が大きく売れ残り(超過供給)が発生すると,企業は値下げをし,逆に供給より需要の方が大きく品不足(超過需要)が発生すると企業は価格を上げると考えました.これを何度か繰り返すと,需要と供給が等しくなる点(均衡)が見つかると考えたのです.
このように需要と供給のバランスで価格が決まるという考えは,以前にもダイヤモンドの価格の所で出てきましたね.
また,ブランド品の価格に関連して,独占についても話をしました.独占市場と競争市場を比較し,どちらが価格が高くなるか,どちらがより儲けやすいか,などについて説明しました.独占市場であれば,ライバルがいないので,好きな値段をつけることができます.もしライバルが多い競争市場では,みんなが売っている値段より高い値段をつけると,消費者に見向きされないため,事実上,価格を自分で決めることはできず,周りの企業に合わせなければなりません.
独占企業はこのような強みを活かし,商品の生産量を減らして,価格をつり上げます.それにより高い利潤が得られるのです.授業では話せませんでしたが,なぜ独占市場と競争市場があるのでしょう?それについてもまた機会があれば考えてみてください.
皆さんも就職活動の際には,この企業が販売している商品の市場は競争的か,独占的か,という視点をちょっと意識してみてください.なんらかの役に立つかもしれませんよ.
さて,授業の最後に「テストは持ち込みありか,なしか」についてアンケートをとりました.持ち込みありだと,少し考えなければならない問題が多めなのに対して,持ち込みなしなら暗記中心の問題多めです.アンケートの結果は,わずか2票差で持ち込みありになりました.また来週の授業で説明します.
2010年7月14日水曜日
経済学A 第14回(7/13)
2010年7月12日月曜日
開発経済学 第13回(7/9)
今回は内戦を取り上げました.前回に引き続き,我々にはなかなか想像しにくい現実です.
【授業の内容】
授業では,内戦を含めた戦争はなぜ起きるのか.内戦はその国にどのようなダメージを与えるかを中心的なテーマとして話をしました.
さて,人(国?)はなぜ戦争を行うのでしょう.経済学的にシンプルな答えは,「戦争したら得をすると考えるから」です.ただし,国が得をするという意味ではありません.国全体としては損をするけれど,一部には得をする人がいる場合にも戦争は起こるかもしれません.特にその得をする人が開戦を決定できる場合,もしくは決定できる人に影響力を持つ場合に戦争は起こりえます.逆に言えば,得をする人がだれもいなければ戦争なんてなかなか起こらないでしょう.
戦争して国が得をすることがあるでしょうか.答えは「ある」です.正確に言えば「あった」です.20世紀の戦争については,朝鮮戦争までは開戦国にとってメリットの方が多かったようです.ただし,開戦時に低成長であり,資源の利用状況が低く,短期間,かつ本土以外が舞台となった場合に限られます.しかしベトナム戦争以降は経済的にペイしなくなったとされています.そのため,戦争に経済浮揚効果があると考える経済学者は現在ではほとんどいないでしょう.
情報が比較的入手しやすい近年の戦争(イラク戦争)の収支については,スティグリッツとビルムズ(2008)が詳しい試算を行っています.それによると戦争の総コストは3兆ドルにものぼり,将来のアメリカの財政にも大きな傷跡として残り続けるとされています.
内戦の収支を考える前に,内戦とイラク戦争のような国際戦争(紛争)との違いを理解しましょう.国際戦争の多くは短期間で,戦闘員同士の限定的な戦争です.逆に内戦は長期間にわたり,戦闘員と非戦闘員の区別もあまりないことが多いです.むしろ犠牲者の多くは一般人です.そのため,国にもたらす被害は圧倒的に内戦の方が大きいでしょう.
内戦のデメリットには次のようなものが想定できます.
・社会資本の損失
・軍事支出の機会費用
・社会的コスト
・資本の海外逃避
・精神的被害
逆にメリットしては,
(指導者側)
・資産,資源の収奪
・外国からの援助
(兵士側)
・賃金,食糧
・資産,資源の収奪
・安全の確保
・復讐の機会
などが考えられます.
これらから内戦が起こりやすい条件として次のことがわかってきます.
・天然資源を持つ国では内戦が起こりやすい
・アイデンティティの違いは原因ではなく,対立構図にすぎない
・貧困,格差が内戦を引き起こしやすい
・人口圧力が内戦を引き起こしやすい
・ガバナンスの悪さ(軍部の独裁,シビリアンコントロール)
・過去に内戦があった
最後にまとめとして,内戦を防ぐためにはということも考えました.経済学では「内戦を起こさない方が得」という状況を作ることが答になるでしょう.
【参考文献】
世界銀行(2003)「戦乱下の開発政策」シュプリンガーフェアクラーク
スティグリッツ,ビルムズ(2008)「世界を不幸にするアメリカの戦争経済」徳間書店
ポール・ポースト(2006)「戦争の経済学」バジリコ
ミクロ経済学ベイシックⅠ 第13回(7/9)
今回も余剰分析です.ただし,具体的な数値例を使った計算を行ないました.
【授業の内容】
前回の復習をした後,厚生経済学の第一基本定理を紹介しました.財の価格と量が競争市場で決められた時,社会的余剰は最大となるというものです.つまり現在やっているような完全競争市場がもっとも理想的だということです.このような話はマクロ経済学でも出てきますね.
では完全競争市場で価格(や量)が決定されない場合とはどんな場合でしょう.それは政策によるものと,市場によるものがあります.
政策によるものとしては,政府により価格統制,(取引)数量制限,課税,補助金などが採られた場合です.
また市場によるものとしては,独占がありますが,こちらは後期の内容なので飛ばします.
今回はこの中でも特に課税(従量税)のケースの説明に時間をさきました.
従量税とは,売買される量の多さによって税額が変わってくるものです.例えば酒税やタバコ税などがこれにあたります.取引される酒やタバコの量に応じて,1単位あたり何円かの税金が課せられます.これは需要関数と供給関数にどのような形で表現できるのでしょう.
課税は企業にとってはコストです.1単位あたり100円の従量税は,限界費用を100円分引き上げます.また総費用関数では,100円×量だけ総費用が増加すると表現できます.
このような課税は消費者余剰,生産者余剰をともに減少させますが,税収は増加します.税収は社会的余剰に含まれますが,税収の増加分より,消費者余剰と生産者余剰の減少分の方が大きいため,社会的余剰は減少し,死荷重が発生します.
さて,ここで問題ですが,
1.社会的余剰が減少するにもかかわらず,なぜ政府は課税を行うのでしょう?
2.従量税が100円課せられたにもかかわらず,取引価格は100円も上がりませんでした.なぜでしょう?
テストも近いし,考えてみましょうね.
ラベル: 2010, ミクロ経済学ベイシックⅠ