2008年5月31日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第7回

 今回から分析対象が企業に移ります.

【授業の内容】
 前回までの分析対象であった家計は,効用を最大化するという目的の下に行動していました.同様に企業にも目的があります.それは利潤の最大化です.しかしそれを邪魔する様々な制約があるのも家計と同様です.

 まず基本的な事柄の確認です.
利潤(Π)=収入(R)-総費用(TC)
収入(R)=価格(P)×量(X)
前提条件:完全競争市場

 上記は特に説明しなくても「そりゃそうだ」という内容ですが,続いて経済学ならではの費用をいくつか紹介しました.
限界費用:新たに生産量を1単位増加した場合に発生する費用
固定費用:総費用のうち,生産量に関係なく一定の費用
可変費用:総費用のうち,生産量と共に増加する費用
 また費用ではありませんが,
限界利潤:新たに生産量を1単位増加した場合の利潤の変化量
 というものも新たに出てきました.

 これらの関係を理解するために具体的な数値を入れたプリントを配り,それを埋めました.そこに隠されていたのは,どれだけ生産すれば利潤が最大になるかは,価格と限界費用のバランスによって決まるということでした.
 価格というのは新たにもう1つ生産したときに入ってくるお金であり,限界費用はその時に発生する費用です.つまり価格が限界費用より高いのであれば,もう1つ生産することで利潤は増加(赤字は減少)します.逆に価格が限界費用より低い場合にもう1つ生産してしまうと,その差額分だけ利潤が減少(赤字が増加)してしまいます.
 図からは価格と限界費用が等しい点で生産することが最も合理的な選択であることがわかります.

【注意!】
 次回からはちょっとした数式を使って説明します.前にも言いましたが,経済数学入門を取っていない人は必ず僕の所に相談に来ること!

経済学Ⅱ 第8回

 今回は損益分岐点と操業停止点の説明でした.

【授業の内容】
 これまでの知識を元に,グラフを使って損益分岐点と操業停止点を説明しました.
 前回,価格と限界費用が等しくなるよう生産量を決定すれば利潤が最大になることは確認しました.今回はそれをグラフで説明した後,平均総費用曲線と平均可変費用曲線を書き入れ,収入,総費用,可変費用をそれぞれグラフの面積で表現しました.
 グラフから明らかになったことの1つは,限界費用と平均総費用が交差する点で価格が決まると,収入と総費用が等しくなる(つまり利潤が0)ことがわかりました.この点を損益分岐点と呼びます.これを上回る価格であれば黒字に,下回れば赤字になります.
 もう1つは,限界費用と平均可変費用が等しくなる点です.ここで価格が決まると,収入と可変費用が等しくなります.どちらも生産することで発生するものなので,収入と可変費用のどちらが大きいかに注目すれば,生産するべきか,生産するべきでないかがわかります.この収入と可変費用が等しい点を操業停止点と呼びます.その名の通り,価格がこの点を下回れば操業を停止した方が赤字は少なくてすみます.
 固定費用が存在する限り,損益分岐点は操業停止点よりも上にあるので,赤字なのに生産するということも起こりえます.

 今回の内容は結構ややこしい話なのですが,僕なりには上手く説明できたような気がします.もちろんみんなが真剣に聴いていたからこそ,上手く説明できたとは思いますが.

2008年5月30日金曜日

開発経済学 第9回

 今回は近年話題のマイクロ・ファイナンスを採り上げました.

【授業の内容】
 マイクロ・ファイナンスは当初来週の予定でしたが,ちょうど前日,テレビでマイクロ・ファイナンスの新しい形であるマイクロ・ファンドの団体Kivaについて特集(?)があったので,誰か見ているかと思い,1週早めたのですが,あまり見ていた人はいなかったようです.
 日本主催のTICAD(アフリカ開発会議)があったため,この2週間ぐらい,NHKではアフリカの貧困についてのドキュメンタリーを多く放送していました.

 さて,マイクロ・ファイナンスですが,その定義は「貧困層や低所得層を対象とする小規模な金融」です.岡本他(1999)
 他の金融機関,あるいは貧困削減政策との主な違いは
・融資額が小さい
・金利が低くない(インフォーマル金融よりは低い)
・高い返済率
・担保なし
 と言ったところでしょう.(もちろんすべてのマイクロ・ファイナンスにあてはまるわけではない)

 授業では例として,ムハマド・ユヌス氏が設立したグラミン銀行を紹介しました.関心がある人は図書館でユヌス氏の自伝を借りてみて下さい.

 なぜ既存の金融機関は貧困削減に機能しなかったのでしょうか?その理由としては,貧困層に対する誤解がありそうです.貧困層は怠惰であるが故に貧しく,融資しても消費に使ってしまい返済しない,という誤解から貧困層がフォーマルな金融機関から融資を得られる機会はあまりありませんでした.その他にも,融資最低金額が低い,担保が要求される,手続きが煩雑,など様々な理由により貧困層は金融機関から遠ざけられていました.

 マイクロ・ファイナンスは,貧困層にとって投資を可能にし,貧困の罠から脱却する大きなチャンスです.マイクロ・ファイナンスに対する批判が無いわけではありませんが,それでもやはり魅力的な貧困削減策であると僕個人は思っています.

【参考文献】
岡本真理子他(1999)「マイクロファイナンス読本」明石書店
ムハマド・ユヌス(1998)「ムハマド・ユヌス自伝」早川書房

【今後のレポートについて】
第2回 外部講師の講演についての感想文
 提出期限:6/19
第3回 課題図書を元にしたレポート(自由課題,感想文ではない)
 提出期限:7/10
第4回 未定
 提出期限:7/10

2008年5月27日火曜日

基礎総合演習A 第4回

 今日は個別企業のチャート図を見て,株価変動の要因を探りました.

【授業の内容】
 今回のチームはシャープを選んだので,シャープの株価の過去1年間の値動きを見て,どんな理由で株価が変動したのか説明してもらい,それを元に将来の株価を予測してもらいました.

 まず株価変動のイメージとして,「毎年必ず1万円がもらえる不思議なカードをいくらで
買うか?」という質問からスタートしました.変な質問ですが,株を単純化したものだと捉えることができます.また,条件がどう変わったら購入希望価格が変化するかも考えました.

 次にシャープの株価ですが,過去の変動要因としては日経平均株価と連動していることを指摘していました.しかし,学生と僕からは「日経平均が昨年夏になぜ急落したのか?」,「日経平均と乖離した動きの理由は何か?」という質問が出ました.
 また,今後の株価の予測ですが,過去4年間の値動きが日経平均とほぼ一致している,業績は4年連続で上昇している,といった点を説明した後,「下がるのではないか」,「(期待を込めて)上がるだろう」と意見が割れていました.

 後半は「なぜ昨年夏に日経平均が下がったのか?」,「今年2月にシャープの株価が上がったのはなぜか?」を全員で考えました.各チームで考えれば,それなりにちゃんとした答えが出てきましたね.自分で考えるということを習慣づけましょう.

 来週は次のチームの予測と,サブプライム問題って何か,を発表してもらいます.

経済学A 第5回

 今日は年金を取り上げました.前回物価の話をしたので,その関連です.

【授業の内容】
 みなさんも20歳になったら年金保険料を払わされます.年金問題はしばしばニュース等で報じられていますが,果たして年金は払うべきなのでしょうか?

 さて,授業ではまず「社会保障とは何か?」からスタートしました.年金も社会保障制度の一環です.日本には年金以外にも,失業保険,健康保険,労働災害保険,障害者保険,介護保険,生活保護,児童福祉など様々な社会保障制度が存在します.
 それらは,保険的方法と扶助的方法に分類できます.前者は受益者負担,つまり保険料を支払った人のみ救われるもので,上記の例のうち,~保険というのがそれです.年金も年金保険制度です.一方,生活保護や児童福祉は保険料の支払いが給付の条件にはなりません.これらは扶助的方法と呼ばれます.

 さて,公的年金保険制度ですが,少子高齢化と絡めてよく話題に上ります.その理由は,年金制度が事実上,賦課(ふか)方式であるためです.授業では賦課方式と積立方式の違い,そしてそれぞれのメリットとデメリットを紹介しました.

 続いて,年金の具体的な話へと移ります.まずはしばしば,2階建てと呼ばれるその仕組みからです.国民基礎年金と呼ばれる1F部分はみんな共通ですが,2F部分は職業により加入できる年金が異なります.
 さらに具体的な年金制度の話ですが,まぁこの辺は省略します.レジュメを読めばわかる話なので.

 僕はみなさんに「年金保険料を払え!」とか「~払うな!」ということは言いません.長寿の家系で長生きできると思えば入った方が合理的とは思いますが.
 僕がみなさんに唯一オススメするのは,「学生の間,年金保険料を納めないのなら,とりあえず学生納付特例制度を申請しておけ!」というだけことです. 
 なぜなら公的年金制度は皆さんがイメージする老齢年金以外にも,障害年金や遺族基礎年金といった年金も含んでいるからです.学生時代に部活,あるいは交通事故で障害を負ったとしても,もし年金を支払っておらず,かつ特例制度も申請していない場合は,障害年金を受け取ることができません.
 働きだしたら自分で考えて払うかどうか決めれば良いですが,取りあえず在学中は,この申請だけは出しておきましょう

2008年5月26日月曜日

経済政策論 第6回

 今日は前半に観光の提言を,後半は少子化問題でした.

【授業の内容】
 観光の提言は,その内容よりも意見が少なかったのが問題です.内容はおもしろかったので,文章を整えて実際に提言を伝えてみてはいかがでしょうか?
 ちなみに,徳島県,徳島市ともに市民からの意見を受け付けています.
徳島県,知事への提言:http://www.pref.tokushima.jp/Opinion.nsf/
徳島市,市民ポスト:https://www1.city.tokushima.lg.jp/mail/post.html

 後半は少子化のレクチャーと言いつつ,みんなにどんどん意見を聞きました.
 少子化のデメリットとしては,社会保障について若年層の負担が重すぎ,不公平になるからということでした.
 逆に少子化のメリットを聴いてみると,なかなか僕が発想しないアイデアが出てきて興味深かったです.特に,「就職が有利になる」というのは面白いですね.日本全体としては労働力不足で困るでしょうが,その世代の人は有利かもしれませんね.
 最後に少子化の原因を尋ねましたが,ほぼ満足のいく答えがでました.まとめると以下のようになります.
・働く女性が増えた(男女雇用機会均等法による男女平等,家事が楽になったため)
・不景気
・豊かになったから結婚しない女性が増えた
・慣習が変化した

 少子化,少子化と言いますが,実際には結婚した夫婦が産む子供の数はそれほど減っておらず,結婚する人が減った(非婚化),結婚する年齢が遅れた(晩婚化)によるものです.

【課題】
・晩婚化,非婚化の原因は何か?
・徳島の少子化の原因は何か?
・(上記2題の)解決策

ミクロ経済学ベイシックⅠ 中間テストの結果

 中間テストの採点が終わりました.結果は以下の通りです.

【統計】
満点:20点
平均点:10.04点
最高点:18点

【感想】
 そんなにひねった問題は出してないにも関わらず,平均点がこれだけ低いというのは問題がありますね.対策を考えておきます.

2008年5月25日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第6回

 今回は前半に労働供給の理論,後半は中間テストをしました.

【授業の内容】
 家計の行動は今回でひとまず終わりです.これまでずっと買い手(財)としての家計を取り上げてきましたが,今回は売り手(労働力)としての家計の分析です.
 授業では,2人の学生に協力してもらい,バイト代が上がると働く日数が増えるかどうかを答えてもらいました.すると不思議なことに,バイト代(賃金率)が上がるともっと働く,という人と,働かなくなる,という人に分かれました.この理由を説明するために,馴染みのある無差別曲線と予算線という道具を用いて,労働供給の理論を説明しました.
 それによると賃金率の低い状況にあると,賃金率の上昇とともに労働時間は増えます.しかし,あまりに賃金率が高いと,逆に労働時間は下がります.
 ちなみにテキストではpp.166-172の辺りです.

【中間テストについて】
 まだきちんと見ていませんが,完全競争市場の条件と,スルツキー分解の図の所はひどそうです….完全競争市場の条件は覚えれば良いだけとして,スルツキー分解がわからないのなら質問に来るとか,何らかの対策をすべきです.

【確認】
 ちなみにミクロでは数学も使うので,経済数学入門の単位を取っていない人は4月中に相談に来るようにと言いましたが,来てないようです.そろそろ数学が出てきますが大丈夫なんですか?

経済学Ⅱ 第7回

 今回も企業行動(生産)です.

【授業の内容】
 ややこしい内容なので,きっちり前回の復習をしていたら,あまり進みませんでした.
 前回は,価格と限界費用が等しいところで生産すると良い,という所まででしたが,場合によってはその通りに行動しても赤字が出ることがあります.また赤字と言っても次の2つのケースがあります.
・赤字が出ても生産した方が良い場合
・赤字が出ており,生産を中止した方が良い場合
 前回配ったプリントでは,その財の価格が変わることで黒字になったり,赤字になったり,また赤字でも生産した方がマシな場合と,生産を止めた方がマシな場合に分かれることがわかりました.

 それらをどうやって見分ければ良いのか?そのために今回は新たに2つの概念を紹介しました.それが平均総費用平均可変費用です.それぞれ,総費用と可変費用を生産量で割ったものであり,生産量1つ当たりの総費用,可変費用を示しています.
 ちなみに平均総費用が価格を下回るときは黒字ですが,上回るときは赤字になります.それらをグラフ(図の面積)を使って説明しました.

 最後に,配布した表の例を用いて,「価格がいくらであれば何個生産すべきか?」というミニテストをしました.これまでのミニテストはほとんどの人ができていましたが,今回は7~8割の正答率でした.確かに難しいかもしれません.

【課題】
 次回がおそらく前期で一番ややこしい話ですので,今回の内容を復習しておきましょう.

2008年5月23日金曜日

開発経済学 第7回

 今回は人口論です.途上国では出生率が高いようですが,なぜなのでしょう?

【授業の内容】
 以前に,人口が増えれば1人当たり産出量(所得)が小さくなってしまうというマルサスの罠を紹介しました.一定の農地を持つ家庭にたくさん子どもが生まれれば,世代を経る毎に,1人当たりの産出量が下がっていくのは自明と言えます.
 さて,ではどうして途上国の人々はたくさん子どもを産むのでしょう?計画性が無いからなのでしょうか?それとも我々が想像し得ない理由があるのでしょうか?

 まずは,人類の繁栄の歴史?として,超長期の人口推移を紹介しました.それまでほとんど増加がなかった人類ですが,1800年以降はまさに爆発的にその数を増加させています.
 この人口爆発の説明として,人口転換を紹介しました.19C初期までは先進国ですら高出生・高死亡であったのが,その頃から高出生・低死亡へと転換しました.これにより,人類の数は急激に増加してしまいました.先進国では次のフェイズ(低出生・低死亡)へと移っています.

 一体,何が出生を決めるのでしょう?ここでは近代人口論の祖であるマルサスを紹介した後,近年(といってもずいぶん前ですが)提唱された3つの代表的な仮説を紹介しました.
・ライベンシュタインの費用-便益仮説
 人々は子どもを持つことの費用と便益(効用)を比較して,子どもの数を決めるというもの.これにより低所得層と高所得層で希望子ども数が異なることがわかる.
・ベッカーの質・量モデル
 簡単な式から,なぜ教育水準の高い国では子どもの数が減ってしまうのかを説明できる.子どもを増やす限界費用と,教育年数を増やす限界費用を比較しました.
・イースタリンの相対所得仮説
 これはあんまり途上国の分析には使えないかも…?

 ここで脱線して人口増加のメリットについても2つ挙げました.(省略)

 最後に人口政策について簡単に説明しました.人口抑制政策として有名なのは中国の1人っ子政策ですが,劇的な効果をもたらす一方,その代償も小さくありません.急速な高齢化は日本以上になるでしょうし,失われた女性という問題もあります.

【レポートの返却について】
 第1回レポートは採点の上,来週の講義で返却します.取りに来ない場合は欠席と言うことで.

2008年5月20日火曜日

基礎総合演習A 第4回

 今日でようやくメンバーがきちんと揃いました….

【授業の内容】
 今回,ついに株を買いました(バーチャルですが).それぞれのチームは株を購入した理由をそれぞれ説明していましたが,ちょっと弱いかなぁ.もう少し,株価が上がるまでの過程をキッチリ説明できると良いのですが.

 このゲーム(?)のルールを確認すると,
目的:当初の所持金100万円を運用しながら守りきること
期限:最後の講義日
おまけ:所持金が一番少ないチームは打ち上げの幹事をすること

【課題】
 チームFTSは,ある企業の株価の直近1年間の値動きを説明してもらいます.それがわかれば今後の予測に使えるかもしれませんね.

経済学A 第4回

 今日は名目値と実質値の違いを説明しました.

【授業の内容】
 最近,また年金制度についての議論が活発になってきましたが,公的年金はなぜ必要なのでしょう?個人の積立貯金ではダメなのでしょうか?
 ということは,物価の変動について少々知識があった方が深く理解ができます.また物価の変動に伴う名目値と実質値の違いを理解することは,資産運用を考える上でも重要となります.

 さてその物価ですが,授業では消費者物価指数(CPI),企業物価指数,GDPデフレータを紹介した上で,単純化した例でCPIの計算をしました.計算方法はテスト前にも確認しましょう.そんなに難しいものではないはずです.
 続いて物価の違いとして,時系列と横断面で比較しました.同じ日本でも時代により物価は大きく違いますし,現在でも国,地域によって物価は異なります.いくつか具体例を紹介したのですが,驚いたのではないでしょうか?
 なぜ物価は変動するのか,まぁ時間と共に物価は上昇するケースが多いので,なぜ物価が上がるのかを,需要と供給の2点から説明しました.現在の世界的な原油価格の高騰は途上国での需要増加が主なきっかけです(もちろん投機マネーが原油市場に流れ込んだこと,バイオ燃料の増産なども影響しています).

 さて,物価の説明が終わったところで,後半は名目値実質値を説明しました.最初の例として,名目所得と実質所得,次に名目GDPと実質GDPの説明をしました.どちらもポイントは共通しています.
 名目値というのは普段目にする数字だけに,ついつい惑わされがちですが,あまり重要ではありません.名目所得よりも物価の変動を考慮した実質所得の方が重要ですし,物価で左右される名目GDPよりも,生産力そのものの変化がわかる実質GDPの方が国の持つ経済力を上手く表現できています.
 それぞれ名目値と実質値の違いを理解してくれていたら良いのですが.まぁ皆さん後半は真剣に授業を聴いていたようなので大丈夫ですよね?

 授業でも少しふれたのですが,質問や感想があればこのブログにもどうぞ.

経済政策論 第5回

 前回に引き続き観光です.

【授業の内容】
 前回,4つの課題を出したので,それぞれについて意見を聞きました.

・観光客は徳島に何を求めて来ているのか?
・(県外で)最近人気の出てきた観光地を分析する.
・徳島の観光客はなぜ少ないのか?
・(県知事になったつもりで)どうすれば観光客が増えるか?

 前半はあっさり終わりましたが,後半はいろんな意見が出てきましたね.ようやくみんな授業の形式にも慣れてきたのではないでしょうか.

 来週の授業は,前半に「観光について県知事への提言」を発表してもらい,後半は新たなトピック「少子化問題」のレクチャーを予定しています.

2008年5月16日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第5回

 今日はスルツキー分解でした.

【授業の内容】
 スルツキー分解は教える側として非常に難問です.所得効果や代替効果は抽象的な概念なので,「こういう気持ちもあるだろ?」という説明に終始してしまいがちです.

 まずギッフェン財の説明から始めました.途中の補足も踏まえてまとめると,ギッフェン財とは,所得効果が非常に強い下級財である.そのため,価格が下がったにも関わらず消費が減少し,価格が上がっても消費が増えてしまうという奇妙な財です.非常に限定された条件下ではギッフェン財も存在することがあります.まぁレアです.

 さて,スルツキー分解とは,ある財の価格の変化による消費の変化を,代替効果所得効果に分解するというものです.
 代替効果とは相対価格の上がった財の購入が減り,相対価格が下がると購入が増えるというものです.価格ではなく相対価格という点に注意さえすればそれほど難しいものではないでしょう.
 所得効果とは,実質所得が変化したときに消費にどのように影響を与えるかというもので,実質所得が増えた時,上級財の消費は増えますが,下級財の消費は減少します.ギッフェン財も下級財の仲間なので減少します.

 言葉で説明すればこれだけですが,図の意味などを考えるとなかなか難しいものです.みなさん講義を受けたらなるべく早く(できれば今日中に),教科書の該当部分をもう一度読んでみて下さい.今度はかなり理解が進むと思います.よくわからないままほっとくと後で困ります.

【中間テストについて】
 来週の授業中に行います.配点は低いので期末で挽回はできますが,試験を受けなかったら単位は放棄したものとみなします.

経済学Ⅱ 第6回

 前回に引き続き企業の行動です.

【授業の内容】
 前回は小企業の生産について説明しましたが,今回は大企業の生産です.あんまり変わらないんですけどどうでしたか?
 新しい言葉としては限界費用ぐらいです.

 大企業(というか大工場?)では,労働者がほとんどいない状況では効率的な生産ができません.1人が多くの仕事を掛け持ちしていたら効率は悪いですよね.労働者が徐々に増えてくると役割分担もでき,効率的な生産ができます.しかし,前回同様,労働者が増えすぎるとこれまた効率は悪くなります.せっかく新人を雇ってもほとんど仕事がないのかもしれません.
 というわけで,生産量を基準に考えると,生産量が少ないときは限界費用が高く,徐々に低下していくが,ある水準を超えるとまたしても限界費用は高くなります.このような状況下では価格(限界収入)と限界費用が等しくなるように生産量を決定することで利潤を最大化できます.
 つまり,価格>限界費用 という状況なら,新たに1つ生産しても,入ってくるお金の方が出て行くお金より大きいために利潤は増加します(限界利潤はプラス).
 逆に,価格<限界費用 という状況なら,作れば作るほど利潤が減少していきます(限界利潤はマイナス).

 今回はほとんどプリントの表を使って授業をしたわけですが,あのプリントの数字には説明していない関係がもっと隠れています.その辺を詳しく調べてみると,今日の話が実感として理解できると思います.

開発経済学 第6回

 今回は農業を取りあげました.

【授業の内容】
 途上国では多くの人が農村に住んでおり,また貧困層の多くが農村部に住んでいます.
 農業の特徴としては以下が挙げられます.
・気象リスクの存在
・季節性(季節的失業)
・生産資源の移動が不可能
・土地が有限

 授業では農業をマクロ,ミクロの両側面から考察しました.
 マクロ的な側面として,ヌルクセらが唱えた輸出ペシミズム論を紹介しました.これは一次産品の輸出に依存した形の経済開発は困難であるということです.その説明として,プレビッシュ=シンガー命題を紹介しました.

 続いてミクロ的な側面として,農業生産と人口の関係について説明しました.農業は「土地が有限」であるという特徴を持つため,人口増加と共に1人あたりの収穫量が逓減してしまいます.つまり,他の条件が一定であれば,人口成長率の高い途上国で農業を主な産業として頼ってしまうと,徐々に貧しくならざるを得ないのです.
 農村が貧困するためには次の3つの解決策があります.
・出生率の低下
・余剰労働力の都市への流出
・収穫効率の改善
 このうち,出生率の低下については次回「人口経済学と教育」で取りあげます.次の余剰労働力については第4回の「二重構造」で取りあげました.今回は最後の収穫効率の改善例として,緑の革命について説明しました.

 緑の革命とは,品種改良による高収量品種の開発の他,灌漑設備,化学肥料の普及による爆発的な農業生産の増収のことです.東南アジアでは1960年代に,南アジアではそれから20年ほど遅れて普及しました.
 授業では説明しませんでしたが,緑の革命により収穫量が増加したのは疑いようがありませんが,その弊害がなかったわけではありません.

 最後に農業の持つリスクがもたらすものとして,貧困の一側面であるショックに対する脆弱性について述べました.我々の生活と違い,途上国ではリスクに対する公的なセーフネットというのは期待できません.失業保険もなければ,障害保険も年金もありません.もちろん,天候不順により収穫量が激減しても天候保険などありません.頼れるのは所属する共同体や親族ぐらいでしょう.
 どこかからお金を借りてくることができれば良いのですが・・・,というわけで近いうちに近年注目されるマイクロファイナンスについて講義します.

【レポートについて】
 まだほとんど読んでいませんが,噂によると力作もある一方,ひどいのもあるとか….直前じゃなくてもう少し早めにやりなさい!そして出席しろ!

2008年5月13日火曜日

基礎総合演習A 第2回

 今日はようやくチーム分けが終わり,動き出しました.

【授業の内容】
 各チームで野村證券のバーチャル株式投資倶楽部にエントリーし,どうやればお金を上手く運用できるか考えました.
 今日のテーマの1つは自分の頭で考える,だったのですが,みんなあまり意見を出してくれませんでした.まぁだいたい最初はこういうものです.これから徐々に人前でも発言できるようになるでしょう.

 演習の趣旨とは異なりますが,ちょっとだけ株式についてのレクチャーをしました.みんな習うことには慣れているでしょうが,自分の頭で考えることを怠っているような気がします.

【課題】
 来週までにどの銘柄を買うか,最低1つを選んできましょう.またなぜそれを選んだのか発表してもらいます.

経済学A 第3回

 今日はマクロ経済学と題して,日本経済全体の仕組みと経済思想の簡単な流れを紹介しました.

【授業の内容】
 まずは「景気とは何か?」からスタートです.景気って何でしょうか?どうやって測るのでしょうか?ここではニュースにも出てくる指標として,GDP成長率と日銀短観を紹介しました.GDPもそうですが,今日の内容は全体的に社会常識(あるいは,知っておいても良いだろうというもの)が多いです.その分だけ,面白味にかけるから,みんな寝ちゃうんじゃないかと危惧していましたが,みんな真剣に聴いていたようで嬉しいです.
 さて,そのGDP(国内総生産)ですが,その名の通り,国の中でどれぐらいモノが生産されたか,というのが大雑把な説明ですが,厳密に言うと付加価値の総額です.では,付加価値って?と言うわけで,授業では図と数値を用いて付加価値の考え方を説明しました.
 さらに,GDPの流れを追って,GDP(総生産)と総所得と総支出が等しいという三面等価の原則を説明しました.小テストの内容もこれでしたが,みんなきちんと答えていました.

 続いて,経済全体の仕組みの図を描き,それを使いながら経済思想の流れを説明しました.
 国内の主なプレーヤーは,民間側として,企業,家計,(市中)銀行,公側として,政府,中央銀行(日銀)の5つが存在します.これらがそれぞれの役割を果たしています.民間側のプレーヤーはそれぞれ自分の利益を求めています.家計は効用(幸せのこと)を,企業や銀行は利潤をそれぞれ求めています.
 一方の政府や日銀は,国全体の経済が上手く,安定して成長するように手助けをしています.この政府や日銀の手助け(介入と言います)の是非をめぐって,経済学には異なる立場が存在します.

 アダム・スミスに代表される古典派経済学は,市場には「神の見えざる手」が存在しており,物事が効率的に動いていると考えるので,政府による介入については消極的な立場を採ります.政府は最低限の仕事だけをすればよい(夜警国家)というスタンスです.また,需要と供給の関係については,供給が需要を生み出すというセイ法則を唱えています.大事なのは供給,つまり生産力を増加することのようです.
 しかし古典派は,世界大恐慌にはなすすべがありませんでした.そこで台頭したのがケインズ派です.ケインズ派は市場の失敗を認め,政府による積極的な介入を勧めました.需要と供給については,有効需要の原理(需要が供給を生み出す)の立場にあるので,需要促進による景気回復という政策を採ります.
 積極的な介入は当然費用がかかるため,ケインズ派を信奉する国々の中には財政赤字に悩む国が少なくありません.そのため,また振り子が戻るように新古典派に回帰する国もあります.イギリス,アメリカ,そして近年の日本です.
 規制緩和,民営化,官から民へ,いずれも小泉政権の頃からよく聞くキーワードです.果たしてこのまま日本は市場原理を優先した社会に進むのか,それとも政府による介入を認める社会になるのか,皆さんが考えなければならない問題です.

【アンケートについて】
 アンケートの結果はきちんと集計したわけではありませんが,まとめてみると,
・やっぱり難しい
・そこまでつまらなくもないよ
・例はわかりやすい
 という3つに集約されるようです.「今日はおもしろくないよ」と事前に言っていたためか,「それほどおもしろくないわけでもない」という喜んで良いのかどうか,という意見が多々見られました.まぁ,総じて意外と好評だったので,こちらとしても嬉しいです.
 「難しい」という意見も多かったです.「簡単=良い授業」とは思いませんが,この授業では難しいことをわかりやすく説明するのが,僕の仕事だと思っています.今後もわかりやすい授業を心掛けようと思いますので,みなさんももっと質問して下さい.
 アンケートでも1つ質問があったので,来週の授業で説明したいと思います.

2008年5月12日月曜日

経済政策論 第4回

 今日から新たなトピック「徳島の観光」に移りました.

【授業の内容】
 トピックの初回なので僕がレクチャーしました.
 「なぜ観光なのか?」というと,まず成長が見込める産業だから,そして徳島は全国でも観光客がもっとも少ない県の1つであるから,です.
 どうして徳島にはあまり観光客が来ないのでしょう.そしてより深刻(?)なのは,徳島に来た観光客は徳島に宿泊しないことです(宿泊者数は全国ワースト).宿泊してこそ観光客のお金が徳島に落ちるのですが,多くは素通りするのか,日帰りするのか,とにかく観光客は徳島に泊まらないようです.なお,国内観光客だけでなく海外からの観光客も非常に少ないのが現状です.

 ちなみに日本政府は「ビジット・ジャパン・キャンペーン」と称して,外国人観光客を集めようとがんばっているようで,そのためか(円の下落のためか?)観光客は順調に増えてきています.

 近年の観光におけるキーワードとして,サステナブル・ツーリズム,エコツーリズムを取りあげました.学生に聞いてみると,徳島の観光の未来についてずいぶん悲観的でしたが,エコツーリズムという点では徳島は様々な資源を持った県だと思うんですよね.

 皆さんに「徳島の観光客を増やすためには?」と尋ねると,ずいぶん色んな意見が出てきました.それらのアイデアをもう少し洗練させて,観光政策にまで高めて欲しいと思います.

【課題】
 課題は以下の4つです.

  1. 観光客は徳島に何を求めて来ているのか?
  2. (県外で)最近人気の出てきた観光地を分析する.
  3. 徳島の観光客はなぜ少ないのか?
  4. どうすれば観光客が増えるのか?(県知事の立場で観光政策を考える)

【参考になるHP】

・国土交通省「観光白書」http://www.mlit.go.jp/statistics/file000008.html

・国土交通省,観光関係の統計データhttp://www.mlit.go.jp/statistics/details/kanko_list.html

・徳島県http://www.pref.tokushima.jp/Generaladmin.nsf/WMV/C2700?opendocument

2008年5月9日金曜日

パプアニューギニア打合せ 第3回

 パプアニューギニアの件の第2回の打合せが終わりました.今回は非常に実りのある意見交換になったと思います.

 次回は5月14日(水)の5限に23号館の9階のいずれかの部屋で行います.たぶん来てもらえばわかるはずです.

 近々,参加者が作ったホームページが完成するので,以後の連絡はそちらで行います.

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第5回

 今日は前半に弾力性を,後半は所得の変化と消費について説明しました.

【授業の内容】
 需要の価格弾力性はずいぶん引っ張ってきましたが,学割など価格差別がなぜ行われるか,またある商品の価格がどうやって決まっているかを理解する手がかりを与えてくれる概念です.一言で言えば,消費者が価格の変化に対してどれぐらい反応するかというものです.
 というとややこしそうですが,実際に計算して1より大きければ弾力性は高く(消費者は価格の変化に敏感),1より小さければ弾力性は低い(消費者は価格の変化に鈍感)というものです.
 弾力性が高い場合には価格を下げることで収入を増やすことができます.逆に低い場合には価格を上げることで収入を増やすことができます.これを応用したのが二部料金ですが,意外といろんな場面で利用されています.レーザープリンターの話は僕にとって驚きだったのですが,あまり反応は無かったようです….

 後半は所得と消費の関係を説明しました.普段はあまり意識しませんが,財の中には所得が増えると消費量が増えるものだけでなく,所得が増えると消費量が減るものも存在します.前者は上級財(普通財),後者は下級財(劣等財)と呼ばれます.上級財には贅沢品が多く,下級財には廉価品が多いようです.
 次にこの関係をグラフ(予算線と無差別曲線)で確認しました.予算が変化するとどの点に消費が移動するか理解できましたか?

 来週は,価格が上がると消費が増えるという異常な財(ギッフェン財)と,スルツキー分解について説明します.スルツキー分解はミクロの最初の大きな関門です.必ずテキストを読んで予習してきて下さい.

【課題】
 テキストのpp.154-166を読んでくる.

中間テストについて
 中間テストは5/23の講義時間内に行います.たぶん30分程度で,範囲は消費者理論です.授業で言えばおそらく来週の内容までだと思います.

経済学Ⅱ 第5回

 今日は家計の行動(労働供給)を説明した後,企業の行動を少しだけ説明しました.

【授業の内容】
 前回,予算制約下でいかに効用を最大化するか,図を使って説明しました.今日は同じような図を用いて,家計がいかに労働供給を決定するかを説明しました.家計は余暇と収入により効用を得るとします.ただし,働かなければ収入は得られませんし,働けば余暇は無くなります.
 時給(賃金率)が変化すると労働時間(余暇も)がどのように変化するかを調べてみると,必ずしも時給が上がると労働時間が増えるわけではなく,かなり時給が高い水準では,更に賃金が上がると労働時間を減らして余暇を増やす傾向にあるようです.

 後半は企業行動,財市場における企業の生産について見ていきました.
 まず,企業の目的から確認しました.家計は効用の最大化を目的としていましたが,企業は利潤を最大化することを目的としておきます.
 さて,まずは短期における小企業の生産を見ていきます.短期というのは生産設備を変化することができない期間のことでしたね.そのような小企業(授業ではパン屋を例に取りました)はどのような基準で労働者を雇うのでしょう?今回は表を配り,実際に数値計算をして,最も利潤が大きくなるのはどんな時かを確認しました.いくつか目新しい言葉も出てきましたね.
・労働投入量
・限界生産力
・限界収入
・固定費用
・可変費用
・限界利潤
 どうですか?それぞれ意味を理解できていますか?

 来週はこの続きから説明します.プリントを忘れないように.

2008年5月8日木曜日

パプアニューギニアの打合せ 第2回

 パプアニューギニアのボランティアの件ですが,第2回の打合せの場所が決まりました.

日時:5月9日(金)5限
場所:23号館907教室

 前回参加できなかったという人もぜひどうぞ.

開発経済学 第5回

 今日は輸入代替と輸出指向を比較しつつ,工業化と貿易について説明しました.

【授業の内容】
 現在,日本は遅ればせながら,積極的にFTA(日本政府はEPAという言葉を使っていますが)を勧めています.どうして各国はFTAを行うのでしょうか?また,逆にこれまでどうして自由な貿易をしていなかったのでしょう?

 今日はアジア各国の20世紀の歴史をひもときながら,輸入代替工業化政策を採った国と輸出指向工業化政策を採った国のその後を比較しました.

 まず前提条件として戦後のアジア諸国の状況から確認しました.アジアの多くの国は西洋列強,また日本の植民地化を経験したため,多くの国々がモノカルチャー経済からスタートしました.マレーシアのゴムや錫(すず),インドネシアのコーヒーやサトウキビなどがその例です.モノカルチャー経済は当然ながらリスクに脆いという性格を持ちます.また授業では説明できませんでしたが,交易条件が徐々に悪化するというデメリットも孕んでいます(これについては次週).

 この時点で考えられる戦略として,1次産品の輸出を通じての工業化がありますが,これは先進国の保護主義により挫折します.その時点での先進国は同様の戦略で発展しましたが,その時には先を行く先進国がいませんでしたしね.
 次の戦略として,保護主義的な工業化(輸入代替工業化政策)と自由貿易を通じた工業化(輸出指向工業化政策)がありました.後者を選んだのは韓国,シンガポール,台湾,香港といった比較的小さな国々です.自国の市場が小さいが為に輸入代替工業化を選択できなかったという理由もあるでしょう.残るアジアの多くの国々は前者を選びました.

 多くの国が輸入代替工業化政策を選んだのには理由があります.まだヨチヨチ歩きの産業を守り育てるためには,外国からの安く,性能の良い製品との競争から守ってやる必要があると考えたからです.
 しかし,この政策にはデメリットも存在します.まず,国内で商品を売ろうにも国内市場は小さく,十分な購買力がありません.そのため規模の経済が働かず,なかなか競争力が育ちません.また,自国通貨安に誘導したため,当然輸出条件は悪化し,慢性的な貿易収支の悪化を引き起こしました.
 こうして輸入代替工業化政策を選んだ多くの国が伸び悩む中,輸出指向工業化政策を選んだ国々は急速に発展していきます.

 輸出指向工業化政策,つまり自由な貿易のメリットとは何でしょう?講義では以下の3つを挙げました.
・比較生産費説
・学習効果(技術の伝播)
・競争促進

 最後に技術の伝播を説明するものとして,ヴァーノンのプロダクト・(ライフ)サイクル論を紹介しました.

 来週は農業を取りあげます.

レポートの提出
 第1回のレポートの提出期限は5/15,つまり来週の木曜日までです.

【お知らせ】
 以前から予告していた外部講師を招いての講演会ですが,ジンバブエで建築に携わっていた方になりそうです.

総合政策演習D 第5回

 今日は,いつも通りのテストの後,先輩である4年生に参加してもらい,体験談を語ってもらいました.

【授業の内容】
 前半はいつも通りのテスト&解説ですが,時間がなかったのでほとんど解説できませんでした.個別に質問に来てくれれば説明しますよ.

 後半はすでに内定をもらっている先輩たちに様々な質問をしました.聴いていてわかったと思いますが,僕から「こんな風な内容を話せ」という規制はまったくありません.4年生の率直な体験&意見を聴けたと思います.

 質問もいくつか出てましたし,授業の後も直接質問していた学生もいたようです.就活は積極性が大事なのは4年生が言っていた通りです.今後もキャンパスで見かけたら積極的に声をかけてみましょう.必ず(たぶん)親身になって相談に乗ってくれるはずです.

 今日の内容は録音してあるので,そのうち文章にして公開したいと思います.完成したらまた報告します.

 ちなみに言い忘れましたが,4年生のうち何割かの人たちは,mixi上で就活のコミュニティを作って意見を交換していたようです.そこに参加してみるというのも手だと思います.今日来てくれた学生の中にも入ってる人もいると聞いています.