2011年1月22日土曜日

経済学A 第14回(1/11)

 随分更新が遅れましたが,今年最初の授業でした.そろそろこの講義も終わるので,今まであまり触れなかった金融についての説明をしました.

【授業の内容】
 これまでも経済の仕組みを説明してきましたが,今回はお金の流れから改めて見てみました.

 まずそもそも「お金(貨幣)」とは何なのでしょう?「お札やコインがお金に決まってるじゃないか」と思うかもしれませんが,それらは金融の世界では貨幣のごく一部であり,それ以外の貨幣の方が量的に多いようです.例えば,銀行への預金もお金です.当たり前に聞こえるかもしれませんが,Aさんが銀行に100万円を預金するとAさんの預金が100万円増えます.さらに銀行が受け取った預金の100万円を企業に融資すれば,Aさんの預金100万円の他に企業に現金100万円が存在することになり,貨幣は200万円になりました(これを信用創造と呼びます).このように現金以外にも様々な種類の貨幣が存在します.
 さて,お札はどこから来るのでしょう?中央銀行(日本銀行)が発行したお札は普通の銀行(市中銀行)を通じて市場に流通します.中央銀行は市場に流通する貨幣の量をコントロールすることで,物価や景気を安定させます.これを金融政策と呼びます(⇔財政政策).
 なぜ貨幣供給量を増減させることで物価や景気に影響があるのでしょう.まず物価ですが,世の中に流通している貨幣の量が急激に増加したら物の値段はどうなるでしょう?1万円がありふれた存在になってしまうと,お札の価値は小さくなるでしょうね.つまり今までは1万円で買えたものも3万円出さないと買えなくなるかもしれません.これは物価の高騰(インフレ)ですね.このように貨幣供給量が増えると物価は上がります.
 また景気への効果ですが,貨幣供給量の増加はお金がありふれた存在になるということです.誰もがたくさんお金を持っているなら,お金を借りるのも簡単でしょう.そのためお金のレンタル代である利子率は下がるはずです.利子率が下がれば企業はお金を借りやすくなるので,銀行からお金を借りて様々な事業に投資をすることでしょう.企業が投資をすると需要が増加するので景気は回復しますね.

 金融政策は3種類あります.公定歩合(正式には基準割引率および基準貸付利率)の操作,公開市場操作,預金準備率の操作の3つです.それぞれの効果を確認しておきましょう.

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