2007年5月29日火曜日

基礎総合演習A 第7回

 前回,皆さんから「まず株の基礎知識を教えろ!」という要望があったので,僕からは「株の基礎知識って何だ?そもそもそんなのあるんか!」という意味を込めて,各自で株の本を買ってきてもらいました.

【授業の内容】
 皆さんそれぞれ様々な理由で,バリエーションに富んだ選択をしてきました.では,その合計10冊の中に共通する基礎知識があるか確認してもらったところ,共通部分はほとんどないという結論になりました.どの本も好き勝手に書いていて,バラバラなようです.我々がこれまで学んだテクニカル分析とファンダメンタル分析に至っては,載ってる本の方が少数派でした.では,株の常識って何なんだろうか?
 僕が「自分たちで考えれば自ずと答えは出てくる」と言ってきた理由がわかってもらえたら良いのだけど・・・.そうでないと自腹覚悟で本を買ってきてもらった意味がない.(上手く研究費で落とせれば良いのですが・・・)

 その後,F君の提案でゼミ対抗球技大会について話してもらいました.みんな未だに集団討論が苦手だなぁ.もっと自分の意見を全体に向けてガンガン言って下さい.

【課題】
 チームきびだんごは,自分たちが買ってきた本を読んで得た結論(どうやって株を買うべきか?)と自分が読んだ本の間違っている(あるいは同意できない)点を発表して下さい.先生に教えてもらう高校時代に決別して,批判的な眼を養いましょう!

経済学A 第8回

 前回が為替でしたが,今回は関連して貿易の話でした.授業の冒頭に少しグローバル化の話をしました.学生はなかなかピンと来ないかもしれませんが,グローバル化は皆さんの生活,あるいは人生にも大きな影響を持つ問題だと思います.ぜひ今日紹介した本を読んでみて下さい!

【授業の内容】
 今日の重要な点は比較優位に尽きます.が,それだけだと短いので概略を説明すると,まずパレート改善という考え方を紹介しました.誰もが納得するであろう,より良い変化かどうかを判断するものです.その定義は,「他の人を不幸にすることなく,ある人が幸せになること」がパレート改善です.つまり,ある人が幸せになっても,その陰で泣く人がいたら良くない,ということですね.
 次に,漁師と農民という互いに得意なものが異なる2人の交換について説明しました.つまり互いに絶対優位を持つものがある場合です.この場合,絶対優位があるものに特化して,それを交換すると両者とも幸せになれましたね(明らかなパレート改善).
 その後,イギリスと日本の例を挙げ,TVも自動車もどちらも日本の方に絶対優位があるケースを考えました.皆さんの大部分の人たちはイギリスは幸せになるが,日本は不幸になると予測したようです.が!結果は,日本が「あえて言えばより得意なTVを」,イギリスは「まだマシな自動車」という比較優位にある商品の生産に特化し,貿易を行うことで両国とも鎖国状態に比べて幸せになりました.意外ですね.僕も大学時代に驚きました.
 ひょっとしたら,皆さんの中には「両国とも幸せになるように水ノ上が恣意的に数字を動かしたんではないか!?」と思った人もいるかもしれませんが,そんなことはありません.確かにわかりやすい数字にはしましたが,無理矢理ではありません.しかし,教師を疑う,というのは大事なことです!僕が皆さんを騙している可能性もあると思って下さい.今回は騙していませんが・・・.騙すというと語弊はありますが,僕は「水ノ上の脳を経由した,バイアスのかかった真実」を皆さんに伝えているに過ぎません.
 最後に,この比較優位の例を現実の世界から読み取るとどうなるか,少し解説しました.日豪FTA交渉に反対する人がいる理由もわかったはずです.

【おまけ】
 今日紹介した2冊はどちらも図書館にありますよ!

経済政策論 第8回

 こちらも更新が遅れました・・・.今回は架空の貨幣(?)について各自が調べた内容を発表してもらいました.

【授業の内容】
 いきなり呼び名で悩みますが,広義の貨幣であるM2+CDには含まれないが,決済などの価値交換手段に用いられ国家などがその価値を保障しているという意味では通貨と言えるようなモノを,講義では架空通貨,仮想通貨,疑似通貨などと呼びました.

課題1.この架空通貨にはどんな種類があるのか?
 学生からは,
電子マネー Ex. Edy,Suica,nanacoなど
・ネットゲーム内の通貨 Ex. L$など
企業のポイント Ex. クレジットカードのポイント,マイルなど
が挙がりました.僕からはこれらに加えて,
地域通貨 Ex. LETS,REGIO,時間通貨ありがとう(徳島市など)など
の存在を紹介しました.
 電子マネーは単位が円であると言う点で他の架空通貨と異なり,かなりリアルマネー(我々が普段認識しているお金)に近いようです.他の架空通貨は独自の単位で測られます.

課題2.それぞれの架空通貨の流通規模は?
 それぞれの通貨の定義がはっきりしないまま調べたので,人によって発表する数字は異なりましたが,日本国内で流通する電子マネーは2005年で約3兆4200億円,あるネットゲーム内の通貨であるL$(リンデンドル)はどれだけ流通しているか不明であるものの,1日の取引量は1~2億円程度であるようです(日本円換算).ちなみにこのゲームの仮想空間にある最大級の銀行であるGinko Financialは約7500万円の預金残高を抱えるようです.

課題3.架空通貨が流通することの問題点は?
 ちょっとここは僕がメモを取れていません.あやふやな記憶によると,暗証番号や偽造などのセキュリティーの問題などが報告されましたが,その他にも,ゲーム内のインフレ,架空通貨で取引することによる脱税,現実社会でのマネーサプライに与える影響の話も出てきました.

次回は課題3を掘り下げることになりました.

【課題】
・架空通貨の流通が現実経済に与える影響,特に金融市場への影響について調べる.
・電子マネーの普及について自身の意見を決めてくる.

経済学Ⅱ 第8回

 ちょっと仕事が重なってしまい,更新が遅れました.

【授業の内容】
 長い間引っ張ってきましたが,第8回で生産者理論は(ひとまず)終わりです.前回,わかったのかわかってないのか,よくわからないような損益分岐点と操業停止点ですが,今回は具体的なケースでくどくやったので,おそらくみんな理解したのではないでしょうか?
 ケース1~3でそれぞれ,以下のような場合でした.
・価格が高く利潤が出る(黒字)の場合
・価格は少し下がり利潤はマイナス(赤字)だけど,生産を続けた方が良い場合
・価格が更に下がり利潤が大きくマイナスで,生産を止めた方がマシな場合
 それぞれのケースで,収入,総費用,利潤,可変費用,利潤を図で表現し,なぜ赤字になるのか,なぜ生産を止めるべきなのかを確認しました.またそこから得られる結論として,利潤が黒字になるか赤字になるかの分かれ目となる価格である損益分岐点と,生産をするべきか否かの分かれ目となる価格である操業停止点というものが存在することを理解できたと思います.

 これで経済学Ⅱの山場は越えたと思います.長くやったのはそれだけ難しい部分だったからです.次回は,消費者理論で得られた需要曲線と,生産者理論で得られた供給曲線を使って話をします.

2007年5月25日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第6回

 今日はミニテストを行い,その後,労働供給の説明をしました.テストはそれほど難しくないと思ったんだけど,解答をパラパラと見ていると・・・.

【授業の内容】
 以前から伝えていた通り,今日はミニテストでした.配点は20点です.あんまりできなかった人は心を入れ替え,来週からちゃんと出席して講義を聴きましょう.15点ぐらい取っておいて欲しいなぁ.
 さて,授業では消費者理論の締めくくりとして,労働供給の説明をしました.収入と余暇から効用を得ている人は,賃金(時給)の変化と共に労働供給量(労働時間)をどのように変化させるか説明しました.賃金が非常に低い間は,働いても大してお金にならないので,あまり働かないとします.すると,時給が上がればやる気も出て労働時間を増やすような気がします.しかし,あまりに時給が高くなるとどうでしょうか?おそらく「もうお金は十分だから,働く時間を減らそう.」という気持ちになるのではないでしょうか?
 もちろん現実の世界では個人差があるので一概に結論は出ないかも知れませんが,少なくとも理論上は無差別曲線と制約を図に描くことによって,上記のような労働時間の変化(=余暇時間の変化)を観察できました.実際に僕も時給数十万円もらえるんなら,もっと労働時間を減らして遊びまくりたい気もします.なお,今日の範囲はテキストで言えば,pp.166-172にあたります.
 来週からは,生産者理論です.また1から始まるのでテストができなかった人も心機一転がんばって下さい.

【注】第5回のブログの文章で一部誤りがあり,指摘を受けました.修正していますので確認して下さい.

【テストの結果について】来週末ぐらいには模範解答をHPからダウンロードできるようにする予定です.

2007年5月24日木曜日

開発経済学 第7回

 今日が第1回レポートの提出期限でした.パラパラと読んでみましたが,「なかなか面白そうだな」というレポートがある反面で,「これが3,4年生のレポートか?」(悪い意味で)というのもあり,玉石混淆という印象です.そのうちに添削して返却します.次回はより良いものになるよう期待しています.

【授業の内容】
 今日は人口と発展というタイトルで,主に人口論の話をしました.
 まず,超長期の世界の人口を見てみましたが,1500年以降の増加は人口爆発という言葉が決して大袈裟ではないと感じます.この人口爆発は人口転換の過程で起きたようです.22世紀ぐらいになれば世界の人口も落ち着いてくるんでしょうかね?
 次に,前回の復習としてマルサスの罠を簡単に説明しましたが,前回の補足として,マルサスはいくつかの前提条件を置いていました.それは規制原理,増殖原理と呼ばれるものです.人間は特別な妨げがない限り増殖するというのが増殖原理ですが,今の日本には当てはまらないようですね.まぁ,マルサスは19世紀の人ですし,その当時からすればマルサスの仮説は十分妥当なものだと思います.その後の人口にまつわる仮説として,ライベンシュタインの効用=不効用仮説(費用=便益仮説)について説明しました.子供を持つことの影響を,効用と不効用に分け,両者の大小関係で両親が出生を決定するというものでした.
 続いて,ベッカー,イースタリンと紹介したかったのですが,途中でOLPCの話をしたため時間切れで次週持ち越しです.OLPCについては公式HPを参照(日本語もあり).
http://www.laptop.org/index.jp.html
 OLPCは日本では普及に積極的な団体がまだ見あたりませんし,興味がある学生は働きかけるとおもしろいことになると思いますよ.

2007年5月22日火曜日

基礎総合演習A 第6回

 今日は「テクニカル分析のマニュアルを作ってくる」という課題だったのですが・・・,諸事情により内容が変更しました.

【授業の内容】
 上記の諸事情の件も含め,僕も少々思うところがあったので今回は話し合いをしてもらいました.「この演習はなんのためにあるのか?」,「僕がみんなに期待していることは何か?」が伝わっていると良いのですが.
 少年よ大志を抱け,ではないけど,自分で勝手に限界を決めず意欲を持って欲しいと思います.ダラダラしてると本当にあっというまに4年間は過ぎてしまいますよ.最近なんだか自分が説教臭い気がしますが,まぁ人間というのは年を取るとそうなるのかなぁ?
 いずれにしても皆さんには意欲を持って欲しいし,僕もそんなみんなを見ている方が楽しいです.まずは,「将来の夢」ぐらい持って欲しいものです.

【課題】
 授業で伝えた通り,株の本を1冊選んできましょう.くれぐれも領収書は忘れずに!

経済学A 第7回

 今回は為替の話でした.レジュメの冒頭には実際の銀行が提示している外貨預金の広告を載せてみました.「魅力的な利率だし,預金なので安心感もある!」と思った人もいるのではないでしょうか?

【授業の内容】
 そんな魅力的な外貨預金ですが,まずは為替,つまり通貨と通貨の交換レートの説明から話しました.円高と円安の話って落ち着いて考えないと,間違えやすいんですよね.今日のタイトルは「円高はなぜ悪い?」ですが,円高は悪いのか?誰にとって悪いのか理解できましたか?我々消費者にとっては円高っていうのは良いことが多そうですよね.ちなみにニュース検索をしてみると,こんな記事が見つかりました.ユーロ高の影響で,ルイヴィトンやメルセデスベンツが値上がりしているようです.僕はどちらも興味ないので良いですが,ブランド好きな人にとっては大変ですね.
http://www.business-i.jp/news/ind-page/news/200705190027a.nwc

 これに関連して,僕は自動車を円高の時に持って行ったら100万円だが,円安の時に持って行けば200万円だ,と話したのですが,「200万円で売れるんなら,そちらの方が儲かるのでは?」という質問を受けました.これについては確かに説明不足,というか紛らわしい表現方法だったので,次回に改めて説明します.
 後半は,実践外貨預金として実際の流れを説明しました.大まかな流れで言えば,日本円を外貨に換えて預金して何年後かに日本円に戻す,という話です.しかし,実際には為替の両替の際に手数料を取られ(往復2回),利子に税金がつくため,そんなに甘いものではないようです.さらに為替リスクの存在も無視できません!外貨預金は預金という名前ですが,リスクのある金融商品のようです.やはり世の中そんなに甘い話はないようですね・・・.

【予告】
 来週は貿易の話をします.うるさくて中断したので予告できなかったのが心残り.なんとか対策を考えてみます.

2007年5月21日月曜日

経済政策論 第7回

 今回は「日本企業の海外進出」です.ですが,まだ論点がはっきりしていないので,みんなに集めてきた様々なデータを発表してもらいました.

【授業の内容】
 みんなが集めたデータによると,日本企業による海外進出のピークは1991-1995年であり,現在,日本企業の海外現地法人は3000社を超えるそうです.また主な業種は機械,電機,輸送機械であるそうです.僕からは,1986年のプラザ合意とその後の円高,進出企業数はやや減少傾向にあるが,現地法人の売上高,利潤は過去最高を記録していることなどを補足として説明しました.
 日本企業の海外進出だけでは,どうも特に問題も見当たらない様子でしたので,講義の範囲を広げて海外企業の日本進出も含めグローバリゼーションについて説明を行いました.グローバル化により,生産拠点が賃金の安い途上国に移ること,途上国に働き口を奪われる仕事とそうでない仕事があること,サービスのアウトソーシングなどについて説明しました.

 しかし,みんなこの問題について特に関心がないのか(?),あまり意見はでませんでした.結局来週は,方向転換してなぜか仮想貨幣について取り上げることになりました.僕はあまり詳しくない分野なので,予習に時間がかかりそうです・・・.

【課題】
 仮想貨幣の種類とその規模,さらに仮想貨幣のウェイトが増えることで発生する問題点について調べてきてください.

経済学Ⅱ 第7回

 この講義もすでに半分が終わりました.早いものですね.

【授業の内容】
 今日も引き続き生産者理論です.今回は主に図を使った収入,総費用,そして利潤(あるいは損失)の説明を行いました.そして,本題は損益分岐点と操業停止点の説明のはずだったのですが,損益分岐点の説明でかなり時間を取られてしまい,操業停止点の説明が不十分でした.
 それにも大いに関係ありますが,中にはどうも真剣に話を聞いている風でもない学生もいるので,今後やり方を考え直した方が良いのかなぁ,と思っています.
 まぁ,それはともかく,価格の変化とそれに伴い利潤がどのように変化するのか,実際に手を動かして計算してみて下さい.ちらっと見るだけではなかなか理解しにくい部分でしょう.

 来週は少しだけ復習&補足を行い,次の話に移ります.

2007年5月18日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第5回

 前回から引き続きスルツキー分解です.来週はテストするので,今日の範囲までをきっちり復習しておいて下さい.

注:下記の内容に誤りがあるという指摘を受け,訂正しました(5/26).赤字のところが訂正部分です.ご指摘ありがとう.

【授業の内容】
 前回駆け足で説明したスルツキー分解をしっかり理解できるよう,ケース1からケース4まで具体例を多く出しました.
 バーベキューのために牛肉(上級財)と豚肉(下級財)を買うという状況下で,
ケース1:所得のみが増加した場合
 この場合,代替効果はなく,所得効果のみが発生しました.上級財とは?下級財とは?の復習ですね.
ケース2,3:牛肉の価格が上がった場合,下がった場合
 これらでは牛肉,豚肉ともに代替効果,所得効果の影響は同じ方向(牛は減り,豚は増える)のため,消費はわかりやすい結果になりました.
ケース4:豚肉の価格が下がった場合
 この場合,豚肉は代替効果で増加しますが,所得効果では減少します.では,消費はどうなるかというと増加します.つまり普通の下級財では所得効果よりも代替効果の方が強いのです.つまり価格が下がると消費は増えるんでしたね.
 しかし,どんな財も価格が下がると消費が増えるかというと,例外があります.それが下級財の仲間であるギッフェン財です.ギッフェン財は下級財の中でも代替効果より所得効果の方が強いので,価格が下がるにも関わらず消費が減るという奇妙な財です.現実の経済でギッフェン財を見かけることは少ないですが,講義で説明したように非常に限定された条件下では稀に存在します.
 最後に例題として,図から財の性質(上級財,下級財,ギッフェン財)を探る問題を出しました.こういう問題って答えがはっきりしてるから,出題する側としては出しやすいのです・・・.

ミニテスト情報
 来週(5月25日)の講義時間中にミニテストを行います.質問があれば,このブログ内でも受け付けます.
範囲:第5回までの講義内容
配点:20点
注意!:特別な事情がある場合を除き,このテストを受けない場合は期末試験の受験資格を放棄したものとみなします.

2007年5月17日木曜日

開発経済学 第6回

 今日まではいわゆる開発経済学の入門ということで,教科書にかなり近い形でやってきました.これで一区切り,ということにして来週からは少し趣味性が高いかもしれませんが,開発経済学の中でも僕の関心が特に高いものを中心にやります.

【授業の内容】
 今日は農業についてやりました.副題として「緑の革命は何をもたらしたか?」と銘打ちました.先進国に比べ途上国では農村人口が多く,貧困層も農村部に多いため,開発経済学を学ぶには農業を無視することはできません.しかし,穀物輸出高で見た農業大国はアメリカ,フランス,オーストラリアと先進国が上位を占めています.この理由は単に国土の広さや,気候や地形などの環境だけによるものでしょうか?
 授業では,まず農業という産業の特徴を挙げました.農業とは,生産資源である土地が有限であり,気象リスクに晒され,季節性のある産業です.さらに農業を貿易の視点から「プレビッシュ=シンガー命題」を紹介しました.テキストの付録であるデータからはプレビッシュ=シンガー命題は成り立っているように見えました.
 次に,農業の生産関数ですが,農業は土地と労働力を投入することにより生産量が決まる産業であると仮定しました.土地は有限であり,一定であるとすると,労働の限界生産力は逓減すると考えられそうです.この労働の限界生産力逓減という仮定によれば,一国の人口が増加すると,いつかは1人あたり農業生産が生存可能な水準を下回ることになってしまう,マルサスの罠を避けられそうにありません.かつて,農業生産は算術級数的に増えるが,人口は幾何級数的に増えるために食糧危機が必ず起こる,と言われていました.
 しかし,1960年代以降,高収量品種,灌漑,肥料の3つによる緑の革命が起こり,食料生産量は急増し,マルサスの罠を見事に回避しました.しかし,この後はどうなんでしょう?国連の推計によれば*,2050年には世界の人口は90億人を超えるそうですが,そのペースで食料生産量も増加する,なんてことは可能なのでしょうか?
*出典:UN, World Population Prospects: The 2004 Revision, Volume I

【課題】
 課題,というほどでもないですが,近いうちに金融についてやります.なかでもマイクロ・ファイナンスと呼ばれるものをやりますので,グラミン銀行なるものについて調べておいて下さい.革新的なシステムを持つ銀行です.

【レポート】
 第1回のレポートは来週の講義までに提出です.提出期限厳守ですよ!

2007年5月16日水曜日

総合政策演習B1① 第5回

 今日で経済数学は終わりです.つまり僕の前期の担当は今日までです.来週からは池上先生が担当されます.

【授業の内容】
 数学のみについて言えば,皆さんは公務員試験に向けて十分な知識があると思います.では,実際にミクロの問題が解けるかと言えば,そう簡単ではありません.なぜなら,経済学の言葉で書かれているものを,数式として理解する作業が必要だからです.というわけで,今回は経済数学の仕上げとして,5つのポイントを説明しました.
 まず,なんといっても”微分=限界”です.ミクロ経済学では限界~という言葉が多く出てくるというのは,今さら説明することではないでしょう.限界効用,限界費用,限界収入・・・といくらでも出てきそうですね.というわけで,まず最初に微分,偏微分を使って限界~を実際に出してみました.
 次に需要関数と供給関数を使いこなす,として需要関数と供給関数の様々な基本例題を確認しました.グラフで,あるいは数式として理解できれば,そんなに難しくなかったはずです.
 その後,「最大化・最小化問題」,「グラフ⇔数式の読み替え」,「個別のルール」について簡単に説明しました.最後に,短い時間ですが,生産者理論で出てくる様々な費用について確認しました.

 以上,5回に渡りミクロ経済学で必要となる数学を,なるべく実際の問題と絡めて説明してきました.このレベルの数学をきちんと理解していれば,(少なくとも数学に関しては)なんらおそれることはありません.あとはなんといっても慣れです!

【追伸】生産者理論の答えは近日中にHPからDLできるようにします.少なくとも今週中には・・・.講義ファイルDLという所にアップします.

基礎総合演習A 第5回

 今日は「チームきびだんご」によるテクニカル分析のミニ講義です.また古家ゼミと週末のバーベキューの打ち合わせをしました.

【授業の内容】
 授業の冒頭に前回提出したレポートを返却するついでに,レポートの書き方を説明しました.特にレポートにおける引用について注意しました.学生は安易に,そして無断で引用をしてしまいがちですが,無断の引用は盗作です!
 さて,テクニカル分析ですが,発表によればテクニカル分析には前提条件があるそうです.
1.価格には情報が織り込まれている(これは効率的市場仮説といいます).
2.価格の動きがトレンドを形成する.
3.株式相場は集団心理により動くため,歴史は繰り返す.
 またテクニカル分析の定義は,「価格,出来高,時間から将来を予測する」というものだそうです.そのため,株価のトレンドを早期に発見して,上昇トレンドなら購入,下降トレンドなら売却するようです.
 テクニカル分析は以下のように分類されます.
・トレンド系(時系列分析,非時系列分析)
・オシレーター分析
・ポイント&フィギュア分析(中長期向け)
・ストキャスティック分析(中短期向け)

 さらに,より具体的かつ利用しやすい分析方法として,グランビル分析の買いシグナル,売りシグナルをそれぞれ4つ紹介してもらいました.実際にこれらが利用可能か,KDDIの株価チャートを見て確認しました.

 僕個人としては,テクニカル分析についてはかなり懐疑的なのですが,みんなはテクニカル分析が気に入ってるようなので,来週はさらに掘り下げて,テクニカル分析を活用するためのマニュアルを次のチームに発表してもらいます.

【おまけ】
 バーベキューは午前11時に現地集合,バス組は10時までに徳島駅前バス乗り場に集合すること.

2007年5月15日火曜日

経済学A 第6回

 今回は前回の続きを行いました.ですので,レジュメは配っていません.ようやく株の話を終えることができました.基本といいますか,きちっとした理論から入ると株というのは今日のようなやや堅い話になります.

【授業の内容】
 まず前回の復習として,利子率の計算,現在価値の計算を行いました.期待値の復習はしませんでしたが,必ず計算できるようにしておいて下さい.
 さて本題ですが,まず「どうして株を買うのか?」から始めました.株を購入するとどんなメリットがあるのか?それをインカムゲインとキャピタルゲインに分けました.一般的に株というと,株を高く売って大儲け,というキャピタルゲインについつい気を取られがちですが,株本来の価値はインカムゲインにより決まると考えられそうです.売ってはいけないカードの話をしましたよね.その話を基に,ファンダメンタル分析について説明しました.将来受け取れる配当の現在価値の合計を基準にして考えます.
 一方のテクニカル分析ですが,こちらはチャートと呼ばれる株の値動きの図から将来を予測するものですが,あまり学術的にしっかりとした裏付けがあるものではありませんので,説明は省きました.
 その後,効率的市場仮説とは何か?を簡単に説明した後,リスクへの対処方法について説明しました.最大のリスク対策は「卵は分けて持て」です.今回はリスクヘッジの一例を計算してみました.
 これでひとまず株については終わりです.最後がややドタバタしたので反省しております.興味がある学生は,いきなり本物に手を出すのではなく,バーチャル取引などで実戦訓練を積んだ後に,資産運用を始めるべきだと思います.

参考:野村證券のバーチャル株式投資倶楽部(無料)
http://www2.nomura.co.jp/vstock/VirtualServlet
【おまけ】
 宣伝?したODA民間モニターにはずいぶん関心を持った学生も多いようで,紹介した僕も嬉しいです.

2007年5月14日月曜日

経済政策論 第6回

 今回は少子化のラストです.

【授業の内容】
 まず前回の課題を発表してもらいました.
1.徳島の少子化の実態
 2005年から2006年の合計特殊出生率の下げ幅は全国で一位タイであった.2005年と比較すると,若年層の出産が減り,30代の出産が増えたという特徴がある.また2000年から2005年の下げ幅も全国ワースト.急激に出生率が下がりつつある.

2.徳島が抱える問題点
・産婦人科の不足
・非正規労働者の増加
・正規労働者の賃金の低迷

3.自分なりの少子化対策
・再就職支援,就業継続支援
・育児休暇
・児童手当の増額,扶養控除
・産婦人科の増員
・休日,夜間医療の充実
・乳児保育,延長保育
・教育費用の軽減
・若年層の減税
・子育てサービス
・放課後の小学生の安全な遊び場(学童保育)
・少子化対策を行う企業への補助金,税制優遇

 以上,列挙しただけでも多くの意見が出てきました.この3回の授業を通じて,問題の調べ方,考え方が少し身に付いてきたのではないでしょうか.

【課題】
 次回は「日本企業の海外進出」に決まりました.テーマにまつわるデータを幅広く探してきて下さい.

経済学Ⅱ 第6回

 今日は引き続き,生産者(企業)の行動について説明しました.ややこしい所なので,予定よりゆっくり説明したつもりですが,理解できました?

【授業の内容】
 前回配布したプリントを使い,生産量の変化と共に収入,様々な費用,そして利潤がいかに変化するのかを計算しました.利潤を最大にするポイントは価格と限界費用のバランスでした.生産量を1つ増やすと価格分だけのお金が収入として入ってきますが,その生産のために新しく発生した費用(限界費用)がかかります.その関係をまとめると次の通り.
1.価格>限界費用
 この場合は生産を増やすことで利潤が増えます.
2.価格=限界費用
 この時は生産してもしなくても利潤に変化はありません.
3.価格<限界費用
 この場合,生産することで利潤が減ります.

 つまり,1のケースでは生産を増やし,3のケースでは生産を減らす,それを繰り返せば自然と2のケースに落ち着くはずです.また,この関係はグラフでも確認しました.
 応用として,価格が変化すると企業の行動にどのような変化が出るかを見てみました.価格が上がれば生産量は増え,価格が下がれば生産量は下がるようです.この関係だけを抜き出してみることで,右下がりの供給曲線を描くことができました.さらに,価格が低いときにはどんなに上手く生産しても赤字になってしまうようです.しかし,生産すると赤字になるからといって,必ずしも生産を中止するとは限りませんでした.その鍵は固定費用の存在にあるようです.
 来週は,このような価格の変化が黒字・赤字を決めること,そして赤字でも生産を続けることについて,もう少し詳しく見てみます.

【課題】
 今日の範囲はややこしいので,必ず復習すること! 

2007年5月11日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第4回

 今日は前期の山場であるスルツキー分解をやりました.かなり抽象的な話なので,なかなか理解しにくい所だと思います.「難しい」と連呼したためか,みんな集中して聴いていたように感じました.

【授業の内容】
 まずは復習を兼ねながら,代替財補完財の説明を行いました.財と財との組み合わせが無差別曲線の形状に影響を与えるようです.代替財の組み合わせ,補完財の組み合わせがそれぞれどうしてあのような形の無差別曲線になるのか,理解できましたか?
 次に「所得の変化と消費」について話しました.所得が増えると,一見してどんな財も消費が増えそうに思いますが,必ずしもそうとは言えません.カップラーメンなどの廉価品は所得の上昇により消費が下がります.付け加えれば,廉価品の購入を止めて,より高価な代替品(ラーメン屋のラーメンなど)を買うようになります.このように所得が増えると消費が増える財もあれば,消費が減る財もあるようです.前者を上級財(普通財)と呼び,後者を下級財(劣等財)と呼びます.
 最後に「価格の変化と消費」の関係を説明しました.サンドイッチとお弁当という2つの上級財があるとして,お弁当財の価格が下がった時,我々は2つの心の動きを感じるはずです.
①「お弁当が安くなったからたくさん買おう.サンドイッチは以前に比べて(相対的に)高く感じるので買う量を減らそう.」
②「(お弁当価格の低下により)前より食費に余裕が出てきたから(実質所得の上昇),どっちもたくさん買おう.」
 この①の気持ちを代替効果と呼びます.相対的に高くなると購入を控え,相対的に安くなるとより多く購入するわけです.
 対して②の気持ちは所得効果と呼ばれます.本当の予算は変化していないけれど,お弁当の値下げで実質的に豊かになった気がするために,上級財であるサンドイッチとお弁当の消費を増やしたのです.
 このように価格の変化が引き起こす消費の変化を,代替効果と所得効果の2つの視点で捉えることをスルツキー分解と呼びます.また2つの効果をグラフでも確認しました.ここは非常にややこしい話ですので,来週も引き続きスルツキー分解の説明です.

【課題】
 本当にややこしい話なので,必ず復習をして下さい!テキストで言えば,pp.148~164です.指定したテキストでなくても,ミクロ経済学の本ならスルツキー分解の話はまず載っているでしょうから,自分に合う本を探してみて下さい(→図書館へ!).良いですか?必ずテキストで復習して下さいよ!

総合政策演習D 第5回

 昨日の講義でしたが,書くのを忘れてました・・・.昨日もこれまでと同様,テスト,その後解説でした.第5回を以て,僕の担当はひとまず終わります.次回からは橋本先生が言語問題を担当されます.

【授業の内容】
 テストは前回の復習4問,予習範囲から4問,時事問題2問の計10問でした.時事問題は,フランス大統領選と,日本の貿易協定でした.フランス大統領選はあれだけ新聞でもテレビでも取りあげられてたわりに,意外と知らない学生が多いようです.あれだけ言っても未だに新聞を読んでないんだなぁ.
 非言語問題の解説では,n進数→10進数の変換,10進数→n進数の変換に多くの時間を割きました.これまでにどこかで習ってきてるのでは?と思ったけどそうでもないんですねぇ.僕は大学の時に情報処理(?)の講義で習ったような気がします.
 続いて,資料解釈空間把握などの説明をしました.空間把握はバリエーションも多く,元々苦手という人は少し辛いかもしれません.一方,資料解釈はそんなにひねりもないだろうし,社会に出てからも最低限必要な能力だと思います.必ずできるように復習しておきましょう.
 今回のテストではかなり成績が2極化しているような気がします.ちゃんと予習復習している人は8点以上を取っていますし,復習をしていない,あるいは授業そのものにあまりでていない,といういささか問題ある人は3点ぐらいしか取っていないようです.多くの人が年明けには受けるであろうSPIの本番のことを考えると,今の段階でも7点ぐらいは取って欲しいものです.

 最後になりますが,僕が担当した5回の講義で行った4回のテストについては皆さんの成績を集計したデータを近日中に水ノ上ホームページで閲覧できるようにする予定です.もちろん,集計したデータなので個人を特定することはまったくできません.

2007年5月10日木曜日

開発経済学 第5回

 今日は工業化と貿易についてでした.日本とASEANとのEPAが大筋合意しましたし,先日はオーストラリアと交渉を開始するなど,日本も諸外国との貿易協定に本腰を入れてきたようですね.

【授業の内容】
 さて,日本は自由貿易協定をなぜ今、結ぶのか?というのが今回のテーマです.かつて途上国であった日本も輸入代替工業化戦略により,産声を上げたばかりの自動車業界を保護して育て上げた実績があります(幼稚産業保護政策).しかし,今はどこでも自由貿易,市場の開放,グローバリゼーションを押し進めているようにも見えます.それはなぜか?輸入代替工業化戦略にはいくつかデメリット,あるいは前提条件がありました.前提条件としては,国内市場がある程度大きい必要があります.小さな市場では規模の経済が働かず,効率的な生産ができません.また幼稚産業もある程度大きくなると,国内市場を食い尽くしてしまうため,更なる成長を望めば必然的に輸出へと転換せざるを得ません.また,輸入代替,つまり輸入障壁を設け,外国製品の流入を防ぐ手段の1つとして自国通貨安への誘導があります.しかし,これは貿易収支の悪化を招く恐れがあります.
 赤松要の雁行形態論によれば,輸入代替生産をしていた部門も成長すれば輸出に転じることになります.では,次に輸出指向工業化戦略についてですが,こちらのメリットは,まず,比較生産費説が挙げられます.比較生産費説とは,比較劣位にある産業が淘汰され,生産資源が比較優位にある産業に移るため,国全体として豊かになります.また貿易相手についても同様のことが起こりえるため,貿易により両国が豊かになるというものです.
 次に,貿易により技術が伝播することが考えられます.実は中国は15世紀あたりまでは世界最高峰の文明を誇っていました.製紙法,火薬,羅針盤,印刷術などはすべて中国で発明されています.しかし,その後は西洋との交流が途絶えたため,中国文明の相対的地位は徐々に下がっていきました.産業革命が鎖国した中国ではなく,7つの海を制したイギリスで起こったというのも象徴的です.
 最後になりましたが,なんといっても貿易の自由化は競争を引き起こします.国内企業も安穏とはしていられません.競争は成長にとっては重要な要因なのです.

2007年5月9日水曜日

総合政策演習B1① 第4回

 なんだかずいぶん久々という気がしますね.みんな僕が繰り返し「勉強しろ!」というのにも耐え(?),ほとんど脱落者もなくがんばっていて心強いです.

【授業の内容】
 今回は前回配った微分のプリントから始めました.といっても,普通の微分はみんな問題なく使っているようですので,いきなり偏微分から始めました.この偏微分は,「経済数学入門」及び「ミクロ経済学ベイシックⅡ」で既に使っていたので,あまり問題ないと思います.
 公務員試験のミクロの範囲で,この偏微分を使うのはてっきり複占だけだと思っていましたが,コブ=ダグラス型生産関数でも若干必要になります.今日の本題は,指数法則の復習と確認,そして指数法則を使って,ちょっとややこしくて間違えやすい微分の問題を解きました.
 最後は,上記の知識を活用した実戦問題として,コブ=ダグラス型生産関数の問題を解きました.数学的には大したことありませんが,慣れるまで言葉がわかりにくいですよね.一次同次とか,収穫逓減,収穫一定,収穫逓増など.というわけで,今回も「復習第一!」です.

【おまけ】
 「コブ=ダグラス型生産関数」って言いにくいですよね.それとも僕の滑舌(かつぜつ)が悪いのだろうか・・・?

2007年5月8日火曜日

基礎総合演習A 第4回

 今回は「チーム四国」のメンバーにテキストの第2章について発表してもらいました.また,各チームの運用方針も決まったようです.

【授業の内容】
 3人の発表を基に,株の銘柄選びに使えそうなアイデアをいくつか挙げてもらいました.結果,各チームとも情報収集は別として,テクニカル分析でやっていくようです.財務指標なんかはやっぱりややこしそうだから敬遠されたのかな?
 ということなので,しばらくはテクニカル分析を使って予想をしてもらいます.果たして結果はどうなるのでしょうか・・・?ちなみに僕はテクニカル分析についてはかなり懐疑的です.

【課題】
 「チームきびだんご」は来週,テクニカル分析のミニ講義をやってもらいます.講義をするのがどれだけ手間がかかるか,良い体験になるでしょう.他のチームも自分たちで少しは基礎知識を身につけてきて下さい.

経済学A 第5回

 今回は少しだけ株について触れましたが,なかなか本論まで辿り着きませんねぇ.来週こそはなんとか株の話を終わらせるつもりです.しかし,題材は株ではありますが,他の選択にも応用できそうな合理的な判断についても話しているつもりです.
 それにしても,今日の授業は皆さん静かに,そしてまじめに聴いていたように思います.僕としても非常に講義しやすく楽しかったです.

【授業の内容】
 アンケートによると株に関心のない学生も少なからずいたので,株で大成功した人の話から始めました.一昨年のジェイコム株とか,ウォーレン・バフェットさんの寄付など株にまつわる話はしばしばニュースになりますね.
 その後,前回授業の最後に伝えた選択について説明しました.結論は大方の人の予想通りだったかもしれませんが,現在(割引)価値という考え方は目新しいものではないでしょうか?n年後の預金と,n年先のお金の現在価値,この2つの計算は必ずできるようにして下さい.外貨預金という言葉もちょっと出てきましたね.5%の利子率なんて日本では考えられませんが,果たしてそんなうまい話があるんでしょうか?近いうちに説明します.
 次に,「株に向いているかクイズ」と称して,またもや選択をしてもらいました.選択2,選択3ともにみんなの意見にはばらつきがありましたね.これらの選択を2つのモノサシを使って説明しました.その2つとは,期待値リスクです.細かい定義はレジュメに書いてありますが,それより中身をイメージできるようになりましたか?期待値に関しては計算もできるようになって下さい.
 という話をしていると,時間がなくなってしまいました.今回のレジュメは次回も使うので忘れず持ってきて下さい.来週こそは株の話を終わらせます!(予定)

2007年5月7日月曜日

経済政策論 第5回

 前回に引き続き「少子化対策」です.が,一転して「一歩進んだ検索のやり方講座」のようになりました.この授業だけでなく,学生というのは調べ物をする時に,まずネットをあたるようです.まぁ便利ですからね.
 ただし,どうも検索のやり方があまり上手ではないようです.そのために,なかなか思うように情報を見つけ出せていないように感じられたため,実際にみんなで検索してみました.課題として与えられたキーワードをそのまま調べるのではなく,「欲しい情報はどんなサイトにあるのか?」という点を意識して,少しキーワードを変化させて調べると情報を見つけやすいようでした.

【授業の内容】
 前回の課題は以下の3つ.
・結婚を促進させる政策を採る自治体はあるか?
・国,地方自治体の少子化対策
・自分なりの少子化対策
 1つめの結婚政策?を上手く探せていなかったので,検索の説明をしました.結果,予想より多くの自治体が結婚対策を行っていました.三重県紀勢町では,キューピット条例なるものがありましたし,山形県,大分県などでも男女の出会いの場を増やす努力をしているようです.県がこれだけがんばっていると,民間の結婚紹介所の経営は大変なのでしょうか?結婚政策の効果はいかほどなのでしょうか?疑問はつきません.
 次に少子化対策ですが,多くの県では子育て家計に対する買い物優待カードを発行しているようでした.石川県のプレミアムパスポートを使えばスーパーのサティで食料,衣料品が5%offになるようです.その他,児童手当,児童扶養控除,出産一時金,保育所の延長など,様々な政策が報告されました.また,企業の努力としては,ソフトバンクが第3子の誕生に100万円をプレゼントする,といった例もありました.
 と,2つ報告したところで時間切れなので,自分なりの少子化対策は来週に持ち越しです.

【課題】
・自分なりの少子化対策を磨き上げてくる.
・徳島県の少子化の実態を調べる.
・徳島県の少子化対策の問題点を探る.

経済学Ⅱ 第5回

 今日からは生産者(企業)の理論についての講義です.これまでの主役であった消費者(家計)と異なり,皆さんは生産者ではないので,なかなか想像しづらい面もあるかもしれません.

【授業の内容】
 今日は「労働者を何人雇うべきか?」という生産者の決定を,ケース1(パン屋の場合)とケース2(自動車企業)別に考察しました.
 「企業がどのように行動するべきか?」を決定するためには,まず企業の目的を設定する必要があります.ここでは企業の目的は「利潤を最大化すること」です.その他,いくつかの決め事がありました.以下に列挙します.
定義
利潤=収入-総費用
収入=価格×生産量
仮定
・パン屋では,労働の限界生産力は減少し続ける.
・自動車工場では,労働の限界生産力は上昇した後,減少する.

 狭いキッチンでパンを作るパン屋は小規模な企業,大きな工場でさまざまな役割分担がある自動車工場は大規模な企業を表しています.
 限界生産力の他,新しい言葉がいくつか出てきましたね.限界利潤,固定費用,可変費用,ちゃんと覚えていますか?

 今日配ったプリントは水ノ上のホームページの「ファイルDL」からダウンロードできます.

【課題】
 日曜日の夜に,今日書き込んだ表を少しでも眺めてイメージを思い出して下さい.そうすると来週の講義がずいぶんわかりやすくなると思います.

2007年5月6日日曜日

開発経済学 ODA民間モニターのお知らせ

 以前に講義で少し話しましたが,外務省主催による2007年度の「ODA民間モニター」の募集が始まりました.締切は5月23日必着です.
 日本のODAや途上国の現状を知るにはこれ以上ないチャンスですし,モニターを希望する学生がいれば相談に乗ります.言うまでもなく「開発経済学」に関連した話なので,モニターとして学んでくれば成績の面で評価します.

日程と訪問国
第Ⅰ期 7月21~28,29日
派遣国:インドネシア,エチオピア,中国
第Ⅱ期 8月17,18~25,26日
派遣国:カンボジア,カメルーン,ホンジュラス

 第Ⅰ期もなんとか期末試験に重ならずに行けるのでは?もし重なっても,早めに事情を話しておけば,先生方も協力してくれると思います.

ODA民間モニターの詳細はHPにて
http://www.apic.or.jp/monitor2007/ 

2007年5月2日水曜日

経済学A 第4回 アンケートへの返答

 第4回講義のアンケートの集計結果は水ノ上のHPからダウンロードできます.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/filedl.html

 ここでは自由記述で学生から寄せられた質問や苦情に返答します.授業中にすべての質問に返答していると時間を取られちゃうので,授業では一部の質問のみに答えます.

【苦情】
 多いものから順番に挙げていきます.
板書に関するもの(16人)
 まず
字が汚い(見にくい)
 これに関しては言い訳できません・・・.ついつい字を適当に書いてしまっています.「とりあえずわかるだろ」と思っているのですが,以後気をつけます.字が小さいというのもありました.こんな大教室でやる機会があまりないので,油断すると小さな字で書いてしまったりします.
どこをレジュメに書き写すのかわからない 
 これについては,第1回目の講義でも少し話しました.これまでの高校の授業と勝手が違うので慣れないかも知れませんが,皆さんには話を聞きながら「ここはメモする必要がある」「ここは要らない」という判断をして欲しいのです.なぜそんなことをする必要があるか,というとノートが取りやすいように喋ってくれるのは高校まで(あるいはせいぜい大学まで)です.社会に出たらそんな優しい人はなかなかいないものです.
 その他,「板書が速い」,「図がゴチャゴチャしている」,「レジュメの空きスペースが少ない」との意見もありました.

学生の私語について(11人)
教室がざわついている(周りがうるさい)
 まあ,入学して1ヶ月が過ぎて友達とも仲良くなり,ついつい話したくなるのはよくわかります.私語が多いと前で話している僕は非常にやりづらいです!しかし,僕があまり注意しないのは皆さんを子供扱いしたくないからです.とはいえ,僕だけでなく授業に出ている皆さんも迷惑しているとわかったので,これからはもっと厳しくしたいと思います.皆さんも気をつけて下さい.

全体的にわかりにくい(3人)
 「真面目に聞いているのにわかりにくい」という人はごめんなさい.今後気をつけます.ただ,僕はなるべく合間,合間にちゃんと理解できているかを問いかけていますので,そこで手を挙げて反応して下さい.どこがわかりにくいか言ってくれれば,より上手く説明できると思います.
 「あまり話を聞いていないのでわかりにくい」という人は,それは当たり前です.真面目に聞かなくてもちゃんと理解できる内容なら,わざわざ大学で学ぶ必要もありません.

専門用語について(3人)
 専門用語を多用するため,わかりにくいという意見がありました.確かに経済学では直感的に理解しにくい言葉が多く出てきます.僕は(当たり前ですが)自分ではわかっているので,みんなもわかるだろう,とたまに勘違いしている場合があります.より正確に言えば,僕が認識しているその言葉の概念と皆さんが認識しているものが違うにも関わらず,違いに気づかないことがあるのです.とにかく,ややこしい言葉はなるべく繰り返し説明するよう気をつけます.

声が聞こえにくい(2人)
 あの教室の設備は手持ちのマイクなんですが,慣れていないんです.近づけ過ぎるとうるさいし,話すと聞こえないし,難しいです.今後努力します.

★少数意見(各1人)
経済学に興味が持てない
 う~ん,僕のアピール不足もあるのかもしれません.結構おもしろいですよ,経済学.
今の経済状況を話して欲しい
 これは追々,折に触れて話したいと思います.正し,ある程度基礎的な知識(前回と今回話したマクロ経済学)がないと,ただの現状説明だけで,「なぜそうなったのか」,「これからどうなるのか」を説得力持って語ることができないのです.今後は話します.
初回のような講義の方が興味を持てる
 確かにマクロ経済学というのは,話が壮大すぎるというか,なかなかピンとこないかもしれません.ただし,僕の専門はマクロではないので,そうじゃない話の方が好きなので今後は初回のような話もたまにはできると思います.

【質問】
実質と名目の違いがわからない,計算がわからない(10人)
 この違いは経済学では非常に大切なところです.そのため,今後もしばしば出てきます(おそらく来週も).ですので,今,違いがきちんと理解できなくても何度か説明しますので,そこで確認してみて下さい.いくつか他の例も出てきます.簡単に言えば,名目GDPは国の生産力を示すのですが,物価の変動によっても左右されるものです.実質GDPは物価の変動を排除して,国が持つ生産力そのものを示すものだと言えます.
 今回のGDPの計算の所は,たぶん復習することがないのでなるべく今のうちにできるようにして下さい.友達同士で教え合う,もしくは授業の後,あるいはオフィスアワーなどを利用して,僕に直接聞いて下さい.

★その他の質問
このブログにコメントを書き込む方法がわからない
 書き込む手順は次の通りです.
①僕の文章の下にある”○コメント”(○にはコメントの数が入る),または”コメントを投稿”という所をクリックします.
②すると投稿フォームが出てきますので,右側のコメント投稿欄に書き込みます.同時に書き込む人の個人情報を選択する欄がありますが,”その他”を選ぶと自分の名前やHPアドレスの記入欄があります.”匿名”を選ぶとそのまま匿名で書き込めます.
③最後に下にある”コメントを公開”ボタンをクリックしたら完了です.ただし,コメントがブログに反映されるまでには少し時間がかかります(承認制のため).
 誰も書き込んでくれず寂しい思いをしていたので,また感想などを書き込んで下さい.書き込んでも別に良いことも悪いこともありませんが・・・。
GDPの基準年を決める必要が分からない
 基準年とは,「その年から物価が変動しなかったら・・・」という基準です.基準年を設定することで,GDPの動きから物価の変動による影響を取り除くことができます.それにより,実質GDP,つまり国が持つ本質的な生産力(どんな車を何台生産したか,どんなサービスをどれぐらい提供したか,など)を数値化することができるのです.わかりにくいかな・・・?
 ただし基準年をいつにするか,については特に根拠はないと思います.授業で2005年にしたのはキリが良いから,という理由だけです.
新古典派の政策はなぜ長期にわたって経済を活性化するのか
 新古典派の政策のキーワードとしては,「経済の自由化」や「規制緩和」が挙げられます.規制緩和の一例として,農業を挙げると,かつては農業というのはいわゆる農家が行うものでした.しかし今では(条件は厳しいものの)企業が農業に参入することが認められました.つまり農業に参入するための規制が緩和されたのです.これにより,今まではできなかったような大規模な農業工場が建設され,大量に安い野菜が市場に出てくるかも知れませんし,企業が他分野で蓄積してきた先端技術が農業に応用されて,新しい品種が生まれるかもしれません.
 このような経済活動の影響は,一時的に景気を活性化する道路工事とは異なり,長期的な経済活動となりうることは理解してもらえると思います.ただし,規制緩和により民間の競争を促すことは,勝者を生むと同時に敗者も生み出します.例えば,企業が農業に参入したことで,これまで規制に守られてきた農家はひょっとしたら潰れてしまうかもしれません・・・.また機会があれば,このような話もしたいと思います.とにかく,関心を持ってくれると僕も嬉しいです.

2007年5月1日火曜日

基礎総合演習A 第3回

 今日は前回に引き続き?,株価を決定する要因について考えてみました.

【授業の内容】
 前回,各チームで株を買う,そして買った理由を説明する,という課題を出していたのでその発表から.全員がちゃんと時間通りに集まっていたのは良いですが,課題についてはどうもキッチリ、という感じではなかったですねぇ.
 いずれにせよ,値上がりする株を知るためには将来の配当が重要であるようですね.では次に将来の配当を知るには・・・?
 まだグループ作業が苦手なようなので,今回は各自に課題を出しました.僕としてはついつい先を焦ってしまうのですが,まぁゆっくりやっていくことにしましょう.

【課題】
 テキストの第2章を各自でA4に2枚程度にまとめてくること.ただし注意する点は,次の2つ.
株に関する知識があまりない人が読むと想定すること
何のために課題が与えられたのか,ちゃんと考えること.課題をこなすことがゴールではない.

経済学A 第4回

 今日はGWの谷間,しかも雨にも関わらず多くの学生が出席してくれました。出席するのは当たり前と言えば当たり前かもしれませんが,僕が学生ならサボってたかもなぁ.

【授業の内容】
 今日の内容は大きく分けて2つ.
・マクロ経済学のつづき(景気回復策について)
・名目値と実質値

 マクロ経済学については,前回の知識を基に「ケインズ派はいかにして景気回復するか」を説明しました.政府が公共事業などにより支出すると,どのような流れでGDPを増やすことになるのか,確認できましたか?
 ポイントは政府が支出した額よりもはるかに大きい効果がGDPにもたらされる点です.

 さて,今日のメインは名目値と実質値.長期に渡る資産運用のためには両者をきちんと把握しておくべきです.両者を分けるポイントとなるのは物価でした.名目値というのはその年,その年の物価で測った値であり,実質値は基準となる年の物価で測ったもの,つまり物価の変動を除外した数値です.具体的な例としては,名目GDPと実質GDPの計算をしてみました.
 来年,再来年までの範囲で考えるのなら物価はほぼ除外して考えて良いのですが,資産運用というのは数十年単位で考えるべきものなので,物価を無視することはできません.ちなみに毎年3%づつ物価が上昇したとしても,およそ24年で物価は倍になります.塵も積もれば山となる,と言いますよね.普段の生活では,あまり物価の変動を意識することはありませんが,長い目で見ると物価を無視することのできません.

【来週までの質問】
 今すぐ100万円をもらうのと,5年後に100万円をもらえるのなら,どちらが良いですか?またその理由も考えて下さい.