2011年4月29日金曜日

卒業研究:1期 第1回(4/27)

 ゼミより先に飲み会になりましたが,ついにゼミが始まりました.

【授業の内容】
 今回は,最終的に皆さんにどんな研究をしてもらいたいか,その手法を説明しました.また,皆さんが何に興味があるかを聞きました.

 皆さんには,2つの散布図と1つの推移を示したグラフを配り,色々思いつくことを話してもらいました。今後もゼミは皆さんの話し合いやプレゼンが中心となります.僕は見ているだけで,たまにコメントするというのが理想です.まあ楽しくやりましょうね.

 来週は,皆さんがネットを駆使して見つけた面白そうな卒論を紹介してもらいます.

 今後,配布資料がある場合は,前日までに僕のポストにいれてくださいね.

2011年4月28日木曜日

総合政策演習D 第4回(4/27)

 今回も黙々と問題を解く.それがSPI2です.

【授業の内容】
 今回の範囲は組み合わせと確率でした.どちらもせいぜい高校生レベルですので,何パターンか問題を解けば,それほど難しくないでしょうね.とはいえ,どちらの問題も,やり方を間違えると時間がかかります.何度も繰り返して,素早く解けるようにしましょう.

 今回のパワポによる気分転換?は,企業の資本関係,フェルミ推定,ブラック企業でした.
 今回紹介した企業同士の資本関係ですが,皆さんあまり正解率は高くありませんでしたね.やはり(当然ですが)学生は消費者目線なのです.早くそこから脱出して,ビジネス目線で企業を見ることができるようになりましょうね.身近な企業で言えば,徳島発のIT企業であるジャストシステム(ATOK,一太郎やホームページビルダー)も,実はキーエンスという企業の傘下にあります.また,皆さんがよく使うコンビニ(ローソンやファミリーマート)のバックにも総合商社が存在します.また,集英社と小学館がグループ企業だなんて驚いたのではないでしょうか?
 続いてフェルミ推定ですが,以前に経済数学入門で少し紹介したから覚えている人もいるでしょう.求められているのは知識だけではありません.常識というべき知識をベースに,論理的な推察力を使い計算することで概数を導くことです.近年,グループワークでよく用いられます.
 最後にブラック企業です.ブラック企業というのは俗称であり,きちんとした定義があるわけではないので,「この企業はブラック企業ですよ」などと具体的には言えません.ただ,一言で表現するなら「コンプライアンス違反の常連企業」と言ったところでしょうか.労働時間が法律を異常に超過している,残業代がまったくつかない,違法行為を強制される,パワハラ・セクハラが日常的,などが具体的な

経済学A 第3回(4/26)

 今回はマクロ経済学の入門編として,経済の仕組みの全体像を説明しました.

【授業の内容】
 今週と来週で経済の仕組みを大雑把に理解してもらいます.導入部分として,アメリカのオバマ大統領が掲げた「国民誰もが入れる健康保険」に反対する人がなぜいるのかを考えてもらいました.
 
 今回の話の前提条件として,経済学の目的は何かを説明しました.経済学は人々を幸せにすること,貧困を削減することを目的として誕生し,そのための目標値として,GDP成長率や,1人あたり所得などを用いることを説明しました.ポイントは「お金があることが幸せ」だと考えているのではなく,「幸せを測定するモノサシとして,(とりあえず)お金を使っている」点です.似たようなもんだ,と思うかもしれませんが,そこには大きな違いがあると,僕は考えています.
 というわけで,目標値であるGDPを説明しなければなりません.GDPとは,国民総生産のことですが,どれだけ商品を作ったかを示すものではなく,どれだけ付加価値を発生させたか,を示すものです.簡単な数値例で計算しましたね.

 ここから,経済学(と経済)の歴史について説明しました.大きな政府と小さな政府って何か?なぜ規制緩和するのか?政府が道路を造るとどんな効果があるのか?など様々な知識を,歴史と一緒に説明します.
 今回は経済学の誕生として,古典派の人たちが何を考えていたかを主に説明しました.古典派の人たちの主張を簡単にまとめると,「市場の働きを信頼しており,政府が市場に介入すると,そのメカニズムが乱されてしまう.そのため,政府は何もしない方が良い」というものでした.民間に任せておいても,まるで神の見えざる手が存在するかのように,うまく物事を治まるというものです.政府は最低限だけの役割(警察,国防,消防など)を行い,後は民間に任せるというものです.これはレッセ・フェールと呼ばれます.
 古典派のもう1つの特徴として,セイ法則があります.これは,供給の大きさが需要の大きさを決めるというものです.ある経済を,生産(供給),支出(需要),所得の3つの側面から測っても大きさが同じであると言うことを三面等価の原則と言いますが,古典派はこのうちの生産を重視します.なぜなら生産が大きければ需要は勝手についてくると考えたからです.

 このような古典派経済学は,1920年代後半に起きた世界大恐慌に際して無力でした.大不況であることがわかっても,有効な解決策がないからです.そこで,このような非常時に有効な薬をケインズたちが提示します.
 ということで,次回はケインズの登場から話します.

 この流れとは接点があまりないのですが,少しだけマルクス経済学の話もしました.今となってはすでに歴史の遺物という感じですが,前世紀,皆さんが生まれる少し前までは一定の影響力のある思想?システム?でした.我々が普段当たり前だと思っている経済システムは市場経済と呼ばれます.財(モノやサービスの総称)の値段や取引される量は市場で決まるからです.対するマルクス経済学の影響下にある国の経済は計画経済です.計画経済では,供給量は市場によって決まるのではなく,政府の計画で決定します.みんなにとって必要と思われる量だけが生産され,平等に分配されます.平等という意味では理想的な社会でありますが,計画経済の最大の問題点はインセンティブが活かせないことでしょう.独創的な発明,効率化,消費者のニーズをつかむこと,これらがあまりメリットをもたらさない仕組みでは,人間はあまり努力しないものです.ほぼすべての財の生産は国や地方の公共団体がやるより,民間がやる方が効率的です.郵便局の窓口も民営化すると決まってから随分愛想が良くなったと思いませんか?

【おまけ】
 皆さんが授業中に静かにするように,「静かにするインセンティブ」を考えてもらいました.皆さんのアイデアはどれも興味深いものだったのですが,効果があり,かつ僕の負担も軽い,ということで次の通りのルールを作りました.おそらく効果は絶大でしょう.皆さんがルールを忘れなければ.
・僕が皆さんに「静かにしなさい」と注意したら,全員の期末試験の点数を1点引く.(満点が100点から1点ずつ下がっていく)
・逆にその回の講義を通じて注意されなければ,全員の期末試験の点数を1点プラスする.(満点が100点から1点ずつ上がっていく)

 今日はもちろん皆さん静かだったので,現時点では期末試験は101点満点です.

2011年4月23日土曜日

開発経済学 第3回(4/22)

 今回は貧困の悪循環を始め,いくつかの開発に関する仮説を紹介しました.

【授業の内容】
 まずヌルクセが唱えた「貧困の悪循環」です.これは,今現在貧しい家計や国は,低所得ゆえに低貯蓄となり,低貯蓄のため低投資,低資本蓄積となり,資本がないため低生産性のままでいるため,結果として将来も低所得であるという,まさに悪循環です.貧しい理由は貧しいから,ということですね.これは教育についても言えることです.低所得の家計では子供に十分な教育投資ができないため,人的資本が低いままなので,その子供が働くときの賃金も低い,つまり教育という遺伝子を通じて,貧困が遺伝してしまうという現象は貧困国のみならず,先進国においても見られる現象です.ここで「遺伝子」という言葉を使いましたが,当然ながら生物学的な意味ではなく,比喩的表現です.
 では,この「貧困の悪循環」から抜け出すためにはどうすれば良いのか.ローゼンシュタイン=ロダンは,「ビッグ・プッシュ」が必要であると考えました.このビッグ・プッシュ論は,貧困の悪循環から抜け出すためには,外部からのビッグ・プッシュ,つまり大きな一押しがあれば,悪循環を良い循環に変えられるというものです.例えば,貧しい農家が外部からの援助で灌漑設備を整えたとします.すると農業の生産性が高まるので所得も高くなります.所得が高まれば貯蓄・投資に回すことのできるお金も増えるため,資本も蓄積され,好循環が続いていくはずです.この考えは現在でも,経済学者のジェフリー・サックスや,ミュージシャンのボノなどに支持されています(ビッグ・プッシュに反対する人々もいます.理由は今後説明します).

 続いて,貧困国の成長について対照的な2つの戦略を紹介しました.1つはヌルクセの均整成長戦略です.これは,通常のマクロ経済学(ケインズ経済学)が想定する状況と異なり,貧困国は需要不足のために成長しないのではなく,供給不足であることを前提とします.そのため,政府自らが様々な分野に幅広く投資することで成長の土台を整える必要があるとします.均整成長戦略で成長した国の例はオーストラリアです.
 この均整成長戦略に対して,ハーシュマンは「途上国には幅広い分野に同時に投資できる力はない」として均整成長戦略を非現実的なものと考えました.ハーシュマンは,ある一分野にだけ特化して投資することで,その前方・後方にある産業が民間の力で自然に発展すると考えました.前方・後方とは,自動車産業を例にとれば,前方は自動車の生産に必要な部品,工具,資源などの産業であり,後方は自動車を利用した流通業などの産業です.
 皆さんには,架空の国を想定し,その国の政府がどちらの戦略を採るべきなのかを議論し,発表してもらいました.均整成長戦略が多かったですね.

 この他の仮説として,ロストウの経済発展段階理論(テイク・オフ)や,クズネッツの逆U字仮説などを紹介しました.特に逆U字仮説は,「そもそも成長は貧困を削減するのか?」ということについて考えるヒントになります.結果的には,逆U字仮説は実証研究により否定されます.つまり必ずしも経済成長したからといって不平等は無くならない.そのため,国全体としては経済成長しても貧困に苦しむ人が増える可能性を否定できないのです.

【課題】
 配布した小レポートの提出.期限は4/27の17:00までです.

2011年4月22日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第3回(4/22)

 今回も時間の大半を価格メカニズムに使ってしまいました.計画より少し遅れてます.

【授業の内容】
 まず,前回学んだワルラス,マーシャル型価格調整メカニズムを数値例で復習しました.一次関数に当てはめるだけなので,経済数学入門の単位を取った皆さんにはそれほど難しくないはず(?).ただ,この図は何度も繰り返し出てくるので,見方,使い方に慣れましょうね.

 続いて前回は時間切れのためできなかったくもの巣理論の説明をしました.くもの巣理論が取り扱うのは,生産までに時間がかかり,かつ保存が効かない財です.具体的には生鮮食料品,特に野菜がよく当てはまると思います.
 まず市場の均衡で決まる価格よりも高い値段で始まるとしましょう.すると,高く売れると考えた生産者はいつもより多く生産しようとします.しかし生産までに時間がかかるので,すぐにその値段で売れるわけではありません.実際に生産してみると,供給量が多いため,値段は下がります(豊作貧乏ですね).普段より安くしか売れないので,来期の生産量は減らすでしょう.しかし実際に生産してみると,供給量が少ないために価格は予想よりも高くなります.このように価格が高い,低いと変動を繰り返すのがくもの巣理論の特徴です.実際にスーパーで売られているキャベツなどの値段の変動幅は大きいですよね.それに引き換え,冷凍保存の効く牛肉などはそれほど変動がないはずです.

 後半は次回から本格的に始まる消費者理論の説明のために,完全競争市場についてじっくり説明しました.完全競争市場とは次のような条件を持った市場のことです.
・多数の売り手と買い手
・財の同質性
・自由な参入と退出
・完全な情報
・生産資源の自由な移動
 これらの条件を満たす市場では,企業はまったく儲かりません.そのため,企業はあの手この手で,完全競争市場から離れようとします.財の差別化などはその典型です.

 さて,最後に少しだけ消費者理論のさわりを説明しました.効用です.効用とは「幸せ」に近いものだと思ってください.財を消費したり,余暇を過ごすことで増えていくものです.今日はこの効用と限界効用の違いを説明しました.効用とは,幸せの水準のことであり,限界効用はその変化量のことです.経済学では「限界」は"limit"を示すものではありません.翻訳前の単語は"marginal"です.「限界」を数学的に言えば微分したものです.これからやたらと「限界なんとか」というものが出てきますが,どれも意味は同じ,あるもの(A)が少し変化したら,それによりどれだけBが変化するか,という割合です.今回の例で言えば,パンをもう1つ食べたら,それにより効用がどれだけ増えるかが,パンの限界効用です.

 さあ,ミクロ経済学が大変そうなことが少しずつわかってきたのではないでしょうか.しっかり予習・復習しないと取り残されますよ.予習範囲については,抜き打ちでテストするので,しっかり予習してきてください.今回の新たな予習範囲はありません.前回指示した範囲を再度読んできましょう.

 なお,練習問題の解答は今日中にホームページにアップします(予定).

2011年4月20日水曜日

総合政策演習D 第3回(4/20)

 今日もテストです.難しい問題もありましたね.平均点は6.08点です.課題効果なのか,得点は上がりました.

【授業の内容】
 今回は集合と表の読み取りです.どちらも出てくる問題は限られるので,何種類かやれば,それほど難しいものではないでしょう.

 テスト後には,気分転換に資料を見てもらいました.優良企業ランキングと,これから成長が期待できる企業のランキングです.前回も言いましたが,ライバルが多い企業を受けるのは賢いやりかたとは言えません.条件が同じなら,ライバルが少ない企業を狙いましょう.有名ではなく,かつ優良企業であれば最高ですね.とはいえ,有名ではないと言っても,優良企業ランキングに入っているような企業は,ちょっと深く企業研究をした学生なら誰もが知ることになる企業が多いです.つまりみんなが今は知らないだけで,本当はそんなに無名ではないのです.
 そのため,「自分しか知らない企業」を増やすために,今からでも企業研究をしっかりしましょう.まずは就活ノートを作りましょう.そこに受ける予定の企業をとりあえず30社挙げましょう.その内訳は,「(無理かもしれないけれど)理想の企業」,「本気で狙う本命企業」,「滑り止め企業」です.とりあえず,それぞれ10社ずつにしておきましょう.今はこの30社はおそらくどれも有名企業ばかりでしょう.このリストを毎月更新して,どんどん「知る人ぞ知る」企業にしていきましょう.イメージだけにとらわれず,本当に自分がしたい仕事,理想の仕事を掘り下げていけば,どんどん変わっていくはずです.

 最後に今回の問題を解説しました.中には難しい問題もありましたね.SPIは時間との戦いです.変な難問に捕らわれず,時間配分を考えましょうね.

【予習範囲】
 問題種4,5

【課題】
 6点未満だった人は解けなかった問題を,文章で解説し,次回の授業で提出しましょう.

基礎総合演習A 第1回(4/19)

 基礎総合演習の解説は,今後も「はてな」の方に書いていきます.

 演習の皆さん「はてな」の使い方に慣れてくださいね.

経済学A 第2回(4/19)

 今回も経済学的思考を学ぶために,いくつかの質問をしました.

【授業の内容】
 まず「ダイヤモンドはなぜ高いのか?」を考えました.その過程で,需要と供給という言葉が出てきました.需要とは,消費者がある財(商品やサービスの総称)を欲しがる気持ちのことです.供給とは,生産者(企業)による生産そのものです.
 結論は,ダイヤモンドは供給よりも需要の方が大きいために,価格が高くなります.需要が大きくても,それより供給が多い場合は価格は安く(あるいはタダに)なります.例として,空気や水がありますね.

 続いて,「大学進学は得なのか?」を説明しました.前回同様,それぞれの選択肢のメリットとデメリットを考え,それらを比較します.金銭面に限って言うと,大学進学は将来もらえる賃金が高い反面,高い学費を払わなければなりません.高卒として働く場合は,賃金が比較的低いというデメリットがあるものの,大卒よりも4年も早く働くことができます.
 ここでは機会費用という概念を説明しました.機会費用とは,ある選択肢を選んだことにより,選択を放棄した次善の選択肢から得られるもののことです.今回の例では,大学進学は,高卒として18-22歳の4年間に働いて賃金を受け取る機会を捨てることになります.つまり,大学進学にかかる費用には学費だけでなく,その4年間に受け取れたであろう所得も含めるべきなのです.この考え方は,聞いてみれば当たり前ですが,普段なかなか明確に意識できないことが多いのではないでしょうか.

 最後に,「どんな企業で働くと高い給料がもらえるのか?」を考えました.実はこれは,「なぜダイヤモンドは高い?」の結論が応用できます.ダイヤが高い理由は供給よりも需要が大きいことによる,ということでした.であるとすると,皆さんが労働力を売る時に高い値段で売るためには(高い給料をもらうためには),供給よりも需要が高い労働力を売れば良いのです.つまり欲しがっている企業は多いが,その能力を持っている学生は少ない,そんな学生になる必要があります.皆さんは大学に進学し,これから専門的な学習をしていくわけですが,企業にはどんな能力が求められているのか,という視点を持って勉強するのも面白いのではないでしょうか.

2011年4月15日金曜日

開発経済学 第2回(4/15)

 今回も前回に引き続き,貧困について考えました.

【授業の内容】
 前回の授業および課題で考えてもらった通り,貧困というものは多面的な概念です.必ずしも所得の多寡だけではありません.皆さんの意見に欠けていたものは,日本に住む我々には当たり前すぎること,つまり自由です.自由とは,信教・思想の自由など内面的な自由もありますし,政治に参加する自由,あるいは自分の身体の所有権を有していることなどもあるでしょうね.また,ジェンダー格差についての意見もあまり無いようでした.受講者には女性もかなり多いのですが,日本にいるとあまり意識しないのかな.関連して「喪われた女性」の話を少ししました.
 さらに,これは貧困全体に関係することですが,ショックに対する脆弱性にも注目しましょう.本当の貧困とは,ちょっとした経済的,社会的,身体的ショックにより,これまでの生活が一気に崩壊する脆さと言えるでしょう.私たちは幸いにも家族や友人あるいはコミュニティ,また公共により守られています.例え怪我で一ヶ月働けなくなったとしても死ぬことはありません.誰かがセーフティネットとして助けてくれるはずです.本当の貧困とはそのネットがない綱渡りのようなものなのかもしれません.
 また,ルイスは貧困を選択肢の少なさと表現しました.こちらも皆さんのように多すぎる選択肢を抱えた大学生には馴染みがないかもしれませんね.

 とはいえ,皆さんから出た意見で,貧困はかなり多面的に捉えることができました.しかし,あえてここで,「貧困を測る指標を1つだけ選ぶなら?」と問いかけました.いくつか意見が出ましたが,やはり所得が多いように思います.かつては「所得だけで本当の豊かさがわかるものか!」と思った人もいたかもしれませんが,貧困について考えるステップを踏んだ今,所得がベストとは言えないまでも,最も妥当な指標と納得できるのではないでしょうか.

 さて,続いてアマーティア(アマルティア)・センの潜在能力アプローチについても説明しました.センは厚生に関する研究により,アジア出身者で初めてノーベル経済学賞を獲得したインド人です.
 そのアプローチは,通常の経済学と少し違います.通常の経済学では,財の消費が効用をもたらします.しかしセンは,財の消費が機能を生み,その機能が効用(福祉)をもたらすと考えました.教育を受けることが幸せなのではなく,教育により知識を得て,能力を開花させること,それにより幸せになれるのでしょう.

 センはその機能として,「1人あたりGNP」,「平均余命」,「幼児死亡率」,「児童死亡率」,「成人識字率」,「高等教育就学率」の6つを選びました.皆さんが選んだ指標とかなり近いですね.
 また,潜在能力アプローチは机上の遊びではなく,その理念はUNDPの人間開発指数(HDI)へと受け継がれました.

 最後にMGDsの説明と,その実現可能性について少し説明しました.MDGsも皆さんが考える貧困撲滅とかなり近いものです.2000年の国連ミレニアムサミットで合意されたもので,2015年までの貧困撲滅を目指しています.しかし,先進各国はそれに必要とされるODA拠出額を負担しているとは言えないのが現状です.あと4年のタイムリミットまでに事態が大きく変わることはないでしょう.

【第1回レポート】
 テーマ:「◯×国が貧しい原因」(自分で具体的な貧困国を選ぶ)
内容:その国がなぜ貧しいのか,なぜ経済成長できないのかを論じる.
分量:3枚+α(表紙,参考文献,図表は除く)
提出期限:5月19日20:00
提出方法:メールに添付

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第2回(4/15)

 今回からしっかりミクロの話です.今日は価格メカニズムの話をしました.

【授業の内容】
 まず,前回課題として考えてもらったはずの「ダイヤモンドが高い理由」に答えてもらいました.色んな意見が出ましたし,それぞれ確かにそれらしく聞こえるのですが,どれも充分ではありません.
 結論から言えば,価格は需要と供給のバランスで決まるのです.ダイヤモンドは希少であり,それに比べて需要が多いためにダイヤモンドは高価になるのです.逆に我々の生活に欠かすことができない水や空気は,需要を上回る供給があるために非常に安価であったりタダであったりします.

 さて,ダイヤモンドだけでなくあらゆる財の価格は需要と供給のバランスで決まります.今回はその決まり方,価格調整メカニズムについて説明しました.

 まずワルラス型価格調整メカニズムです.ワルラスは,まず価格が決まると考えました.その価格に応じて需要や供給が決まります.この時,需要が供給を上回れば超過需要,供給が需要を上回れば超過供給と呼びます.超過需要とは品不足のことなので,この場合は価格は上昇します.逆に超過供給は売れ残りを意味するので,当然価格は下落します.
 いずれにせよ,通常の,右上がりの供給曲線と右下がりの需要曲線の下では,価格がどこから始まっても均衡に向かって収束します.これを安定的と呼びます.

 続いてマーシャル型価格調整メカニズムについてです.マーシャルはワルラスと異なり,まず生産量が決まると考えました.生産量が確定した後,企業が売っても良い価格(供給価格)と,消費者が買いたい価格(需要価格)が決まり,供給価格が需要価格を上回ったら超過供給価格,下回れば超過需要価格が発生します.超過供給価格の発生は,消費者が買いたい値段より生産者が売りたい値段の方が高いので,生産者は次の生産量を減らします.逆に超過需要価格が発生した場合には企業は生産量を増加させます.

 本当はくもの巣理論も説明したかったのですが,時間切れのため,ここで終り.次回は今回説明した内容を数値例を使って計算します.

【課題】
テキストpp.52-57を読んでくること.

2011年4月13日水曜日

総合政策演習D 第2回(4/13)

 今回からテストを始めました.今後はずっとこの形式で行います.といっても僕が前期で担当するのは後3回だけですが.

【授業の内容】
 まず推論についてのテストをしました.今回の平均点は5.14点(10点満点)です.ちょっと低いですね.まだみんなSPI2の重要性を理解していませんね.「勉強しとけば良かった!」と思う時には大体手遅れですよ.なお予告通り,5点以下の人には課題があります.次回の授業中に回収します.提出しない,あるいはやっていない場合は次回のテストの評価は0点です.

 テストの後,気分転換にパワポを使って「学生は企業を知らない」という話をしました.クイズでは,みんな意外と「自分は企業のことを知らないんだ」と思いませんでしたか?まぁみんなが引っかかってくれないと僕もやりにくいのですが….
 さて,皆さんに今回話した内容をまとめると次のとおりです.以下は鉄則です.僕を信じて損はありません!たぶん.
1.学生に人気の企業を受けるな! 
 知名度の高い企業はライバルが多いのは当然です.超人気企業ともなれば倍率は数千倍.そんな宝くじを狙うよりも「自分だけが知ってる良い企業」を受けよう.どうしても受けたいなら,人事の人が驚く「スペシャルな何か」を用意してください.周りと同じことをしても内定は当然もらえません.
2.BtoB企業をうけろ!
 これは(1.)と同じことですが,学生はBtoC企業は知っていますがBtoB企業のことをあまり知りません.
3.不完全競争市場を狙え!
 ミクロ経済学ベイシックⅡを(真面目に)受講していた人はわかると思いますが,完全競争市場にある企業は儲からない仕組みになっています.完全競争市場ではない市場(不完全競争市場)にある企業を狙いましょう.特に独占度の高い企業は儲かるので,それを狙いましょう.
4.迷ったら給料の高い企業を選べ!
 「自分にはどんな企業が向いているんだろう?」と考え続けることは重要です.しかし,社会に出てない学生になかなか答えは出せません.迷ったら待遇の良い会社を選びましょう.理由はまた今度言います.ともかく,平均年収が高く,かつ離職率が低い企業を狙うべきです.ちなみに初任給が高い企業は逆に要警戒.それだけ儲かっている企業とも考えられますが,初任給を高くしないと学生が集まらない企業なのかもしれません.

 この4つを意識するだけで,皆さんの就活はかなり有利になるはずです.しかし「いざエントリー!」という時期になると,なぜか学生は人気企業ばかりを受けてしまいます.学生の記憶力が持続しないのか,僕が信頼されていないのか,どちらでしょう….
 とにかく!就活ノートに,「ライバルが知らない優良企業」を30社ぐらい用意しておくと,有利ですよ.

 「企業を知れ!」ばかり言うだけでなく「どうやって知れば良いのか?」も知りたい所ですね.ただ,意欲の高い学生は自分で「優良企業の探し方」を研究していますよ.まぁ最初なので基礎を説明します.
1.就職四季報を買おう
 就職四季報には上場企業が数多く掲載されているだけでなく,そこで求められる人物像,筆記試験の種類,平均年収や離職率など,貴重な情報が山のようにあります.女性は「女子版」がおすすめ.
2.日経新聞を読もう
 全部読む必要はありません.パラパラとめくり,気になるところだけをメモする癖をつければ,数ヶ月でかなりの情報を入手できます.
3.テレビを見よう
 とはいえ,学生はなかなか新聞を読みません.ならば,テレビ東京系(徳島ではテレビ大阪ですね)の番組を見ましょう.どうせニュースを見るなら,ワールドビジネスサテライトを見ましょう.また,テレビ東京系の「ガイアの夜明け」や「カンブリア宮殿」では,知名度が低くともキラリと光る企業をよく特集しています.僕もよく見てますが,単純に面白いですよ.
 またNHKでも「ルソンの壺」や「めざせ!会社の星」など使える番組は少なくありません.他の民放はハズレが多いかも.
4.大人に尋ねよう
 授業では言いませんでしたが,大人に聞いてみるのも実は有効です.周りの大人に「もし今大学生だったら,どこの企業に行きたいですか?」と聞いてみると意外な企業が出てくるかもしれませんね.

 就活は情報戦でもあります.授業で言ったように「知らない企業は受けられない」のです.まずはアンテナを高く伸ばし,情報に敏感になりましょう.情報を上手く収集し,賢く就活に挑みましょう.それが大学生のあるべき姿です.

【次回のテスト】
 問題種2「集合」,問題種3「表の読み取り」を予習しましょう.また今回の範囲「推論」の復習もしておきましょう.復習はより重要ですよ!復習!復習!

経済学A 第1回(4/12)

 初回のため,わりと柔らかめの話をしました.

【授業の内容】
 まず皆さんが最も気になっているであろう「単位を取れそうか?」という話をしました.昨年度前期のこの講義では本試験を受けて単位を得られた人は88%です.またそのうち再試を受けて単位を取得した人は50%です.再試は問題を変えるので,再試の合格率はあまり高くありません.
 なお評価は基本的に期末試験(筆記)ですが,ボーナスとして授業での発表点を加算します.出席点は原則としてありません.

 以下は授業についての約束事です.
・出欠は学生証で行います.出欠をチェックする時間内にチェックできなかった人は欠席です.そのため,遅刻というものはありません.また学生証を忘れた人も欠席です.
・私語は,授業の妨げになるので当然ダメです.逆に言えば,授業の妨げにならないことは大体オッケーです.お茶を飲むのも可です.推奨しませんが寝ても文句は言いませんし,授業を受けたくない人は静かに退出してくれれば構いません.

 さて,今回の前半は,経済学とは何かを説明しました.その分析対象は実に幅広く,皆さんがイメージするお金の話(金融,株,為替など)はその一部に過ぎません.日本の経済学者の中で,現在の最もホットな話題はピークロード・プライシング(ピークロード料金)です.まあお金の話と言えばお金の話ですが,ポイントは資源配分,つまり電力の使用量をコントロールして停電を防ごうということなんです.
 経済学にはミクロとマクロという2つの視点があります.マクロは巨視的,つまり巨大なものを望遠鏡で覗いて,その全体像を理解します.逆にミクロは微視的,つまり巨大なものを構成する最も小さなプレイヤーの動きを理解することで全体像を理解します.ミクロとマクロは経済学を支える大きな2つの柱です.僕はミクロの方が好きなのですが,マクロの方が社会常識として役に立ちそうなので,授業ではマクロの話が多くなるでしょう.今回話した賃金の話などはミクロの分野ですが,面白くないですか?僕は面白いと思うのですが,押し付けかもしれませんね.

 後半は経済学において最も重要な考え方であるインセンティブをじっくり説明しました.インセンティブは日本語に直すと「誘因」,つまり人々の行動や選択を動かすものです.わかりやすく言うとアメとムチですね.経済学はアメとムチで問題を解決します.その例として,ゴミの不法投棄や保育所,そしてピークロード・プライシングの話をしました.日本人が他国の人々に比べ災害時にマナーを守るのもインセンティブのせいではないかと僕は思います.

 さて来週は次の3つを説明します.「ダイヤモンドはなぜ高いのか?」,「大学進学は得か?損か?」,「儲かる仕事とは?」です.「ダイヤモンドはなぜ高いのか?」については自分で考えてきてください.これが課題です.

2011年4月11日月曜日

開発経済学 第1回(4/8)

 今回から始まった開発経済学ですが,例年に比べ受講者数が多いので驚いています.時間割の関係もあるのかもしれませんね.

【授業の内容】
 開発経済学は専門科目であり,内容もつっこんだ話が多いので,関心がない人はなるべく受講しないことを勧めます.かなり時間がかかるレポートを複数回課します,と脅して振るいにかけたのですが,それでもかなりの人数が残って聴いていたので嬉しいです.

 今回このように脅した(×)覚悟を決めてもらった(◯)理由はもう1つあります.それはこれまでの授業形態を改め,今年からアクティブ・ラーニング(学生参加型授業)にするためです.そのため,開発経済学に関心のない学生には受講を控えてもらいたいと思っています.

 学生参加型授業とは,いわゆる講義とは違い,学生自らに考え,意見を発表してもらい,それを基に授業を進めるスタイルを採ります.もちろんいきなり「考えろ」と言っても難しいので,授業の前半は講義を行い基礎的な知識を伝え,後半に各自で,あるいは複数人で考え,意見を交換し,それをみんなに発表してもらいます.それらを僕が整理し,また新たな質問を投げかけます.このスタイルを採ることにより講義する時間が減ってしまうため,皆さんには事前に予習をしてもらうことでカバーするつもりです.3年生は授業数も減るので,ある程度時間の余裕があるでしょうしね.

 単位認定を含めた評価は,毎回の小レポートと3~4回のレポートが中心です.レポートを提出しない場合には単位を放棄したものとみなします.レポートの書き方についてはかなり厳しく指導します.特に盗用(いわゆるコピペ)は即,評価外です.

 さて,今回の授業の内容ですが,まず「開発経済学とは何か?」を説明しました.単に経済成長が目的であれば,皆さんはすでにマクロ経済学で学んだはずですね.マクロ経済学との違いは,開発経済学ではマクロ経済学では想定しないような状況の国がどうすれば成長するのかを考察します.トルストイは『アンナ・カレーニナ』の中で,「幸福な家庭はどれも似たものだが,不幸な家庭はそれぞれ(異なった)不幸を抱えている」という意味のことを語っています.これは国についても言えることではないでしょうか.つまり(幸福と思われる)先進国はどこも似た様なものだが,(不幸と思われる)貧困国はそれぞれその国ならではの問題点を抱えているということです.実際に1980年代には,貧困国に画一的な経済成長のための処方箋を与えたために,大きな副作用が出たことがあります.開発経済学ではその国独自の要因に目を向けることが必要です.例えばボツワナでは成人の1/3がHIVに感染しています.このような国では人々は長期的な視点から行動することは難しくなるのは当然でしょう.

 続いて,途上国の現状をデータで見ていきました.所得,栄養不足,教育,健康など,皆さんの予想通りでしたか.

 平均化されたデータではなく,個別の国を知ってもらうために,今回はジンバブエの現代史を紹介しました.約30年前に「世界で最も恵まれた独立」を果たした国は,現在どうなっているのでしょう.もはやかつての面影はありません.しかも状況が好転するような兆しも見えません.なぜジンバブエは理想的なスタートを成し遂げながら,その後つまずいたのでしょうか.今回僕が紹介したのはその原因の一端でしょう.

 授業の後半は「学生参加型授業」とはどういうものかを知ってもらうために,各自に「貧困とは何か?」について考えてもらいました.皆さんが発表してくれた意見をまとめると次のようになります.
・教育を受けられない状態
・食糧(栄養)不足
・低所得
・粗末な住居,住居がないこと
・モノがないこと
・失業
・医療を受けられない状態
・内戦
・治安が悪い状態
・衣料がないこと
・子供が働かされること
・孤立していること

 素晴らしいですね!僕が期待した以上の答えが出てきました.貧困というと我々はついつい物的貧困にとらわれがちなのですが,教育,失業,孤立など精神的充足と関連した意見が出てきました.特に孤立は素晴らしい.なぜ素晴らしいのかは次回の講義で説明することにしましょう.

 課題を配布しました.課題をこなすことで,さらに貧困についての理解・考えを深めましょう.次回も貧困についての話をします.

【課題】
 配布した小レポートの提出.
 締め切り:4/11(月)

2011年4月8日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ(4/8)

今回は,授業の評価,ミクロ経済学とは何かを説明した後,主にインセンティブについて説明しました.

【授業の内容】
 皆さんのうち,総政の先輩と仲の良い人は「ミクロは厳しい」とか「(受講者の)半分は単位を落とす」などと聞いているかもしれません.確かに否定しがたい所はありますが,大学生としてこれぐらいは勉強してほしいと思わないでもありません.情報を公開しておくと,昨年度受講者のうち,本試験を受け,本試験あるいは追再試により単位を取得できた人は73%です.また本試験前に挫折した人を含め,履修登録者のうち単位を習得した人は60%です.半分は大げさにしてお,結構な割合で単位を落としてますね….
 とはいえ,真面目に勉強する人には結構フォローをしていますし,練習問題も比較的多く配布しているので,出席して真剣に話を聞いている人はほぼ単位が取れていると思います(主観的イメージ).
 今週はミクロのイメージを掴んでもらおうと割と柔らかい話題が多かったと思います.来週以降は少なくとも今回よりは面白くなくなると思うので,今回興味が持てなかった人は取り消すのも手ですよ.

 さてミクロですが,経済におけるもっとも小さなプレイヤー(経済主体と呼びます)である個別の家計(や個人)や企業などの動きを分析するものです.より正確に言えば,各プレイヤー間で資源がどのように配分されるのかというメカニズムを解明するものです.
 前期は「完全競争市場」という仮想的空間について学び,後期は「不完全競争市場」,つまり現実の経済について学びます.

 今回はミクロ経済学において最も重要な概念である(と思う)インセンティブ(誘因)について説明し,インセンティブを用いてどのように問題を解決するかを具体例をあげて説明しました.
 合理的な人々はある選択肢に直面すると,それぞれのメリットとデメリットを予想し,最も得な選択肢を選ぶはずです.であるとすれば,人々に違う選択をさせたい場合には,それぞれの選択肢のメリットとデメリットを変化せてやれば良いのです.違う選択をするインセンティブを強めてやれば,口うるさく言わなくても,「こちらの方が得だ!」と自分から動いてくれるはずです.

(時間不足のため一時中断.続きはなるべく早めに書きます)

(ここから再開)
 これまでの話の前提として,市場経済を想定しています.市場経済とは,我々が住む日本を含む先進国のすべてに共通する経済システムです.と,改まった言い方をせず,わかりやすく言うと,誰もが好き勝手に経済活動(生産や売買)をできる状況のことです.もし皆さんがチョコレートを買いたいと思えばお店で買えば良いし,もしその値段が高いと感じれば買わなくても良いように,誰もが自分が幸せになるように利己的に行動するのが市場経済です.もちろん例外はありますが,それはまた後日.
 市場経済に対する概念として計画経済があります.市場経済では各プレイヤーはフラット(水平,横並び)な関係にありますが,計画経済は垂直(タテ)の関係です.一部のプレイヤーがいろんな財の生産量や配分を決めます.

【今回出てきた重要語句】
財(ざい):モノやサービスの総称.
市場(しじょう):財の売買が行われる場所.
インセンティブ(誘因):人々や企業の意思決定や行動を変化させるもの.

【課題】
テキストpp.8-12を読んでくること.

総合政策演習D 前期 第1回

 新学期が始まりました.新3年生にとってはついに就職活動(就活)が現実的なものとして感じられるようになったのではないでしょうか.演習Dでは,民間企業の就活において課される筆記試験の対策を行います.また,就活のヒントなども伝えていきます.

【授業の内容】
 今回は初回ということもあり,テストはありませんでした.しかし来週以降は毎回テストを行います.成績もそのテストと平常点により決まります.今回は,授業,就活の説明,およびSPI2などの説明をしました.
 まず新卒カードの重要性を説明をしました.大学生のうちはなかなか気づかない人が多いのですが,就活においては,新卒か既卒かで大きな違いがあります.新卒であれば世の中のほとんどの企業にエントリーできます.また選考の過程で普段はなかなか会えない人にも会うことができます.しかし一旦既卒になれば,中途採用となるため,基本的には経験者しか相手にしてもらえません.つまり就職先のないまま卒業し新卒カードを失うと,経験を積めないため,その後の就職活動がかなり限定されてしまうのです.これは圧倒的に不利です.そのため,なんとか新卒として内定先を確保することはその後の人生において非常に重要なのです.

 続いて,先月卒業した学年の就職内定率(全国と総政の先輩)を紹介しました.全国の就職内定率は2月1日現在で77%と高めです.しかし授業で説明したとおり,この数字はある程度加工されたものであり,また調査対象もかなり偏りがあると推測できるものです.

 さて就活とは具体的にどのようなものなのでしょう?まずは夏休みのインターンシップから始まります.しかしその予約は6月からなので,あと2ヶ月で就活は事実上スタートします.そして10月以降に説明会,エントリー,筆記試験,面接,グループ・ディスカッションなどを経て内定(内々定)が待っています.
 演習Dでは,このうちの筆記試験対策,そのなかでも最もよく用いられるSPI2対策を中心に行います.

 また,最近では「ガクチカ」とも呼ばれますが(ガク生時代にチカらを入れたことの略),学生時代にこんなことに挑戦した,取り組んだということの「ネタ作り」も意識しましょう.自己分析は後でできますが,ネタ作りは今からでも遅いぐらいです.早めに取り組みましょう.

【課題】
 次回のテスト範囲はテキストの問題種1「推論」PP.64-97と今回配布した例題です.説明を読めば,それほど難しいものではありません.しっかり準備しましょう.SPI2は「しっかり準備しない・できない学生」をふるい落とすものです.決して頭の良さを測るものではないと思います.

【ルール】
 毎回のテストで正答率が5割以下であった学生には,別途課題を出します.翌週の授業開始時に提出してください.未提出,あるいは課題を解いていない場合はその回のテストの受験資格を失うものとします.