今回は財政と税について説明しました.伝えたいことがたくさんあるので,もう少し時間が欲しかったなぁ.
【授業の内容】
まず,復習として,大きな政府と小さな政府を思い出してみました.どちらが正しい,というものではなく,私たち1人ひとりがどちらの方が理想的だと思うかです.
皆さんに現在の日本の財政状況を紹介しました.政府は収入をはるかに超える支出をしており,巨額の赤字をしています.その内訳も円グラフで確認しましたね.歳出(お金の使い途)で重要なのは社会保障費です.その他の歳出の多くは減少傾向にありますが,少子高齢化により社会保障費(年金,健康保険など)は年々増加していますし,これからも増え続けることは間違いないでしょう.借金による収入や,借金の利子の返済などを除いた収入と支出をプライマリーバランスと呼びます.現政権もプライマリーバランスの黒字化を目指しているようですが,そのためには(当たり前のことながら)支出を減らすか(年金の減額,子ども手当の減額など),収入を増やす(増税)のどちらか,もしくは両方をしなければなりません.「税金は払いたくないけど,年金はしっかりもらいたい」などは不可能です.しっかりした社会保障制度を望むのなら増税が,減税を望むのなら社会保障の規模縮小をせざるを得ないのです.
後半は税について説明しました.皆さん,所得税と消費税がどう違うか,普段の生活ではあまり意識しないでしょう.所得税を減税して消費税を上げようと,所得税を上げて消費税を下げることとでは,同じように見えますが,どちらを選ぶかで国のかたちを大きく変わります.
さて,日本にも様々な種類の税があります.それらを分類しました.まずは国税と地方税ですが,これらは単に国に納めるか,地方に納めるかの違いだけでした.もう1つの分類方法は,直接税と間接税です.直接税とは,税の負担者がそのまま納税するタイプの税であり,所得税や住民税,法人税などがこれにあたります.もう1つは間接税です.こちらは税の負担者が直接納めるのではなく,負担者と納税者が異なります.例としては消費税があります.消費税の負担者は我々消費者ですが,納めるのは小売店などです.
なぜ税が国の性質を決めるのかは,直接税と間接税の違いによります.直接税である所得税は,累進課税性という性質があり,貧しい人には負担は軽く,豊かな人には重い負担を与えます.そのため,貧富の差が縮小するという,公正な税です.相続税なども同じく貧富の差を縮小する直接税です.ただし直接税は脱税できるという欠点を抱えています.サラリーマンなどの給与所得者は所得を把握されやすいため脱税は困難ですが,自営業者などは比較的脱税がしやすくなります.
一方の間接税の代表である消費税は脱税が不可能です.そういう意味では完璧な税ですが,ただし貧困層と高所得層に同じ税率を課すことになり,相対的に貧困層にとって負担が大きくなります.
現在,参院選を控えて,消費税率を上げるかどうかが争点の1つとなっていますね.ちなみに皆さんへのアンケート結果は,
「消費税率を上げるべき」86.3%
「上げるべきではない」9.8%
と圧倒的に増税を選ぶ人の方が多いようです.しかし,これまでの日本の政治の歴史では,消費税率を上げた政党は選挙で負けるようですよ.なぜでしょう?
最後に,日本が大きな政府か小さな政府かを判断するために,国民負担率と潜在的国民負担率を紹介しました.どちらで見ても,日本は小さな政府であると言ってよいでしょう.
アンケートのアドレス
http://enq-maker.com/1PPIKRi
2010年6月29日火曜日
経済学A 第12回(6/29)
2010年6月27日日曜日
総合政策演習C 第10回(6/25)
今回は企業・業界研究2です.
【授業の内容】
皆さんが書いた企業研究シートを返却し,企業研究のやり方を紹介しました.
まず基本中の基本として企業名を正確に書くよう注意しました.今回の例ではグリー株式会社を選んだ人が多かったのですが,企業名を「GREE」や「グリー」などと書いた人が目立ちました.前者がサービス名であり企業名ではありませんね.よく間違えやすい例では,×「キャノン」→◯「キヤノン」,×「ブリジストン」→◯「ブリヂストン」などがあります.
また,「5年後の自分」の欄では特に空白が目立ちました.イメージしづらいのでしょうが,まずは企業のウェブサイトをしっかり利用しつくしましょう.グリー株式会社の場合には,採用情報のページから,先輩社員が具体的にどのような仕事をしているか知ることができます.上場企業の多くは同様の情報を公開しているので,具体的な仕事のイメージができない人はチェックしましょう.
これらを始めとして,学生の多くは企業研究が十分とは言えません.自分が働きたい会社のことをあまり知らないのでは,相手(人事)にその熱意は伝わらないでしょう.まず知りうる限りの情報を集めましょう.ウェブサイトでの情報収集は当然のこととして,それに平行して,次のような情報源から,情報収集が可能です.
・日本経済新聞や業界専門紙
・経済誌(東洋経済やダイヤモンドなど)
・OB,OG訪問や店舗見学
特に一番下のOB,OG訪問がおすすめです.なぜなら,自分が知りたいことを聴けるだけでなく,自分しか知らない情報を入手できる可能性があるからです.ライバルと差をつけるにはライバルと同じ情報ではダメでしょう.ライバルが知らない情報を得てこそ,より深い企業研究が可能になるはずです.
しかし,ほとんどの学生はOB,OG訪問をしません.なぜなら「周りもしないから」なのでしょうが,その考えが決定的に間違っています.「周りがしないから」するのです.就活のため,早めに意識を改革しましょう.
開発経済学 第11回
今回は貧困と教育でした.
【授業の内容】
途上国における教育の現状をデータで見ると,世界の15-24歳の識字率は,男性で91%,女性で85%です.これをサハラ以南のアフリカに限れば,男性76%,女性64%に過ぎません(UNICEF).
今回は教育の拡充をメインのテーマにしましたが,その理由は以下の通りです.
1.そもそも子供には教育を受ける権利がある
これは子供の権利条約(児童の権利に関する条約)に基づくもので,ソマリアとアメリカ(!)を除くほとんどの国が締約しています.またMDGsでもすべての子供に初等教育を受けさせることが目標とされています.
2.貧困削減の手段として
以前にヌルクセの貧困の悪循環を説明しましたが,悪循環は一国全体としても捉えることができますし,家計単位でも教育を通じて貧困が連鎖してしまうと捉えることも可能です.つまり貧しい家庭では子供に与える教育の水準が低くなり,その子供も人的資本蓄積が少ないために高い収入を得ることができず,まさに教育を通じて貧困が子々孫々と遺伝してしまうのです.
その連鎖を断ち切るためには,政府が十分な教育を供給することが大きな役割を果たすはずです.また,各家計単位で見ても,教育は収益率の高い投資先であることがわかっています(私的収益率).また教育は正の外部性を持つため,社会的収益率はさらに高くなります.
しかし,現実には資金制約(就学させる余裕がなく,かつお金を借り入れできない),機会費用(児童労働),物理的制約(通学が困難),ジェンダー格差など様々な原因により,必ずしも初等教育が普及しているとは言えない状況です.
貧困を削減するためにも教育が重要であることはわかりますが,現実には様々な,途上国に特有の問題もあるために教育は十分に普及していません.より多くの人に,より質の高い教育を目指して,世界中で様々な取り組みが存在します.授業ではその中から,バングラデシュのFFE(Food for Education)と,ニコラス・ネグロポンテのOLPCプロジェクトを紹介しました.
【参考文献】
UNICEF(2008)「世界子供白書」
OLPCウェブサイト
http://laptop.org/en/
【第3回レポート】
提出期限7月23日12:00
テーマ:1~13回の授業で取り上げたテーマ1つを選んで論述
文量などはこれまでと同様です.