2007年12月21日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第13回

 前回に引き続きリスクについてです.今回は実際の保険料金などを考える上でも有用なリスクの金銭評価を行いました.

【授業の内容】
 前回,リスク愛好家とリスク回避者で効用曲線の形が異なる,という説明で終わっていました.今回はなぜそのような形状になるのか,職業選択を例にして説明しました.
 今,大学卒業後に,リスクがあり年収が1000万円になる年もあれば年収0円になる仕事(確率はどちらも50%)と,リスクがなく確実に年収500万円をもらえる仕事を考えてみます.どちらも年収の期待値は500万円なので,期待値だけで考えればどちらの仕事でも良いような気はします.実際おそらく生涯所得もほとんど一緒でしょう.
 ただし,リスク回避者はリスクがある仕事よりもリスクがない仕事の方がより効用が高いと評価します.そのためより効用の高い仕事(リスクがない仕事)を選びます.逆にリスク愛好家はリスクがある仕事を選びます.この説明はややこしいので,テキストのpp.330-335を繰り返し読んでみましょう.

 次に失業保険を例に,リスク回避者がなぜ保険に入るか説明しました.リスク回避者はリスクを回避するために払っても良いお金(リスク・プレミアム)より安い金額で所得を保障されるなら保険にはいるようです.このリスク・プレミアムを図で,また数値計算で説明しましたね.テキストのp.337には問題があります.これを必ずやっておきましょう.「テスト前にやろう」なんて思ってると,せっかく理解した内容を忘れてしまいますよ!

基礎総合演習B 第14回

 今回は先週やった投信についてのつづきでした.

【授業の内容】
 演習もそろそろ終わりが近づいています.年明けには,皆さんが学んだ知識を結集した発表なりレポートを提出してもらいます.
 今回は年明け最初の演習で発表してもらう予定の「私のおすすめの投信」についての下準備でした.また所用のため当日欠席する予定の人に,前もって発表してもらいました.
 発表の内容ですが,きちんと自分の目的(この場合はリスクの回避)に合わせて投信を選んでおり,なかなか説得力のある発表だったと思います.
 また皆さんのこれまでの発表の反省を踏まえ,より良い発表のためにはどうするべきか,考えてもらいました.ほとんど全員が意見を説明してくれましたが,どれも実用的で納得のできるものでした.年明けの発表に期待しています.

【課題】
 次回の演習で自分のオススメの投信をプレゼンすること.またみんなに配布する資料を用意しておくこと.原本を前日までに研究室に持ってくれば(あるいはメールで送ってくれば)人数分コピーします.そうでない人は自分で用意しましょう.

経済学A 第14回

 しばらく更新を忘れてる間に冬休みになってしまいました.
 今回は景気と経済成長について説明しました.

【授業の内容】
 まずはGDPについて簡単に復習しました.三面等価の原則や有効需要の原理など、いくつか景気の話をするために必要なので思い出してもらいました.
 景気の指標はいくつかありますが,GDPの成長率もその1つです.実際にGDP成長率の推移を示したグラフを見てみました.グラフからは景気に循環があるようにもないようにも見えますね….
 景気の循環については,僕個人はあまり重要とは思いませんが,いくつか代表的なものを紹介しました.40ヶ月と短いキチン波から50年にも及ぶコンドラチェフ波まで.それぞれ根拠を説明するともっともらしく聞こえますが,本当にあるんでしょうか?

 後半は経済成長の要因について考察しました.まずは経済理論から考える経済成長と言うことでソロー・スワン型生産関数というものを紹介しました(授業では名前は言わなかったかも知れません).このモデルの帰結としては,貯蓄率,人口成長,技術革新が経済成長に影響を与えることがわかります.
 これ以外の仮説も2例ほど紹介しましたが,どれも共通するのは技術あるいは知識が重要であることのようです.

 最後に,流れは悪いですが失業問題にも少し触れました.ニュースなどで聞く失業率にカウントされる失業者というのはかなり条件が厳しいようです.ニートも失業者ではないし,正社員を目指しつつたまにバイトをしている人も,就職活動をしていたけど上手くいかなくて諦めてしまった人たちもすべて統計上は失業者にはカウントされません.果たしてこの失業率がどれだけ現状を表しているかというと疑問符の付くところです.

2007年12月17日月曜日

経済学Ⅰ 第13回

 今日はIS-LM分析です.難しいのでアンケートの回答を見るのが怖かったのですが,思ったよりみんなの評価は高かったです.今日は珍しくほとんどの人が真剣に聴いてたからでしょうかね?いつも真剣に聴いて欲しいところではあります.

【授業の内容】
 IS-LM分析はこれまでの総復習とも言えます.これまで学んだ財政政策(財市場)と金融政策(金融市場)を融合してしまいます.
 IS-LM分析とは,財市場と金融市場がそれぞれ均衡するように利子率とGDPが決定するとした経済分析の手法です.授業ではまず財市場の復習から始めました.そのための基礎知識として,
・三面等価の原則
・有効需要の原理
・ケインズ型消費関数
・需要の構成要素
などを確認しました.需要の構成要素の中では特に,消費,投資が何によって決まるかが重要でした.
 財市場の需要と供給が均衡するためには,利子率が下がるとGDPは増える必要がありました.逆に利子率が上がるとGDPは下がる必要があります.つまり財市場が均衡するためには,利子率とGDPがそれぞれ逆に動くようです.(IS曲線)

 金融市場の復習としては,貨幣需要のうち,取引需要と投機的需要が重要でした.所得が増えれば取引需要が増え,利子率が下がれば投機的需要が増えることは以前にも確認しました.
 一方の供給は中央銀行である日銀が独自の判断で決めます.これらから,金融市場の需要と供給が均衡するためには,利子率が上がるとGDPが増える必要があるし,利子率が下がるとGDPも下がる必要がありました.こちらは同じ方向に動くんですね.(LM曲線)

 次回はこうして描いたIS曲線とLM曲線を1つにしてみます.次は年明けで,それが最後の授業になりそうですね.

2007年12月13日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第12回

 今日はリスクと不確実性です.世間では似たような意味で使われますが,厳密には違う意味を持っています.

【授業の内容】
 今日の内容は金融関係を目指す人は特に理解しておく必要がありそうです.資産運用,融資,保険など金融業界とリスクや不確実性は切っても切れない関係にあります.
 まずは期待値の計算からです.経済数学入門でもやったので復習ですね.経済数学入門では宝くじの期待値などを計算したはずです.
 次にリスクですが,リスクとは単に結果のばらつきの大きさのことでした.別に良いことが起きるか,悪いことが起きるかは関係ありません.ばらつきがあればリスクがありますが,あることが必ず起きるのならリスクはありません.
 (ギャンブラーは別として)多くの人にとってはあまり嬉しくないリスクですが,そのリスクを減らすための最善の方法は,「卵は分けて持て」でした.資産運用で言えば分散投資です.授業ではリスクヘッジの方法として,リスクに対して逆に反応する株式の組合せを考えました.
 リスクも不確実性も将来何が起きるかわからない,という点では一緒です.ただし,リスクの場合,様々な出来事が起きる確率はわかっていましたが,不確実性とはその確率すらわからない場合に使う言葉です.例えば,サイコロでどんな目が出るかはリスクですが,期末テストで何点を取るかは不確実性と言えます.

 最後に来週への布石として,リスク愛好家とリスク回避者の効用曲線の形状を見てみました.来週は保険を例にリスクプレミアムを説明します.今回に比べると非常に難しいと思うので,ぜひテキスト(12章)で予習をしておきましょう.

2007年12月12日水曜日

経済数学入門 第13回

 今日は確率と統計の基礎です.統計は社会科学の様々な分野で活躍しています.経済学でももちろん必要です.経済学ではなくても,卒業研究でアンケート調査を行うなら,統計の基礎的な知識は必要不可欠です.

【授業の内容】
 まずは確率ですが,みんな用語の説明はダルそうに聴いてますねー.計算の時は目が生きてるんですが….でも用語も大事ですよ.定義がわかってないと厳密な議論はできません.
 今日の内容で言うと,和と積のとこなんて数学以外でも結構使いますよ.検索はもちろんプログラミングでも必要な知識(のはず)です.次に期待値ですが,ちゃんと定義を理解していないと平均とこんがらがりますね.平均というのは過去の事象から計算されますが,期待値は未来の事象の推定値です.きちんと区別しましょう.

 最後に統計の基礎として,平均と分散の説明をしました.平均は日常生活でもなじみのある概念ですが,分散(や標準偏差)はあまり意識しないでしょうね.「分散が大きい」=「ばらつきが大きい」ということだけでも理解しておきましょう.なぜばらつきが大きいと分散が大きくなるのかは,実際の計算手順からもわかったと思います.

 来週提出する課題はありません.しかしちゃんと復習しておきましょうね.

総合政策演習B1② 第13回

 今日は独占市場の残りの寡占に,価格理論に余剰分析といろいろやりました.

【授業の内容】
 まずは寡占ですが,計算問題はあまり出題されないようです.なんといっても屈折需要曲線の形状とその意味が大事です.これで独占の問題は一通り終わりました.非常にややこしいので早めに復習しておきましょう.特に複占はすぐ忘れちゃいますよ!

 次に価格理論ですが,これは1回やったことがあれば簡単ですよね.時間もかからないし,点数が稼げる問題です.ワルラス型,マーシャル型,クモの巣理論だけ覚えましょう.

 最後に余剰分析の基礎だけ確認しました.余剰については応用問題が作りやすく,計算問題,グラフの問題ともによく出てきます.今日は余剰って何だったかの復習だけで,難しい問題は来週やります.みなさん一応は挑戦してみましょう.

2007年12月11日火曜日

基礎総合演習B 第13回

 本日は投資信託と外貨預金についての発表でした.投資信託だけでも良いぐらいの内容はありましたね.

【授業の内容】
 投資信託の説明は,比較的予備知識のある僕にはよくわかりましたが,学生はちょっと難しそうでしたね.今回までの発表に総じて言えることですが,発表者はもう少し自分の話す内容をまとめておいた方が良いですね.途中で混乱して話が止まってしまうというのをよく見かけます.1年生なのでまずは自分の話す内容を原稿にまとめておいた方が良いでしょう.慣れてきたらキーワードだけメモしておくようにすると,上手く話すことができると思います.
 外貨預金については,やっぱり円高円安というのはややこしいですね.しかし,投資信託も外貨もそれなりに発表者は理解しているように見えましたよ.あとはむしろ発表のスキルの問題だと思います.

【課題】
 年明けの授業で,各学生が自分のオススメのファンドのプレゼンをして下さい.

経済学A 第13回

 今日は少子化問題を取りあげました.

【授業の内容】
 なにかとニュースで耳にする少子化問題ですが,果たして少子化のどこが悪いのでしょうか?前々回の年金,前回の財政と合わせて考えてみました.

 まず「少子化とは?」から始めました.少子化の目安としてよく用いられるのは合計特殊出生率(TFR)です.TFRは1人の女性が生涯に何人の子供を産むか,と説明されることが多いです.厳密には違うのですが,イメージとしてはだいたいそんなところです.日本の昨年のTFRは1.32です.人口を維持するためには2.08が必要とされていますので,明らかに子供が足りません.おそらく今年ぐらいを頂点として日本の人口は長期的に減少していくことでしょう.

 次に,少子化のデメリットですが,なんといっても人口バランスが歪むことにより社会保障制度の存続が危うくなるというのが大きな問題です.社会保障の1つとして年金制度を例に挙げれば,前々回説明したように日本の年金制度は実質的に賦課方式で成り立っています.そのため高齢者の数に比べ,それを支える労働者の人口があまりに少なくなると制度自体が成り立たない恐れがあります.
 さらに,日本の場合は巨額の国債残高という課題もあります.これは簡単に言えば借金ですが,日本の将来人口が多ければ1人あたりの返済額も少なくすみますが,少子化になれば,この莫大な借金を背負う人数も少なくなり,1人1人が厳しい思いをすることになるでしょう.
 この他,労働力人口そのものが減少することにより,GDPの減少,引いては国際的な発言力の低下なども予想されます.

 逆に少子化の良い点は,1人あたり資本の増加,環境負荷の軽減,人口過密の緩和などが挙げられます.つまり日本全体の経済規模は小さくなっても,1人あたりで言えば逆に豊かになる可能性もないわけではありません.
 豊かな小国の実例として,ルクセンブルクやスイスがあります.

 後半は少子化の原因と対策を説明しました.日本の少子化というのは,実は夫婦が子供を産まないことではなく,男女が結婚しないことから起きています.生涯未婚率や平均初婚率でも確認した通りです.なぜ結婚しないのかの説明はいろいろできますが,1つには女性の高学歴化と,それに伴い女性が自立した生活ができるようになったことが挙げられるでしょう.また,以前に比べ親が裕福なため,わざわざ親との同居による豊かな生活を捨ててまで,(両親と比べると)収入の低い男性と生活を選ぶことに抵抗があるのかもしれません.
 非婚化・晩婚化への国としての対策というのは,なかなか困難です.なぜなら結婚というのは完全に個人的な問題なので,国が結婚せよとは命令できませんからね.しかし,夫婦に対する所得減税などをすることで,若い人たちに「独身は損かもしれないな…?」と思わせることは有効かもしれません.

 最後に他国の少子化対策を概説しました.フランスは少子化対策により少子化を脱した成功例です.フランスでは24種類もの手厚い子供手当を用意することで,10年間の間にTFRを1.6から1.89にまで急激に増加させました.
 その他の手段として,アメリカのように出生力の高い移民を大量に受け入れるという方法もありますが,日本では政治的な理由により現実的ではないでしょうね.

2007年12月10日月曜日

経済学Ⅰ 第12回

【授業の内容】
 最近になって消費税値上げの話題がよく聞かれます.社会保障目的税にするということですが,消費税率が上がって社会保障目的税になると,我々の生活にどんな変化が出るのでしょうか?ただ単に税金が上がるだけ?今日は主に税金が経済の仕組みにどんな影響を与えるのかを中心に説明しました.
 まず大きな政府と小さな政府って何だったか,久々に復習しました.大きな政府の代表格としてはスウェーデンやデンマークといった北欧諸国やフランスが挙げられます.逆に小さな政府の代表としてはアメリカ,スイス,韓国と言った国の他,実は日本も小さな政府のグループに含まれると言って良いでしょう.どんな指標を元に大きい,小さいと判断しているかはともかく,まずは日本の財政状況を見てみました. 財政状況はなじみのない言葉が多いため,財務省に倣って家計に置き換えて説明しました.http://www.mof.go.jp/zaisei/con_02.html 日本は収入以上に随分お金をつかっており,慢性的な借金体質のようです.普通の家ならすでに破産しているかもしれませんし,そもそも新たな借金はできないでしょうね.借金を減らすには,収入を増やすか支出を減らすか,あるいは同時に行うかしかないわけです.
 歳出を項目別に見ていくと一番多いのは社会保障費でした.社会保障は前回確認した通りですね.この項目は日本が少子高齢化である以上,なかなか減らせないでしょうね.今後も増加し続けると予想されています.
 次に歳入として,税金の分類から始めました.税金は直接税と間接税,そして国税と地方税に分類できました.直接税の代表である所得税と,間接税の代表である消費税は,ひとくくりに税と言ってもその性質は大きく異なりました.それを公平性と公正性という観点から説明しました.
 現在,消費税率を上げることがニュースになっていますが,消費税を上げると言うことはただ単に税金が増えて困る,という単純なものではありませんでした.
 最後に冒頭の大きな政府と小さな政府に分類する指標として,国民負担率と潜在的国民負担率を紹介しました.これらを先進国間で比較すると日本はずいぶん税金の安い(=福祉水準も低い)小さな政府であることがわかりました.

【おまけ】 税金の無駄遣いを減らせ!と思っている人はこちらのゲームを試してみて下さい.なかなか予算を減らすのも簡単ではありませんね.http://www.mof.go.jp/zaisei/game.html

2007年12月6日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第11回

 今日は市場の失敗のうち,情報の非対称性でした.

【授業の内容】
 完全競争市場の条件には完全な情報というものがありましたが,それが満たされない場合が本日のテーマである情報の非対称性です.

 情報の非対称性とは,売り手と買い手が財について保有している情報が異なることを指します.授業の例で言えば,中古車については売り手(中古車屋)の方が買い手(消費者)よりも明らかに情報をたくさん持っていますよね.その中古車を仕入れたときの値段はもちろん,専門的な知識を使って我々消費者にはわからない品質に関する情報を持っているはずです.

 さて,このような情報の非対称性が発生する財には特徴があります.財が持つ品質の情報について次の3つに分類しました.
・探索財
・経験財
・信用財
 このうち探索財については事前に品質に関する情報が明らかなため,情報の非対称性は発生しません.以後の分析対象はすべて経験財もしくは信用財についてです.

 分析の手始めとして中古車市場,いわゆるレモン市場を紹介しました.ここでは上述の通り,売り手と買い手で情報の非対称性が発生しています.売り手は品質の良い自動車と悪い自動車を区別できますが,買い手には区別ができないため,買い手は良い自動車と悪い自動車の存在比率から期待値を計算し,それを下回る価格でしか中古車を購入しません.
 しかし売り手にとって見れば,その価格でも売っても良いと思えるのは品質の悪い自動車(レモン)だけなので,結果として市場には欠陥車ばかりが出回ることになります.まさに悪貨が良貨を駆逐してしまうのです.

 次に生命保険市場を分析しました.ここでは生命保険の購入者として,自身の健康に自信がある人と健康に自信がない人の2種類を想定します.それぞれ自身が病気すると思われる確率から払っても良い保険料を計算します.健康な人は保険料を低く見積もるし,不健康な人は少々高くとも保険に入りたいと思うでしょう.
 一方,購入者の健康に関する情報を持っていない保険会社の営業は,健康な人と不健康な人の区別がつきません.そのため,全員入ってくれた場合に利潤が出るような平均的な保険料を計算して,それを提示するしかありません.
 結果としてその保険料でも保険に入りたいと思うのは,自身が不健康だと認識している人だけなので,保険会社にとっては大赤字になることでしょう.不健康な人にとってみれば,健康な人のおかげで安く保険に入れることになります.
 このように情報の非対称性により特定の売り手or買い手ばかりが集まることを逆選択と言います.先ほどのレモン市場も逆選択の1例です.

 さらにこの保険市場を例に話を進めれば,生命保険に入った人の中には,「これからは病気や怪我をしても保険が下りるから安心だ」と思って暴飲暴食をしたり,危険な行動を取る人がいるかもしれません.このように情報の非対称性を伴う契約により行動が変化することをモラル・ハザードと呼びます.マスコミでモラル・ハザードという言葉が使われている場合には誤用が多いように感じます.皆さんは気をつけましょう.

 最後に情報の非対称性による市場の失敗を防ぐ手段を説明しました.簡単に言えば非対称的だからダメなわけで,情報が対称的になれば良いわけです.まずはシグナリングを紹介しました.これは品質そのものの情報は手に入らなくても,品質を示すシグナルを見つけて品質を推測するというものでした.高卒と大卒の初任給が違うこともシグナリングから説明できました.中古車の1年保障などもシグナルと言えそうですね.
 次に評判(reputation)を説明しました.これは1回限りの契約だと,相手を騙すことができるので継続して契約することで情報の非対称性を無くすということでした.年功序列の合理性もこれで説明できます.

経済数学入門 第12回

 今回は風邪でダウンしてしまいました.掲示板の所で配布した課題をやってきて下さい.次回,回収します.
 講義後に質問に来る予定だった人はすみません.次週以降にして下さい.

総合政策演習B1② 第12回

 今回は風邪でダウンしてしまいました.掲示板の所で配布した課題をやってきて下さい.

基礎総合演習B 第12回

 風邪の影響でよろよろしながらの授業でした.皆さんに風邪が移っていなければ良いのですが….

【授業の内容】
 今回はチーム・コーナーザマーケットによる資産運用方法としての金(きん)とギャンブルについての発表です.

 ギャンブルはまだ身近?ですが,金投資というのは縁遠いだけに,なかなか調べるのも難しかったようですね.
 しかし,株との比較を尋ねてもなかなか理に適った答えが返ってきました.

 僕も調べてわかりましたが,宝くじに比べれば公営ギャンブル(競馬や競艇など)はまだ良心的なんですね.逆に宝くじは期待値で考えれば,怖ろしい資産運用法です.購入者の無知につけ込む商売です.ヴォルテールが「宝くじは頭が悪いことに対する税金である」と言うのもわかりますね.
 また配当率(期待値)で考えるとノミ行為がはびこる理由もわかりました.

【課題】
 次回は投信とドルについてです.投信はいろいろ種類があるので調べてみると面白いですよ.

経済学A 第12回

 今回は前回の年金に関連して,日本の財政と税について説明しました.

【授業の内容】
 その日の朝,「2008年度予算が83兆円台後半になる見通し」というニュースが流れました.皆さんにとってはあまり関心のないこの数字は果たしてどんな意味を持っているのでしょうか?
 まず大きな政府と小さな政府って何だったか,久々に復習しました.大きな政府の代表格としてはスウェーデンやデンマークといった北欧諸国やフランスが挙げられます.逆に小さな政府の代表としてはアメリカ,スイス,韓国と言った国の他,実は日本も小さな政府のグループに含まれると言って良いでしょう.どんな指標を元に大きい,小さいと判断しているかはともかく,まずは日本の財政状況を見てみました.
 財政状況はなじみのない言葉が多いため,財務省に倣って家計に置き換えて説明しました.
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_02.html
 日本は収入以上に随分お金をつかっており,慢性的な借金体質のようです.普通の家ならすでに破産しているかもしれませんし,そもそも新たな借金はできないでしょうね.借金を減らすには,収入を増やすか支出を減らすか,あるいは同時に行うかしかないわけです.
 まずは支出を減らすことを考えてみます.歳出を項目別に見ていくと一番多いのは社会保障費でした.社会保障は前回確認した通りですね.この項目は日本が少子高齢化である以上,なかなか減らせないでしょうね.今後も増加し続けると予想されています.一般歳出削減の方策の1つとして民営化があります.先日郵便局が民営化されたのは誰もが知っていますが,ハローワークや違法駐車取り締まりの民営化に関連して市場化テストという言葉がしばしば話題になりました.
 次に歳入を増やすことですが,まずは税金の分類から始めました.税金は直接税と間接税,そして国税と地方税に分類できました.直接税の代表である所得税と,間接税の代表である消費税は,ひとくくりに税と言ってもその性質は大きく異なりました.それを公平性と公正性という観点から説明しました.
 現在,消費税率を上げることがニュースになっていますが,消費税を上げると言うことはただ単に税金が増えて困る,という単純なものではありませんでした.

 最後に冒頭の大きな政府と小さな政府に分類する指標として,国民負担率と潜在的国民負担率を紹介しました.これらを先進国間で比較すると日本はずいぶん税金の安い(=福祉水準も低い)小さな政府であることがわかりました.

【おまけ】
 税金の無駄遣いを減らせ!と思っている人はこちらのゲームを試してみて下さい.なかなか予算を減らすのも簡単ではありませんね.
http://www.mof.go.jp/zaisei/game.html

 

2007年12月3日月曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 中間テスト結果

 中間テストの採点が終わりました.

満点:30点
平均点:15.71点
標準偏差:7.577
最高点:30点
最低点:1点

 問題はそれほど簡単ではなかっただけに,もっと悪いかと思っていたのですが,予想よりも良かったです.出席してる人はかなり真面目に講義を聴いてるからでしょうね.僕にもみんなの真剣さは伝わります.独占が終わってからは少々力が抜けたようですが….
 それにしても満点が出たのは嬉しいような残念なような.僕がテスト受けても計算ミスで間違えそうなややこしい計算でしたが,皆さんよくがんばりました.

 この中間テストの内容は期末試験の範囲に含まれますので,忘れないうちに復習しておきましょう.解答はHP上に掲載されていますよ.

 自分の点数が知りたい人は研究室までどうぞ.

経済学Ⅰ 第11回

 テストを1週はさんで,引き続き貿易でした.

【授業の内容】
 今日は互いに得意な産業を持つ両国による貿易と,得意な産業のない国と苦手な産業のない国の貿易が,それぞれ何をもたらすのかを説明しました.

 まずは漁師と農民を例として,互いに得意(絶対優位)なものがある場合に,ロビンソンクルーソーのように自給自足をするのか,それとも互いに得意なものを作り交換するのとどちらを選ぶべきか説明しました.
 このような場合には,自給自足するよりも,互いに絶対優位を持つもの(漁師は魚釣り,農民は米作り)に専念して(特化),作ったものを交換することで両者とも幸せになれることを数値例で確認しました.

 上記の例では,交換(貿易)するとお互いに幸せになれるというのは,なんとなく予想できましたね.では次に,テレビと自動車の生産について絶対優位を持つ国と,どちらも絶対劣位である国の場合ではどうでしょうか?わざわざ自国と比べ絶対劣位にある国と貿易する意味はあるのでしょうか?また絶対劣位にある国は,優位な国と貿易してしまうと負けて損失を出してしまいそうな気がします.
 しかし,数値例でも確認した通り,テレビと自動車に絶対優位にある国は,どちらも得意だがあえて言えばより得意な(比較優位)テレビの生産に特化し,逆に絶対劣位にある国は,どちらも苦手だがテレビに比べればまだマシな(比較優位)自動車の生産に特化します.その上で貿易をすることで両国とも幸せになりました.
 比較優位は直感的な印象と,その中身が違うので驚くのではないでしょうか?僕は大学生の時に比較優位を学んで驚いたのを今でも覚えています.

 さて,これまでの例から自由な貿易は両国を幸せにすることがわかりました.しかし現実には自由な貿易が行われているとは言えません.我々が購入する様々なもの(あるいはその原材料)には関税がかけられています.
 なぜ日本政府は日本全体が幸せになれる自由な貿易をわざわざ妨げているのでしょうか?それは先ほどの話は数値例に過ぎませんでしたが,実際にはテレビに特化して自動車の生産を減らすことは,自動車産業が規模を縮小することであり,そこで働く労働者が失業することを意味しています.失業すれば当然その家族にも影響が出ることになりますね.
 そのため,関税により保護されている業界のことだけを考えれば,自由な貿易というのは決して歓迎されるものではないでしょう.当然ながら強硬に反対するはずです.
 しかし,関税により一部の産業を保護することは,日本全体のことを考えればマイナスです.なぜなら他の国と比べ効率が悪い産業に従事する労働者を増やすことになるからです.長期的な視点に立てば,関税を撤廃することで労働者が非効率的な産業から効率的な産業へと移動することになるため,労働者としてもより高い賃金を得ることになるかもしれません.

 自由な貿易は一時的には波風を起こすことになるでしょうが,長い目で見れば一国全体の生産の効率性を高めるものです.それに自由な貿易は世界的な流れであり,日本だけがその流れを押しとどめることは不可能です.
 自由な貿易を押し進める流れは,各国政府間で結ばれる自由貿易協定(FTA)の数に現れています.現在日本はメキシコ,シンガポール,マレーシアなど8ヶ国とFTAを発行あるいは署名済みです.さらにASEAN全体やインド,韓国などとも交渉中です.

お知らせ
 授業でも伝えた通り,中間テストの再テストを行います.ただし,テストを受けるのは15点未満だった人だけです.新年1回目の授業(1月21日?)の後半を使ってテストをします.そのテストで7~8割を取れれば中間テストの成績を15点に修正します.
 15点未満の人にはポータルサイトを通じて個人呼び出しがかかっているはずです.きちんと確認しましょう.

2007年11月29日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第10回

 今日は中間テストでした.みんな結構がんばってたみたいですね.お疲れさま.

 テストの解答はHPに掲載してあります.平均点などは週明けに公表する予定です.

 今日の範囲は期末テストでも出題するので,きちんと復習しておきましょう.質問があればいつでもどうぞ.

経済数学入門 第11回

 今回はオペレーションズ・リサーチの基礎として,線形計画法を学びました.オペレーションズ・リサーチは2年次以降の配当科目でもあります.

【授業の内容】
 まずは領域の確認をしました.1次関数や2次関数の領域の問題はSPI(民間企業の筆記試験)でもよく出題されるので,きちんと身につけておいて欲しいところです.
 続いて,他に機会がないので,ここで数式による円の表現を説明しました.原点を中心とするものを基本として,そこからシフトさせれば様々な円が描けます.
 その後,本題の線形計画法でしたが,わかりました?2通りの説明をしたのだけれど,わかってくれたでしょうか?最後は駆け足になってしまいましたが,課題にも挑戦しておきましょう.

総合政策演習B1② 第11回

 今回は独占の続きで,主に複占の問題を解きました.

【授業の内容】
 複占の問題には状況に応じて,4つの解法があります.
・クールノー均衡(同時手番,生産量を決定,敵対的)
・ベルトラン均衡(同時手番,価格を決定,敵対的)
・シュタッケルベルグ均衡(逐次手番,生産量を決定,敵対的)
・共謀(同時手番,生産量を決定,協調的)
 このうち上の2つは前回やったので,今回はシュタッケルベルグ均衡と共謀を説明しました.これらは共に,ミクロ経済学ベイシックでは扱わなかった問題です.非常に紛らわしいので,特にきっちりと復習して下さい.

 その後,独占的競争の説明をしました.グラフを使って,短期と長期の違いを説明しました.これはミクロ経済学ベイシックでもやりましたね.寡占も既にやったことがあるので,簡単に説明しようと思っていたのですが,タイムアップでした.

【課題】
 みなさんちゃんと復習できていない様子です.公務員試験は中途半端に勉強して受かるぐらい簡単な試験ではないので,キッチリやるか諦めて民間を目指すか,そろそろハッキリと区別をつけて下さい.
 来週は価格理論です.配ったプリントを必ずやってきましょう.

経済学Ⅰ 中間テスト結果

 中間テストの採点が終わりました.

平均点:12.1
標準偏差:5.6

 ちなみに30点満点です.最高点は21点,最低点は0点です.10点以下の人が数人いましたが,このままだとかなり危険です.そのため,なんらかの対処を考えています.

 自分の点数が知りたい人は,直接研究室まで来て下さい.なお,点数が悪い人にはポータルサイトを通じて連絡するかもしれません.

2007年11月27日火曜日

基礎総合演習B 第11回

 今日は株以外の資産運用方法として銀行預金について発表してもらいました.

【授業の内容】
 今日のチームは個別の銀行について,預金の種類や利率などを調べたようです.ずいぶんいろいろあるようですね.ただし,高い金利をもらえる預金と,低い金利しかもらえない預金には,それぞれ傾向があるようでした.
 本来は預金の話だけで良いかと思っていたのですが,銀行の役割やローンについてにまで話が膨らみました.預金保険機構についは,思ったよりみなさん知らなかったようですね.まぁペイオフが話題になったときにはみなさん高校生でしたしね.2年生以降に取る講義で改めて学ぶことになると思います.

 後半はテクニカル分析についての発表でしたが,前回よりは良いかもしれませんが,あまり準備が整っているとは言えない印象でした.

【課題】
 来週はギャンブルと金投資についての発表です.ギャンブルについての発表は楽しみですね.

経済学A 第11回

 今日は年金でした.

【授業の内容】
 年金は社会保障制度の一環です.そのため,まずは社会保障制度とは何かを説明しました.簡単に言えば社会保障とは,相互扶助(助け合い)の規模を大きくしたものと言えます.人に様々な不幸が降りかかった場合に,みんなで援助することですね.年金の他には失業保険,健康保険,災害援助,生活保護など数多くの種類がありますが,これらは保険的方法のものと,扶助的方法のものとに分類できました.
 次に年金のシステムとして,積立方式賦課方式があることを説明しました.現在の日本の公的年金は賦課方式と考えて構いません.この賦課方式の仕組みさえ理解すれば,年金のどこに構造的な問題があるのかわかると思います.少子高齢化がこれだけ問題視されるのも,日本の年金制度が事実上賦課方式であるためです.これが積立方式なら少子化による弊害もほとんどなくなるでしょう.

 年金の大まかなシステムを説明した後,具体的な話に移りました.
 日本の年金制度は2階建てだ,としばしば言われます.つまり国民に共通な1階部分と,職業により異なる2階部分です.それぞれどのような年金があるのか確認しました.
 さらに誰もが加入する国民(基礎)年金について様々な説明をしました.老齢年金以外にも障害年金や遺族基礎年金があることは見過ごされがちですね.

 最後に現在の年金問題について駆け足で説明しました.皆さんはこれで年金の基礎的な知識を身につけたはずです.20歳になると国民年金に加入することになりますが,あなたは保険料を払いますか?払いませんか?

2007年11月26日月曜日

経済学Ⅰ 第10回

 今日は中間テストでした.

 今週中に解答をHPに掲載したいと思っています.自分の点数が知りたい人は木曜日以降に来て下さい.(まだ採点していないので)

 採点終了後に,このブログで平均点や分布などの情報をお知らせします.

2007年11月22日木曜日

経済数学入門 中間テスト結果報告

 中間テストの採点と集計が終わりました.

受験者数:58名
平均点:9.28/20点満点
標準偏差:5.76

変更点
 「15点未満は呼び出し」と言いましたが,残念ながらかなり人数が多いため,全学共通センターでの学習を義務づけるのは12点未満ということにします.もちろんそれ以上の点数の人も勉強したければ歓迎します.
 というわけで,全学共通教育センターで勉強すれば12点未満の人も,12点を取ったことにします.

【おまけ】
                                    点数の度数分布表
 点数の度数分布表です.0.5点刻みなのでこまかいため,わかりずらいですが,ほぼ一様に分布しているようです.


















散布図(METと中間テスト)
 入学当初にやった数学の基礎力試験と,中間テストの点数には左図からも明らかですが,正の相関があります.
 相関係数は0.693で1%水準で有意です.








                      散布図(出席回数と中間テスト)
 出席回数と中間テストの成績は,右図からだとわかりにくいですが,こちらも正の相関があります.すべて出席している人の中でも成績にばらつきがあることがわかります.しかし出席回数が少ないほど平均点も低い傾向があることがわかりますね.
 相関係数は0.465で,こちらも1%で有意.


2007年11月21日水曜日

経済数学入門 第10回

 今日は中間テストでした.ほんとはテストの後に講義をする予定でしたが,みなさんの力強い反対に遭い断念しました.まあたまにはこういうのも良いでしょう.

【授業の内容】
 中間テストのみ.

お知らせ
1.テストは早めに採点します.20点満点中15点未満の学生にはポータルサイトを通じてお誘いの連絡が行きます.お誘いを受けた学生は今年中に全学共通センターに行きましょう(毎週月曜日の5限,メディアセンター6階).どうしてもその日に都合の悪い学生は僕に相談して下さい.
 なお連絡を受けたにも関わらず今年中に来なかった学生は直接呼び出します

2.解答は今週中にHPのダウンロードのページに掲載予定です.

3.自分の点数を知りたい学生や,評価に不満のある学生は来週中に研究室まで来て下さい.

【感想】
 まだ少ししか採点していませんが,予想よりは悪いです….
 授業の改善方法を書いてくれた人,ありがとう!良さそうな案は使わせてもらいます.

総合政策演習B1② 第10回

 今日は複占の解法を説明しました.

【授業の内容】
 今日はクールノー均衡ベルトラン均衡の問題を解きました.シュタッケルベルグ均衡共謀についても説明したかったのですが,時間が足りませんでした.この辺は難しい(というより,ややこしい?)だけによく出る問題だと思います.

 クールノーは企業が同時に生産量を決定するんでしたよね.企業は利潤が最大になるよう,MR=MCに沿って行動します.両企業の最適反応が得られたら,それを連立方程式で解く,というのがパターンですので覚えましょう.

 ベルトランは企業は同時に価格を決定するという仮定です.価格で微分するというのは公務員試験ではここだけだと思います.その他の問題は生産量で微分する問題ばっかりですよね.こちらも利潤を最大になるように計算すると,最適反応が得られます.こちらも最後は連立方程式で解きます.

 実はどちらも考え方としてはナッシュ均衡になっているのに気づくでしょうか?互いの最適反応から,均衡点が定まります.そのため,それぞれクールノー・ナッシュ均衡,ベルトラン・ナッシュ均衡とも呼ばれます.

 最後に少しだけ説明したシュタッケルベルグ均衡は,上記の2つとは異なり,時間の流れがあります.ゲーム理論で言えば逐次手番ゲームなのです.先にある企業が生産量を決定し,それを受けて,ライバル会社が生産量を決定するゲームです.こっちは自分で予習しておきましょう.来週はこのシュタッケルベルグ均衡から始めます.

【課題】
 復習は忘れずに!シュタッケルベルグ均衡と共謀についても説明を読んでおきましょう.

2007年11月20日火曜日

基礎総合演習B 第10回

 株価変動の原因を探るのは今回で終わりです.これまで学んだ内容を活かした良い発表でしたね.

【授業の内容】
 今日の題材はヤマダ電機でした.この企業を選んだ理由は聞き忘れましたが,なかなかおもしろい選択をしてくれたと思います.というのは,この企業は今流行りのM&Aに積極的だからです.この1年間だけでも何度も他社を買収していましたね.
 また週刊誌や新聞等で法令違反について取りあげられています.こちらのコンプライアンス(法令遵守)も最近ホットな話題です.食品の偽装発覚のニュースは特に良く耳にしますね.この企業は主に国内で仕入れ国内で販売するというドメスティックな企業なので,これまでの2社との対比にもなりますね.トヨタは輸出が重要だったし,マクドナルドは輸入が重要でした.というわけでヤマダ電機は円ドルレートには反応している様子はあまり見られません.
 ただしヤマダ電機の特徴としては上げ幅,下げ幅ともに日経平均と比べるとずいぶん大きいことが指摘されました.この理由はわかりませんが,外国人の持ち株比率が高いことも一因かもしれませんね.

 さて,3チームのこれまでの発表から,株価の変動要因が何なのか,だいたいのイメージはつかめたのではないでしょうか?全員に1つずつ挙げてもらいましたが,僕としては十分に合格点があげられる答えだったと思います.皆さんよく勉強しました.

 これまで株式ばかり勉強してきましたが,お金を増やす手段は株だけではありません.来週からは他の金融商品(だけじゃないけど)について発表してもらいます.

【今後の予定】
11/27 チームピーコ「預金について」
12/4 チームコーナーザマーケット「ギャンブル,金(きん)について」
12/11 チームマネータイガー「投信,為替(ドル)について」

経済学A 第10回

 今日は携帯市場を例に独占市場と完全競争市場について説明しました.

【授業の内容】
 今はまだあまり話題になっていませんが,2008年3月には昨年のソフトバンクに続いて,新たな企業(イー・アクセス)が携帯電話の音声サービス市場に新規参入します.果たして経済学の視点から,新たな企業の参入が市場にどのような変化をもたらすのでしょうか?

 まずは完全競争市場の条件について学びました.完全競争市場とは,経済学者の理想郷とも言うべき市場です.授業で紹介した条件がすべて満たされると,その市場で生産している企業には利潤がまったくでません.競争が熾烈すぎるため,少しでも儲かっていたら,新たな企業が参入してくるため,どんどん財(商品やサービス)の価格が下がってしまうのです.つまり企業は完全競争市場ではどんなにがんばっても儲からないのです.
 逆に完全競争市場ではない市場(不完全競争市場)では利益が出る余地があります.完全競争市場の条件を満たさないケースとして,独占市場,情報の非対称性,財の差別化,参入規制などが挙げられます.実際にこれらが発生する市場は儲かってそうですね.

 今日の題材である携帯市場は独占市場の一種である寡占市場です.このような市場では完全競争市場に比べて高い価格設定でも財を売ることができます.そのため利潤もちゃんと発生します.NTTドコモの純利益を例として見ましたが,ずいぶん巨額の利益が発生していましたね.しかし2006年度からやや減少しています.2006年度にはナンバーポータビリティが開始され,以前に比べ携帯市場も競争的になったので儲からなくなったのかもしれません.

 さて,このような独占はなぜ生まれるのか?授業では次の3つに分類しました.資源独占,政府による独占,自然独占です.
 また独占というのは社会的に見て良いものではないので(著作権や特許権など政府が認めているものもありますが,これらはあくまで例外です),多くの国では独占禁止法があり,企業による市場の独占を妨げています.

2007年11月19日月曜日

経済学Ⅰ 第9回

 今日は為替レートと貿易について学びました.

【授業の内容】
 まず僕が持っていた外貨としてベトナムの通貨ドンの紙幣,50000ドン札を見せました.日本円に直すと350円程度ですが,向こうに行くとディナーを食べることができます.なぜ日本とベトナムは物価が違うのでしょうか?日本で食べてもベトナムで食べてもディナーはディナーですけどね.

 その問題にはそのうち答えるとして,まずは為替の確認から始めました.わかっていても円高・円安というのは間違えやすいですからね.そのため具体的な数値を使って,円高・円安の場合に輸出・輸入がそれぞれどうなるのか確認しました.「円高は悪い」というイメージがあるかもしれませんが,円高にもメリットはありますし,円安にもデメリットがあります.とはいえ,少なくとも自動車などの輸出産業にとっては円高がありがたくないことは間違いありません.

 次に外国の金利を見てみました.日本ではまだまだ超低金利が続いていますが,諸外国を見てみるとずいぶん金利が高いことに驚くでしょう.皆さんは物心ついたときから超低金利ですもんね.しかし実は歴史的に見れば,あるいは現在でも他国と比較すれば今の日本の金利が異常です.
 それにしてもこのように金利が違うと,「じゃあ自分も外国の銀行に預けたい」と思うかもしれませんが,そのためには為替の仕組みをよく知らなければいけません.現在日本円の為替相場は変動相場制というシステムを採用しているので,今後円安になるのか,それとも円高になるのか断言できません.そのため,外国に預金している間に為替レートが変動するというリスクがあります.このリスクの存在が,国内の銀行への預金する場合ともっとも異なる点です.他にも手数料や利子への課税など注意するポイントがあります.
 日本円は変動相場制ですが,世界を見渡せば,固定相場制やその変形とも言えるペッグ制を採っている国もたくさんあります.もちろんそれぞれにメリットもあればデメリットもあります.

 次回は,中間テストの後,貿易と国際分業について説明します.

2007年11月16日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第9回

 えー,山場が終わったので今回も低いテンションでお送りしました.それより次回は中間テストです.計算問題をしっかり復習しましょう.

【授業の内容】
 今回は外部性を説明しました.市場の失敗の例として,独占,公共財に続いて3つ目ですね.
 外部性とは,ある経済主体(個人や企業など)の間で行われる経済活動が,その活動とは関係のない第3者になんらかの影響を及ぼすことです.外部性が発生すると,社会的に望ましい資源配分が行われません.授業では教育投資が過小になったり,環境を汚染する企業が過剰に生産することなどを説明しました.

 その外部性ですが,いくつかの視点から分類できます.
 まず,第3者への影響が良い影響である場合は外部経済,逆に悪い場合は外部不経済と言います.教育は外部経済だけど,公害は外部不経済ですよね.教育は外部経済だと言いましたが,大学ができるとその周辺の住民にとってはうるさくなるから外部不経済が発生するでしょうし,周辺の商店にとっては客が増えるので外部経済になるでしょうね.
 次に,外部性が伝わるルートによる区分として,第3者へ直接的に影響を及ぼす技術的外部性と,市場を通じて影響を及ぼす金銭的外部性があります.
 また消費における外部性として,スノッブ効果バンドワゴン効果を説明しました.スノッブって言葉は最近あんまり聞きませんね.ちなみにwikipediaのスノッブの項によれば,
 スノッブ(snob)は一般に俗物、またスノビズム(snobbism)は俗物根性と訳される。
多くの場合、次のような意味で使われる。知識・教養をひけらかす見栄っ張りの気取り屋。また、上位の者に取り入り、下の者を見下す態度を取る嫌味な人物。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%83%E3%83%96
 とあります.個人的にはスノッブ効果はかなり感じますね.世間で人気があるものはとりあえず避けようと思ってしまいます.バンドワゴン効果は携帯などで見られますね.

 最後に外部性への対処を3つ説明しました.
補助金,課税
 これらは通称ピグー税と呼ばれます.税金をかけることで外部性の発生元である主体に外部性を内部化させることができます.つまり他人事から自分の事に変えさせるわけです.
内部化
 外部性を自ら取り込んでしまうことです.授業ではJRの駅が外部性である集客力を利用して駅ビルを建てることを例に挙げました.
交渉
 最後の交渉では,コースの定理がよく知られています.コースの定理についてはテキストにも詳しく書いてありますよ.

【お知らせ(確認)】
 テストの範囲は第7回の講義までです.完全独占と複占の計算は必ず出しますので,きちんと復習しましょう.

2007年11月14日水曜日

経済数学入門 第9回

 今日は「ほんとに経済学でも数学を使うんだ」というのを説明しました.題材として直線のシフトや傾きの変化を説明しました.

【授業の内容】
 まず予算線と呼ばれるものを描いてみました.予算内で買うことのできるセーターとコートという2種類の商品の組合せを図で表現したものです.数学で言えばただの直線に過ぎないものに,経済学では意味が付与されます.
 価格が変化すると直線の傾きが変化するし,予算が変われば直線が平行移動(シフト)することがわかりました.価格の変化については,厳密に言えば相対価格の変化が傾きを変化させました.

 次に,数学に戻って,シフトのさせ方や直線の傾きの変化させる方法を実際に計算して確認しました.まぁ計算自体は簡単ですね.

重要なお知らせ
 なんども言っていますが,来週はテストです.テストを受けなかったら単位はあげませんよ.
 テストに関連して,「これまでの課題の答えが欲しい」という声がありましたので,期間限定でテスト当日までは,これまでのすべての解答をアップしておきます.

総合政策演習B1② 第9回

 今日は複占などをやろうと思っていたのですが,思ったより時間がかかってしまいました.

【授業の内容】
 というわけで,今日も完全独占でした.今日の4問でほぼ基礎は固まったと思うので,今日の復習を必ずしてください.そしてできれば問題集の完全独占の問題にも挑戦してみましょう.
 前回はMR=MCを作れば問題は解ける,と言ったのですが確かにその通りではあります.しかし今回はその意味を説明しました.企業が利潤を最大にするように生産量を決定すると,自然とMR=MCという形が出てきました.やり方はどっちでも良いのですが(利潤を微分して最大となる点を求めるorMR=MCを作る),中身は同じです.あえて言えば図を描く必要がある問題ではMR=MCという形でやった方が良いですけどね.
 その他,企業の売上,費用,利潤を図示したり,余剰(消費者余剰,生産者余剰,社会的余剰)を計算する問題もやりました.そうそう,ラーナーの独占度もやりました.
 他の範囲でもそうですが,独占も問題のバリエーションがあんまりないから,どうせ出題者は似たような問題を出してくるはずです.基礎をきっちり理解しましょう.

【課題】
 ミクロのノートを見て,クールノー均衡を復習してくる.

2007年11月13日火曜日

基礎総合演習B 第9回

 今日は前回に引き続き過去の株価変動の原因予想です.途中で撮影が入ったのでやや緊張したかもしれませんね.

【授業の内容】
 いやあ,今日はほとんど僕の出番はありませんでしたね.ほとんど発表した3人の力で答えを見つけてくれたと思います.前回のチームの発表から大切なところをちゃんと学んでいると感じました.特に良かったのは次の点です.
・為替相場がマクドナルドに与える影響を理解している
・同業他社の動向をチェックしている
・日経平均との連動をチェックしている
・売上や利益の長期的な変動にも言及している

 実はマクドナルドの小ネタをいくつか用意していたのですが,みんなが十分発表してくれたので必要ありませんでした.

【課題】
 チーム・コーナーザマーケットのメンバーはヤマダ電機の株価変動の原因を探りましょう.
 またテクニカル分析についての発表もありますね.

経済学A 第9回

 今日はちょっと趣向を変えて,経済学っぽく見えない内容です.でもゲーム理論はいまや経済学から切り離すことのできない一大領域です.心理学科のみなさんも,思わぬ所で出くわすかもしれませんね.

【授業の内容】
Game.1 囚人のジレンマ
 まずは有名な「囚人のジレンマ」ゲームです.プレイヤー同士が協力できない状況で,互いに自己の利得を増やすことだけを目的とすると,結果として両者にとってあんまり良くない結果になりました.結果だけを見れば「もっと良い結果だってあるのに」と思うかもしれませんが,両者が合理的に行動した結果です.

Game.2 戦略の逐次消去
 次のゲームも同じく,使い途のない戦略を消す(戦略の逐次消去)という方法で答えを出しました.この解法は直感的に理解しやすいという利点はあります.しかし,この解法には限界があり,以下のゲームはこの解法では解けません.

Game.3 ナッシュ均衡
 ゲームによっては戦略の逐次消去で解けない場合がありますが,ナッシュ均衡はより強力なので,そういう問題も解ける場合があります.
 ナッシュ均衡とは,両者の戦略が互いの戦略に対する最適反応になっているような戦略の組合せです.これまではすべて利得表で考えましたが,ナッシュ均衡はそうでない場合にも応用可能です.

Game.3.5 ホテリング・ゲーム
 海岸線のどこに海の家を建てるべきか,というこのゲームでもナッシュ均衡で最適な答えを導くことができました.大事なポイントは,両者とも,ライバルの行動を予測することです.

Game.4 展開型ゲーム(逐次手番ゲーム
 これまでの問題はすべて同時手番,つまりジャンケンのように両者が同時に戦略を決定するゲームでした.しかし,テニスや麻雀のように順番に行動するゲームも存在します.ここではスーパー2社が出店と値引きで争うゲームを考えてみました.脅しは空脅しであることが見破られると意味がないことがわかりましたね.この手のゲームは後ろ向き帰納法で解くことができます.

Game.4.5 1万円配分ゲーム
 最後に余った時間で1万円をいかに配分するかというゲームを考えました.こちらも逐次手番ゲームなので,後に行動するプレーヤーの反応をまず先に考え,その後最初に行動するプレーヤーの戦略を予想します.

2007年11月12日月曜日

経済学Ⅰ 第8回

 前回に引き続き金融政策です.

【授業の内容】
 日銀が市場に貨幣を供給する手段は,前回説明した公定歩合の他に次の2つがあります.

公開市場操作
 公開市場操作とは日銀が手形や国債などの債権を売買することで貨幣の供給を調整するものです.
 例えば日銀が市中銀行から国債を10億円分購入すると,日銀は国債を手に入れる代わりに代金として10億円を市中銀行に支払います.するとお金は日銀から民間へと流れます.このように債券を買うことにより貨幣供給量を増加させることを買いオペレーション(買いオペ)と言います.
 逆に日銀が手形や国債などを売却するとどうなるでしょう?日銀は国債を手放し,その代金を受け取ります.つまり民間側から日銀側にお金が流れるため,マネーサプライは減少してしまいます.こちらは売りオペレーション(売りオペ)と呼ばれます.

支払準備率(預金準備率)の操作
 市中銀行は顧客からの預金のうち一定割合を日銀に預けなければなりません(日銀当座預金).この割合を支払準備率と呼びます.突然顧客が「預けているお金を返してくれ!」と言ってきた時の,支払いに準備しておくお金です.ちなみに実際の支払準備率は,預金の種類により異なりますが,おおよそ10%ぐらいです.
 日銀がこの支払準備率を上げると,市中銀行は預金のうち多くを日銀に預けなければならないので,当然マネーサプライは減少します.逆に支払準備率を下げれば,マネーサプライは増加しますね.

 さて,この支払準備率を理解すると,現金(マネタリーベース)が70兆円しかないのに,貨幣供給量(マネーサプライ)は700兆円もあるのかがわかります.2通りの方法で貨幣が増えていく様子を説明しましたね.この貨幣の増殖?を信用創造と言いました.信用という言葉は以前にも出てきたのを気づきましたか?

 最後に,金融政策のまとめとして,金融緩和金融引き締めがそれぞれどんな効果をもたらすのか確認しました.金融を緩和すると,利子率が低下するので投資を呼び起こし,景気回復につながります.じゃあどんどん金融緩和すれば良い(極端に言えば1万円札をたくさん刷ってバラ撒けば良い)かと言うと,そう簡単ではありません.なぜなら貨幣供給量が増加すると物価にも影響を与えてしまうからです.お金があまりないときと,有り余ってるとき,どちらの場合にある商品に高いお金を出そうと思うか考えてみるとわかりますが,貨幣供給量が増えれば物価は上昇してしまいます(インフレーション,インフレ).
 逆に金融引き締めを行えば,物価を落ち着かせる,あるいは下げる(デフレーション,デフレ)ことができますが,利子率の増加を招いてしまうので,企業の投資意欲を削ぐことになります.結果として景気も停滞してしまうでしょう.なかなか一石二鳥とは行きませんね.
 とはいえ,中央銀行である日銀がより重視すべきは物価の安定であり,次いで景気だと思います.日銀総裁は,景気をあまり冷え込ませないようにしながらも,物価を安定ささねばならぬという難しい舵取りをしなければなりません.

 金融はひとまずここまで.中間テストの範囲もここまでです.

2007年11月8日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第8回

 今日は公共財について説明しました.公共財自体は別に難しい話じゃないよね.

【授業の内容】
 公共財とは,非排除性非競合性という2つの性質を兼ね備えた財です.このような財はその性質上,利用者からお金を徴収することができず,フリーライダーが発生してしまいます.例えば一般道路は我々の生活に欠かせないものですが,料金の徴収係もいないので誰でもタダで利用できます.企業はこのようなものを莫大な費用をかけてまで作ってくれないでしょう.
 つまり,公共財は生活に必要にも関わらず市場(民間)に任せておいても生産されない(市場の失敗)ので,政府が供給することになります.道路だけでなく警察,司法,国防なども公共財と言うことができます.法律や言語なども公共財の性質を持っていると言えますね.
 市場で供給しなくても政府が供給するから良かった良かった,というわけではありません.市場であれば生産者は消費者の需要を踏まえて価格や生産量を決定するわけですが,政府にはそのような価格調整機能や最適な生産量の決める機能を備えていません.あくまで予測を元に生産してしまうのですが,近くの淡路大橋を見ても明らかな通り予測の精度はあまり褒められたものではないでしょう.というより政治的な力により決定されているような気がするのは僕だけではありませんよね.このように公共財の生産については,以前からその需要予想が楽観的に過ぎることがしばしば指摘されます.

 余った時間で中間テスト対策をしました.ちゃんと理解してるかな?

2007年11月7日水曜日

経済数学入門 第8回

 プリントには第7回と書いてありましたが,実は8回目でした.失礼.

【授業の内容】
 今日は最大化・最小化問題と偏微分をやりました.偏微分の辺りは比較的真剣に聴いていたような気がします.
 皆さんが大学で学ぶ最大化・最小化問題にはパターンがあるので,そのパターンを確実にマスターしましょう.

1.目的と制約をはっきりと区別する.
 何が目的で何が制約なのか認識できていなければ,問題を効率良く解くことはできません.マラソンでもどこがゴール地点なのかわからなければ,どっちに向かって走って良いのかわかりませんよね.目的や制約は明示的に(式の形で)示されているとは限りません.文章から読み取らなければならない場合もあります.今回の幸せ最大化問題の制約はこのタイプですね.

2.制約を目的の式に代入して,変数の数を減らす.
 目的には複数の変数が含まれている場合があります.こういう場合は非常にややこしいので,1つでも変数を減らすことが大事です.
 そのため,制約の式を変形して代入することで目的の式から変数を減らせないか考えてみましょう.目的の式に含まれる変数が1つだけになれば,かなり簡単になります.

3.目的の式をグラフにして,最大値・最小値を読み取る.
 2.の操作によりほとんどのケースでは目的の式は変数が1種類の2次関数になると思います.こうなれば,これまで何度もやらされたグラフの頂点(あるいは底)を出せば最大値(最小値)がわかりますね.
 繰り返さないとすぐに忘れるから,復習は大事ですよ.

 授業の後半は偏微分の説明でした.これまでと違って,複数の変数が入っている関数の場合にはこれまでの微分は通用しません.
 と言ってもそれほど難しいものではなく,ある変数(x)で偏微分する場合は,「他の変数はただの数字だ」と脳に言い聞かせて,普通に微分するだけでしたね.ちゃんとできましたか?
 偏微分の意味も眉山を使って説明しましたが,なんとなく「そういうもんか…」ぐらいに思っておいてくれれば良いです.イメージできれば大成功です.

総合政策演習B1② 第8回

 久々ですね.今日からまた僕が担当します.

【授業の内容】
 今日はゲーム理論と完全独占をやりました.ゲーム理論はミクロ経済学ベイシックでは「支配される戦略の逐次消去」,「ミニマックス戦略」,「(純粋戦略の)ナッシュ均衡」,「(混合戦略の)ナッシュ均衡」,「後ろ向き帰納法」と,全部で5つの解法をやりましたが,公務員試験で必要となりそうなのは,「ミニマックス戦略」,「(純粋戦略の)ナッシュ均衡」,「(混合戦略の)ナッシュ均衡」の3つのようですね.混合戦略については説明しなかったので去年のノートを見てみましょう.約1年ぶりなので忘れていたかもしれません.

 続いて完全独占を1問だけやりました.こちらも講義ではなぜこういう解き方をするのかも説明しましたが,その辺は自分で復習してもらうとして,演習では解法だけを確認しました.MR=MCという式をとにかく作れば,とりあえずなんとかなります.「独占と言えばMR=MC」とお経のように唱えて覚えましょう.

 次回は完全独占の続きからやりますので,絶対に今日の復習を忘れないように.せっかく思い出したのにまた忘れた,というのではあまりに効率が悪すぎます.

【課題】
 復習は完璧にしましょう.また今日配った完全独占のプリントもできるところはやってみましょう.さらにテキストもやれるところまでやりましょう.

2007年11月6日火曜日

基礎総合演習B 第8回

 今日も前回に引き続き過去の株価変動の要因分析です.チーム・マネータイガーの発表でした.

【授業の内容】
 トヨタ自動車の過去1年間の株価の変動を探ってもらったのですが,総じてよく調べていると感じました.改善点としては2つ.まず国際的な大企業であるトヨタなのにあまり為替相場に対する言及がなかった点です.トヨタの販売台数の多くは海外ですので,為替相場を無視することはできません.もう1つは発表の内容は良いものの,方法についてはやや準備不足であった点です.これはあと10分でも事前に打ち合わせをしておけば大幅に改善できたと思います.

 残りの時間でRadioheadの新譜の話をしました.もちろん僕の音楽の趣味についてではなく,その販売方法です.音楽はCDという形からデータの売買へと移行しつつあるのは周知の通りですが,今回のRadioheadは,中間に業者を挟まずウェブサイトからの直接販売であり,さらに値段を消費者に決定させるという非常に野心的な試みです.いわゆる経済学的な考え方からは,0円(実際にはポンドですが)で購入するというのが最も合理的であり,合理的な個人は実際に0円で購入するということになるのですが,どうも個々人が適正な値段付け行っているようです.ちなみに僕は4ポンド(およそ900円)で購入しました.この事例は研究対象としても面白そうです.機会があれば詳しく書いてみたい.
 それにしても学生が9人もいてRadioheadを誰も知らないというのはどうなんすか?みんな音楽聴かないのか?それとも僕とのジェネレーションギャップか?よく考えてみると"OK Computer"や"Pablo Honey"なんて僕が高校生の時だもんなぁ.ちなみに村上春樹の「海辺のカフカ」にはRadioheadの"Kid A"を聴く15歳の少年が出てきます.

Radioheadの新譜"In Rainbows"のウェブサイト
http://www.inrainbows.com/

【課題】
 チーム・ピーコは分析対象である企業を今週中に僕に知らせましょう.

経済学A 第8回

 今日は前回の貿易に引き続きグローバリゼーションの話です.
 レジュメの参考文献はその1例に過ぎませんが,近年グローバル化に関連した書籍は数多く出版されています.みなさんにとっては今すぐ,あるいは来年役に立つ話ではありませんが,10年後,20年後を見通すためには知っておくべき知識であり,視点であると思うのですが,残念ながら皆さんには通じなかったようです.

【授業の内容】
 グローバル化とは国境や距離を超えた結びつきが容易になる現象と言えるかもしれません.これまでは距離的な制限に阻まれていた行動が,時間や費用をほとんどかけることなく可能になっています.例えば電話もグローバル化の例でしょう.電話の普及以前は誰かに何かを伝えたければ会いに行くか,飛脚を使うか,狼煙をあげる必要がありましたが,現在ではほとんど手間はかかりません.世界の裏側にいる人にも1分あれば話をできるようになります.
 これまでのグローバル化というのはモノ(あるいはヒト)のグローバル化でした.iPodは台湾で作られているし,皆さんが着る服の多くは中国産でしょう.タコ焼きを例にしても,小麦粉はオーストラリアから,タコはモロッコやモーリタニアから来ていることが多いようです.更に言えばパソコンなんて多国籍の最たるものでしょう.

 しかし現在進行中である,これからのグローバル化はモノのグローバル化に加えて,サービスのグローバル化であると言えます.Y2K問題の際にはインドを中心とした多くの途上国のプログラマが活躍しましたし,授業ではトーマス・フリードマンの「フラット化する世界」を例に,国境を越えた家庭教師サービスや,事務委託の話もしました.
 これが意味することは何か?前回の貿易の話を思い出してみれば,貿易により比較優位がある産業は成長したのに対して,比較劣位にある産業は縮小あるいは消滅しました.そこで対象となったのは貿易できる商品(財)でしたが,今後は一部のサービスについても比較優位,比較優位の原理が働くようになる可能性があり,一部ではすでにそれは現実化しています.

 これまでは国境や言語の壁により守られていた日本のサービスも,今後は国際競争に晒される可能性があります.そしてそれが起こるのは200年も先ではなく,今現在の学生である皆さんが働いている間に起こるでしょう.皆さんはひょっとしたら20年後,いや10年後には中国やインドの労働者と仕事を奪い合っているかもしれません.
 しかし,そこで皆さんは競争に勝ち抜くだけの努力をしているのだろうか,と思うと陰惨たる気持ちになります….

2007年11月5日月曜日

経済学Ⅰ 第7回

 今日は金融の続きです.それにしても今日はみんな集中して聴いていましたね.やはり中間テストのパワーは素晴らしい.改めて有効性を実感しました.

【授業の内容】
 前回は貨幣とは何かを説明しました.今回は貨幣の供給量(マネーサプライ)はマクロ経済学の世界においてどのような役割を果たしているのか少し説明しました.
 マクロ経済学の世界におけるプレーヤーはこれまでは4人(家計,企業,政府,日銀)でしたが,今回から銀行(市中銀行)が登場しました.市中銀行の機能は金融仲介,まさにいろんな仲介役をしてくれます.徳島銀行や阿波銀行のような地方銀行や,みずほ銀行や三井住友銀行のような都市銀行もすべて市中銀行です.
 金融仲介機能の例として間接金融と直接金融の違いを説明しました.我々が銀行に預金すると,そのお金は銀行を通じて企業に貸し出される場合があります.つまり銀行が仲介役となり,家計からお金を集め,お金が不足している企業に貸しています.
 次に話の流れは途絶えてしまいますが,今後の話を進める上で必要な知識である債券(国債や社債)について説明しました.授業では国債を例に取り,国債の具体的なイメージを伝えました.現在では国債は個人が購入することもできます.銀行預金の金利は低いが,株はリスクがあるから怖い,という人は国債を買っても良いかも知れませんね.(ただし国債を買う際には手数料がかかります)
 これでようやくマクロ経済学の世界における貨幣の役割,貨幣の需要と供給について説明できます.貨幣の需要は取引需要投機的需要に分けることができます.それぞれどんな場合に貨幣需要が高まるのか,下がるのか理解していますか?
 次に貨幣の供給方法ですが,これは3つあります.いずれも貨幣を供給(市場に流す)のは中央銀行である日銀の役割です.日銀は市場に流通する貨幣の量が少ないと思えばマネーサプライの元栓を緩めてお金を流します(金融緩和).逆にだぶついていると思えば元栓を閉めます(金融引き締め).
 さてその具体的方法ですが,今日は1つ目の公定歩合しか説明できませんでした.公定歩合とは市中銀行が中央銀行とお金を貸し借りする際の金利でした.公定歩合が上がると(下がると),市中銀行は中央銀行からお金を借りにくくなる(借りやすくなる)のは確認した通りですね.
 来週は残る2つから説明していきます.

重要なお知らせ
 授業で告知した通り,11月26日に中間テストを行います.成績に占めるウェイトは高くありませんが(2~3割ぐらい),受けなかった場合は単位を放棄したものとみなします.範囲は金融の終わりまでです.

2007年11月1日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第7回

 今日は前回に比べそんなに難しくないからか?みんなもお疲れでしたね.そんな日もあるでしょう.

【授業の内容】
 独占市場については今日でお終いです.今日は少数の企業が市場を支配する寡占と,競争的な市場であるが差別化により独占に近い状況となる独占的競争の2つを説明しました.

寡占
 寡占とは,類似した財を少数の企業だけで売っている状況のことです.具体的にはビール業界をイメージしてみるとわかりやすいと思います.ビールはどの企業も似たような価格設定をしていますが,多くの消費者はビールの味の違いがあまり違いがわからないと思います.ですから,普通の消費者は同じような味なら安いビールを選びます.
 そのため,あるビールメーカー(K社とする)が1社だけ値上げしても,ライバル企業たちは値上げには追随しない可能性が高いでしょう.ライバルが値上げをしないので,K社のビールだけが高い価格となります.そのためK社のビールの需要は大幅に下がります.
 ではK社が値下げをするとK社のビールに対する需要が激増してK社は大儲けか?というと,そんなに甘くはありません.値上げには追随しなかったライバルたちも値下げには敏感に対応します.なぜならビール市場全体の需要をK社に奪われてしまっては大変だからです.そのためK社が値下げをするとライバルたちも同様に値下げをします.結果としてK社はせっかく値下げをしたのにライバルも値下げをしたので,あまり需要は増えません.
 このように寡占市場においては,1社の値上げと値下げに対してライバル企業の行動は非対称的です.そのためK社の需要曲線は現在の価格を境として屈折したものになってしまいます.需要が屈折するため,当然ながら限界収入の形も複雑な形をすることになります.この辺はノートを確認しましょう.

独占的競争
 独占的競争とは売り手がたくさんいる競争的な市場です.ただし,競争的な市場では利潤が出ないので,企業はあの手この手を使って利潤を増やそうとします.その1つが差別化です.既存の財とは少し違った特徴をもたせることで,一時的に独占に近い状況を作り出すことができます.独占の場合,企業は(完全競争市場で決まる価格よりも高い)独占価格により利潤を得られます.
 しかし,完全独占市場とは異なり,この市場では新規参入が可能なので,ある企業がせっかく他社とは異なる特徴を持つ財を生産したとしても,すぐにライバルたちが模倣品を作ってしまいます.
 この辺はファッション業界によく見られる現象だと思うのですが,残念ながら僕はファッションには非常に疎いもので具体例が思い浮かびません….毎年,毎年ファッション業界で「今シーズンの流行の色は…」とか「今年のセーターは…」とか流行り廃りが激しい原因は,無理矢理にでも流行を作り出さないと完全競争市場になってしまうため利潤が出ないからだと思います.
 というわけで独占的競争という状況の下では短期的には利潤を出すことができるのですが,長期的には利潤はなくなってしまいます.

重要なお知らせ
 講義ではきっちりと日にちを決めていませんでしたが,11月29日に中間テストをします.範囲はゲーム理論と独占市場,つまり今日の範囲までです.
 うち1問は完全独占に関するもので,今日の講義の最後に板書した問題の数値を換えて出します.わからない場合は月曜5限に全学共通教育センターまでどうぞ.答えは教えられませんが,問題を解く過程のヒントは説明します.

2007年10月31日水曜日

経済数学入門 第7回

 今日は3次関数のグラフを描きました.基本的には2次関数と変わりないですよね.計算はめんどくさいかもしれませんが.

【授業の内容】
 前回の内容をさらっと復習した後,3次関数の特徴を説明しました.基本的にはN字型か逆N字型になります.
 3次曲線を描く場合の手順は次の通り.
①極値を探す
 極値の傾きは0となっているので,傾きが0となっている点を探します.「傾きと聞いたら微分」でしたよね.ですので元の関数を微分して0と置きます.すると極値のx座標が出てきます.
②極値を探す(つづき)
 x座標がわかれば,そこでのy座標も求めましょう.①で得られたxを元の関数に代入すれば出てきます.
③増減表を書く
 慣れてくれば増減表を書かなくても曲線を描くことはできますが,最初のうちはめんどくさくても書きましょう.
④グラフを描く
 増減表でだいたいのイメージを得られたら,あとは滑らかな曲線に仕上げましょう.

重要なお知らせ
Ⅰ.第5回課題の提出期限は来週の講義までです.期限を過ぎたら受け付けません.

Ⅱ.ミニテストは11月21日を予定しています.たぶん30分ぐらいです.成績にはそれほど響きませんが,60点未満の人は全学共通教育センターへとお誘いします.こちらで過去の課題をきっちりとやりましょう.

【それほど重要でないお知らせ】
 第5回課題の解答をアップしました.こちらで確認して下さい.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/filedl.html

2007年10月30日火曜日

基礎総合演習B 第7回

 今日は過去のチャートの動きをみて,「そこで何が起きたのか?」を推測してもらいました.

【授業の内容】
 題材にしたのは雪印乳業㈱-2262-の過去1年間の株価です.(下図はヤフーファイナンスより http://tchart.yahoo.co.jp/c/1y/2/2262.t.gif

 1人ずつ答えてもらいましたが,みんなの予習で判明したのは値動きの4割ぐらいでしょうか.まぁまぁ良い線はいってると思います.出てきたのは,新ブランド発表,新商品の投入,決算発表,不祥事,新CMなどの要因でした.

 しかしそれらだけでは①2006年末から2007年3月にかけての株価上昇と,②2007年7月から9月にかけての株価下落が説明できません.そこで改めて①と②の原因を探ってもらいました.

 各チームが考えた原因は次の通り.
①2006年末から2007年3月にかけての株価上昇
・海外のチーズの値上がり
・日本経済全体の好調

②2007年7月から9月にかけての株価下落
 こちらはどのチームも穀物価格の上昇が主たる原因と考え,さらに穀物価格上昇の原因を考えてくれました.
・集中豪雨や旱魃といった異常気象
・日本の酪農についての制度改革
・円安
・バイオエタノール需要の高まり
・BRICsの成長による穀物需要の高まり

 ②については特に言うことはありません.バイオエタノールまで出てきたので僕としても満足できる答えでした.

 ①については日本経済全体の好調さが主たる原因でしょうね.そこで僕が用意しておいたグラフを見てみました..(こちらもヤフーファイナンスより http://tchart.yahoo.co.jp/c/1y/9/998407.o.gif
 雪印の値動きに日経平均株価の値動きをかぶせてみると,かなりの部分で一致した動きを示すことがわかります.①の値上がりは雪印のニュースを見てもそれらしいものがなく謎でしたが,おそらく日経平均自体に引っ張られたんでしょうね.
 というわけで今日は株価の謎解きをしてもらいましたが,全員集まればかなりしっかりした答えはでます.しかし,将来的には1人1人がちゃんと答えられるようになって欲しいものです.復習派の人もちゃんと予習しましょう….
【課題】
 次回はチームマネータイガーが自分たちの保有する株式のうち1つの銘柄の値動きについて解説してもらいます.また以前のペナルティーであるテクニカル分析の説明も忘れずに.

経済学A 第7回

 前回の為替に関連して,今日は貿易について説明しました.貿易と言ってももちろん実務ではなく,理論的な話が中心です.

【授業の内容】
 今日の課題は「なぜ貿易をするのか?」,「貿易はゼロサムゲームか?」の答えを理解することです.
 まずグローバル化と反グローバル運動から始めました.グローバル化の流れはますます速くなっているように感じます.
 前世紀には急速にモノのグローバル化が進みました.いまや我々は国産品だけで生活することは不可能と言って良いでしょう.食品は高いお金を出せばあるでしょうが,純粋な意味で国産の服なんてどれだけあるでしょうか?ましてやパソコンや携帯なんて海外で生産された部品の固まりです.前世紀がモノ(あるいはヒト)のグローバル化の時代であったのに対して,今世紀はサービスのグローバル化が進むと予想する人もいます.(まぁこの話はそのうち講義で)
 というわけで,我々の生活は,時間を戻してグローバル化以前に戻ることは不可能です.しかし,世界にはグローバル化の流れに反対している人がいます.その人たちは何を目指してデモを行っているのでしょうか…?グローバル化を止めると何が良くなるのでしょうか…?

 次に経済学が考える「良い変化」の1つの指標としてパレート改善という考え方を提示しました.一言で言えば,「他の人を不幸せにすることなく誰かが幸せになること」がパレート改善です.例えば皆さんが授業中に寝ると皆さんは幸せかもしれませんが,僕は悲しいのでパレート改善にはなりません.しかし僕に気づかれずに寝ることはパレート改善かもしれません.

 さて,ようやく本題の「絶対優位」と「比較優位」について説明します.
 講義ではまず両国にそれぞれ絶対優位となる商品があるケースと,ある国にだけ絶対優位があり,もう一方の国には比較優位しかないケースの2つを説明しました.
 それぞれが絶対優位を持つ場合は(予想通り?),貿易により両国とも幸せになれました.比較優位しかない場合は「貿易する意味があるのだろうか?」と思った人もいるかもしれませんが,(予想に反して)両国とも幸せになれました.つまり貿易は一国が勝ち,相手国は負けるようなゼロサムゲームではなく,両国とも幸せになる可能性を持つプラスサムゲームなのです.

 後半は,ではなぜ貿易(やグローバル化)に反対する人がいるのか考えてみました.理論上は比較優位のある商品は生産量を増やし,比較優位のない(比較劣位にある)商品の生産は減少することがわかりましたが,生産の減少は現実社会で言えば企業の倒産や,従業員の解雇にあたるはずです.
 そのため,歴史的には多くの国が程度の差こそあれ,関税や数量制限と言った保護貿易を採ってきました.ただし,関税や数量制限により貿易を抑制する動きは徐々に力を弱めつつあります.
 最後に自由な貿易を促進する協定を紹介しました.FTA(日本政府はEPAという言葉の方が好きなようですが)はニュースでもよく聞きますね.

【アンケート結果の報告】
 授業の評価はこちらが予想した通りなので特に言うことはありません.講義で取りあげて欲しいテーマですが,回答があったのは次の3つです.
・成長と景気
・経済史
・少子化
 このうち成長と景気,少子化は昨年以前も講義したことがあるので問題なくやれると思います.しかし経済史は恥ずかしながら,経済学の中で僕がもっとも苦手とする分野ですので,すぐにはできません….講義の最後辺り(年明けぐらい)までに準備しておこうと思います.

 その他の自由記述として「出席を毎回採って欲しい」というのもありましたが,僕はあんまり気乗りがしません.なぜなら現在でも出席することが目的となっている人が少なくないからです.「じゃあ真面目に出席してるのがバカらしいじゃないか!」と思うかも知れませんが,短期的には,欠席してる人はまず間違いなく単位を取れないから出席する意味はあると思います.他の講義は知りませんが,僕はテストの結果が悪ければちゃんと単位を落としますので.さらに長期的な視点で言えば,経済学の知識を得ることはあなたにとって有益だと思います.

2007年10月29日月曜日

経済学Ⅰ 第6回

 今日から金融の話です.しばらくの間,メインとなるプレーヤーは中央銀行(日本銀行)です.今回は金融の最初の一歩として,「お金とは何か?」を考えました.

【授業の内容】
 「お金とは何か?」と言われても「お金はお金だろ」と思うかも知れませんが,皆さんが考えるお金とはお札や硬貨のことですよね.しかしこれらは経済学で考えるお金のほんの1割程度にしか過ぎません.むしろそれ以外の何かが圧倒的に多いのです.
 さて,その答えを出す前に,まずは「貨幣はなぜ必要なのか?」,「貨幣の誕生と役割」,「貨幣はなぜ価値を持つのか?」などについて説明してきました.特に「貨幣がなぜ価値を持つのか?」に対する答えとして信用という言葉を用いました.この言葉は今後も登場します.
 さて,お金とは何か?つまりお金の定義ですが,絶対的な定義はありません.しかし,多くの人が「まぁこれをお金としておくか」と認める妥協点があります.それがM2+CDと呼ばれるものです.現金通貨はマネタリー・ベースと呼ばれ,もっとも厳密な意味でのお金ですが,普通預金や定期預金など,現金通貨ほど「お金らしさ」はないものもお金として認めています.
 定義によってお金の量(マネーサプライ)は異なりますが,いずれにせよ貨幣を特徴付けるものは流動性である,と説明しました.

 来週は日本銀行がこのマネーサプライを操ってどのように我々の生活に影響を与えるかを見ていきます.

2007年10月25日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第6回

 今回は後半の山場とも言える複占です.「半分ぐらいはついてきて欲しいなぁ~」と随分悲観的に臨んだ講義だったのですが,嬉しいことにほとんどの人が最期までついてきてくれた様子でした.5限という時間帯のハンデを考えれば大成功です!良かった良かった.

【授業の内容】
 さて,その内容ですが,前回が1社のみが独占する完全独占であったのに対して,今回は2社が市場を独占する複占です.このような状況でお互いが自社の利益を最大化することを目的として生産量を決めるとどのようになるのか説明しました.

 前回との違いは,相手が存在することです.相手が生産しないのなら自分だけが高い値段で客に売りつけることができますが,ライバルがたくさん生産してしまうと値段が下がってしまうので,あまり生産するわけにいかなくなります.このようにライバルの行動が自分の利益に影響を与え,自社の行動がライバルの利益にも影響を与え合う,まさしくゲーム理論で学んだゲーム的な状況を分析しました.

 とはいえ,両者の最適な行動の指針は「限界収入=限界費用」というルールに則って行動することでした.両者の収入はライバルの生産量の影響を受けるため,限界収入を導出するには,偏微分と呼ばれる種類の微分を使うことになりました.みんな偏微分はできたようですね.

 さて,両者が「限界収入=限界費用」となるように行動すると,相手の生産量さえわかれば,自社の最適な生産量がわかるという反応関数というものが得られました.
 最後は両者の反応関数を用いてナッシュ均衡を見つけ出しました.この複占ゲームにおけるナッシュ均衡クールノー均衡,あるいはクールノー=ナッシュ均衡と呼ばれます.利得表が出てこないので一見ゲームっぽく見えませんが,考え方がナッシュ均衡である点に注意して下さい.

【課題】
 授業後に配った例題はできれば今日,遅くとも今週中にやりましょう.なぜなら解法を忘れるからです!模範解答は今週中にHPにアップしておきます.

総合政策演習D 第6回

 今回で僕の担当は終わります.SPIのスコアは後はみんなの努力次第だと思うので,自分たちでがんばって下さい.もちろん質問に来てくれれば教えますが.

【授業の内容】
 テストは松村先生の物理と僕が指定したページからの問題を半分ずつです.物理の問題については松村先生の解説プリントを読みましょう.
 僕の問題の解説は簡単に終わらせました.むしろ今日はSPIよりも,みんなの就活についてのモチベーションの方が気になったからです.うちの大学は教員も職員も結構みんなに優しい(甘い?)ので,ひょっとしたらみんなも「社会ってのはこんなもんだ」って思ってるのではないかと気になったのです.面接もあまり準備しないで受けに行ったりするのではないかと心配です….

 今日自作のチェックシートを配りました.少なくとも面接の前にこのチェックシートに書いてあることぐらいは確認しておく必要があると思います.向こう(面接する側)は非常に多くの学生を見るわけですから,あなたが「自分はどういう人間なのか説明しなくてもわかってくれるだろう」なんて態度でいたら「印象の薄い人」ぐらいで終わっちゃうのです.
 というわけで,相手のことをしっかり調べた上で,面接では何聞かれてもある程度答えることができるようにしておくことが必要でしょう.
 授業中は言うのを忘れてたけど,「面接の受け方」みたいな本を読むよりも,「学生の見抜き方」みたいに人事の人をターゲットにした本を読んだ方が役に立つかも知れません.相手の考えもわかるしね.敵を知り己を知らば百戦して危うからず,です.

 では,みなさんの健闘を祈ります.自分の目標を達成して下さい.

2007年10月24日水曜日

経済数学入門 第6回

 前回に引き続き微分です.学祭があったためか久々という感じですね.欠席がちょっと増えたのが気がかりです.

【授業の内容】
 前回は微分のやり方だけしか説明しませんでした.今日は微分の意味と,なぜ経済学で微分が多く用いられるかについて説明しました.ほんとによく使うんですよ.
 微分とは「小さく(小に)ける」ってことでしたよね.微分をすると,放物線を細かく細かく顕微鏡でのぞき込んだように傾きを見ることができます.今日は何度も「微分=傾き」,「傾き=微分」と繰り返しました.今後も傾きが必要になったら微分を思い出してあげましょう.

 なぜ経済学は微分がよく用いられるか?というと,経済学は効率性を追求する学問でもあります.
「人が最も幸せになるためには?」
「家族みんながお腹が一杯になって,かつその支出を最も少なくするには?
企業が最も黒字を増やすためには?」
「工場で自動車を100台生産するときに最も費用を少なくするには?」
などなど,最も大きく(最大値),最も小さく(最小値)を求める問題を解かねばなりません.

 最大値・最小値を求めるためには,微分の知識が欠かせません.例えば2次関数の最大値や最小値となる点では放物線の傾きが0になると言う特徴があります.
 この特徴を使って,微分したもの(=傾き)を0と置けば,頂点や底が見つかるからです.今日も頂点を求める問題をみんなにやってもらいましたよね.
 みんな2次関数の放物線は描けるようになったと思いますが,来週はもう少しだけランクアップして3次関数の放物線も描いてみましょう.やり方はあんまり変わりません.そして,高校では習わなかった偏微分という,ちょっと変わった微分も説明します.サボったら確実にわからないので,ちゃんと出席しましょう.

【課題】
 第5回の課題(微分1)を来週提出すること.

お願い
 授業のやり方についての意見を引き続き募集しています.ささやかなお礼もしますよ.このブログに書き込んで下さい.

【アンケート結果の報告】
 不満&自由記述の意見は次の通り
・来週からきつそう
 →そんなことないですよ.今週の内容がわかっていれば問題ありません!
・最初の方がわかりづらい
 →(しにくいとは思うけど)できれば授業中に言ってくれれば説明しますよ.あるいは僕が回っている時に聞いて下さい.遠慮してはいけません.
・問題集を買おうと思うのだけどオススメは?
 →一番良い問題集は高校時代の教科書です.教科書っていうのは振り返ってみれば実にわかりやすくできています(ほんとに).もしくは全学共通教育センターにはいくつか問題集があります.ぜひ来てみて下さい.
・難しい問題の解説を増やして欲しい
 →これも僕が「もっと解説が必要ですか?」と質問したときに,少しアクションしてくれれば・・・.声を出しにくかったら,こっそり手を挙げたりしてみて下さい.
・テストの問題はプリントから出るのか?
 →まったく同じ(数字まで一緒)という問題は出しませんが,基本的には数字を変えるぐらいです.課題がちゃんと解けるようになって下さい.
・時間が余るので次のプリントも配って欲しい
 →次のプリントを配ると収拾が取れなくなりそうなので,その回のレベルを上げた問題を用意するかもしれません(僕に時間的余裕があれば).
・眠気に負けて寝てしまった
 →まぁ,4限だからたまにはそういうこともあるでしょう.
・このままの授業形式で良い
 →教え合ってる人もいれば,まったくそうでない人もいるからなぁ.難しいですね….
・計算を間違えるな
・ケアレスミスが多い
 →毎度すみません.小学校の時から同じことを言われている気がします….でも前より減ったと思いませんか?

2007年10月23日火曜日

基礎総合演習B 第6回

 今日は諸事情により株についての質問の回になりました.演習なのであんまり講義っぽい授業はしたくないところです.

【授業の内容】
 まずはテクニカル分析について発表してもらいました.自身でもわかっていたと思いますが,準備不足だったようです.再来週にもう一度発表してもらうことになりました.
 続いて,前回の流れにより,みんなの質問に僕が答えることになりました.専門的な質問もあったし,本質的な質問もあったし,なかなか良かったかも知れません.しかし,みんなちゃんと話を聴いていたのかな?PERPBRについてちゃんと理解しましたか?

【課題】
 来週はみんなが選んだ雪印乳業について,過去1年の値動きの理由を探りましょう.
 プリントは掲示板のところに置いておきます.

経済学A 第6回

 今日は為替について学びました.為替が生活と関わる例として外貨預金について説明しました.

【授業の内容】
 今日はまず外貨預金の広告を見てもらいました.ちなみにこちらのウェブサイトを例に用いました.(みずほ銀行)http://www.mizuhobank.co.jp/saving/campaign/gaika_special.html
 ずいぶん魅力的な金利ですが,果たして実際に儲かるのか検証してみました.
 まずは,為替について混乱しやすい円高・円安について考えてみました.円を中心に考えるとわかりにくいですが,1ドル札という商品を買うために何円かかるのか,というように考えてみると,1ドル札の値上げ=円安,1ドル札の値下げ=円高,であると理解できたはずです.
 続いて,為替の変動が我々の生活,そして企業にとってどのようなメリット,デメリットをもたらすのか,場合分けをしました.注意して見てみると,輸入品の値段は為替と連動していることが多いようです.
 さらに為替レートはどうやって決まるのか,についても簡単に説明しました.詳しく理解するためにはもう少し金融についての知識が必要になります.
 ここまで勉強してようやく外貨預金について実際の数値例を説明しました.日本はいまだに低金利なので,外貨預金の金利には目がくらみますね.しかし,外貨預金は高い金利というメリットだけでなく,リスクというデメリットも併せ持っています.また手数料もかかるので,思ったほど儲かるわけではなさそうです.その他にも,預金保険制度の対象外であること,利子所得への課税など注意する点があります.詳しくは先ほどのみずほ銀行のウェブサイトを見てみましょう.
 最後に3つの為替制度を紹介しました.みんな変動相場制が当たり前だと思っていたかも知れませんが,そうでない国の方が多いんですね.

2007年10月17日水曜日

経済数学入門 第5回

 今日は前回の残りである対数を説明した後,少しだけ微分に入りました.個人的にはこの講義が終われば学祭明けまで休みなので嬉しいです.

【授業の内容】
 今回は指数でしたが,前回の指数をきちっと理解していれば,それほど難しくないはずです.見慣れない形こそ出てきますが,そんなにややこしい話ではありませんね.
 ポイントは前回と同様に,「公式にない操作を勝手にやってはいけない!」に尽きます.なんとなく操作すると間違えます.課題で確認しましょう.
 続いてわずかな時間でしたが微分に入りました.といっても,「微分とは何か?」の説明は来週にして,今回はとにかく「微分というのは難しくない」ということを確認してもらいました.指数にも慣れてきただろうし,全員できるようになったのではないですか?授業中も言いましたが,微分は非常に重要です!微分ができなかったら経済学の単位は取れない,ぐらいに思っても良いかもしれません.そんなに難しいものではないから,とにかく問題をこなして慣れましょう.来週は必ず出て下さい.出席も取るし,課題も出します.

 今回は僕もほとんど計算ミスがなかったので一安心です.しかし,少しうるさいのが気がかりです.今度はほんまに出て行ってもらいますよ.

【お知らせ】
 前回の課題の解答をアップしておきました.早めに確認しておきましょう.

2007年10月16日火曜日

基礎総合演習 第5回

 今日は携帯業界の株価予測を題材に討論してもらおうと思ったのですが,あまり上手くいきませんでした.

【授業の内容】
 各チームがそれぞれの企業について調べてきたのは良いのですが,株価に直接関係あるような情報があまり聞かれませんでした.
 みんな(?)からは,「株について何も知らないのだから,何を調べて良いかもわからない」という不満が出ましたが,僕はそうは思いません.僕はみなさんが真剣に自分の頭を使えば,そこらへんのテキストに書いてあることぐらい十分に思いつくと思っていましたし,現在でもそう思っています.
 むしろ問題はこれまで勉強したことを利用していないことであり,自分で考えようという意欲の問題だと思います.

 いずれにせよ,みんなから不満を聞くことができたのは良いことです.演習は皆さんが作り上げるものなので,今後もどんどん意見をぶつけて下さい.

【課題】
 みんなは株式についての疑問をメモしてくること.そしてFさんは日経平均とは何かを調べてくること.

経済学A 第5回

 今日はリスクとは何か?という題で株式を取りあげました.本来,株式というのは経済学の入門で取りあげなければならないか,と言われれば要らないような気もしますが,比較的関心を持っている学生が多いので取りあげました.

【授業の内容】
 いきなり株式の話をする前に,準備運動として,いくつかの考え方を説明しました.それが,利子の計算,現在(割引)価値,期待値,リスクです.そんなもの株式の入門書には書いていない,という人もいるかもしれませんが,きちんとした経済学からのアプローチを採るなら,どれも必ず理解しておくべき事柄だと思います(個人的には).
 利子の計算(複利計算)は,もちろん僕が説明せずとも多くの人がわかっているとは思いますが,現在価値の考え方は普段意識しませんよね.現在のお金が将来いくらになるかという利子の計算とは反対に,将来のお金を今の価値に直す考え方です.これがわかってないとファンダメンタル分析を正確に説明することはできません.
 続いて期待値の計算ですが,きちんとできましたか?これを使えば実際に売っている宝くじの期待値も計算できますね.株だけではなく,なんらかの選択肢を選ぶ際には誰しも期待値と次に出てくるリスクを無意識のうちに考えていると思いますが,概念をきっちりと確認しました.
 ようやく株式の話ですが,ファンダメンタル分析とテクニカル分析という,それぞれ株式の本には良く出てくる分析方法を説明しました.ただし僕はテクニカル分析の有効性には懐疑的で,少なくとも我々アマチュアの個人投資家は重視するべきではないと思っていますが,皆さんはいかがですか?

2007年10月15日月曜日

レポート作成マニュアルについて

 レポート作成マニュアルのご意見,ご感想などありましたら,ぜひここに書き込んで下さい.今後のバージョンアップに活かしたいと思います.
 マニュアルは,よりオープンにWiki形式にした方が良いのかも知れませんが,時間的な制約と私の能力的な問題ともありますので,とりあえずはこの形で行きたいと思います.
 ご意見,ご感想,お待ちしています!

経済学Ⅰ 第5回

 今日は失業について説明しました.それにしても3割ぐらいの人が授業の最後に出した問題に答えられていませんでした.言うまでもなく普通に話を聴いていたらできる問題のはずなので,間違っている場合は欠席とみなします.前から言ってるように,僕の講義の評価は出席を重視しません.出席してても話を聴かないのならムダなので,家でゆっくり寝ていた方が良いと思います.
 出席は重視しないということは,期末テストの点数で成績が決まるということです.もちろん成績が悪ければ単位は取れません.そういう人は来年がんばって下さい.

【授業の内容】
 失業率のニュースはテレビでもしばしば見ることがあります.しかし,ニュースに出てくる完全失業率とはどういう意味なのでしょうか?そして失業者とはどんな人なのでしょう?例えば皆さん学生は失業者なのか?ニートは?フリーターは?
 というわけで,まず失業者の定義,並びに完全失業率の説明をしました.また現在の年齢階層別の失業率も紹介しました.
 続いて,「なぜ失業が発生するのか」について,古典派,ケインズ派それぞれの考えを説明しました.古典派はここでも市場(労働市場)を信頼しているんですね.それに対して,ケインズ派は市場の失敗,ここでは賃金が下がりにくいため(賃金の下方硬直性),失業が発生したままになるようです.
 最後に,この賃金の下方硬直性の原因と思われる4つの仮説を紹介しました.
・労働組合の存在
・相対賃金仮説
・効率賃金仮説
・インサイダー・アウトサイダー仮説
 それぞれの内容は理解できているでしょうか?

【アンケート結果の報告】
 問題が解けなかった人は,やはり授業態度が悪いと自分で認識しているようですね.ちゃんと聞きましょう.
 講義に対する不満・意見としては以下のような意見がありました.
・質問に答えられない
→難しいということでしょうか?それとも考える時間が短いのかな?また詳しく書いて下さい.
・次の授業の場所が遠いので早めに終わって欲しい
→なるほど,今後は早めに終わるようにしようかな.気をつけます.
・もう遅刻・欠席をしない
→ぜひそうしましょう.遅刻したら,きっと内容はわかりませんからね.

2007年10月11日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第5回

 前回に引き続き完全独占です.前回の説明に僕自身が不満だったので,改めて違う方法で説明しました.同じことをやってたのですが,ずいぶんイメージは違うのではないでしょうか?理解してくれたのなら良いのですが.

【授業の内容】
 今回はあえて前期の復習から始めました.生産者理論を忘れてる人がわりといるのでは?と思ったからです.
 独占の問題を前回は数式で「利潤関数を最大化すること」で解いていきましたが,今回はグラフを見て,「限界収入と限界費用の変化から利潤を最大化すること」を説明しました.実はどちらも同じことをやってるんですが,皆さんにとってはどっちがわかりやすかったのでしょうか?
 とりあえずこれで,完全競争市場と完全独占市場との比較ができました.どちらの価格が高くて,どちらの生産量が多いんでしたっけ?
 さらに完全競争市場と完全独占市場を比較しながら,ラーナーの独占度を説明しました.この辺は集中して聴いてたみたいだからわかったよね.

【課題】
 次回は占をやります.ついにゲーム理論で学んだナッシュ均衡の威力が発揮される時が来ました.というわけで,ナッシュ均衡とはどのような概念だったか,必ず確認しておきましょう.

2007年10月10日水曜日

経済学Ⅰ 第4回

 今日で財政政策はひとまず終わりです.それにしても今日は欠席が多かったです!このまま行くとマズいので中間テストでもやろうかな?

【授業の内容】
 まずは前回の復習としてまたも図を描きました.前回は需要の構成要素のうち,消費のみを説明したので,今日は残りの要素について解説しました.
投資
 これは我々は投資と聞くと「財産を株に投資だ!」というイメージを持ってしまいますが,ここでの投資とは主に企業の活動です.投資には「民間企業設備投資(以下,設備投資)」,「民間在庫品増加」,「民間住宅投資」があります.今回は特に設備投資が何によって決まるのかを説明しました.
 企業が設備投資をする際には,その投資を行うことで将来得られる利益の収益率と,投資するための資金を調達する際の利子率とのバランスで決まるんでしたよね.つまり,利子率が高ければ企業は投資を控えるし,利子率が低くなれば活発に投資を行うようになります.
政府支出
 政府支出を行う目的は様々でした.経済成長(景気回復)を目的とする場合や,所得の再分配,あるいは公共財の供給そのものが目的である場合もあるでしょう.ケインズ派経済学に則れば,政府支出を増やすと乗数効果により景気が良くなるようですが,さて,いくらでもお金をつかえばつかうほど良いんでしょうかね?
輸出(と輸入)
 輸出を決めるものとしては,まず海外の景気が関係ありそうです.景気が良い国は日本から車や薄型テレビなどをたくさん買ってくれそうですもんね.逆に景気が悪く失業率が高い国はあんまり買ってくれない気がしますね.
 もう1つの要因は為替ですが,あまり深くは説明しませんでした.今後の講義で説明することにします.
 輸入については輸出の裏返しですから,輸出から想像できそうですね.

 最後に,乗数効果の計算を少しやりました.限界消費性向がいくらであれば,政府が支出を何億円増加させると,どれだけGDPが増えるのか計算しました.

 このあたりは非常に大事な基礎の部分です.必ず理解しましょう!

2007年10月9日火曜日

基礎総合演習B 第4回

 今日はテクニカル分析について,を予定していたんですが,あんまり議論は進展しませんでした.

【授業の内容】
 テクニカル分析の発表チームはこの演習では初めての発表とはいえ,もう少し準備をしてきて欲しかったです.僕としては残念です.
 そのため,テーマを変えて次回の授業で何について調べるか相談しました.結果,携帯(キャリア)業界を題材に,各チームでどの企業の株がもっとも値上がりに期待できるか予測してもらうことになりました.
 以前にも言いましたが,「なぜそう思うか?」という問いに対して「本に書いてあるから」というのは反論になっていません.自分の頭で考える,ということを意識して下さい.

【課題】
 各チームが担当する企業がなぜ値上がりすると思うか,その論拠を発表してもらいます.また,ライバルチームの発表については反論を用意しておいて下さい.各チームの発表時間は10分です.
 株の本を買っていない人は必ず次回までに買いましょう.

経済学A 第4回

 今日は名目値と実質値と,それを説明のために物価とは何かを説明しました.

【授業の内容】
 最近,小麦粉,ガソリン,マクドナルドなど様々な商品の値上げがニュースになっています.しばらく聞かなかったインフレという言葉も,たまに聞くようになりました.インフレ(デフレ)とは物価の持続的な上昇(下落)のことですが,さて物価とは何でしょうか?
 授業では物価の指標として,CPI(消費者物価指数),企業物価指数,GDPデフレータを紹介し,そのうちCPIの簡単な計算を行いました.
 続いて物価の違いを,時系列と横断的に具体的なデータを例に説明しました.みなさんはあまり物価の時系列での変動を実感できない世代かも知れませんね.その後,物価の変動要因についても少し紹介しました.

 後半は(といっても30分足らずですが),名目値と実質値の違いを2つの例で説明しました.1つ目は名目所得と実質所得,2つ目は名目GDPと実質GDPでした.我々は普段,名目所得に目を奪われがちですが,本当の豊かさは実質所得が示しています.
 それにしてもロンドンや香港の家賃の高さは異常ですね・・・.

2007年10月4日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第4回

 今日は独占市場についてだったのですが,後半の説明があまり良くなかったなぁと反省しています.また来週改めて説明することにします.

【授業の内容】
 独占市場の全体像(種類や特徴)を説明した後,独占市場の中でも企業が1社のみのケースである完全独占市場の説明をしました.
 前期で学んだ完全競争市場とは異なり,完全独占市場では企業が価格決定権を持っています.完全競争市場では高い価格で儲けようとしても,必ずライバルがそれより低い価格をつけるために財がまったく売れません.完全独占市場ではそもそもライバルがいないので,企業は自分で好きなように値段を付けられるというわけです.
 説明の後,実際に具体的な需要関数と費用関数のもとで利潤を最大化するような価格と生産量を計算しました.出てきた数字を完全競争市場のそれと比べてみましょう.完全独占市場では価格は高く,生産量は少なくなっていることがわかるはずです.
 もう1問,例題を説明した後,アンケートと一緒に確認のために簡単なテストをしました.僕自身の評価では今日の講義はわかりづらかったと思ったのですが,アンケートを見る限り,そんなにみんなの評価は悪くないんですよね.不思議です….ちなみに計算は多くの人ができていました.間違っていた人もほとんどが簡単な計算ミスです.少し安心しました.

【課題】
 最後に配ったプリントは公務員試験データベースの問題です.レベルで言えば,国家Ⅱ種や地方上級(県庁など)クラスでしょうか.そんなに難しくないでしょ?

2007年10月3日水曜日

経済数学入門 第4回

 今回は指数です.パッと見は簡単そうでも,意外と難しかったでしょう?課題で復習しておきましょう.

【授業の内容】
 まず前回のさっと流してしまった不等式をもう一度説明しました.不等式の示す範囲がどちら側なのか,確認しておきましょう.
 その後,指数の計算について説明しました.大事なのは指数法則に則って計算することです.雰囲気で適当に計算すると間違えます.今回は指数の最後まで終わったので,次回は対数をやりましょう.
 今日も最後にテストをやりました.ほとんどの人ができていたと思います.

【アンケート結果】
・早めに(or延長しないように)終わって欲しい
→たしかにバスの時間もあるから,今後はきっちり時間内に終わるようにします.この後は講義もないし,少々遅れても良いか,なんて思っていました.
・パソコンが家にない,苦手だ
→皆さんにとって将来パソコンは欠かせないものになります.面倒でも使いこなせるようになりましょう.家になくても自習室などにたくさんパソコンがあります.
・難しい
→確かに指数の計算は直感的に馴染みにくいのかもしれません.ルールさえ覚えれば後は早いんですけどね.課題をきっちりやって慣れて下さい.あるいは個別に聞きに来て下さい.

【課題】
 今回配った課題は提出する必要はありませんが,忘れる前に必ずやっておきましょう.

基礎総合演習B 第3回

 今回は実際に野村のバーチャル株式投資倶楽部にエントリーして,株を購入するところまでやってみました.

【授業の内容】
 各チームで相談して銘柄を選んだのですが,たまたま2チーム(マネータイガーとピーコ)は選んだ銘柄3つが同じでした.しかもその銘柄を選んだ理由が違うというのも面白いですね.この2チームは複数の株を買った(分散投資)のに対して,残るチーム(コーナー・ザ・マーケット)は一本買いのようです.しかも投資した金額が最も多いチームでもあります.
 各チームですでに個性が違うようですが,どのような結果をもたらすのでしょうか.楽しみですね.僕もみなさんに負けないようにしたいところ.
 この他,前回の課題であるボランティアについても相談しましたが,今回は見送りになりました.

【課題】
 マネータイガーはテクニカル分析を選びましたが,なぜテクニカル分析を信じたのか説明して,テクニカル分析がいかに素晴らしいか僕を含めたみんなを説得して下さい.1人5分を目安に発表してもらいます.
 残るチームはその説得に反論してもらいます.すぐに納得しないように,相手の出方も予想して下さい.

経済学A 第3回

 今回はいわゆる経済学っぽい経済学をやりました.今回の範囲はあまり身近ではないので興味が湧くかどうかわかりませんが,後々「経済学を学んだ」と言えるような最低限の知識は伝える必要があると思っています.

【授業の内容】
 というわけで,まずは「景気とは何か?」を説明しました.これぞ景気だ!というものはありませんが,実際には実質GDPの成長率(実質の意味は近いうちに説明します)や日銀短観が景気の目安として用いられることが多いようです.GDPはニュースなどでも比較的よく聞きますが,具体的にはどのようなものなのか,簡単な計算をして確認しました.ポイントは最終的に商品がいくらで売れたか,ではなく,どれだけ価値を高めることができたか(付加価値)です.
 続いて,経済と経済学の歴史をザッと紹介する過程で,古典派(新古典派)ケインズ派の考え方を対照的に紹介しました.たまたま先日,郵便局が民営化されましたが,その理論的な背景もわかったのではないでしょうか.
 最後に,ケインズ派経済学の立場から,経済の仕組みを学びました.政府支出がどうして景気対策になるのか,消費税率を上げるとどのような効果が出るのか,理解できましたか?

2007年10月1日月曜日

経済学Ⅰ 第3回

 今回はアンケートを取りませんでした.テストは毎回やっても良いのですが,アンケートは毎回やると回答の信頼性が下がる傾向にあるようなので.そのためたまにやります.

【授業の内容】
 今回の内容を大きく分けると次の3つでした.
1.3面等価の原則
2.需要の内訳
3.消費についての仮説

 前回の復習を簡単にした後,今後しばらくケインズ派の立場からマクロ経済学を説明することを伝えました.ケインズ派の立場なので,有効需要の原理,つまり需要が供給を決めるんでしたよね.需要が供給(GDP)を決め,国の中で発生した付加価値はだれかの所得になります.結果として,総支出,総供給,総所得のという3つが等しくなります(3面等価の原則).つまり,それぞれ別物ではなく,同じものを3つの面から眺めているだけなのです.
 さて,(ケインズ派では)GDPの大きさを決める需要ですが,需要は消費,投資,政府支出,輸出と輸入という5つの要素から成り立っています.この5つが変化すれば需要を通じてGDPを左右することになります.景気低迷の際に,「消費の冷え込み」や「民間消費の落ち込み」などという言葉がしばしば用いられるのはこのためです.なんと言っても消費は需要の構成要素の中でもっとも重要なのです.
 最後に,消費についての3つの仮説,「ケインズ型消費関数」,「恒常所得仮説」,「ライフサイクル仮説」について説明しました.細かい説明は省略しますが,いずれにせよ,所得の大きさが消費を決めることになりそうです.あ,限界消費性向という言葉は確認しておいて下さい.

 これら3つの説明と同時に,政府による財政政策の持つ効果についても説明しました.政府が支出を100億円増やすと,それがGDPや所得,さらには民間の消費にどのように波及していくかを説明しました.また限界消費性向の違いが財政政策の効果を左右することも確認しましたよね.

【おまけ】
 言うまでもないですが,遅刻や欠席してると内容がわからなくなるし,当然ながらテストも解けませんよ.

2007年9月28日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第3回

 今回もゲーム理論でした.反応がないので割とペースが速かったかもしれません.課題を出し忘れた人は次回必ず持ってきましょう.来週忘れたら知りません.

【授業の内容】
 まず,ミニ・マックス戦略というゲームの解き方を説明しました.それぞれの戦略を選んだ場合に起こる最悪な事態を想定し,その中で一番マシな戦略を選ぶという随分悲観的な戦略でした.被害を最小化するというのが目的であるため,前回学んだナッシュ均衡とは答え(各プレーヤーが選ぶ戦略)が異なる場合があります.
 次に,混合戦略を用いたナッシュ均衡を説明しました.これまでのゲームではプレーヤーは必ずどれか1つの戦略を選ぶという,純粋戦略という条件の下で話を進めてきましたが,ここでは各戦略の選択に確率を導入して最適な戦略を考えます.問題の解き方は,各戦略の期待値を計算し,ある戦略がもっとも望ましいのはどういう条件の場合かを明らかにします.それにより,相手の戦略に対する最適反応が得られます.お互いの最適反応が交差するところが答えとなりますが,この考え方は正に前回学んだナッシュ均衡そのものです.ナッシュ均衡という考え方は今後,複占を学ぶ上で重要ですので,必ず確認しておきましょう.
 最後に,時間は短くなりましたが,逐次手番ゲームも説明しました.逐次手番ゲームとはトランプのババ抜きや麻雀のように,各プレイヤーが順に行動するゲームです.1万円配分ゲームを通じて逐次手番ゲームではどのように行動すべきか考えてもらいました.答えとしては,最後に戦略を選ぶプレーヤーの行動をまず予想し,その直前のプレーヤーの行動を分析し,と後ろから順に予想していきます.すると最初に行動するプレーヤーの最適な戦略も見えてきます.このような解き方を後ろ向き帰納法(Backward Induction)と呼びます.相手に対する報復,それを予想した行動,というのは現実の企業活動でもありえそうですね.

【課題】
 テキストの独占の部分を読んでくること.ちなみに前回の以下の課題はまだ誰も提出していません.引き続き募集中です.

「支配される戦略の逐次消去」もしくは「ナッシュ均衡」で解が出せる問題を書いて,答えも出して下さい.きちんとストーリーをつけて下さいね.

2007年9月27日木曜日

総合政策演習D 第3回

 今回も同じくテスト&解説です.ただ,範囲は前回と同じです.今回はみんなの予習時間を記入してもらったので,いろいろとデータを見てみました.
 まず,前回のテストからの点数の変化と予習時間の散布図を取ってみました(右図).これを見る限り,予習時間の長さと点数の伸びにはなんとなく相関がありそうですね.予習したのに点数が下がった人は2人だけでした.
 ただし平均点自体が前回の3.73から5.60へと伸びているので,安易に予習したら点数は上がるとは言えないかも知れません.なので,予習した人と予習していない人(無回答を含む)のグループで点数がどのように変化したか調べてみると,
予習した人
点数が上がった:85.7%
点数が変わらない0r下がった:14.3%
点数変化の平均:+2.6点
予習しなかった人(or無回答)
点数が上がった:70.6%
点数が変わらない0r下がった:29.4%
点数変化の平均:+1.4点

 どちらも点数が上がった人の方が多いようですが,予習した人の方が点数が上がった人の割合も多いし,点数の伸びも大きいようです.サンプルの数もそれほど大きくないので有意な差があるかどうかは微妙かな?まぁ,こんな難しいこと考えないでも,予習した人は自分の理解が進んだことは実感できていると思います.

 来週,再来週は松村先生の物理の講義です.僕は10月25日に復帰します.

【課題】
 10月25日はテキストのpp.98-133の範囲をテストします.予習すれば点数は上がるんだから,ちゃんと予習しましょう.

経済数学入門 第3回

 今日はアンケートをしました.授業で呼びかけてもなかなか反応がないので,アンケートでみんなの意見を聴こうと思ったのです.アンケートの結果は下にまとめてあります.

【授業の内容】
 今日は関数の締め括りとして,グラフの描き方を中心にやりました.関数をグラフにしたり,グラフの意味を読み取ったりすることは経済学を学ぶ上で非常に重要です.また不等式についても説明しようとしたのですが,時間がなかったために駆け足での説明になってしまいました.それほど急ぐ必要もないので来週に改めてやりたいと思っています.
 またアンケートと一緒に,ミニテストをやりました.どれぐらいの人ができるのか心配していたのですが,ほぼ全員が理解していたようなので,とりあえず一安心です.しかし,あれほど言ったのに軸の説明や原点を書き忘れている人が少なくありませんでした!テストだったら×ですよ!いずれにせよ,今回は個別の呼び出しはしませんが,自分が「あんまりわかっていない」と思っている人はぜひ全学共通教育センターに来て下さい.僕も個別の方が上手く説明できる自信はあります.
 次週は今回不十分だった不等式をやります.時間があれば指数もやります.

【アンケート結果】
 まず点数をつける部分ですが,集計結果は下記の通り.
「授業態度の自己評価」平均3.88 (5点満点)
「自分の理解度」    平均3.96(5点満点)
「講義の総合評価」   平均3.86(5点満点)
 みなさん授業内容をある程度理解してくれているようですね.安心しました.ただし記名式なのでわりと僕に対して甘くつけてくれている可能性もありますが,これまでの経験上,無記名でもあまり評価はかわらないようです.

 さて記述式の部分ですが,意見と僕の意見(矢印の部分)を列挙します.
授業に対する不満&自由意見
(スピードと分量について)
・進むのが早い(6人)
・教えるスピードがちょうど良かった
・2次不等式まで進まなかった
・プリントは2枚ぐらいがちょうど良い(2人)
→この授業のターゲットは数学が苦手な学生ですので,今後はもう少しゆっくりやりたいと思います.ただ,僕が「もっと時間が必要か?」と問いかけても,みんなまったく反応してくれないんだよなぁ・・・.僕も気をつけますので,みなさんもなるべく意見を主張して下さい.

(難易について)
・あんまり理解できなかった
・数学が苦手なので辛い
・簡単だ(3人)
・わかりやすい(2人)
・少しずつ理解できてきたので楽しい
→なるべくみんなの座席を回って理解を確認しているつもりですが,人数が多いのでどうしても1人1人をチェックできません.今回理解できなかった人は,ぜひ来週の月曜日の5限に全学共通教育センターに来て下さい.僕がいますので,今回の内容を説明します.今回の範囲があやふやなままだと後で困りますので,今のうちに不安なところをつぶしていきましょう.

(苦情)
・プリントの計算スペースが少ない
→僕もそう思いました.今後気をつけます.
・間違えすぎ(4人)
→弁解の余地もありません.今回はひどかったですね・・・.すみません.

(提案)
・復習よりも新しく習うことに時間を割くべき
→今回について言えば,確かにもっと不等式の説明をすべきでしたね.来週に改めてやります.
・プリントにページを記して欲しい
→確かにその方が説明しやすいですよね.次回からやってみます.
・解答を最後に渡して欲しい
→課題の解答だよね?下を参考に.
・課題の答えがわからない場合はどうするのか
→授業でも伝えたと思いますが,課題の解答はHPに掲載しています.答えはどうせ確認して捨てるので紙がもったいないからそうしました.エコです.
・自由席にして欲しい
・座席指定が良い
→どっちが良いんでしょうかね?僕もまだ決めかねています.もう少し考えさせて下さい.

(感想)
・数Ⅰ・Aしかやってないので,微積が不安
→積分はやらないので微分だけですが,今回の内容が理解できるならまったく心配いりません!今やってることより簡単です.
・久しぶりに数学をするので新鮮
→大学入るとなかなか数学をする機会はありませんからね.きっと脳のトレーニングにも良いですよ.

【課題】
 第3回の課題は提出しなくて構いませんが,必ずやっておきましょう.

2007年9月25日火曜日

経済学Ⅰ 第2回

 ようやく本格的な授業が始まりましたね.今回から授業終了時にアンケートと簡単なテストをやることにしました.毎回やるわけではありませんけどね.

【授業の内容】
 まず簡単に前回の復習をした後,経済学の歴史を一部分だけザッと説明しました.古典派からケインズ派,そして新古典派への流れを見てみました.それぞれの学派が台頭した経緯や,それぞれの学派の考え方を説明しました.
 古典派とケインズ派の考え方は,市場への信頼需要と供給の因果関係において対照的です.これらの違いは当然ながら政策にも差を生むことになります.
 もちろんこれで経済学の流れをすべて網羅したわけではありませんが,とりあえず経済学Ⅰを学ぶ上での知識は得られたはずです.ちなみに経済学の流れを学ぶ上では,マルクスらが唱えた社会主義経済学も欠かせないとは思いますが省略しました.
 今日の前半部分の内容で重要なキーワードは以下の通り.確認してみましょう.
【キーワード(前半)】
・神の見えざる手
・レッセ・フェール
・セイ法則
・有効需要の原理
・市場の失敗
・規制緩和と民営化

 後半は物価について説明しました.物価,物価とよく言いますが,物価とは具体的には何を意味するのでしょうか?
 授業では物価の指標として次の3つを紹介しました.
・CPI(消費者物価指数)
・企業物価指数
・GDPデフレーター
 このうち特にCPIの計算方法を説明しました.みなさんできましたか?計算でつまずいたという人は,全学共通教育センターに来て下さい(月曜5限).そこでもっとわかりやすく説明できると思います.
 授業では1970年代と現在の様々な値段を比較してみました.時間がなかったので紹介しませんでしたが,明治時代の物価についても調べていました.ちなみに夏目漱石さんが明治40年に東京朝日新聞(現在の朝日新聞)に入社したときの給料は月額200円+賞与だったそうです.同時代の大工さんの給料は月額50円だそうですから,格差社会と言われる現在よりずいぶん格差のある社会だったのかもしれませんねぇ.なお,うどんは2銭だったそうです.(100銭=1円)

 最後のアンケート&テストですが,テストは明らかに間違っている(ケインズ派と古典派を取り違えている,白紙など)人を除いてはきちんと理解している(=出席した)とみなします.そうではない人は欠席とします.「真面目に聞いていたがどうしてもわからん」という人は個別に相談して下さい.

2007年9月20日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第2回

 今日からゲーム理論です.ゲーム理論は駆け引きの分析方法であり,この後学ぶ「複占(2社による独占)」を理解する上で必要な知識です.今日の内容は,みなさんにとって経済学っぽくないように見えるかもしれませんが,経済学の重要な1分野です.

【授業の内容】
 今日は一貫して,同時手番,完備情報,非協力というルールのゲームを学びました.最初のゲームは「囚人のジレンマ」と呼ばれる有名なゲームです.お互いが合理的に行動したために,ひどい目に遭ってしまいましたね.お互いに協力できればパレート改善できるにも関わらず,利己的に利得を追求したために長い懲役をくらってしまいました.
 続いて,「囚人のジレンマ」より選択肢(戦略)が増えたゲームを,「支配される戦略の逐次消去」で解いていきました.一旦ゲームの見方を理解すれば,簡単だと思いますがいかがでしょう?
 その後,「支配される戦略の逐次消去」では答えを出せない問題を「ナッシュ均衡」という新たな概念を用いて考察しました.「ナッシュ均衡」とは何かをわかりやすく説明するのはなかなか難しいです.僕の説明に納得できない人は図書館でゲーム理論入門の本を探してみて下さい(何冊かあります).ちなみに教科書には載っていません.
 教科書には具体的な問題が少ないので,必ず授業でやった問題,課題で復習しておきましょう.またテスト直前になって「忘れた」というのはやめて下さい….
 最後に「ホテリング・ゲーム」を出したんですが,見事に答えられてしまいましたね.パッと理解できた人はゲーム理論に向いていると思います.

【参考文献】
神戸伸輔『入門ゲーム理論と情報の経済学』日本評論社
渡辺隆裕『図解雑学ゲーム理論』ナツメ社

【課題】
 今日の出欠代わりに課題を出しました.次回提出して下さい.なお裏面には,今日学んだ解法「支配される戦略の逐次消去」もしくは「ナッシュ均衡」で解が出せる問題を書いて,答えも出して下さい.きちんとストーリーをつけて下さいね.もっともおもしろいものを期末テストで利用させてもらいます.

総合政策演習D(後期) 第2回

 今回はガッカリです….すでにやったことのある範囲にも関わらず,前期よりもむしろ平均点は低そうです.夏休みの魔力のせいなのか何なのかわかりませんが.前期は結構点数の良かった人たちまでも悲惨な結果に.僕に対するイジメなのかとすら思いました.まぁ僕が悲しむのはどうでも良いんですが,このままだと春に皆さん自身が悲しむことになってしまいますよ!

【授業の内容】
 指定した範囲のテストを行い,その解説を行いました.結果が酷かったので,来週もう一度同じ範囲をテストします.こういうテストはやればやっただけ身に付くんだから,きちっとやりましょうよ.どうせやらなきゃいけないんだし.
 息抜きに「日経の優良企業ランキング」を紹介しました.参考になるかどうかは皆さん次第ですが.気になる人は図書室か自習室にある火曜日の日経を読みましょう.

【課題】
 というわけで,範囲は再度pp.66-97です.この中からランダムに8問と時事問題を2問の予定です.時事問題はわりに正解してたから,新聞は読んでいるのかな?

2007年9月19日水曜日

経済数学入門 第2回

 前回に比べ受講者数は増えていましたね.ぜひこのまま続けて下さい.数学は大事です!

【授業の内容】
 今日は学部で習う経済学でもっとも頻繁に使うこととなる2次関数を主に確認しました.見て回った限りだと,みんな意外とできてる様子なので,結構早くすすんでしまいました.とはいえ,この辺が苦手だという学生も実際にはいるはずです.授業中に質問しにくければ,全学共通教育センターを利用するなどして,必ず弱点を克服して下さい.ワンパターンだから,本気でやればすぐ慣れることができます.
 前回の課題の解答をHPから以下からダウンロードできます.確認しておきましょう.ちなみに掲載するのは今週末までです.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/filedl.html
 授業内でも伝えた通り,この授業のやり方について提案がある人は,このブログに書き込んで下さい.僕にとって役立つコメントには,お礼をします.提案以外でも感想など気軽に書き込んで下さい.みんなの反応があれば,より授業を円滑に進めることができると思います.

【課題】
 今日の課題は来週提出して下さい.今回の出欠の代わりにもします.必ずすべてを埋めろとは言いませんが,わからないところは「どこまでわかるが,どこがわからない」というのを示して下さい.

2007年9月18日火曜日

基礎総合演習B 第2回

 今日の目的は,「自分の頭で考える」と「コミュニケーション能力を養う」の2点です.一見,簡単そうに思えるかも知れませんね.

【授業の内容】
 前半は「株式について」考えました.株式についての最小限の情報だけを僕が教え,「どんな株が値上がりするのか?」は皆さんに考えてもらいました.僕の考える答えとピッタリ一致したわけではありませんが,かなり活発に意見が出ていましたね.なかなか良い所まで行っていました.
 各チームの意見を僕なりにまとめると,

チーム:コーナー・ザ・マーケット
 福祉・医療,地デジなど将来性が期待できるもの.景気にも左右される.
チーム:ピーコ
 石油,車,野菜,銅,鉄,肉,まとめると生活に必要な物と言えるでしょうか.
チーム:マネータイガー
 ダイエット食品など流行のもの.その他バイオ関係も.

 3チームのまとめとしては次の8つに注目すべきということでした.
・需要
・売上
・規模
・知名度
・流行
・信頼性(コンプライアンス)
・将来性
・利益

 さらに,みなさんに不足している知識としては,「個別の企業の情報」が挙がりました.その情報を入手するためには,日経新聞,四季報,(個別企業の)IR情報を調べてみる必要があるということでした.
 本やネットに頼らなくても,みんなで考えるとかなり答えは出てきますね.方向は決して間違っていません.社会科学系の学部で学ぶ内容は必ずしもすべてが100年後も正しいこととは限りません.皆さんは本の内容を鵜呑みにしないで,自分の頭で考え,批判精神を養って下さい.(株の本の中には本当にひどいのもあります!)

 後半は「演習でやりたいこと」について相談しました.みんなからは比較的柔らかい提案が多かったんですが,大学の演習なので,少し固いのも選択肢に入れましょう.ということで,今回は結論を出さず持ち越しですね.バーベキューもそのうちやりましょう.
 今日はみんな積極的に意見を出していて,非常に良かったです.この調子でいきましょう.

【課題】
1.次回はついにエントリーしますので,その時に買う銘柄を1つ以上選んできて下さい.
2.我々にどんなボランティア活動ができるか考えてくる.

経済学A 第2回

 今回はカネ,カネという講義でしたね.しかし,経済学は必ずしもお金だけを考える学問ではありません.今回はたまたまです.

【授業の内容】
 まず前半は,「大学への進学は合理的か?」という問題について考察しました.新しい概念として機会費用を説明しました.みなさんの大学進学を学費や生活費だけでなく,機会費用(大学に進学しなかったら受け取ったであろうお金)も含めて合理的であったか改めて計算してみたわけです.学費や生活費も高いですが,機会費用もかなり高いですよね.皆さんはそれだけの費用を払って大学で学んでいるわけです.払った費用の分だけ,キッチリと知識を身につけてもとを取りましょう.
 結論からすると,生涯所得で比べると大卒の平均と高卒の平均には大きなひらきがありますし,あくまでお金の面だけ考えれば進学は合理的でしょうね.(もちろん家庭に進学させる余裕がある場合です.金銭的な制約があれば,進学を断念せざるを得ない場合もありますからね.)また,講義から離れて僕個人の意見ですが,大学で得るもので重要なのは大卒という肩書きではなく,何を学んでも良いという自由な時間と友人だと思います.ただし,そういうのは経済学では分析対象になることは稀です.

 後半は,「どんな企業で働くと給料が高いのか?」という,生々しいテーマでした.といっても,大学の講義ですので,ランキングを見て「へー」というだけではなく,高い給料を払っている会社に共通する特徴を考えてみました.
 給料は我々が企業に労働時間を売る時の売値だと考えることもできます.そう考えれば,前回の「ダイヤモンドはなぜ高い?」を応用すれば,我々が労働時間を高く売るためには,労働力に対する供給よりも需要が高ければ良いわけです.つまり,みなさんは企業が求めているが(需要),周りの学生があまり持っていない(供給)能力を持つ人材になれば良いのです.こんなことを言うと学生はすぐ「じゃあ資格を取らなければ!」と安易に思うわけですが,実際にはそうでもないようです.
 経済産業省が発表した社会人基礎力に関する中間とりまとめによると,従業員数100人以上の企業に対するアンケートで,「採用時に重視する能力」としてもっとも回答が多かったのはコミュニケーション能力であり,資格取得は7番目でした.コミュニケーション能力に続いては,ビジネスマナー,基礎学力,積極性(外向性),責任感が並んでいます.
経済産業省 社会人基礎力に関する研究会「中間とりまとめ」報告書
http://www.meti.go.jp/press/20060208001/shakaijinkisoryoku-gaiyou-set.pdf
11ページを参照.
 学生にとっては意外かもしれせんね.敵を知り己を知らば百戦して危うからず,ですね.まずは敵(企業)のことを知りましょう.

2007年9月13日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第1回

 さて,後期ですが5限です.お互いしんどいですね.「みんな疲れてるだろうから,こっちもやりにくいよなぁ」と思っていたのですが,ちゃんと真剣に聴いてましたね.これからもよろしく.
 評価方法は前期とあまり変わりません.ミニテストの回数が増えるとは思いますが.

【授業の内容】
 今回は前期の復習と後期の全体像を示しました.前期の内容(完全競争市場)をベースとして,そこから離れると…というのが後期の内容です.今日話した内容はどれも前期話していますが,改めて全体像を聴くと理解が深まったのではないでしょうか?
 来週からゲーム理論について学びます.ゲーム理論は駆け引きについての分析です.「なぜ経済学で駆け引きを学ぶか」ですが,現実の経済では企業同士の駆け引きは良く見受けられますよね.ある会社が携帯料金を値下げしたらライバルも値下げしたり,これなんてまさにゲーム理論の分析対象になりそうです.(ちょっと探すと論文もあるかも?)

【課題】
 来週までにゲーム理論について少し勉強してきて下さい.テキストで言えば,pp.258-266であり,キーワードで言えば,「同時手番ゲーム」,「囚人のジレンマ」あたりです.

総合政策演習D(後期) 第1回

 演習Dも久々ですね.後期も僕が最初の数回を担当します.夏休みの間にみんな髪が黒くなってましたね.当たり前か・・・.

【授業の内容】
 早速テストというわけにもいかないので,今回は就活のスケジュールを確認しました.大半の人はちゃんと就活サイトに登録してましたね.みんなのんびりしてそうなので心配してたのですが杞憂でしたね.
 何度も繰り返しになりますが,就活は情報が大事です!ネットや友人同士のつながりなど,使えるものを駆使して情報を集めて下さい.

 さて,SPIの方ですが,今回はテキストに載っていないテーマを紹介しました.どれも一度やったことがあれば,それほど悩むこともないでしょう.

【課題】
 来週はテストをやるので遅刻厳禁ですよ!範囲はpp.66-97です.この中からランダムに8問と時事問題を2問の予定です.そろそろ新聞(できれば日経)を読みましょうね.

2007年9月12日水曜日

経済数学入門 第1回

 誤解のないように何度も言いますが,「経済数学入門」の講義は「数学が苦手」な人をメインターゲットにしています.「数学が嫌いだから取らない」のではなく,「数学が苦手だから取ろう」と思って下さい.もちろん数学が得意な人も受講をオススメします.来年以降の授業で必ず役に立つはずです.

【授業の内容】
 授業を始める前にリーダーを中心にチーム分けをしました.この授業では実際に問題を解く機会が多く,僕1人では個別に全員の質問を聞くことができないので,METの結果で得点が高かった人をリーダーとして選び,僕の補佐役をお願いします.今回はまだぎこちなかったようですが,今後に期待しております.
 さて,本題の数学ですが,今日は「関数とは何か?」ということを今更ながら考えてもらいました.高校までの数学の授業では,関数の意味をあまり深く考えずにとりあえず問題を解いていたという人も多いのではないでしょうか.関数の表記をきっちり理解しておくことは,経済学を学ぶ上で欠かせません.
 来週から様々な関数とそのグラフについて説明します.また今回の課題の説明もする予定です.

【課題】
 提出しなくて構いませんが,配ったプリントは必ずやっておいて下さい.必ず!

2007年9月11日火曜日

基礎総合演習B 第1回

 この授業,例年男の子ばっかりなせいか大人しい印象なのですが,今回はみんな元気ですね.迫力に負けてしまいそうです….

【授業の内容】
 今回は,演習と講義の違い,演習の内容について簡単に説明した後,ロティに場所を移し,チーム分けや来週の課題などについて説明しました.本格的な授業は来週からですね.

【課題】
1.次回は,株式についてのテキストを持ってくる(借りるor買う)
2.チーム毎に「演習でやりたいこと」を決めてくる

 課題は忘れないように!演習の主役はあくまで学生であるみなさんですよ.

経済学A 第1回

 今日から始まった経済学Aですが,朝1なので皆さんも大変でしょうが,お互いがんばりましょう.

【授業の内容】
 まず,僕が話している時は私語をしないこと,当たり前ですが確認しました.それ以外は(常識の範囲内で)自由にやってくれれば良いです.ただし,サボってると単位を落としますよ.後は評価方法などについて説明しました.説明した通り,今回発表してくれた人にも加点します.
 授業の説明の後は早速経済学の話もしました.ダイヤモンドの値段を例に,価格の決定について説明しました.「ダイヤモンドは希少だから高い」というのは一見もっともらしく聞こえますが,それだけでは十分ではありませんでした.
 来週は「選択」について説明します.

2007年9月10日月曜日

経済学Ⅰ 第1回

 さて,夏休みも終わり後期が始まりました.夏休みはあっという間に終わってしまいますね.僕も悲しいです.

【授業の内容】
 最初なので,この授業についてのいくつかの説明をしました.大事な所だけ繰り返すと,
・評価は期末テスト,ミニテスト(数回),発表の点数を合計したものです.当然ながら60点未満は不可です.
・ミニテストは普通に講義を聴いていれば誰でも解ける問題を出します.事実上の出欠確認のようなものです.
・発表点は最大で20点.期末テストとミニテストの合計だけで100点満点になるようにするので,おまけのようなものです.当然ながら発表点を加えると100点を超える可能性がありますが,100点を超えても評価は100点です.
 必修ですが,勉強してないと思えばキッチリ落とすので,気合いを入れて勉強して下さい.

 さて本題ですが,経済学Ⅰは実際には「マクロ経済学入門」です.テキストは指定していませんが,図書館でマクロ経済学の入門書を借りても良いでしょう.今回は,「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」の違いを説明した後,経済成長の目安であるGDP,マクロ経済学の全体像,について説明しました.
 「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」の違いは,経済を巨視的に(望遠鏡で)見るか,微視的に(顕微鏡で)見るかの違いでした.しばらくは望遠鏡で一国の経済全体の動きを見ていきます.
 GDPとは国内総生産のことで,国内で新しく発生した価値の合計でしたね.講義ではお弁当を例に,お弁当屋さんが材料に価値を付与する流れを確認しました.「最終的にお弁当がいくらで売れるか?」ではなく,お弁当屋さんが「どれだけ価値を追加させたか?」がGDPの概念です.GNP(国民総生産)との比較もしましたが,きちんと理解できたでしょうか?質問があれば,このブログに書き込んでください.
 最後のマクロ経済学の全体像ですが,主なプレーヤーを4人(?)紹介しました.企業と家計が作り出す市場と,市場を補う政府と中央銀行という位置関係はぜひ覚えておいて欲しいところです.
 休日などの関係で次の授業は25日(火曜日)になります.

【本日出てきたキーワード】
・マクロ経済学(⇔ミクロ経済学)
・GDP
・財
・企業,家計,政府,中央銀行

2007年7月26日木曜日

開発経済学 レポート再提出について

 開発経済学の評価が終わりました.「厳しくしてやろう」とは思っていたのですが,結局わりと甘くなってしまいました・・・.指定した通りちゃんとレポート3回以上提出していれば多くの人は単位を取れたはずです.
 単位を落とした学生のうち,レポートを3回以上提出した人のみ再提出を認めます

【レポート再提出について】
分量:A4用紙3枚以上
提出期限:9/1(土)17:00
提出先:23号館1Fのポスト

 課題は以下の2つのうち1つを選ぶ.
・(特定の)貧困国の成長を妨げる要因について
・我々は世界の貧困のために何ができるか

 どちらも過去に出した課題です.以前に提出した時のコメントを参考にして,必ず問題点を修正して提出して下さい.レポートを返してもらっていない学生は早めに受け取りに来ること.

経済学A 採点結果

 採点が終わり,昨日成績も提出しました.問題が難しかったためか平均点が低かったので,出席などを考慮して加点をしました.テストのみの結果は以下の通り.

満点:100点
平均点:46.6点
最高点:87点

 平均点は低いですが,最高点は特別低くもないですね.発表や出席などを加点して成績を算出しました.成績が60点以下(不合格)になったのは試験を受けた学生のうち13.5%です.不合格だった人はレポートを提出して下さい.レポートの要領については各学部(学科?)事務室から連絡があるはずです.不明な点があれば,このブログを通じて,あるいは直接僕に質問して下さい.

2007年7月20日金曜日

経済学Ⅱ 採点結果

 採点が終わりました.僕の予想よりも良かったです.みんなあんまり聴いてないフリして,実はちゃんと聴いているのでしょうか・・・?結果は以下の通り.

満点:100点
平均点:58.7点
最高点:91点

 これは素点に過ぎないので,発表点などを加えたものが成績になります.そのため,再テストは結構少ないはずです.再テストになった人は,本試験の内容をきちんと理解しておきましょう.

2007年7月19日木曜日

経済学Aテストについて

 先日行った経済学Aの期末試験の模範解答をHP上に掲載しました.
 まだ採点は終わっていないので,平均点も正確なところはわかりませんが,あんまり良くないですね.僕が「簡単だから大丈夫」と言ってしまったからでしょうか…?大部分の学生は真剣に授業を聴いていたので大丈夫だと思ったんですが,みんなが思っているよりも難しかったようですね.(平均点などは採点終了後に掲載します)
 しかし,(まぁ一般教養だし)みんなが真剣に勉強したのもわかってますし,ちゃんと大部分の人はちゃんと単位が取れるのでご安心を.ただ白紙に近い人は休み明けに再試験を受けましょう.

 個別の問題に関して言うと,黒板の選択肢から選んでもらう問題の正解率がずいぶん悪いですね.経済に関心を持ってくれているかのリトマス試験紙になると思ったんですが….

 最後に,コメントを書いてくれた人ありがとう.大切に読んでいます.今後の授業に活かしたいと思っています.それでは引き続き充実した学生生活を送って下さい.

2007年7月15日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 採点結果

 期末テストの採点が終わりました.結果は以下の通りです.

満点  :80点
平均点:41.2点
最高点:65点

 せっかく試験期間外にテストをしたのだから,もう少し準備して欲しかったなぁ,と思います.せめて中間テストの類似問題は完璧にできて欲しい.その点については僕の教え方以前の問題だと思いますよ.
 コメントしてくれた人,どうもありがとう.参考にさせてもらって後期の授業で反映させたいと思います.
 このテストで50点以上取れた人は,このまま後期,そして来年の演習と学習を続ければ,公務員試験(県庁など)の専門試験にも十分対応できると思います.(あくまで努力すれば…ですが)

2007年7月13日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 期末テストの結果について

【お知らせ】
・本日の期末テストの模範解答をHP上に掲載します.HPの「ファイルDL」から見て下さい.
・評価に不満がある人は,成績発表後1週間以内に僕の研究室まで来て下さい.それ以後はテスト用紙を廃棄する場合もあります.
・再試験はありますが,問題は同じものではありません.テキストなどできちんと勉強してから受けしましょう.

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第13回

 第13回は補講という形での自由参加にしました.試験期間外にテストを行うために,授業時間が1時間減るための補講です.自由参加になったのは,時間帯がいつもと違うために出席できない学生もいる可能性があるからです.できればもっと出席して欲しかったのですが.

【授業の内容】
 内容と行っても皆さんから質問を受け付けただけです.新しい内容を説明したわけではありません.1時間半のつもりが結局2時間になってしまいました.

開発経済学 第13回

 今回で最後なので,開発経済学を学んだ人の中には「途上国開発を仕事にしたい」,あるいは「もっと深く関わりたい」と思った人もいるのではないでしょうか?(いてくれれば有り難いのですが…)というわけで,最終回は仕事としての途上国開発について紹介しました.

【授業の内容】
 途上国開発についての専門的な知識や実務経験がない学生が就職するには,JICAが理想的かもしれません.しかし,JICAのHPにある内定者座談会のページを見ればわかりますが,内定者の多くは途上国でボランティアなどの経験がある学生のようです.もし本気でJICAなどを狙うのであれば,今年の夏に実際に自分で動くことが不可欠でしょうね.
 NGOに務めたいという人もいるかもしれませんが,多くのNGOは正規の職員としては経験者を求めているようです.新卒でいきなり正規の職員というのはなかなか難しそうです.長期インターンやアルバイトなら未経験者でも募集していることが多いです.
 まぁ,詳しい内容は配付した資料に書いてあります.3年生はこの冬には就職シーズンが到来します!将来に向けて,この夏にどれだけ皆さんが伸びることができるのか楽しみにしています.くれぐれも「遊んでたら夏休みが終わってた」ということの無いように.

基礎総合演習A 第13回

 基礎総合演習Aもこれで終わりです。今回は各チーム毎に,これまでの演習で学んだこととバーチャル取引での運用結果について発表してもらいました.

【授業の内容】
 3チーム中2チームが黒字というなかなかの結果でしたね.「元手の100万円を維持する」というのが1つの目標でしたが,なかなか難しいとみんな感じたのではないでしょうか?
 運用成績もそうですが,各チームの発表も4月の時点から比べるとかなり良くなりましたね.少なくともきちんと自分の意見を言えるようになったというだけでも,この時点としては合格点ではないでしょうか.

 さあ,仕上げは球技大会ですが,上手く行くと良いですね.僕も参加したいと思っています.

2007年7月10日火曜日

経済学A 第14回

 今日で経済学Aは終了です.大人数の授業で,かつ出席もあまり取らなかったのに,ほとんどの学生は真剣に授業を聴いていたので,僕としても教えていて楽しかったです.

【授業の内容】
 最終回ですが,社会保険庁から3人の方にお越しいただき,年金についての講義をしていただきました.主に講義して頂いた方は元中学校の校長先生だそうです.やはりベテランですね.緩急のついたわかりやすい講義でしたね.僕も勉強になります.
 さて内容ですが,国民基礎年金には,老齢年金,障害年金,遺族基礎年金の3種類があることがわかりました.年金というと老齢年金ばかりをイメージしますが,障害年金は特にスポーツや交通事故などで学生が障害を負う可能性は低くないので,考慮すべき問題ですね.社会保険庁の方からは具体的なエピソードが聞けました.ああ言う話は,人生経験の浅い僕にはなかなかできないんですよねぇ.学生時代はお金がないから払わない,ではなく,学生納付特例制度を使うべきですね.支払うかどうかは後で決めても良いので,とりあえず学生時代は制度を利用しておきましょう(払うお金がある人は払って良いのですが).
 次に,加入する年金ですが,国民基礎年金は義務的だから当然として,それ以外の2階部分として共済年金厚生年金がありました.この辺の仕組みはややこしいですね.みなさんは働いていないので,学生時代に支払うのは国民基礎年金のみです.
 今日の話でも分かったと思いますが,年金問題は皆さんにとってもかなり身近な話です.僕個人としてはもう少し付け加えたい話もあります.みなさんももっと知りたい部分があるのではないでしょうか.自分の将来に関係あることですので,今日の内容を基礎にして,もう少し調べてみて下さい.

 それでは短い期間でしたが,よく勉強してくれました.テストも楽しみにしています.また学校で会ったら声をかけて下さい.

2007年7月9日月曜日

経済政策論 第14回

 今日で最終講義です.みんなの前での発表か,レポートの提出の選択制でした.レポートの人は25日までに提出するように.発表の人はお疲れさまでした.どちらもテーマを絞って授業の時より深く考察しており,なかなか良い発表でしたよ.

【レポート】
 25日までに僕の研究室か,ポストに入れておいて下さい.期限厳守です!

経済学Ⅱ 第14回

 今日はこれまでの復習でした.これまでやったテーマの中から,学生の希望が多いものから順番に解説していきました.
 テストはもうすぐですね.テストさえ終われば夏休みが待ってるのでがんばりましょう.とはいえ,就活もありますね・・・.

【テストについて】
 ポータルサイトでも伝えていますが,持ち込みはA4用紙1枚のみです.経済学Ⅰと同様に自筆のみで,コピーは不可です.

2007年7月7日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第12回

 今回で前期の内容は一通り終わりです.これまでのまとめとして一般均衡について説明しました.テキストではpp.208-215にあたるところが中心です.

【授業の内容】
 まず本題であるエッジワース・ボックスです.ちなみに授業中はぼやかしてしまいましたが,やっぱり考えたのはエッジワースという経済学者でした.そのエッジワース・ボックスですが,2人の消費者の無差別曲線(2財)を組み合わせたものです.両者の間でいかにして効率的に財を分配するか,その目安としてパレート最適を説明しました.
 パレート最適を説明する前に,まずパレート改善を知る必要があります.パレート改善とは,「他の人の効用を下げることなく,ある人が効用を上げる」ような変化のことです.例えば,僕にとって必要のない服を友人にあげたら友人が喜んだとすると,僕の効用には変化ありませんが友人の効用は上がったので,明らかにパレート改善であると言えます.というわけで,いらない服をどんどん友人にあげれば(さらに友人がそれを喜んでくれるならば),僕と友人との間でパレート改善が繰り返されますが,いらない服を全てあげてしまうと,それ以上パレート改善できません.さらに友人が効用を上げるためには,僕が必要だと思っている服を譲らねばなりません.友人は嬉しいかも知れませんが,僕は必要な服がなくなるので効用が下がってしまします.このように「他者の効用を下げなければ,ある人の効用を上げられない状況」をパレート最適と呼びます.パレート最適となるような財の配分方法はたくさんありますが,そのうちどれがもっとも望ましいか,については判断しないことにします.ちなみにエッジワース・ボックス上のパレート最適となる点を集めたもの(曲線)は,契約曲線と呼ばれます.

 さて,ではこのエッジワース・ボックス上で2財の価格が与えられると,価格によってそれぞれの財に需要超過,供給超過が発生します.それらは以前に学んだワルラス型価格調整メカニズムによると,価格の変化を引き起こします.さらに財価格の変化は消費者側には需要量の変化という形で影響を与えますし,生産者側には生産量の変化という形で影響を与えます.財価格の変化が消費者理論,生産者理論でどのような影響を与えるかについては具体的に確認しておきましょう.

【補講について】
 テストは試験期間中ではなく,来週(7/13)なので授業が1回少なくなります.そのため,来週水曜日の5限を補講にあてます.補講は501教室を予定しています.補講では質問を受け付けますので,それまでにちゃんと復習しておきましょう.

2007年7月5日木曜日

開発経済学 第12回


 今日は外務省国際協力局の佐藤さんにお越しいただき,「南アジアの貧困撲滅に対して日本はどのような役割を果たしているか.また,我々個人には何ができるのか」という題目で講演をしていただきました.

 みんな普段は眠そうにしてる(というか寝てる)のに,今日はみんな真剣に聴いていましたね.うるさい学生とかいたら追い出そうと思っていたのですが,まったくの杞憂でした.みんなやるときはやるんですね.積極的に質問もしていたし,ちゃんと挨拶できてるし,さすが3,4年生ですね.

 さて,講演の中身は論題の通りです.やはり現場で政策立案に携わっていた人だけに言葉にも重みが感じられますね.

ちなみに今日の講演内で見た「ODA民間モニター」の映像ですが,こちらからも見ることができます.ちなみに僕も一部出演してますが,探さないで下さい.

国際協力プラザ
http://www.apic.or.jp/plaza/tv/

【課題】
 今日の感想はA4用紙1枚以上にまとめて,E-mailで僕に送って下さい.期限は7月12日の17:00まで.期限厳守!
 ちなみに第4回レポート(課題図書)ですが,一部には「図書館の本が借りられていて読めない!」などの声があるようです.場合によっては提出期限の延長も考えているので,意見があれば書き込んで下さい.

2007年7月3日火曜日

基礎総合演習A 第12回

 今回は前回のレポートを返却し,レポートのルールを説明し,1人1人個別にレポートの問題点と改善策について話しました.

【授業の内容】
 今日は,内容と言ってもあんまりないですねぇ・・・.まあみんなが自身で考え,動くことができるようになったのが収穫と言えますね.たくさん失敗もするかもしれませんが,それも勉強です.失敗を経験すること,そしてそこから学ぶことが,今のみんなにとって何より大切なことです.どんどん失敗しましょう(冗談ではありません).

経済学A 第13回

 今回は開発経済学でした.僕の専門でもあります.専門だけに言いたいことが山ほどあるので(話せと言われれば丸1日ぐらいなら話せると思います),どれを話そうかと悩みました.

【授業の内容】
 まず,皆さんが普段あまり知ることのないであろう途上国の現状について,データを使って説明しました.いくつか質問をしましたが,現実は皆さんが考えるよりも深刻であったのではないでしょうか.日本のフリーターも所得だけでみると,世界の中でかなり裕福であることがわかりました.
 次に貧しい国はなぜ貧しいままなのか,考え得る原因を列挙しました.病気,人口増加率の高さ,経済政策,教育,不平等などいくつも指摘できますが,1つの説得力ある答えとして,「貧しいが故に貧しい」という貧困の悪循環(ヌルクセ)を説明しました.貧困というのは結果であるとともに,将来貧しい原因にもなるのです.だれかがこの悪循環の鎖を断ち切らなければなりません.かつては,トリクルダウン仮説,つまり一部の人であっても豊かになれば,しずくが滴るように貧困層にも恩恵があるはずだ,という仮説が信じられていましたが,DrezeとSenの実証的な研究により仮説が誤りであり,成長は貧困削減の必要条件であるが十分条件ではないことが指摘されました.

 さて,途上国の暗い面ばかり紹介しましたが,貧困を撲滅するため先進国は協力して途上国に援助を行っています.その一例としてミレニアム開発目標(MDGs)を挙げましたが,2006年現在,日本はそこでの目標(国民総所得の0.7%をODAとして拠出)には届いていません(やっぱり暗いですね…).しかし,ODAに代表される二国間援助だけでなく,国際機関(国連,世界銀行など)や多くのNGOが貧困問題に真正面から取り組んでいます.貧困削減に取り組む民間の例として,昨年度のノーベル平和賞を受賞したムハマド・ユヌスとグラミン銀行を紹介しました.また今年(一部で)話題となっているニコラス・ネグロポンテによるOLPCプロジェクト(One Laptop per Child,こども1人に1台のノートパソコン)も紹介しました.きっと皆さんにも途上国の人々のためにできることが何かあるのではないでしょうか?この講義により皆さんが少しでも途上国に関心を持ち,行動してくれれば僕にとっては非常にありがたいことだし,そうなれば授業は大成功だと言えます.

経済政策論 第13回

 今回は日本でも発売され始めたバイオ燃料(と地球温暖化)について,でした.

【授業の内容】
 まず,バイオ燃料に対する国の対策について発表してもらいました.1997年の京都議定書で,バイオ燃料の利用拡大が義務づけられており,2006年3月には「バイオマス日本総合戦略」が策定されています.どうやら日本としては本腰を入れてバイオ燃料の実用化を考えているようですね.
 そもそもバイオ燃料の材料は何か?ということですが,トウモロコシやその茎,サトウキビ,小麦,大麦,ひまわり,大豆,木材,雑草,米などたくさん出てきました.つまり植物ならなんでも良いのかもしれません.とすると当然,「雑草を使えば良いのでは?」と言う意見が出てくるでしょうね.

 さて,では「なぜバイオ燃料が環境によいのか?」学生に聞いたところ「カーボン・ニュートラル」であるから,ということでした.化石燃料は二酸化炭素を排出するだけなのに対して,バイオ燃料はその材料である植物が二酸化炭素を吸収し,その後燃焼され二酸化炭素を同じだけ排出するので環境負荷がないということでしたが,実際には燃料の製造過程で二酸化炭素が発生するために,環境負荷がない,とは言えないようでしたね.化石燃料との比較でどちらが環境に優しいかについては,今後の技術開発によるので,現在の時点で答えをだすのは早計かも知れません.
 しかし,自動車業界はこの新しい燃料の利用に対して積極的です.三菱,トヨタ,ホンダはすでにブラジルでバイオエタノールのみで走る車を発売しており,マツダも欧州でバイオディーゼル対応車を発売しているそうです.またホンダは雑草からバイオ燃料を生成する技術も開発するなど,どの企業も研究開発に余念がないんですね.

 結論として,「このバイオ燃料は果たして必要なのか?」を聞いてみると,学生の意見は綺麗に分かれました.いずれにせよバイオ燃料には現在の時点では環境問題を解決できるとは言えないが,将来性がないわけではない,という所のようですね.

経済学Ⅱ 第13回

 今回は独占市場について学びました.授業の内容には,前回学んだゲーム理論が反映されています.

【授業の内容】
 まず独占市場を説明する前に,これまで前提条件としながらあまり説明しなかった完全競争市場についてきっちりとした定義づけを行いました.また完全競争市場の条件を満たすと(つまり競争が熾烈な市場であると),企業の儲けがでないことを説明しました.では完全競争市場ではない場合なら利益が出るかも?ということで,完全競争市場ではない場合も対比しながら説明しました.完全競争市場にはいくつかの条件がありましたが,今回主に説明したのは,「売り手と買い手が多数いる」という条件が崩れた場合,中でも「売り手が少数の場合」である独占についてです.
 完全独占の場合,売り手は価格を自由に決定できます.そのため企業の利潤が最大になるように好きな価格設定を行いますが,競争的な市場であればそうはいきません.ある企業が財を,限界費用をはるかに上回る価格で売れば,ライバル企業はそれより少し低い価格で売ることでお客を独り占めできます.客を奪われた企業は対抗措置として価格を下げ始めるでしょうし,結果的に価格と限界費用がほぼ等しく,つまり利潤がほとんど出ないでしょう.
 このような独占市場の場合,価格がつり上げられるだけでなく,生産量も減少します.以前に学んだ余剰分析で考えると,独占が明らかに社会的余剰を減少させていることがわかります.
 さて,このような独占はなぜ生まれるのでしょうか?授業では大きく3つに分けて説明しました.
・資源独占
・政府による独占
・自然独占
 資源独占と自然独占は紛らわしいので要注意.名前が似てるからね.資源独占と自然独占はそうなってしまうから仕方ないにしても,特許や著作権という形で政府が独占を認めるのは,社会的余剰から見ると良くないことのように見えますが,実際にはそれなりに意義のあるんでしたよね.

 とはいえ,個人的には著作権,特許による保護期間はもっと短くすべきであると思います.なぜなら,子はともかく孫の生活まで見ることが創作意欲を増すとは思えないからです.

2007年6月30日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第11回

 今回は余剰分析です.前期の講義は次で終わりで,その次(7/13)はテストです.間違えないようにね.

【授業の内容】
 前回に引き続き,右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線を使っての説明です.
 余剰分析の前提として,厚生経済学の第一基本定理があります.これは,財の価格と量が競争的な市場で決定されれば,社会的余剰が最大になる,というものです.逆に言えば,競争的ではない方法(独占や政府による介入など)で価格や取引量が決定されることは社会的に望ましくないことを示しています.
 余談ですが,競争的な市場(完全競争市場)とは何か,覚えていますか?条件がいくつかありましたよね.必ず覚えておきましょう.

 さて,その競争市場で価格が決定されないケースとして,まず価格統制を例に社会的余剰が減少する様子を確認しました.政府によりTシャツの値段が(競争的な市場で決まる価格より)低く設定されると,消費者余剰,生産者余剰がそれぞれどのように変化するか,またその結果として社会的余剰がどれだけ減少する(死荷重の発生)ことがわかりました.また,実際に需要曲線,供給曲線を具体的な直線の式で示し,余剰の値を計算しました.計算自体は大したことないので,皆さん問題なくできていた様子ですね.こういう問題は期末試験でおそらく出すので,きっちり解けるように.
 続いて,このTシャツに政府が課税(従量税)した場合の社会的余剰についても図で確認しました.先ほどの例との違いは,政府による税収が発生するのですが,税収は社会的余剰に含める,という点です.ちなみに消費税のような従価税の場合はどうなるでしょう?図で考えてみて下さい.
 最後に数量制限について簡単に説明しました.

告知
 期間外にテストをするので講義時間が1回減るので,代わりに質問の時間を設けます.近いうちにポータルサイト及びこのブログ上でお知らせします.

2007年6月29日金曜日

開発経済学 第11回

 今回は途上国への支援の1つとしてODAについて説明しました.来週は外務省の方に講義をしてもらうので,その予備知識でもありました.

【授業の内容】
 途上国への支援については,皆さんの中にもずいぶん前から義援活動や募金もやってるのに貧困が目に見えて減少してると感じられないために,「いつまでやればいいのか?」,「どれだけやればいいのか?」という,いわゆる援助疲れを感じる人がいるかもしれません.
 2000年の国連ミレニアムサミットにおいて,日本を含む国際社会は2015年までの期限付きで,達成すべき具体的な8つの目標(ミレニアム開発目標,MDGs)が定められました.ミレニアム開発目標の詳細は以下のページを参照.

外務省:ミレニアム開発目標
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/doukou/mdgs.html

 当然ながら,目標を設定するだけで問題は解決されないので,同時に各国が拠出すべきODAの額(先進諸国で年平均2350億ドル)も設定されています.各国は2015年までにODAを対GNI比で0.7%以上にすることを目標としていますが,2006年の日本の拠出額はわずかに0.28%に過ぎず,現在時点で目標を上回る拠出をしているのは,ノルウェー,スウェーデン,ルクセンブルク,オランダ,デンマークの5ヶ国だけという状況です.

 さて,そもそもODAとは何か,ということですが,途上国への援助がODAとみなされるためにはいくつかの条件がありました.その条件は以下の3つ.
・政府やその関係機関により供与されるもの.
・途上国の経済開発や福祉の向上を目的として供与する資金.
・借款はグラント・エレメント比が25%以上であること.
 最後のグラント・エレメント比とは,途上国が市場で資金を調達する場合に比べて,どれだけ借り入れ条件が緩やかであるかを示す指標でした.

 最後に貧困撲滅に向けたいくつかの提案を紹介しました.
 まずはMDGsのプロジェクト長であるJ・サックスは,自国アメリカを対象に,
20万ドルを超える所得に5%の追加税を課し,その分は世界の貧困をなくすためにアメリカの分担金にまわす.2004年には約400億ドルである.その追加税は,アメリカ政府のこうした取り組みを支援するための目的税として払ってもいいし,納税者が直接,国連公認のミレニアム開発目標支援計画をもつ正規の慈善団体などに寄付してもよい.」
 と著書の中で提案しています.サックス(2006)

 続いて僕(水ノ上)の提案としては,
「日本のODAがMDGsを達成するために必要な額を下回る場合,不足した割合だけ個人が貧困削減に取り組む団体に直接寄付を行う.2006年度の実績で言えば,年収500万円の人は21,000円を寄付することになる.」
 というのを考えています.もともと一国全体のODAについてではなく,「僕個人がどんな援助をどれだけすべきなのか」を考えていたので,日本全体のODA不足額を補う案ではありません.この案のメリットは各自が貧困撲滅に必要な援助額を強く意識できる点だと思っています.しかしまだ荒削りですので,細かい修正は必要だと思います.

 最後に学生からの提案を箇条書きに,
・学校のコンビニに(PRODUCT)REDの商品を置き,販売する.体育館や図書館に(PRODUCT)REDの大きなロゴの横断幕を掲げる.
(PRODUCT)REDについては下記を参照.
(PRODUCT)RED
http://www.joinred.com/manifesto/(英語)
世界基金支援日本委員会
http://www.jcie.or.jp/fgfj/productred/(日本語)

・ポスターや新聞を作成し,食堂・購買・掲示板などに掲載する.

・学生全員から募金を集めワクチンを送る.

・募金バトン:ノルマ,スタート地点,ゴール地点を決め,大学から大学,または地域から地域へとそれをつないていく.バトンを渡された大学や地域は一定期間内にその募金ノルマを満たし,次へとまわしていく.ゴールしたら募金を途上国へと送る.

 このように学生からも実現可能?な面白いプロジェクト案が出てきました.いずれもやってみるべき価値のある提案だと思います.興味がある人は一緒にやりましょう.

告知
 来週は必ず出席を取ります.講演会の内容は第3回レポートの課題でもありますので,必ず出席しましょう.また,質問を1つ考えておきましょう.

【参考文献】
J・サックス(2006)『貧困の終焉』東洋経済新報社,p.426.

2007年6月26日火曜日

基礎総合演習A 第11回

 今日は授業と言うよりお説教みたいでしたね.最近みんな良くなってきたと思った矢先なので,僕にとってはショックが大きいです・・・.

【授業の内容】
 学生の司会のもと,前回の課題について話し合ってもらうつもりでしたが,予習してきてないのは話になりません.なんらかのペナルティーを考えておきます.

 というわけで,やってきてない人もいましたが,議論はまぁまぁ実りがあったのではないでしょうか.しかし,相変わらず司会にあてられないと話せないのは問題です.高校生じゃないんだから,大人しく座って人の話を聴いてるだけじゃ意味がありません.

【課題】
・チームの資金はどうなったか?
・予想はあたったか?
・反省点,今後の注目点
 以上3点について各チーム10分ぐらいで発表できるように準備すること.必ず1回は打合せをしましょう.

経済学A 第12回

 今日は少子化問題を取りあげました.前回は日本の財政でしたが,今後の財政問題は少子化(高齢化)と密接に関係があるのは言うまでもありません.最後に告知があります.

【授業の内容】
 この講義を通じて「なぜ少子化が起きるのか?」,「少子化はなぜ問題なのか?」について自分なりに答えが出せるようになって欲しいと思います.
 まずは,そもそも「少子化はなぜ問題なのか?」について,経済学の立場からメリットとデメリットを紹介しました.

デメリット
・人口バランスが崩れることによるもの
 ・社会保障費の増加と負担 Ex.年金,医療,介護
 ・巨額の国債残高
・労働力人口の減少によるもの
 ・GDPの減少
 ・国際社会での存在感,発言力
 ・税収の減少
 (おまけ:クズネッツの才能原則)
メリット
・1人あたり資本の増加(1人あたり所得増加)
・環境負荷の軽減,人口過密の緩和

 続いて,「なぜ少子化が起きるのか?」を説明するために,合計特殊出生率の推移,女性就労のM字型曲線有配偶率と有配偶出生率などを説明しました.少子化のほとんどは有配偶出生率の低下ではなく,有配偶率の低下により説明できます.つまり,結婚した女性が子どもを産まないのではなく,そもそも結婚が遅い(晩婚化),あるいは結婚しない(非婚化)が原因であるようです.男性の生涯未婚率の高さには驚いたのではないでしょうか?
 また,女性の高学歴化とともに出生率が低下したのを説明する理論として,バッツ=ウォード(Butz and Ward)モデルを紹介しました.紹介と言っても結論だけですけどね.出産の費用には,入院費用から始まり育児,教育などの直接的な費用だけでなく,出産による機会費用も含まれます.女性が高学歴化すると,この機会費用が高くなるので(中卒の女性よりも大卒の女性の方が賃金が高い),女性にとって出産の費用が高くなってしまうのです.内閣府は平均的な大卒女性が出産後にパートとして働く場合と,出産を経ずにそのまま働き続けるケースを比べ,生涯賃金が2億円も違うと推計しています.(内閣府 平成17年度国民生活白書)http://www5.cao.go.jp/seikatsu/whitepaper/h17/01_honpen/html/hm03010303.html
 もちろんお金だけでなく,女性にとってキャリアを中断してしまうことが,結婚・出産の障害となっているのはよくある話です.みなさんがどのような働き方を望むかわかりませんが,今のうちから理想の働き方を実現するために何が必要なのか,考えておく必要があるでしょう.

 さて個人の話ではなく,国にとっての少子化に話を戻しましょう.少子化は社会保障の面で国の根幹を揺るがす重大な問題です.日本も遅まきながら少子化対策に本腰を入れてきました.考え得る対策には次のようなものがあります.
女性の就労継続支援・・・育児休暇の取得を促進する,あるいは保育施設を整えるなど働く母親をバックアップすることで,出産の機会費用を軽減することができるはずです.
手厚い育児給付・・・フランスには24種類もの子ども手当があるそうで,国家を挙げて少子化対策に取り組んだ結果,合計特殊出生率は10年間で1.6から1.89へと上昇しました.しかし,お金を配るには財源が要るわけで,フランス並みに給付するには10兆円が必要だという試算もあります.
移民の受け入れ・・・これは現在の日本では抵抗が強く,実現しにくいでしょうが,移民を多く受け入れるアメリカでは,移民の出生率の高さが国全体の出生率を押し上げています.ただし,移民以外の出生率も高いのが不思議なところです.なぜなのでしょうか・・・?僕には答えは出ていません.

告知.1
 授業内で告知した通り,試験は持ち込み一切不可です.まぁ,それほど難しい問題はでません.

告知.2
 来週は「開発経済学」についてやります.それに関連して,7月5日(木)4限に23504で,外務省国際協力局国別開発協力第一課 課長補佐・南西アジア専門官の佐藤仁美様をお迎えして,:「南アジアの貧困撲滅に対して日本はどのような役割を果たしているか。また、我々個人には何ができるのか」というテーマで講演をしていただきます.世界の貧困問題,国際貢献,ボランティアなどに関心のある学生はぜひどうぞ.

2007年6月25日月曜日

経済政策論 第12回

 今回は各自に最近気になるニュースについて発表してもらい,次回のテーマを決定しました.

【授業の内容】
 1人5分の発表の後,残った候補は次の4つ.
・景気や経済回復が自殺に与える影響
・為替と金利
・企業による環境対策
・地球温暖化
 学生による多数決の結果,来週は地球温暖化,特にバイオ燃料について調べることになりました.どれも面白そうでしたけどね.次点の自殺については,僕も調べたことのないテーマなので興味があったんですが,授業で取りあげるにはややヘビーですね・・・.

 みんなちゃんと自分の意見を持っているのだから,もう少しはっきりと自信を持って発表しましょうね.

【課題】
調べること
・バイオ燃料についての国の対策(対応?)
・バイオ燃料の材料
・自動車メーカーの対策

意見を明確にすること
・バイオ燃料はそもそも必要か?
・バイオ燃料とガソリンのどちらが環境に良いのか?

一見経済学と関係なさそうですが,環境問題は前回の経済学Ⅱで学んだ外部性(外部不経済)そのものですね.

経済学Ⅱ 第12回

 市場の失敗の途中ですが,一時中断して今回はゲーム理論を学びました.なぜなら,ゲーム理論の考え方を知ることで,来週の独占がより理解しやすくなるからです.

【授業の内容】
 まずゲーム理論で扱うゲームとは何かを説明しました.プレイヤーが複数おり,相手の取る行動(戦略)が自分に影響を与えるものでした.授業で説明した言葉を使えば,相手の戦略が自分の利得になんらかの影響を与え,自分の戦略も相手の利得に影響を与えます.この定義によれば,ジャンケンやテニスなどは明らかにゲームですが,1人でテトリスをすることはゲームではありません.
 まず,Game.1として囚人のジレンマを考えました.相手と相談ができない状況(非協力ゲーム)でお互いが自分の利得を増やすことだけを目的として行動すると,両者とも比較的長い懲役をくらってしまいました.
 Game.2も同様に,まず使い途のない戦略(支配される戦略)を消してみます.すると,どんどん選択肢が狭まり,ついには両者とも戦略が1つに定まりました.ただし,このような解法(支配される戦略の逐次消去)が常に使えるとは限りません.
 Game.3では,支配される戦略がないゲームをナッシュ均衡を用いて解きました.ナッシュ均衡の概念はややこしいですが,問題を解くのはそれほど大変ではないはずです.ついでにGame.3,5として,海岸での立地ゲームを考えました.答えはまさにナッシュ均衡そのものです.
 続くGame.4では,それまでの同時に戦略を決定するゲーム(同時手番ゲーム)ではなく,プレイヤーの行動に順番があるゲーム(逐次手番ゲーム)を見ていきました.2つのお店が値下げ合戦を行うゲームを後ろ向き帰納法で解きました.最後に逐次手番ゲームの例として,お金の分配ゲームを紹介しました.これも後ろ向き帰納法で考えられる問題でした.

 ゲーム理論を駆け足で紹介しました.もうちょっと深くやろうとすると,どうしてもややこしい計算が出てくるのですが,基本的な考え方は今日の講義で十分に説明できたと思います.今日学んだような合理的な考え方は現実社会でも応用できるのではないでしょうか?

2007年6月23日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第10回

 今回は価格メカニズムです.前回までの内容を元に,市場ではいかにして価格,あるいは取引量が決まるかを見ていきました.

【授業の内容】
 まず,ワルラス型価格調整メカニズムです.この特徴は,まず売り手が価格を決めることです.それに合わせて生産量も決まるし,需要量も決まります.その時に,超過需要が発生すれば売り手は価格を上げます.逆に超過供給が発生すれば価格を下げます.いずれにせよ,常識的な需要曲線,供給曲線の元では価格は需要と供給が均衡する点で安定的に定まります.ワルラス型を用いる例として,道路の渋滞とロードプライシングを考察しました.また高速道路の夜間値下げも,このメカニズムで理解できます.
 そのワルラスに対してマーシャルは,「企業はそんなに簡単に生産量を変動できない」と反論しました.マーシャルによれば,まず生産量が決まり,しかる後に価格が決定するのです.売り手が提示する価格と買い手が希望する価格のどちらが高いかによって,超過需要価格(買い手の価格の方が高い)や超過供給価格(売り手の価格の方が高い)が発生します.前者の場合では生産者は生産量を増加しますし,後者では減少します.
 最後に,生産開始から収穫までに時間がかかり,かつ保存が難しい財の価格を説明するクモの巣理論を紹介しました.この2つの特徴がある財は値段の変動が大きいと言われています.実際にキャベツなどの野菜は値動きが激しいですね.

 そろそろテストですが,試験間際になると研究室が混雑しますので,テスト対策は早めにしましょう.

開発経済学 第10回

 前回のレポートは「我々は貧困国に対して何ができるか?」でしたが,それに関連して貧困国への援助について説明しました.

【授業の内容】
 まずは貧困国を援助している組織を次の3つに分類しました.
・国際機関:国連グループ,世銀グループなど
・各国政府:ODAなど
・NGO:国境なき医師団,アムネスティなど

 次に援助の理論について説明しました.まずは貧困国を高成長軌道にのせるための援助資金の額を推計できるTwo-Gapモデルです.国際金融機関でも未だに中心的な役割を果たしているそうですが,イースタリーによってその妥当性の低さが指摘されています.
 続いて,1980年代にさかんに行われた世銀やIMFによる構造調整について説明しました.構造調整とは,市場原理を中心とした経済の自由化を推し進める目的で行われた融資のことです.1980年代では75ヶ国もの国に融資が行われました.しかし,各国の個別の成長段階を無視して画一的な政策を推し進めたために,多くの国では失敗しました.皮肉なことにIMFによる構造調整を受け入れなかった中国やボツワナは成長を果たしています.
 また,援助に関するミクロの視点では,1990年代以降盛んになってきた参加型開発を紹介し,そのメリットとデメリットを説明しました.

 今回の内容については,下記の文献が参考になるはずです.いくつかは課題図書にもなっています.

【参考文献】
J・E・スティグリッツ(2002)『世界を不幸にしたグローバリズムの正体』徳間書店
 ―(2006)『世界に格差をバラ撒いたグローバリズムを正す』徳間書店
J・サックス(2006)『貧困の終焉』早川書房
世界銀行(1993)『東アジアの奇跡』東経
 ―(2005)『世界銀行ガイド』シュプリンガー・フェアラーク東京

2007年6月20日水曜日

総合基礎演習A 第10回

 今回は最後のチーム(チーム四国)に発表してもらいました.また,残った時間で自動車業界での銘柄選びについて討論してもらいました.

【授業の内容】
 今回の3人の発表は,他のチームの発表を他山の石としていろんな工夫が見られましたね.わかりにくい部分は前に出てホワイトボードを使ってみたり,配付資料を用意したりとなかなか感心しました.4,5月はみんなに意見を聞いてもすぐに黙り込んだりしていましたが,きちんと自分の意見を言えるようになりましたね.
 さて発表の内容ですが,社会のニーズ,経営指標(PER),身近な商品の売れ行きなどの点から株価を予想しており,前回のチームのテクニカル中心の発表から一転して,言わばファンダメンタルズを重視した発表でした.それぞれの発表者が,具体的に株を買うことを意識していたように感じられました.

 しかし!自動車業界の分析になると,みんな(男の子ばかり)にとって身近であるためか,これまで学習した内容を無視して個人の好みが優先した意見が多いのが残念でした.せっかく苦労して勉強したんだから,それを実践することをもっと意識しましょうよ.あと,もっと積極的にね.恥ずかしがることなんてないわけですよ….

【課題】
 というわけで,自動車業界の発表は残念ながら僕好みのものではなかったので,やり直しです.レポートの書き方を勉強する意味でも,ちょうどいい機会かもしれません.A4用紙に1枚なので書くこと自体はそれほど大変ではないと思うけど,それまでにしっかり頭を働かせて下さいよ!

経済学A 第11回

 そろそろ前期も終わりが近づいてきましたね.残りの3回,何をやろうか思案中です. 文章の最後に今後の授業で取りあげるテーマについてのアンケートがあります.ぜひ意見を聞かせて下さい.

【授業の内容】
 今回は日本の財政と税について説明しました.税と言っても僕は法律は詳しくないので具体的な税制ではなく,税を考える上での視点を紹介するという抽象的な内容でした.
 まず,日本の財政状況ですが,一般家庭であればとうに破産していてもおかしくありません.しかし,日本という国は少なくともしばらく崩壊する様子はありませんね.なぜでしょうか?日本の財政状況を実感するためには財務省の「財務大臣になって予算を作ろう!」をやってみると良いでしょう.
http://www.mof.go.jp/zaisei/game.html
 今の状況で予算を均衡させるには,相当思い切ったことをしないといけないことがわかりますね.

 次に税金について話しましたが,まず税金を分類してみました.どこに納めるかによって国税と地方税に分かれ,どうやって納めるかによって直接税と間接税の違いがあります.この直接税と間接税の代表として,所得税と消費税を取りあげ,それぞれの税金がどんな性質を持っているのか説明しました.どちらも我々からお金を奪う?という意味ではありがたくないわけですが,所得階層が違えば所得税と消費税が持つ意味も変わってきました.それを考える視点として,公平性と公正性という概念を説明しました.
 皆さんの中には,なぜか「日本は税金の高い国だ!」というイメージが刷り込まれているのではないでしょうか?(マスコミのせいか?)しかし,国民負担率や潜在的国民負担率という指標から見ると,日本はむしろ税金が安い国であるようです.だからといって「日本は税金が安いから良い国だ!」と結論付けるのは安易です.
 最後に大きな政府と小さな政府について説明しました.実はほとんど第3回の講義の復習ですけどね.税金が安い国というのはその見返りも少なく(低福祉),言わば格差が生じやすい国であり,政府がしっかりと面倒を見てくれる(高福祉)国は当然ながら税金もしっかり取られてしまうわけです.皆さんは税金が高い安いで一喜一憂するのではなく,税金の見返りにどんなことをしてくれているか,という収支のバランスでその時の政府を判断するべきです.国としては大きな赤字があるのに選挙前になると「税金を安くしますよ」と甘い声を聞くこともありますが,国の借金はいつかは国民が返済しなければならないことを理解しておきましょう.今税金が安くても将来税金が高くなるなら,まさに朝三暮四です.賢い有権者になりましょう.

【アンケートと告知】
 授業では「社会保険庁の人は忙しくて来てもらえない」と言ったのですが,その後電話があり,なんとか来てもらえることになりました.7/10,つまり最後の講義ですが,この日は年金についての講演+僕の講義となる予定です.
 すると残る2回ですが,今の予定だと「少子化問題」と「開発経済学」についてやろうかなと思っています.どちらも僕の好みなので,皆さんが他に興味があることがあればそれについても考慮しますので,このブログになんでも良いからコメントを書いて下さい.
(例:「金融について知りたい」,「グローバリゼーションに興味がある」など)
 なんでも講義できるわけではありませんが,希望があればなるべく考慮します.なお,無記名で結構です.

2007年6月19日火曜日

経済政策論 第11回

 今回は年金制度についてです.各自で調べた内容を発表してもらいました.

【授業の内容】
 まず,そもそも日本の年金制度はどのような仕組みなのか,説明してもらいました.その内容を箇条書きにすると,
・3階建てである
・職業により年金の種類が異なる
・国民基礎年金は強制的な年金である
・国民基礎年金は,老齢,障害,遺族の3つの年金からなる
・実質的な賦課方式である
ぐらいでしょうか.

 次に年金を支払うメリット・デメリットを挙げてもらいましたが,メリットはたくさんあるものの,デメリットはあまり出ませんでしたね.社会保険庁の広報活動の賜物でしょうか…?デメリットとしては,早く死んだら元が取れないぐらいで,意外と学生は年金については好意的に捉えているようで,世間一般での評価と違うようですね.
 僕から付け加えることとしては,社会保険庁の試算では1987年生まれのモデルケースだと約730万円支払って2960万円受け取ることができるそうですが,さて,この試算通りにもらえるんでしょうか?前提条件が崩れる可能性も考えておくべきでしょう.

 最後に年金を支払う派と支払わない派で討論してもらいましたが,あんまり討論になりませんでしたねぇ.もっと積極的に話さないとね.

【課題】 次週は,関心のあるニュースについて調べ,各自5分程度で発表してもらいます.配布する資料を2限に僕のところに提出して下さい.

経済学Ⅱ 第11回

 今回からは市場の失敗について説明します.というわけで,市場の失敗の例として公共財と外部性の説明をしました.

【授業の内容】
 前回学んだ厚生経済学の第一基本定理からは,競争的な市場で価格と生産量が決定されると社会的余剰は最大になることがわかりました.つまり逆に言えば,競争的な市場が存在しない場合は死荷重が発生してしまうのです.
 今回はまず市場に任せておいても供給されない財である公共財を紹介しました.公共財とは,非競合性非排除性という2つの特徴を持つ財のことであり,NHKの放送や道路などがこれにあたります.まったく反対にこの2つの特徴を持たない財,言い換えれば競合性があり排除性がある財は私的財と呼ばれます.みなさんが買うほとんどの商品は私的財でしょうね.そして公共財でも私的財でもない財,つまり非競合性は持つが非排除性は持たない財,非排除性は持つが非競合性は持たない財,これらはまとめて準公共財と呼ばれます.
 公共財は非排除性があるために民間が供給することは稀です.なぜなら排除性を持たないので,お金を払わない人(フリー・ライダー)に利用させないことができないからです.そのため供給しても採算が取れないので,結果として供給されません.では公共放送や道路は我々に必要ないかと言えばもちろん必要なので,民間の替わりに政府が供給することになります.民間と違って政府は税金という形で強制的に集金できるので採算が取れますしね.
 ちなみにテレビの民放(地上波)は非競合性と非排除性を持つ立派な?公共財です.放送しても視聴者からお金を取ることはできませんが,CMを挟むことによって広告代を得ているので採算が取れるんですね.そういう経済取引があるかないか,という点から言えばテレビ局のお客は我々ではなくスポンサーだとわかりますね.

 さらに残った時間で外部性について説明しました.外部性とはある経済取引の結果,取引に関係ない第三者が受ける何らかの影響のことです.この影響が第三者にとって良い影響であれば外部経済,悪い影響であれば外部不経済と呼びます.また第三者に影響を与える経路が市場を通じたもの(地価の値上がりなど)であれば金銭的外部性と呼び,市場を経由せずそのまま影響を与える場合(騒音など)は技術的外部性と呼ばれます.
 またこの外部性を解決する手段としてピグー税を紹介しました.

2007年6月17日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第9回

 今回で生産者理論は一旦終わりです.みんなは説明してると飽きるけど,実際に問題を解かすと目が光るね・・・.説明もちゃんと聴きましょう.

【授業の内容】
 前回の復習をするとともに,次の点を確認しました.
・限界費用(の一部)が短期の供給曲線となる.
・限界費用曲線は,平均総費用と平均可変費用のそれぞれ底の部分を通ること.

 なぜ底を通るのかピンと来ないという人もいましたが,論より証拠で以前に配った生産費用の表を例に図を書いてみれば良いでしょう.これに限らず,抽象的な説明でわからなければ,具体的な例で考えてみるのです.
 この2点の説明を終えた後,実際に問題を解いてみました.ちょっと難しい問題もあったんですが完璧に解いた学生もいましたね.授業時間中に説明できなかった問題も含め,答えをHPからダウンロードできるようにしておきます.(近日中)

 その後,生産における短期と長期の違いを説明し,それぞれの総費用曲線と限界費用曲線を説明しました.この長期の限界費用曲線が長期の供給曲線となります.次回からは,この供給曲線と(消費者理論の帰結である)需要曲線を使って話をします.

テストについて
 そうそう,テストは試験期間外の7/13(金)の講義時間中に行います.なお,今回出席した学生の多数決により,テストは持ち込み不可となりました.一切不可です.

2007年6月12日火曜日

基礎総合演習A 第9回

 前回に引き続き,各自のテキストを元に発表してもらいました.

【授業の内容】
 発表した3人はテクニカル分析のチームだったので,うち2人はテクニカル分析についての発表でした.それぞれ上手く使いこなせれば良いんですが.そしてもう1人はバリュー分析なる分析方法についての説明でした.基本的にはファンダメンタル分析と捉えて良いのでしょうが,価値と価格を比べて割安(価格が安い)銘柄を買う,というのがそのポイントのようです.ただし,発表者によると価値の計測が難しすぎて実用には課題が多いようです.
 また発表の流れから,よく知ってる有名企業は買うべきか?避けるべきか?について討論してもらいました.みんなきちんと自分の意見を言えたので僕としては満足です.
 さて,今日は残りの時間で特定の業界についての分析も試みました.多数決により自動車業界になったので,その中で一番のオススメ銘柄を選ぶ,というのが課題になりました.

【課題】
・チーム四国は1人5分で発表する
・各チームで意見を集約し,日本の自動車業界で8月までに上がる株を選ぶ

経済学A 第10回

 今日は独占市場(と完全競争市場)についてです.まずは日本企業の2006年の利潤ランキングを見てもらいました.そこから,儲けてる企業はどんな企業なのか?考えてみました.

【授業の内容】
 今日の内容は,次の3つ.
1.独占市場とは?(⇔完全競争市場とは?)
2.イー・モバイルはなぜ携帯事業に参入するのか?
3.新規参入すると何が起こる?

 まずは日本の携帯電話の歴史を振り返ってみました.1年生は,生まれた時にすでに携帯電話が存在してたんですね・・・.さて,その携帯電話ですが,現在は3社により独占されています(厳密には音声通話に関して).来年にはイー・モバイルが参入するわけですが,皆さんの携帯料金はどうなるんでしょうか?
 まず,独占市場を学ぶ前に完全競争市場について学びました.いくつかの条件を満たした市場は完全競争市場と呼ばれます.この市場では利潤が出ません.授業中に「完全競争市場の例はないか?」と聞きましたが,授業後に「本屋はどうか?」という意見がありました.確かに本屋は,財の同質性は完璧ですし,売り手もたくさんいる,自由な参入が認められている,など条件の多くを満たします.というわけで,良い例ですね.平均的な書店の利益率はどれぐらいなのか,知ってる人がいたら教えて下さい.(本当に利益率が低いのか?)
 さて,このような完全競争市場ですが,新規参入が容易なので,もし既存企業が儲けを出していたら必ず他の企業が参入します.すると価格競争になるので,必ず価格は下がってしまい,結果として利潤も下がってしまいます.利潤がある限り新規参入が続くとすると,その結末はだれも儲けがない状態でしょう.というわけで,完全競争市場はそうでない市場(競争が限定的な市場)と比べると儲けにくいようです.
 では,この独占市場はいかにして生まれるのか?ですが,授業では3つ紹介しました.資源独占,政府による独占,自然独占です.また市場が独占されることは,我々消費者にとっても,また社会全体にとっても望ましいものではないので,独占禁止法により独占状態が起きないような制度が多くの国で作られています.

【おまけ】
 実は独占にまつわる話をいくつか用意してたのですが,話せませんでした.興味がある人は次のキーワードを調べてみて下さい.
・ミッキーマウス延命法(ソニー・ボノ法)
・バイオパイラシー(生物学的海賊行為)