2007年11月29日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第10回

 今日は中間テストでした.みんな結構がんばってたみたいですね.お疲れさま.

 テストの解答はHPに掲載してあります.平均点などは週明けに公表する予定です.

 今日の範囲は期末テストでも出題するので,きちんと復習しておきましょう.質問があればいつでもどうぞ.

経済数学入門 第11回

 今回はオペレーションズ・リサーチの基礎として,線形計画法を学びました.オペレーションズ・リサーチは2年次以降の配当科目でもあります.

【授業の内容】
 まずは領域の確認をしました.1次関数や2次関数の領域の問題はSPI(民間企業の筆記試験)でもよく出題されるので,きちんと身につけておいて欲しいところです.
 続いて,他に機会がないので,ここで数式による円の表現を説明しました.原点を中心とするものを基本として,そこからシフトさせれば様々な円が描けます.
 その後,本題の線形計画法でしたが,わかりました?2通りの説明をしたのだけれど,わかってくれたでしょうか?最後は駆け足になってしまいましたが,課題にも挑戦しておきましょう.

総合政策演習B1② 第11回

 今回は独占の続きで,主に複占の問題を解きました.

【授業の内容】
 複占の問題には状況に応じて,4つの解法があります.
・クールノー均衡(同時手番,生産量を決定,敵対的)
・ベルトラン均衡(同時手番,価格を決定,敵対的)
・シュタッケルベルグ均衡(逐次手番,生産量を決定,敵対的)
・共謀(同時手番,生産量を決定,協調的)
 このうち上の2つは前回やったので,今回はシュタッケルベルグ均衡と共謀を説明しました.これらは共に,ミクロ経済学ベイシックでは扱わなかった問題です.非常に紛らわしいので,特にきっちりと復習して下さい.

 その後,独占的競争の説明をしました.グラフを使って,短期と長期の違いを説明しました.これはミクロ経済学ベイシックでもやりましたね.寡占も既にやったことがあるので,簡単に説明しようと思っていたのですが,タイムアップでした.

【課題】
 みなさんちゃんと復習できていない様子です.公務員試験は中途半端に勉強して受かるぐらい簡単な試験ではないので,キッチリやるか諦めて民間を目指すか,そろそろハッキリと区別をつけて下さい.
 来週は価格理論です.配ったプリントを必ずやってきましょう.

経済学Ⅰ 中間テスト結果

 中間テストの採点が終わりました.

平均点:12.1
標準偏差:5.6

 ちなみに30点満点です.最高点は21点,最低点は0点です.10点以下の人が数人いましたが,このままだとかなり危険です.そのため,なんらかの対処を考えています.

 自分の点数が知りたい人は,直接研究室まで来て下さい.なお,点数が悪い人にはポータルサイトを通じて連絡するかもしれません.

2007年11月27日火曜日

基礎総合演習B 第11回

 今日は株以外の資産運用方法として銀行預金について発表してもらいました.

【授業の内容】
 今日のチームは個別の銀行について,預金の種類や利率などを調べたようです.ずいぶんいろいろあるようですね.ただし,高い金利をもらえる預金と,低い金利しかもらえない預金には,それぞれ傾向があるようでした.
 本来は預金の話だけで良いかと思っていたのですが,銀行の役割やローンについてにまで話が膨らみました.預金保険機構についは,思ったよりみなさん知らなかったようですね.まぁペイオフが話題になったときにはみなさん高校生でしたしね.2年生以降に取る講義で改めて学ぶことになると思います.

 後半はテクニカル分析についての発表でしたが,前回よりは良いかもしれませんが,あまり準備が整っているとは言えない印象でした.

【課題】
 来週はギャンブルと金投資についての発表です.ギャンブルについての発表は楽しみですね.

経済学A 第11回

 今日は年金でした.

【授業の内容】
 年金は社会保障制度の一環です.そのため,まずは社会保障制度とは何かを説明しました.簡単に言えば社会保障とは,相互扶助(助け合い)の規模を大きくしたものと言えます.人に様々な不幸が降りかかった場合に,みんなで援助することですね.年金の他には失業保険,健康保険,災害援助,生活保護など数多くの種類がありますが,これらは保険的方法のものと,扶助的方法のものとに分類できました.
 次に年金のシステムとして,積立方式賦課方式があることを説明しました.現在の日本の公的年金は賦課方式と考えて構いません.この賦課方式の仕組みさえ理解すれば,年金のどこに構造的な問題があるのかわかると思います.少子高齢化がこれだけ問題視されるのも,日本の年金制度が事実上賦課方式であるためです.これが積立方式なら少子化による弊害もほとんどなくなるでしょう.

 年金の大まかなシステムを説明した後,具体的な話に移りました.
 日本の年金制度は2階建てだ,としばしば言われます.つまり国民に共通な1階部分と,職業により異なる2階部分です.それぞれどのような年金があるのか確認しました.
 さらに誰もが加入する国民(基礎)年金について様々な説明をしました.老齢年金以外にも障害年金や遺族基礎年金があることは見過ごされがちですね.

 最後に現在の年金問題について駆け足で説明しました.皆さんはこれで年金の基礎的な知識を身につけたはずです.20歳になると国民年金に加入することになりますが,あなたは保険料を払いますか?払いませんか?

2007年11月26日月曜日

経済学Ⅰ 第10回

 今日は中間テストでした.

 今週中に解答をHPに掲載したいと思っています.自分の点数が知りたい人は木曜日以降に来て下さい.(まだ採点していないので)

 採点終了後に,このブログで平均点や分布などの情報をお知らせします.

2007年11月22日木曜日

経済数学入門 中間テスト結果報告

 中間テストの採点と集計が終わりました.

受験者数:58名
平均点:9.28/20点満点
標準偏差:5.76

変更点
 「15点未満は呼び出し」と言いましたが,残念ながらかなり人数が多いため,全学共通センターでの学習を義務づけるのは12点未満ということにします.もちろんそれ以上の点数の人も勉強したければ歓迎します.
 というわけで,全学共通教育センターで勉強すれば12点未満の人も,12点を取ったことにします.

【おまけ】
                                    点数の度数分布表
 点数の度数分布表です.0.5点刻みなのでこまかいため,わかりずらいですが,ほぼ一様に分布しているようです.


















散布図(METと中間テスト)
 入学当初にやった数学の基礎力試験と,中間テストの点数には左図からも明らかですが,正の相関があります.
 相関係数は0.693で1%水準で有意です.








                      散布図(出席回数と中間テスト)
 出席回数と中間テストの成績は,右図からだとわかりにくいですが,こちらも正の相関があります.すべて出席している人の中でも成績にばらつきがあることがわかります.しかし出席回数が少ないほど平均点も低い傾向があることがわかりますね.
 相関係数は0.465で,こちらも1%で有意.


2007年11月21日水曜日

経済数学入門 第10回

 今日は中間テストでした.ほんとはテストの後に講義をする予定でしたが,みなさんの力強い反対に遭い断念しました.まあたまにはこういうのも良いでしょう.

【授業の内容】
 中間テストのみ.

お知らせ
1.テストは早めに採点します.20点満点中15点未満の学生にはポータルサイトを通じてお誘いの連絡が行きます.お誘いを受けた学生は今年中に全学共通センターに行きましょう(毎週月曜日の5限,メディアセンター6階).どうしてもその日に都合の悪い学生は僕に相談して下さい.
 なお連絡を受けたにも関わらず今年中に来なかった学生は直接呼び出します

2.解答は今週中にHPのダウンロードのページに掲載予定です.

3.自分の点数を知りたい学生や,評価に不満のある学生は来週中に研究室まで来て下さい.

【感想】
 まだ少ししか採点していませんが,予想よりは悪いです….
 授業の改善方法を書いてくれた人,ありがとう!良さそうな案は使わせてもらいます.

総合政策演習B1② 第10回

 今日は複占の解法を説明しました.

【授業の内容】
 今日はクールノー均衡ベルトラン均衡の問題を解きました.シュタッケルベルグ均衡共謀についても説明したかったのですが,時間が足りませんでした.この辺は難しい(というより,ややこしい?)だけによく出る問題だと思います.

 クールノーは企業が同時に生産量を決定するんでしたよね.企業は利潤が最大になるよう,MR=MCに沿って行動します.両企業の最適反応が得られたら,それを連立方程式で解く,というのがパターンですので覚えましょう.

 ベルトランは企業は同時に価格を決定するという仮定です.価格で微分するというのは公務員試験ではここだけだと思います.その他の問題は生産量で微分する問題ばっかりですよね.こちらも利潤を最大になるように計算すると,最適反応が得られます.こちらも最後は連立方程式で解きます.

 実はどちらも考え方としてはナッシュ均衡になっているのに気づくでしょうか?互いの最適反応から,均衡点が定まります.そのため,それぞれクールノー・ナッシュ均衡,ベルトラン・ナッシュ均衡とも呼ばれます.

 最後に少しだけ説明したシュタッケルベルグ均衡は,上記の2つとは異なり,時間の流れがあります.ゲーム理論で言えば逐次手番ゲームなのです.先にある企業が生産量を決定し,それを受けて,ライバル会社が生産量を決定するゲームです.こっちは自分で予習しておきましょう.来週はこのシュタッケルベルグ均衡から始めます.

【課題】
 復習は忘れずに!シュタッケルベルグ均衡と共謀についても説明を読んでおきましょう.

2007年11月20日火曜日

基礎総合演習B 第10回

 株価変動の原因を探るのは今回で終わりです.これまで学んだ内容を活かした良い発表でしたね.

【授業の内容】
 今日の題材はヤマダ電機でした.この企業を選んだ理由は聞き忘れましたが,なかなかおもしろい選択をしてくれたと思います.というのは,この企業は今流行りのM&Aに積極的だからです.この1年間だけでも何度も他社を買収していましたね.
 また週刊誌や新聞等で法令違反について取りあげられています.こちらのコンプライアンス(法令遵守)も最近ホットな話題です.食品の偽装発覚のニュースは特に良く耳にしますね.この企業は主に国内で仕入れ国内で販売するというドメスティックな企業なので,これまでの2社との対比にもなりますね.トヨタは輸出が重要だったし,マクドナルドは輸入が重要でした.というわけでヤマダ電機は円ドルレートには反応している様子はあまり見られません.
 ただしヤマダ電機の特徴としては上げ幅,下げ幅ともに日経平均と比べるとずいぶん大きいことが指摘されました.この理由はわかりませんが,外国人の持ち株比率が高いことも一因かもしれませんね.

 さて,3チームのこれまでの発表から,株価の変動要因が何なのか,だいたいのイメージはつかめたのではないでしょうか?全員に1つずつ挙げてもらいましたが,僕としては十分に合格点があげられる答えだったと思います.皆さんよく勉強しました.

 これまで株式ばかり勉強してきましたが,お金を増やす手段は株だけではありません.来週からは他の金融商品(だけじゃないけど)について発表してもらいます.

【今後の予定】
11/27 チームピーコ「預金について」
12/4 チームコーナーザマーケット「ギャンブル,金(きん)について」
12/11 チームマネータイガー「投信,為替(ドル)について」

経済学A 第10回

 今日は携帯市場を例に独占市場と完全競争市場について説明しました.

【授業の内容】
 今はまだあまり話題になっていませんが,2008年3月には昨年のソフトバンクに続いて,新たな企業(イー・アクセス)が携帯電話の音声サービス市場に新規参入します.果たして経済学の視点から,新たな企業の参入が市場にどのような変化をもたらすのでしょうか?

 まずは完全競争市場の条件について学びました.完全競争市場とは,経済学者の理想郷とも言うべき市場です.授業で紹介した条件がすべて満たされると,その市場で生産している企業には利潤がまったくでません.競争が熾烈すぎるため,少しでも儲かっていたら,新たな企業が参入してくるため,どんどん財(商品やサービス)の価格が下がってしまうのです.つまり企業は完全競争市場ではどんなにがんばっても儲からないのです.
 逆に完全競争市場ではない市場(不完全競争市場)では利益が出る余地があります.完全競争市場の条件を満たさないケースとして,独占市場,情報の非対称性,財の差別化,参入規制などが挙げられます.実際にこれらが発生する市場は儲かってそうですね.

 今日の題材である携帯市場は独占市場の一種である寡占市場です.このような市場では完全競争市場に比べて高い価格設定でも財を売ることができます.そのため利潤もちゃんと発生します.NTTドコモの純利益を例として見ましたが,ずいぶん巨額の利益が発生していましたね.しかし2006年度からやや減少しています.2006年度にはナンバーポータビリティが開始され,以前に比べ携帯市場も競争的になったので儲からなくなったのかもしれません.

 さて,このような独占はなぜ生まれるのか?授業では次の3つに分類しました.資源独占,政府による独占,自然独占です.
 また独占というのは社会的に見て良いものではないので(著作権や特許権など政府が認めているものもありますが,これらはあくまで例外です),多くの国では独占禁止法があり,企業による市場の独占を妨げています.

2007年11月19日月曜日

経済学Ⅰ 第9回

 今日は為替レートと貿易について学びました.

【授業の内容】
 まず僕が持っていた外貨としてベトナムの通貨ドンの紙幣,50000ドン札を見せました.日本円に直すと350円程度ですが,向こうに行くとディナーを食べることができます.なぜ日本とベトナムは物価が違うのでしょうか?日本で食べてもベトナムで食べてもディナーはディナーですけどね.

 その問題にはそのうち答えるとして,まずは為替の確認から始めました.わかっていても円高・円安というのは間違えやすいですからね.そのため具体的な数値を使って,円高・円安の場合に輸出・輸入がそれぞれどうなるのか確認しました.「円高は悪い」というイメージがあるかもしれませんが,円高にもメリットはありますし,円安にもデメリットがあります.とはいえ,少なくとも自動車などの輸出産業にとっては円高がありがたくないことは間違いありません.

 次に外国の金利を見てみました.日本ではまだまだ超低金利が続いていますが,諸外国を見てみるとずいぶん金利が高いことに驚くでしょう.皆さんは物心ついたときから超低金利ですもんね.しかし実は歴史的に見れば,あるいは現在でも他国と比較すれば今の日本の金利が異常です.
 それにしてもこのように金利が違うと,「じゃあ自分も外国の銀行に預けたい」と思うかもしれませんが,そのためには為替の仕組みをよく知らなければいけません.現在日本円の為替相場は変動相場制というシステムを採用しているので,今後円安になるのか,それとも円高になるのか断言できません.そのため,外国に預金している間に為替レートが変動するというリスクがあります.このリスクの存在が,国内の銀行への預金する場合ともっとも異なる点です.他にも手数料や利子への課税など注意するポイントがあります.
 日本円は変動相場制ですが,世界を見渡せば,固定相場制やその変形とも言えるペッグ制を採っている国もたくさんあります.もちろんそれぞれにメリットもあればデメリットもあります.

 次回は,中間テストの後,貿易と国際分業について説明します.

2007年11月16日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第9回

 えー,山場が終わったので今回も低いテンションでお送りしました.それより次回は中間テストです.計算問題をしっかり復習しましょう.

【授業の内容】
 今回は外部性を説明しました.市場の失敗の例として,独占,公共財に続いて3つ目ですね.
 外部性とは,ある経済主体(個人や企業など)の間で行われる経済活動が,その活動とは関係のない第3者になんらかの影響を及ぼすことです.外部性が発生すると,社会的に望ましい資源配分が行われません.授業では教育投資が過小になったり,環境を汚染する企業が過剰に生産することなどを説明しました.

 その外部性ですが,いくつかの視点から分類できます.
 まず,第3者への影響が良い影響である場合は外部経済,逆に悪い場合は外部不経済と言います.教育は外部経済だけど,公害は外部不経済ですよね.教育は外部経済だと言いましたが,大学ができるとその周辺の住民にとってはうるさくなるから外部不経済が発生するでしょうし,周辺の商店にとっては客が増えるので外部経済になるでしょうね.
 次に,外部性が伝わるルートによる区分として,第3者へ直接的に影響を及ぼす技術的外部性と,市場を通じて影響を及ぼす金銭的外部性があります.
 また消費における外部性として,スノッブ効果バンドワゴン効果を説明しました.スノッブって言葉は最近あんまり聞きませんね.ちなみにwikipediaのスノッブの項によれば,
 スノッブ(snob)は一般に俗物、またスノビズム(snobbism)は俗物根性と訳される。
多くの場合、次のような意味で使われる。知識・教養をひけらかす見栄っ張りの気取り屋。また、上位の者に取り入り、下の者を見下す態度を取る嫌味な人物。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B9%E3%83%8E%E3%83%83%E3%83%96
 とあります.個人的にはスノッブ効果はかなり感じますね.世間で人気があるものはとりあえず避けようと思ってしまいます.バンドワゴン効果は携帯などで見られますね.

 最後に外部性への対処を3つ説明しました.
補助金,課税
 これらは通称ピグー税と呼ばれます.税金をかけることで外部性の発生元である主体に外部性を内部化させることができます.つまり他人事から自分の事に変えさせるわけです.
内部化
 外部性を自ら取り込んでしまうことです.授業ではJRの駅が外部性である集客力を利用して駅ビルを建てることを例に挙げました.
交渉
 最後の交渉では,コースの定理がよく知られています.コースの定理についてはテキストにも詳しく書いてありますよ.

【お知らせ(確認)】
 テストの範囲は第7回の講義までです.完全独占と複占の計算は必ず出しますので,きちんと復習しましょう.

2007年11月14日水曜日

経済数学入門 第9回

 今日は「ほんとに経済学でも数学を使うんだ」というのを説明しました.題材として直線のシフトや傾きの変化を説明しました.

【授業の内容】
 まず予算線と呼ばれるものを描いてみました.予算内で買うことのできるセーターとコートという2種類の商品の組合せを図で表現したものです.数学で言えばただの直線に過ぎないものに,経済学では意味が付与されます.
 価格が変化すると直線の傾きが変化するし,予算が変われば直線が平行移動(シフト)することがわかりました.価格の変化については,厳密に言えば相対価格の変化が傾きを変化させました.

 次に,数学に戻って,シフトのさせ方や直線の傾きの変化させる方法を実際に計算して確認しました.まぁ計算自体は簡単ですね.

重要なお知らせ
 なんども言っていますが,来週はテストです.テストを受けなかったら単位はあげませんよ.
 テストに関連して,「これまでの課題の答えが欲しい」という声がありましたので,期間限定でテスト当日までは,これまでのすべての解答をアップしておきます.

総合政策演習B1② 第9回

 今日は複占などをやろうと思っていたのですが,思ったより時間がかかってしまいました.

【授業の内容】
 というわけで,今日も完全独占でした.今日の4問でほぼ基礎は固まったと思うので,今日の復習を必ずしてください.そしてできれば問題集の完全独占の問題にも挑戦してみましょう.
 前回はMR=MCを作れば問題は解ける,と言ったのですが確かにその通りではあります.しかし今回はその意味を説明しました.企業が利潤を最大にするように生産量を決定すると,自然とMR=MCという形が出てきました.やり方はどっちでも良いのですが(利潤を微分して最大となる点を求めるorMR=MCを作る),中身は同じです.あえて言えば図を描く必要がある問題ではMR=MCという形でやった方が良いですけどね.
 その他,企業の売上,費用,利潤を図示したり,余剰(消費者余剰,生産者余剰,社会的余剰)を計算する問題もやりました.そうそう,ラーナーの独占度もやりました.
 他の範囲でもそうですが,独占も問題のバリエーションがあんまりないから,どうせ出題者は似たような問題を出してくるはずです.基礎をきっちり理解しましょう.

【課題】
 ミクロのノートを見て,クールノー均衡を復習してくる.

2007年11月13日火曜日

基礎総合演習B 第9回

 今日は前回に引き続き過去の株価変動の原因予想です.途中で撮影が入ったのでやや緊張したかもしれませんね.

【授業の内容】
 いやあ,今日はほとんど僕の出番はありませんでしたね.ほとんど発表した3人の力で答えを見つけてくれたと思います.前回のチームの発表から大切なところをちゃんと学んでいると感じました.特に良かったのは次の点です.
・為替相場がマクドナルドに与える影響を理解している
・同業他社の動向をチェックしている
・日経平均との連動をチェックしている
・売上や利益の長期的な変動にも言及している

 実はマクドナルドの小ネタをいくつか用意していたのですが,みんなが十分発表してくれたので必要ありませんでした.

【課題】
 チーム・コーナーザマーケットのメンバーはヤマダ電機の株価変動の原因を探りましょう.
 またテクニカル分析についての発表もありますね.

経済学A 第9回

 今日はちょっと趣向を変えて,経済学っぽく見えない内容です.でもゲーム理論はいまや経済学から切り離すことのできない一大領域です.心理学科のみなさんも,思わぬ所で出くわすかもしれませんね.

【授業の内容】
Game.1 囚人のジレンマ
 まずは有名な「囚人のジレンマ」ゲームです.プレイヤー同士が協力できない状況で,互いに自己の利得を増やすことだけを目的とすると,結果として両者にとってあんまり良くない結果になりました.結果だけを見れば「もっと良い結果だってあるのに」と思うかもしれませんが,両者が合理的に行動した結果です.

Game.2 戦略の逐次消去
 次のゲームも同じく,使い途のない戦略を消す(戦略の逐次消去)という方法で答えを出しました.この解法は直感的に理解しやすいという利点はあります.しかし,この解法には限界があり,以下のゲームはこの解法では解けません.

Game.3 ナッシュ均衡
 ゲームによっては戦略の逐次消去で解けない場合がありますが,ナッシュ均衡はより強力なので,そういう問題も解ける場合があります.
 ナッシュ均衡とは,両者の戦略が互いの戦略に対する最適反応になっているような戦略の組合せです.これまではすべて利得表で考えましたが,ナッシュ均衡はそうでない場合にも応用可能です.

Game.3.5 ホテリング・ゲーム
 海岸線のどこに海の家を建てるべきか,というこのゲームでもナッシュ均衡で最適な答えを導くことができました.大事なポイントは,両者とも,ライバルの行動を予測することです.

Game.4 展開型ゲーム(逐次手番ゲーム
 これまでの問題はすべて同時手番,つまりジャンケンのように両者が同時に戦略を決定するゲームでした.しかし,テニスや麻雀のように順番に行動するゲームも存在します.ここではスーパー2社が出店と値引きで争うゲームを考えてみました.脅しは空脅しであることが見破られると意味がないことがわかりましたね.この手のゲームは後ろ向き帰納法で解くことができます.

Game.4.5 1万円配分ゲーム
 最後に余った時間で1万円をいかに配分するかというゲームを考えました.こちらも逐次手番ゲームなので,後に行動するプレーヤーの反応をまず先に考え,その後最初に行動するプレーヤーの戦略を予想します.

2007年11月12日月曜日

経済学Ⅰ 第8回

 前回に引き続き金融政策です.

【授業の内容】
 日銀が市場に貨幣を供給する手段は,前回説明した公定歩合の他に次の2つがあります.

公開市場操作
 公開市場操作とは日銀が手形や国債などの債権を売買することで貨幣の供給を調整するものです.
 例えば日銀が市中銀行から国債を10億円分購入すると,日銀は国債を手に入れる代わりに代金として10億円を市中銀行に支払います.するとお金は日銀から民間へと流れます.このように債券を買うことにより貨幣供給量を増加させることを買いオペレーション(買いオペ)と言います.
 逆に日銀が手形や国債などを売却するとどうなるでしょう?日銀は国債を手放し,その代金を受け取ります.つまり民間側から日銀側にお金が流れるため,マネーサプライは減少してしまいます.こちらは売りオペレーション(売りオペ)と呼ばれます.

支払準備率(預金準備率)の操作
 市中銀行は顧客からの預金のうち一定割合を日銀に預けなければなりません(日銀当座預金).この割合を支払準備率と呼びます.突然顧客が「預けているお金を返してくれ!」と言ってきた時の,支払いに準備しておくお金です.ちなみに実際の支払準備率は,預金の種類により異なりますが,おおよそ10%ぐらいです.
 日銀がこの支払準備率を上げると,市中銀行は預金のうち多くを日銀に預けなければならないので,当然マネーサプライは減少します.逆に支払準備率を下げれば,マネーサプライは増加しますね.

 さて,この支払準備率を理解すると,現金(マネタリーベース)が70兆円しかないのに,貨幣供給量(マネーサプライ)は700兆円もあるのかがわかります.2通りの方法で貨幣が増えていく様子を説明しましたね.この貨幣の増殖?を信用創造と言いました.信用という言葉は以前にも出てきたのを気づきましたか?

 最後に,金融政策のまとめとして,金融緩和金融引き締めがそれぞれどんな効果をもたらすのか確認しました.金融を緩和すると,利子率が低下するので投資を呼び起こし,景気回復につながります.じゃあどんどん金融緩和すれば良い(極端に言えば1万円札をたくさん刷ってバラ撒けば良い)かと言うと,そう簡単ではありません.なぜなら貨幣供給量が増加すると物価にも影響を与えてしまうからです.お金があまりないときと,有り余ってるとき,どちらの場合にある商品に高いお金を出そうと思うか考えてみるとわかりますが,貨幣供給量が増えれば物価は上昇してしまいます(インフレーション,インフレ).
 逆に金融引き締めを行えば,物価を落ち着かせる,あるいは下げる(デフレーション,デフレ)ことができますが,利子率の増加を招いてしまうので,企業の投資意欲を削ぐことになります.結果として景気も停滞してしまうでしょう.なかなか一石二鳥とは行きませんね.
 とはいえ,中央銀行である日銀がより重視すべきは物価の安定であり,次いで景気だと思います.日銀総裁は,景気をあまり冷え込ませないようにしながらも,物価を安定ささねばならぬという難しい舵取りをしなければなりません.

 金融はひとまずここまで.中間テストの範囲もここまでです.

2007年11月8日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第8回

 今日は公共財について説明しました.公共財自体は別に難しい話じゃないよね.

【授業の内容】
 公共財とは,非排除性非競合性という2つの性質を兼ね備えた財です.このような財はその性質上,利用者からお金を徴収することができず,フリーライダーが発生してしまいます.例えば一般道路は我々の生活に欠かせないものですが,料金の徴収係もいないので誰でもタダで利用できます.企業はこのようなものを莫大な費用をかけてまで作ってくれないでしょう.
 つまり,公共財は生活に必要にも関わらず市場(民間)に任せておいても生産されない(市場の失敗)ので,政府が供給することになります.道路だけでなく警察,司法,国防なども公共財と言うことができます.法律や言語なども公共財の性質を持っていると言えますね.
 市場で供給しなくても政府が供給するから良かった良かった,というわけではありません.市場であれば生産者は消費者の需要を踏まえて価格や生産量を決定するわけですが,政府にはそのような価格調整機能や最適な生産量の決める機能を備えていません.あくまで予測を元に生産してしまうのですが,近くの淡路大橋を見ても明らかな通り予測の精度はあまり褒められたものではないでしょう.というより政治的な力により決定されているような気がするのは僕だけではありませんよね.このように公共財の生産については,以前からその需要予想が楽観的に過ぎることがしばしば指摘されます.

 余った時間で中間テスト対策をしました.ちゃんと理解してるかな?

2007年11月7日水曜日

経済数学入門 第8回

 プリントには第7回と書いてありましたが,実は8回目でした.失礼.

【授業の内容】
 今日は最大化・最小化問題と偏微分をやりました.偏微分の辺りは比較的真剣に聴いていたような気がします.
 皆さんが大学で学ぶ最大化・最小化問題にはパターンがあるので,そのパターンを確実にマスターしましょう.

1.目的と制約をはっきりと区別する.
 何が目的で何が制約なのか認識できていなければ,問題を効率良く解くことはできません.マラソンでもどこがゴール地点なのかわからなければ,どっちに向かって走って良いのかわかりませんよね.目的や制約は明示的に(式の形で)示されているとは限りません.文章から読み取らなければならない場合もあります.今回の幸せ最大化問題の制約はこのタイプですね.

2.制約を目的の式に代入して,変数の数を減らす.
 目的には複数の変数が含まれている場合があります.こういう場合は非常にややこしいので,1つでも変数を減らすことが大事です.
 そのため,制約の式を変形して代入することで目的の式から変数を減らせないか考えてみましょう.目的の式に含まれる変数が1つだけになれば,かなり簡単になります.

3.目的の式をグラフにして,最大値・最小値を読み取る.
 2.の操作によりほとんどのケースでは目的の式は変数が1種類の2次関数になると思います.こうなれば,これまで何度もやらされたグラフの頂点(あるいは底)を出せば最大値(最小値)がわかりますね.
 繰り返さないとすぐに忘れるから,復習は大事ですよ.

 授業の後半は偏微分の説明でした.これまでと違って,複数の変数が入っている関数の場合にはこれまでの微分は通用しません.
 と言ってもそれほど難しいものではなく,ある変数(x)で偏微分する場合は,「他の変数はただの数字だ」と脳に言い聞かせて,普通に微分するだけでしたね.ちゃんとできましたか?
 偏微分の意味も眉山を使って説明しましたが,なんとなく「そういうもんか…」ぐらいに思っておいてくれれば良いです.イメージできれば大成功です.

総合政策演習B1② 第8回

 久々ですね.今日からまた僕が担当します.

【授業の内容】
 今日はゲーム理論と完全独占をやりました.ゲーム理論はミクロ経済学ベイシックでは「支配される戦略の逐次消去」,「ミニマックス戦略」,「(純粋戦略の)ナッシュ均衡」,「(混合戦略の)ナッシュ均衡」,「後ろ向き帰納法」と,全部で5つの解法をやりましたが,公務員試験で必要となりそうなのは,「ミニマックス戦略」,「(純粋戦略の)ナッシュ均衡」,「(混合戦略の)ナッシュ均衡」の3つのようですね.混合戦略については説明しなかったので去年のノートを見てみましょう.約1年ぶりなので忘れていたかもしれません.

 続いて完全独占を1問だけやりました.こちらも講義ではなぜこういう解き方をするのかも説明しましたが,その辺は自分で復習してもらうとして,演習では解法だけを確認しました.MR=MCという式をとにかく作れば,とりあえずなんとかなります.「独占と言えばMR=MC」とお経のように唱えて覚えましょう.

 次回は完全独占の続きからやりますので,絶対に今日の復習を忘れないように.せっかく思い出したのにまた忘れた,というのではあまりに効率が悪すぎます.

【課題】
 復習は完璧にしましょう.また今日配った完全独占のプリントもできるところはやってみましょう.さらにテキストもやれるところまでやりましょう.

2007年11月6日火曜日

基礎総合演習B 第8回

 今日も前回に引き続き過去の株価変動の要因分析です.チーム・マネータイガーの発表でした.

【授業の内容】
 トヨタ自動車の過去1年間の株価の変動を探ってもらったのですが,総じてよく調べていると感じました.改善点としては2つ.まず国際的な大企業であるトヨタなのにあまり為替相場に対する言及がなかった点です.トヨタの販売台数の多くは海外ですので,為替相場を無視することはできません.もう1つは発表の内容は良いものの,方法についてはやや準備不足であった点です.これはあと10分でも事前に打ち合わせをしておけば大幅に改善できたと思います.

 残りの時間でRadioheadの新譜の話をしました.もちろん僕の音楽の趣味についてではなく,その販売方法です.音楽はCDという形からデータの売買へと移行しつつあるのは周知の通りですが,今回のRadioheadは,中間に業者を挟まずウェブサイトからの直接販売であり,さらに値段を消費者に決定させるという非常に野心的な試みです.いわゆる経済学的な考え方からは,0円(実際にはポンドですが)で購入するというのが最も合理的であり,合理的な個人は実際に0円で購入するということになるのですが,どうも個々人が適正な値段付け行っているようです.ちなみに僕は4ポンド(およそ900円)で購入しました.この事例は研究対象としても面白そうです.機会があれば詳しく書いてみたい.
 それにしても学生が9人もいてRadioheadを誰も知らないというのはどうなんすか?みんな音楽聴かないのか?それとも僕とのジェネレーションギャップか?よく考えてみると"OK Computer"や"Pablo Honey"なんて僕が高校生の時だもんなぁ.ちなみに村上春樹の「海辺のカフカ」にはRadioheadの"Kid A"を聴く15歳の少年が出てきます.

Radioheadの新譜"In Rainbows"のウェブサイト
http://www.inrainbows.com/

【課題】
 チーム・ピーコは分析対象である企業を今週中に僕に知らせましょう.

経済学A 第8回

 今日は前回の貿易に引き続きグローバリゼーションの話です.
 レジュメの参考文献はその1例に過ぎませんが,近年グローバル化に関連した書籍は数多く出版されています.みなさんにとっては今すぐ,あるいは来年役に立つ話ではありませんが,10年後,20年後を見通すためには知っておくべき知識であり,視点であると思うのですが,残念ながら皆さんには通じなかったようです.

【授業の内容】
 グローバル化とは国境や距離を超えた結びつきが容易になる現象と言えるかもしれません.これまでは距離的な制限に阻まれていた行動が,時間や費用をほとんどかけることなく可能になっています.例えば電話もグローバル化の例でしょう.電話の普及以前は誰かに何かを伝えたければ会いに行くか,飛脚を使うか,狼煙をあげる必要がありましたが,現在ではほとんど手間はかかりません.世界の裏側にいる人にも1分あれば話をできるようになります.
 これまでのグローバル化というのはモノ(あるいはヒト)のグローバル化でした.iPodは台湾で作られているし,皆さんが着る服の多くは中国産でしょう.タコ焼きを例にしても,小麦粉はオーストラリアから,タコはモロッコやモーリタニアから来ていることが多いようです.更に言えばパソコンなんて多国籍の最たるものでしょう.

 しかし現在進行中である,これからのグローバル化はモノのグローバル化に加えて,サービスのグローバル化であると言えます.Y2K問題の際にはインドを中心とした多くの途上国のプログラマが活躍しましたし,授業ではトーマス・フリードマンの「フラット化する世界」を例に,国境を越えた家庭教師サービスや,事務委託の話もしました.
 これが意味することは何か?前回の貿易の話を思い出してみれば,貿易により比較優位がある産業は成長したのに対して,比較劣位にある産業は縮小あるいは消滅しました.そこで対象となったのは貿易できる商品(財)でしたが,今後は一部のサービスについても比較優位,比較優位の原理が働くようになる可能性があり,一部ではすでにそれは現実化しています.

 これまでは国境や言語の壁により守られていた日本のサービスも,今後は国際競争に晒される可能性があります.そしてそれが起こるのは200年も先ではなく,今現在の学生である皆さんが働いている間に起こるでしょう.皆さんはひょっとしたら20年後,いや10年後には中国やインドの労働者と仕事を奪い合っているかもしれません.
 しかし,そこで皆さんは競争に勝ち抜くだけの努力をしているのだろうか,と思うと陰惨たる気持ちになります….

2007年11月5日月曜日

経済学Ⅰ 第7回

 今日は金融の続きです.それにしても今日はみんな集中して聴いていましたね.やはり中間テストのパワーは素晴らしい.改めて有効性を実感しました.

【授業の内容】
 前回は貨幣とは何かを説明しました.今回は貨幣の供給量(マネーサプライ)はマクロ経済学の世界においてどのような役割を果たしているのか少し説明しました.
 マクロ経済学の世界におけるプレーヤーはこれまでは4人(家計,企業,政府,日銀)でしたが,今回から銀行(市中銀行)が登場しました.市中銀行の機能は金融仲介,まさにいろんな仲介役をしてくれます.徳島銀行や阿波銀行のような地方銀行や,みずほ銀行や三井住友銀行のような都市銀行もすべて市中銀行です.
 金融仲介機能の例として間接金融と直接金融の違いを説明しました.我々が銀行に預金すると,そのお金は銀行を通じて企業に貸し出される場合があります.つまり銀行が仲介役となり,家計からお金を集め,お金が不足している企業に貸しています.
 次に話の流れは途絶えてしまいますが,今後の話を進める上で必要な知識である債券(国債や社債)について説明しました.授業では国債を例に取り,国債の具体的なイメージを伝えました.現在では国債は個人が購入することもできます.銀行預金の金利は低いが,株はリスクがあるから怖い,という人は国債を買っても良いかも知れませんね.(ただし国債を買う際には手数料がかかります)
 これでようやくマクロ経済学の世界における貨幣の役割,貨幣の需要と供給について説明できます.貨幣の需要は取引需要投機的需要に分けることができます.それぞれどんな場合に貨幣需要が高まるのか,下がるのか理解していますか?
 次に貨幣の供給方法ですが,これは3つあります.いずれも貨幣を供給(市場に流す)のは中央銀行である日銀の役割です.日銀は市場に流通する貨幣の量が少ないと思えばマネーサプライの元栓を緩めてお金を流します(金融緩和).逆にだぶついていると思えば元栓を閉めます(金融引き締め).
 さてその具体的方法ですが,今日は1つ目の公定歩合しか説明できませんでした.公定歩合とは市中銀行が中央銀行とお金を貸し借りする際の金利でした.公定歩合が上がると(下がると),市中銀行は中央銀行からお金を借りにくくなる(借りやすくなる)のは確認した通りですね.
 来週は残る2つから説明していきます.

重要なお知らせ
 授業で告知した通り,11月26日に中間テストを行います.成績に占めるウェイトは高くありませんが(2~3割ぐらい),受けなかった場合は単位を放棄したものとみなします.範囲は金融の終わりまでです.

2007年11月1日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第7回

 今日は前回に比べそんなに難しくないからか?みんなもお疲れでしたね.そんな日もあるでしょう.

【授業の内容】
 独占市場については今日でお終いです.今日は少数の企業が市場を支配する寡占と,競争的な市場であるが差別化により独占に近い状況となる独占的競争の2つを説明しました.

寡占
 寡占とは,類似した財を少数の企業だけで売っている状況のことです.具体的にはビール業界をイメージしてみるとわかりやすいと思います.ビールはどの企業も似たような価格設定をしていますが,多くの消費者はビールの味の違いがあまり違いがわからないと思います.ですから,普通の消費者は同じような味なら安いビールを選びます.
 そのため,あるビールメーカー(K社とする)が1社だけ値上げしても,ライバル企業たちは値上げには追随しない可能性が高いでしょう.ライバルが値上げをしないので,K社のビールだけが高い価格となります.そのためK社のビールの需要は大幅に下がります.
 ではK社が値下げをするとK社のビールに対する需要が激増してK社は大儲けか?というと,そんなに甘くはありません.値上げには追随しなかったライバルたちも値下げには敏感に対応します.なぜならビール市場全体の需要をK社に奪われてしまっては大変だからです.そのためK社が値下げをするとライバルたちも同様に値下げをします.結果としてK社はせっかく値下げをしたのにライバルも値下げをしたので,あまり需要は増えません.
 このように寡占市場においては,1社の値上げと値下げに対してライバル企業の行動は非対称的です.そのためK社の需要曲線は現在の価格を境として屈折したものになってしまいます.需要が屈折するため,当然ながら限界収入の形も複雑な形をすることになります.この辺はノートを確認しましょう.

独占的競争
 独占的競争とは売り手がたくさんいる競争的な市場です.ただし,競争的な市場では利潤が出ないので,企業はあの手この手を使って利潤を増やそうとします.その1つが差別化です.既存の財とは少し違った特徴をもたせることで,一時的に独占に近い状況を作り出すことができます.独占の場合,企業は(完全競争市場で決まる価格よりも高い)独占価格により利潤を得られます.
 しかし,完全独占市場とは異なり,この市場では新規参入が可能なので,ある企業がせっかく他社とは異なる特徴を持つ財を生産したとしても,すぐにライバルたちが模倣品を作ってしまいます.
 この辺はファッション業界によく見られる現象だと思うのですが,残念ながら僕はファッションには非常に疎いもので具体例が思い浮かびません….毎年,毎年ファッション業界で「今シーズンの流行の色は…」とか「今年のセーターは…」とか流行り廃りが激しい原因は,無理矢理にでも流行を作り出さないと完全競争市場になってしまうため利潤が出ないからだと思います.
 というわけで独占的競争という状況の下では短期的には利潤を出すことができるのですが,長期的には利潤はなくなってしまいます.

重要なお知らせ
 講義ではきっちりと日にちを決めていませんでしたが,11月29日に中間テストをします.範囲はゲーム理論と独占市場,つまり今日の範囲までです.
 うち1問は完全独占に関するもので,今日の講義の最後に板書した問題の数値を換えて出します.わからない場合は月曜5限に全学共通教育センターまでどうぞ.答えは教えられませんが,問題を解く過程のヒントは説明します.