2009年1月29日木曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ テストの結果

 すべての採点・および評価が終わりました.

【テストの結果】
 95点満点(残り5点は課題提出によるため)
 平均点:51.33点
 最高点:82点

 模範解答はすぐに公開する予定でしたが,病欠による追試が残っているため,それが終わり次第HPに公開します.

 総評は,みんなしっかりと勉強していたことが伝わりました.「あ,こりゃ諦めてるな」という解答はほんの少しで,多くの人はテスト対策ができていたと感じました.
 平均点が低かったのは,やり方はあっているのに計算を間違えているケースが多かったためだと思います.特に複占の問題はややこしいため,途中で数字を間違えたまま計算をしてしまったのが目に付きました.
 テストが難しいという声もありましたが,基本的には講義内で解いたことがない問題は出していません.昨年の試験問題に囚われすぎて,それ以外の問題の復習がやや疎かになったのではないでしょうか.
 なお,事前に通告していた通り,再テストはありません.

 皆さんからの感想として,「もっと例題を出して欲しい」などの意見があったので,僕も反省すべきだと思います.問題を提供すると,みんなきちんとついてくることがわかったので,来年はその点を改善したいと思います.
 逆に僕からの要望としては,テスト直前に見せた凄まじい集中力と努力を,普段の講義にほんのわずかでも使っていれば,もっとみんなの理解は進んだと思います.勉強の効率性があまり良くないように感じられます.

 さて,公務員志望(特に行政職)をめざす人は,来年度に総合施策演習B1を受講することをオススメします.基本的に公務員試験で出題される範囲はベイシックⅠ・Ⅱでカバーしていますが,もう少しひねった問題がでるので,それらに演習で慣れましょう.

経済学Ⅰ 第15回

 最終回である今回は,これまでの復習兼テスト対策を行いました.

【授業の内容】
 用意した復習問題のプリントを用いて,皆さんが苦手な問題から順に解説していきました.
 期末試験も同様のレベルの問題を出します.このプリントの内容がしっかりと理解できるようになるまで勉強してください.当然ながら同じ問題を出すわけではないので,あくまでもこのプリントは参考程度にしてください.

総合政策演習B1② 第14回

 最終回ではありますが,粛々と問題をこなしました.

【授業の内容】
 小テストは余剰分析でした.独占による死荷重を計算してもらいました.

 今回は外部性とパレート最適の復習でした.今期は数学についての確認を省いたので,かなり余裕を持って問題をこなすことができました.結局,受講者のうち公務員志望の学生が減ってしまったのが,科目の趣旨からすると残念ですが,自分のやりたいことが明確になって民間志望になったのであれば,それはそれで良いことですね.

 公務員志望の人は4年生になっても,復習のつもりで受講してください.歓迎します.

基礎総合演習B 第14回

 今回はこれまでの演習で学んだこと,売買の結果などを1人1人に報告してもらいました.

【授業の内容】
 レポートには,これまでの取引記録,評価額の推移,取引の狙いなどに加え,演習を通じて学んだことと反省点,そしてもし今,100万円を持っていたらどのように運用するかを書いてもらいました.

 それぞれがきちんとしたレポートを作成し,それに基づいて発表してくれました.この演習を通じて身につけて欲しかった能力は「自分で考えること」です.その意味が少しでも伝わっていたら嬉しいです.

 半期に渡って行ったバーチャル株取引ですが,最後の最後で大逆転が起こりチームzeroが1位でした.僕は先週まで1位だったのですが,売り時を逃してしまいました….
 結局,当初からの目的である「100万円を維持する」が達成できたのは1チームだけでした.まぁ,取引を初めて直後にサブプライムローン問題が顕在化するという最悪のタイミングだった割にはよく健闘したのではないでしょうか?

 さて,演習の打ち上げは2/5,テスト最終日です.幹事の皆さんお疲れさま.

2009年1月24日土曜日

経済学A 第14回

 最終回である今回は,開発経済学について講義しました.開発経済学の知識は皆さんの今後の人生にとって直接役に立つわけでもありませんが,ぜひ知っておいて欲しいことです.

【授業の内容】
 まず,いわゆる途上国の現状について紹介しました.どれだけ貧しいのか,何に困っているのか,は日本にいてはなかなかわかりません.貧しい国で起きている問題や事件は日本ではあまり報道されることがないからです.

 サハラ砂漠以南のアフリカ(サブサハラ)の国々では1960年以降,人々はほとんど豊かになっていません.貧困国から急速に成長して先進国になった日本,そして現在も高い成長率を見せている東アジアの国々とは対照的です.
 サブサハラの国々が貧しいままである原因はなぜなのでしょう?

 講義ではヌルクセの貧困の悪循環を説明しました.現在貧しい理由は,過去に貧しかったからだ,というものです.貧しいと貯蓄ができず,貯蓄ができないと投資ができない,投資ができないと生産が低いので,いつまでたっても貧しいままなのです.では,この悪循環,貧困の連鎖を断ち切るためには,連鎖のどこかを断ち切らなければなりません.

 続いて世界中に存在する富の偏在を説明しました.かつては不平等を一部容認するトリクルダウン仮説という成長についての仮説が存在しましたが,歴史はトリクルダウン仮説が間違っていることを証明しました.日本でも近年,不平等や格差が取りざたされる機会が増えましたが,途上国の不平等は日本とは比較にならないものです.

 さて,このようなアフリカの貧困に対して,世界はどのように考えているのでしょうか?手をこまねいて見ているだけではなく,国連や世銀をはじめとする国際機関,先進国,NGOやNPOなど様々な機関が貧困撲滅に向けて活動してきました.
 授業の最後に,貧困削減についてのユニークな2つの活動・団体を紹介しました.1つはノーベル平和賞を取って一躍有名になったグラミン銀行,もう1つは現在進行中のOLPCプロジェクトです.

 グラミン銀行のマイクロファイナンス,そしてその創始者であるムハマド・ユヌス氏についての本は図書館に数冊あります.ムハマド・ユヌス氏の自伝は(少々厚めですが)興味深いですよ.またちょっと探してみても,いくつかの動画が発見できました.
http://jp.youtube.com/watch?v=HCu3uufD_js

 OLPCプロジェクトはまだお世辞にも上手く行っているとは言えないと思いますが,その理念,そしてアイデアは斬新なものです.惜しむらくは,その後そのアイデアを模倣したような超低価格ラップトップが多く出てきた点です.OLPCには日本語サイトもあります(あったのですが見つからないので,取りあえずWikipediaを).
http://ja.wikipedia.org/wiki/The_Children's_Machine

ミクロ経済学ベイシックⅡ 期末試験

 講義最終日に期末試験を行いました.すでに採点が終わりましたが,みんな本当にしっかりとテスト勉強をしたことが伝わりました.みんなが真剣に勉強してくれることは僕にとっても本当に励みになりますし,単純に嬉しいです.

ミクロ経済学ベイシックⅡ 補講(第14回)

 ミクロの期末試験は,通常の講義最終日に行うため,授業回数が1回少なくなります.それを補うため補講を行いました.

【授業の内容】
 この日は,事前にHPで公開していた2007年の中間・期末試験の問題を利用して,これまでの復習をしました.自由参加でしたが,多くの学生が出席していました.
 皆さんがいつになく真剣に授業に取り組んでいたため,短い時間ながら非常に効率よく説明することができました.普段もせめてこの半分ぐらいの熱意で取り組んでくれたら…と思わないでもありません.

経済数学入門 第14回

 最終回である今回は,行列についての基礎を説明しました.

【授業の内容】
 行列については高校の時に習った人もいると思いますが,「なぜ行列を習うのか?」,「どうしてあんな計算方法なのか?」,「何の役に立つのか?」については,あまりはっきりしないまま学んでいたのではないでしょうか?少なくとも僕はそうだったので,行列についてもやもやした印象でした.「こんなものを習わなくても連立方程式は解けるじゃないか」と.

 そのため,この講義では半分ぐらいの時間を割いて,「なぜあんな表記方法なのか?」,「なぜあのような計算方法なのか?」,「今後の講義でいつ必要となるのか?」を説明したつもりです.スッキリしてくれたら良いのですが,どうでしたか?

 続いて,主に2×2の行列を使って,足し算,引き算,かけ算,そして逆行列の計算方法を説明しました.
 そして最後に,2変数,2本の連立方程式を行列を使って解きました.

 これまでの講義で何度も言いましたが,基礎的な数学の知識は今後,総合政策学部で学ぶ様々な講義で必要となります.また就活の際にも筆記試験で必要となります.
 数学についてまとめて学ぶ機会は,学部の講義ではもうありませんが,数学に不安があれば全学共通教育センターを利用して,必要な力を身につけましょう.

経済学Ⅰ 第14回

 今回はIS・LM分析の続きです.

【授業の内容】
 前回は財市場の復習でしたが,それを踏まえ,財市場の需要と供給が均衡するようなGDPと利子率の組合せであるIS曲線を導き出しました.

 続いて,金融市場の復習を行いました.貨幣の需要はどういう要因で変化するのか,また中央銀行がどのように貨幣供給を操作するかを復習し,金融市場の需給が均衡するようなGDPと利子率の組合せであるLM曲線を導き出しました.

 最後にIS曲線とLM曲線を組合せ,財市場と金融市場がどちらも均衡するようなGDP(や所得)と利子率を説明しました.

基礎総合演習B 第13回

 今回はこれまでの総括,及び次回提出してもらうレポートの説明をしました.

【授業の内容】
 バーチャル株式の競争は,最終回が締切なので,これまでの売買を振り返り,各チームがどのような狙いで売買をしたか,またその結果はどうなっているかを報告してもらいました.

 また演習のまとめとして,全員に提出してもらうレポートの形式についても説明しました.

2009年1月13日火曜日

経済学A 第13回

 今日は少子化と結婚の経済学です.新年最初の授業,しかも寒いので出席率が低いかと思ったのですが,むしろ高かったですね.

【授業の内容】
 少子化はずいぶん前から話題になっているのに加え,最近は晩婚化・非婚化に関連して「婚活」という言葉も出てきました.今日は少子化と結婚について経済学の立場から考察しました.

 前半は少子化についての説明です.まず合計特殊出生率とは何かを説明しました.その後,少子化のメリットとデメリットを列挙しました.少子化の本当のデメリットとは,世代間の人口バランスが崩れてしまい,社会保障制度の根幹を揺るがしてしまうことです.それさえ乗り切れば,人口が減ること自体は特に大きな問題ではないでしょう.
 世間では少子化のメリットが語られることは少ないかもしれませんが,メリットもあるはずです.講義では,1人あたり資本の増加,環境負荷の軽減,人口過密の緩和などを紹介しました.
 さて,この少子化はどういう原因で起こるのでしょうか?学生からは「女性の社会進出」,「子育て費用の増加」という意見が出ました.前者については,バッツ=ウォード仮説というものを紹介しました.原因としてはその他にも様々なものが考えられますが,日本において最も重要なのは,おそらく晩婚化・非婚化が進んでいることでしょう.授業では言い忘れましたが,実は結婚している夫婦が産む子供の数(有配偶出生率)はいまだに2を超えています.つまり結婚さえすれば平均して2人の子どもをつくるわけです.問題は晩婚化・非婚化が急速に進んでいることです.

 後半は結婚について考えました.まず,「あなたたち(学生)はいつ,誰と結婚するのか?」をデータから説明しました.データが示すことは,同類婚が多いということ.つまり自分と似たような相手を選ぶということです.考えてみれば当たり前で,結婚するには事前にその人と知り合わなければならないわけです.じゃあどこで知り合うのかというと,大学であったり,職場であったりするのでしょう.同じ職場には同じような経歴の人が集まるので,結果としてやはり自分と似たような人と結婚するのでしょう.
 結婚についての経済学からの仮説として,イースタリンの相対所得仮説を紹介しました.これは女性が育った家庭の生活水準(つまり親の所得)と,その女性が結婚した時に築く家庭の生活水準(夫の所得)に着目した仮説です.これによれば,近年の若年層の収入が二極化し,また収入が不安定化していることが,女性に結婚を思いとどまらせているのかもしれません.

 このテーマについてはもっと話したいことがあるのですが,時間の制約上,1回限りです.まあそれほど生活の役に立つという話でもないですしね.
 次週は,開発経済学についてです.