2009年4月28日火曜日

基礎総合演習A 第2回

 このブログでは基本的にすべての講義について書いているのですが,今期の演習は「はてな」というウェブサービスを使っているので,内容はそちらに書くことにします.演習を取っている人はそちらにログインして見てください.

 というわけで,以後省略します.

経済学A 第3回

 今回はこれまでと少し変わって,ガッチリと経済学の話をしました.なかなか正面から向き合って勉強する機会はないでしょうが,知っておくべき社会常識だと思います.

【授業の内容】
 最近景気が悪い話が続きますが,「景気って何だ?」という所からスタートしました.その中でも特にGDP成長率と呼ばれるものについて詳しく説明しました.
 GDPとは国内総生産,つまり1年間にその国の中でどれだけ付加価値が発生したのかを示したものです.付加価値については具体例を挙げて説明しましたね.GDPは生産力を示すものであると同時に,一国の経済力を表すものだと考えて良いと思います.GNPとの違いも一応説明しました.

 さてそのGDPですが,生産力であるので,供給だと考えることもできます.前回も需要と供給って出てきましたね.では需要は何かというと,ここでは総支出がそれにあたります.この総生産,総支出,さらに総所得の大きさが同じであることを三面等価の原則と呼びます.また総支出の内訳は次のようになっていることを説明しました.
総支出=民間消費+民間投資+政府支出(+輸出-輸入)
なお,カッコ内は純輸出と呼ばれることもあります.日本ではカッコ内の純輸出はプラマイゼロに近いです(プラスですが他の項に比べるとかなり小さい,ただし直近ではマイナスになったというニュースも!).

 やや難しいですが,上記の関係を理解していれば,政府が行う様々な政策の持つ意味がなんとなく理解できます.最近の例では,定額給付金の支給は総支出のうちの民間消費を刺激して,景気を回復しようと思っているのでしょうね.ただし,僕は効果についてはかなり限定的だと思っています.

 後半は,経済の地図を書きました.重要なプレイヤー4つ(家計,企業,政府中央銀行)と,サブプレイヤー1つ(市中銀行)の相関図を書きました.来週はこれらの知識を基に,経済学が歩んだ歴史(でもあり経済の歴史でもあります)を見ていくことにしましょう.「規制緩和」,「市場原理主義者」,「神の見えざる手」,「民営化」など(たぶん)聞いたことがあるフレーズが出てきます.

2009年4月25日土曜日

開発経済学 第4回

 今回は二重経済と題して,都市と農村の違い,そして都市化に伴う集積の発生について説明しました.

【授業の内容】
 途上国では出生率が高いことを以前に説明しました.乳幼児死亡率も高いのですが,それ以上に出生率が高いため,人口成長率は高い傾向にあります.どんどん人口が増えていった場合,農村部では困ったことが起こります.農地が広くない農家では,労働力が余ってしまうのです….この労働力はどうなるのでしょう?

 その労働力の一部は都市へと流れます.もちろん都市では農業ではなく,それ以外の仕事に従事するのでしょう.農村の余剰労働力は都市へと移り,安い賃金で工業化
を手助けします.
 このように経済成長に連れて,第1次産業から第2次産業を経て第3次産業が経済の中心となることを17Cのペティ(Petty)が発見し,1940年にクラーク(Clark)によって再発見されました.そのため,この法則はペティー=クラークの法則と呼ばれます.日本もかつては国民の多くが農業に従事していましたが,現在では農業はかなり衰退しています.
 ペティー=クラークの法則では第2次産業として一括りにされた工業ですが,さらに軽工業などの労働集約的産業と,重化学工業などの資本集約的産業に分類しました.これらの生産の割合はホフマン比率と呼ばれています.

 今回は都市と農村の関係を描いた2つの理論モデルを中心に話しました.1つ目はルイス(Lewis)の二部門モデルです.これは途上国経済を慣習経済中心の伝統部門と,市場経済の近代部門に分け,伝統部門(つまり農村)の余剰労働が安価な労働力として近代部門(つまり都市部)に流入する様子を描いています.この理論に基づけば,いつしか来る余剰労働の枯渇は農村賃金を高騰させ,農作物価格が上がるため,都市労働者の実質賃金を下げてしまいます.都市で生活できない労働者は農村部に帰ります.そのため都市労働者が不足するので,経営者は労働者を集めるために賃金を上げなければなりません.これにより企業家の投資意欲は減退してしまい,国としては工業化が止まってしまいます.この罠を抜け出すための処方箋の1つは農業部門における生産性の向上があります.
 このモデルでは都市部の完全雇用を前提としていましたが,実際には都市部でも失業は存在します.

 この矛盾を解決するのはハリス=トダロモデル(Harris-Todaro model)です.ハリス=トダロモデルでは,都市部での賃金に期待値を導入しました.都市部で働きたいと考える農村部の余剰労働者たちは期待賃金に胸を膨らませ都市部へ流入するのですが,実際には全員が職にありつけるわけではなく,失業する人も生まれます.この比較的簡単なモデルで都市部の失業が存在することを上手く説明しています.

 さて,都市化が進むと,集積も発生します.集積は,地理的な要因によって生まれる場合もありますが,制度的な要因で生まれることもあります.
 集積には,規模の経済,特化,サービスの多様化などのメリットもありますが,ローカルコストの高騰,混雑効果などのデメリットも生んでしまいます.集積の例としては,日本で言えば東海地域の自動車,東大阪の製造業などですかね.世界的には,ITではシリコンバレーやバンガロール,金融のロンドン,シンガポール,香港などがありますね.

 来週は工業化と貿易についてです.

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第4回

 今回も需要についてです.今回は練習問題と記号一覧のプリントを配布しました.どちらも活用してください.特に記号一覧のプリントは毎回持ってきた方が良いでしょう.

【授業の内容】
 前回学んだ無差別曲線を利用して,(既に知っている知識ですが)価格の変化と需要の関係を確認しました.常識通り,価格が上がると需要は下がり,価格が下がると需要は増えるようです.この関係はまさに個別需要曲線に他なりません.
 さて,ここで利用した無差別曲線ですが,その形状が持つ意味をもう少し深く調べてみました.無差別曲線がL字型になるときと,直線になるとき,2つの財はそれぞれどのような関係にあるのかを考えてもらいました.L字型になるのは,左足の靴と右足の靴のように,両者が揃って始めて効用を生み出す財(と財)であり,補完財と呼ばれます.一方が固定されたままだと,もう一方がどんなに増えても効用を高めることはありません.また直線になる時は,お茶と水のペットボトルのように,ある財がもう一方の財の代わりになるような組合せであり,代替財と呼ばれます.このように無差別曲線の形状はそれぞれの財がどのような特徴を持っているかを物語ってくれます.

 さて,無差別曲線の形状にも意味があったように,需要曲線の形状(傾き)にも意味があります.需要曲線が急である場合,価格が変化してもあまり需要が変化せず,逆に緩やかな場合,価格が変化すると需要は大きく変化します.
 皆さんの普段の生活でも,「価格が安くなればたくさん買うんだけどな」という財と,「安くなったけどそんなにたくさんいらないな」という財があると思います.前者のように価格の変化に対して敏感に需要が変化することを需要の価格弾力性が高い,後者のように価格の変化に対して需要が鈍感なことを需要の価格弾力性が低い,と言います.需要の価格弾力性は計算によって求めることができます.計算式はここでは書きにくいので省略しますが,その中身は,価格が1%変化したら需要は何%変化するかを示しています.弾力性が1より大きい場合は需要の価格弾力性が高いと言い,この場合は値下げをすることで企業は収入を増やすことができます.逆に1より小さい場合は弾力性が低いと言い,値上げすることで収入を増やすことができます(値上げしても買ってくれるので).

 さて,この弾力性の考えを応用すると,なぜ学割が存在するのかがわかってきます.弾力性の異なるグループを区別できれば,それぞれに異なる価格を設定することで,合計の収入を増やすことができるからです.その他の例として,新刊本(ハードカバー)と文庫,ディズニーワールドの近隣住民割引などを説明しました.ホットペッパーなどで手に入る飲食店の割引券もそうですね.割引券を導入することで「こまめに切り抜いて使う価格に敏感な層」と「面倒だから使わない価格に鈍感な層」のそれぞれに事実上異なる価格を設定することに成功しています.この他にどんな例があるか考えてみてください.

 今日配布した練習問題の答えはそのうちHP上に掲載しますが,それまでに自分でやってみましょう.

2009年4月24日金曜日

総合政策演習D 第4回

 今回もSPIのテストをしました.

【授業の内容】
 テスト結果ですが,前回に比べて平均点が1点以上下がりました.ちょっと予習不足ではないですか?もちろんSPIは今すぐできなければいけないわけではないけれど,年末は企業研究や自己分析などで忙しいし,じっくり筆記対策ができるのは今だけですよ!今の4年生たちからも「SPIやってなかったから筆記で困っている」という意見を続けて聞きました.一生の大きな選択肢に直面するこの時期にこれぐらいは努力しておくべきだと思います.

 さて,SPI以外では前回課題として出した「ご両親に『どんな部下が欲しいか?』を聞いてくる」ことに関連した話をしました.僕もたまたま大学の同級生と話す機会があったので尋ねてみましたが,部下に望むこととしては「素直であること」と「気が利くこと」だそうです.「優秀じゃなきゃいけない!」などと勘違いしてる人もいたのではないでしょうか?もちろん,業界によって,年齢によって,理想の部下は異なるのは当然ですけど,上述の同級生の話は結構どこにいっても通じる話だと思います.
 また,気分転換に最近はやりの「フェルミ推定」の話をしました.フェルミ推定は流行りなので本屋に行くといくつか本も出ています.コンサル,IT業界を目指す人は読んでおいても損はないでしょうね.

経済政策論 第3回

 今回はベンチャー企業の2回目でした.



【授業の内容】

 まず,ベンチャー税制についての新聞の記事を読みました.日本ではまだベンチャー企業に投資するエンジェルは多くありません.その背景にはベンチャー企業への投資が税制面であまり優遇されないという事情もあったようです.エンジェルが税制面で欧米並みに優遇されるとベンチャー企業は資金面で余裕が出てくると思います.
 エンジェル以外の資金調達先として株式上場があります.前回も触れましたが,今回は新興企業向け株式市場(ジャスダック,東証マザーズ,ヘラクレス)について取りあげました.

 続いて,社内ベンチャーの具体例を調べてみました.富士通やパナソニックの例を見ましたが,3年黒字化,5年で累積赤字の解消というのがパターンになっているようですね.ただし企業がどれだけ出資するかの割合については様々なようです.僕はたまたま先日,テレビ東京系「カンブリア宮殿」で加賀電子の社長が出ているのを見ましたが,かなり積極的に社員に起業させているようでした.
 社内ベンチャーの利点としては,企業内で起業のためのアドバイスがもらえる,出資を受けられる,などがあるようです.

 前回の課題として,「上場したベンチャー企業について」と「入社したいベンチャー企業について」を調べてきてもらいました.
 その中で「チョビリッチ」という企業について紹介してもらいました.僕はまったく知りませんでしたが,なかなか面白そうですね.
http://www.chobirich.com/

 次週から「健康保険・介護保険」をテーマに取りあげます.

2009年4月22日水曜日

経済学Ⅱ 第3回

 今日は弾力性と,財の種類について説明しました.

【授業の内容】
 前回,需要とは何かを学びました.その中で需要曲線が出てきましたが,需要曲線の傾きは何を意味しているのでしょう?価格が変化すると需要が極端に変化する財もあれば,あまり変化しない財もあります.例えば,生活必需品である電力は値上げされてもそれほど需要は減らないでしょうし,逆に値下げされても電気を無駄遣いすることは考えにくいでしょう.この電力のように価格の変化が需要に反映されにくい場合は,需要の価格弾力性が低い言われます.逆に価格の変化により需要が大きく変わる場合は弾力性が高いと言います.つまり値上げ・値下げに敏感かどうかということですね.需要の価格弾力性は厳密に言うと,価格が1%変化した時に需要が何%変化するかを示すものです.授業では弾力性の計算をしましたね.

 企業の中にはこの弾力性を用いて価格設定をしている企業もあります.消費者の弾力性が高いようであれば値下げをし,弾力性が低ければ値上げをします.最近,様々な小売業の企業が値下げをするニュースを見かけます.消費者の弾力性が高くなりつつ(値段に敏感になりつつ)あると考えているようですね.
 さらにこの弾力性の考えを応用すれば,消費者毎に別の価格を付けると儲かることもわかります.弾力性の高い消費者グループには低い価格を,弾力性が低いグループには高い価格を付けることで,企業は収入を増やすことが可能です.この例としては学割などがありますね.例えば大学の近くにも学割をしている飲食店がありますし,パソコンのソフトにはアカデミックパックがあります.

 後半は,財の種類について説明しました.まず,所得から見た消費という点から,上級財と下級財を説明しました.上級財は所得が増えると(減ると)消費が増える(減る)という財で,簡単に言うと贅沢品ですね.世の中の多くの財は上級財です.逆に所得が増えると(減ると)消費が減る(増える)財もあり,こちらは下級財と言われます.例としては中古車やカップラーメンなど,どちらかというと廉価品(安物)ですね.
 続いて,価格と消費という点から,ギッフェン財を紹介しました.世の中のほとんどすべての財は価格が上がれば(下がれば)需要は増える(減る)のですが,非常にレアなケースとして,価格が上がれば(下がれば)需要が減る(増える)財があります.これはギッフェン財と呼ばれます.ギッフェン財は下級財の仲間です.先週学んだ需要曲線は右下がり(価格が下がれば需要は増える)でしたが,ギッフェン財に限っては右上がりになります.まぁほとんどないので深く考えなくても構いませんが.
 さて,最後に情報という点から財を分類しました.財は,購入前に品質についての情報が手に入るもの(探索財),購入後にしか品質についての情報が手に入らないもの(経験財),購入しても品質についての情報が手に入らないもの(信用財)の3つに分類できます.探索財の例としては試着できる服や立ち読みできる雑誌などがあります.経験財の例としては,新発売のお菓子などがあります.信用財の例としては医療サービスがあります.また宝石という意見も出ましたが,確かにそうですね.僕には審美眼がないので,宝石なのかガラス玉なのかわかりません.

 次回は,無差別曲線と呼ばれるものについて説明します.

2009年4月21日火曜日

基礎総合演習A 第1回

 今日は初回ということで,顔合わせと,スタートアップのための作業をしてもらいました.

【授業の内容】
 まだ入学間もないこともあり,お互い名前も知らない人もいましたが,少しずつ仲良くなりましょう.

 今日は3人ずつの3チームを作りました.また「はてな」に登録してもらいました.デジタルネイティブ世代の皆さんなので,ネットを有効利用できると思います.僕はあまり「はてな」を使ったことがないので,みんなで色々使って,僕に使い方を教えてください.

 さて,次回までの課題(指令)は「はてな」のグループウェアの掲示板に書いておきました.チームメイト同士で協力し,課題を完了してください.

【演習の注意点】
 普通の講義と異なり,演習は学生1人1人が主役です.1人欠けても授業が成立しません.そのため,無断欠席・無断遅刻は厳禁です.どうしても出席できない事情があったら,事前に誰かに連絡しましょう.

経済学A 第2回

 今日は機会費用などについて学びました.また実験的に,ケータイを使って出席を取りました.

【授業の内容】
 最初に(本当は前回話そうと思っていた)ダイヤモンドの価格の話をしました.なぜダイヤモンドは高いのでしょう?結論は供給よりも需要の方が大きいからです.逆に需要より供給の方が多い商品の値段は安くなります.
 この話は,今日の最後のトピック「どうすれば高い給料をもらえるか?」にも応用が可能でしたね.

 次に今日の本題である機会費用を学ぶため,「大学進学は合理的か?」を検証しました.大学進学のメリットとデメリットを皆さんに聞くと,かなり意見は出そろいました.主なものは次の通りでした.
メリット
・就職した時の給料が高い
・進路の選択肢が広がる
・資格が取れる
デメリット
・学費(生活費含む)がかかる(4年間で500~1000万円?)

 ほとんどの人は上記のようなメリット・デメリットを考えると思うのですが,実はデメリットとして,機会費用を見過ごしています.機会費用とは,「ある選択肢を選んだことにより,次善の選択肢を選んだ時に得られたものを手に入れる権利を失う」という考え方のことです.この場合で言えば,大学進学したことで,次善の選択肢(高卒として就職)から得られた年収を失ってしまうのです.この機会費用は目に見える損失ではないため,ついつい見逃しがちですが,大学進学のように膨大な金額になる場合もあり,要注意です!
 例えば,日曜日にダラダラ寝て過ごすことはお金もかからないし,悪くない選択肢に見えるかもしれませんが,その時に外に出て友人と会ったり,目標に向けて努力したり,バイトでお金を稼ぐなどの選択肢(どれが次善かは人によって異なりますが)を放棄していることに他なりません.そういう機会費用という観点からすると,結構高いコストを払ってゴロゴロしてると言えますね.

 さあ,最後に「どうすれば高い給料を得られるか?」を考えました.お金の話ばっかりですね….
 それはともかく,ダイヤが高い理由はすでにわかりました.供給より需要が高いからです.では,皆さんが働くことを「労働力を企業に売る」と捉えれば,どうすれば高く売れるかもわかってくるのではないでしょうか?ダイヤは(比較的)希少である一方,広告によって需要が高められているので高い値段で取引されます.
 これから類推すれば,皆さんが高い給料を得るためには,どこにでもある労働力ではなく,「自分が希少な人材(労働力)である」ことをアピールする必要がありそうです.確かに「ありふれた人材」は高い給料をもらえなさそうです.例えばコンビニやファーストフードのバイトは,特別な訓練を受けていない高校生にでもできる仕事です.つまりありふれた人材でもできる仕事なので,徳島では時給にしてせいぜい800円ぐらいしかもらえません.逆にその人しかできない能力を持っていれば高い給料がもらえそうですね.といっても希少性だけではダメです.その能力に対する需要があることも重要です.例としては医者が挙げられます.医療行為は医師免許を持った人にしかできず,かつ医療サービスに対する需要は大きいため,医者は高い給料を稼ぐことができます.
 皆さんも(もし高い給料が欲しいのであれば)大学の4年間で,戦略的に自分を磨きましょう.

経済学A 第2回 アンケートについて

 今日の出席代わりのアンケートは↓のアドレスです。パスワードは講義で説明しました。
http://enq-maker.com/0Xqh4y7

2009年4月18日土曜日

開発経済学 第3回

 今回は,なぜ貧困はなくならないのか?を考えました.

【授業の内容】
 なぜいつまで経っても貧しい国はなくならないのでしょう?逆に,日本のようにかつては貧しかった国でもめざましい経済発展を遂げ,先進国の仲間入りをした国もありますが,貧しいままの国と発展した国の違いはどこにあるのでしょうか?

 まず,なぜアフリカは貧しいままなのかを理解するために,次のようなシチュエーションを想像してもらいました.
・あなたは貧困国の農村部に生まれた.
・家庭は貧しく,教育は受けられなかった.
・現在では一家の大黒柱であり,配偶者と5人の子どもを支えている.
・資産はそれほど大きくない畑だけであり,その収穫のほとんどは自前で消費してしまう.
・子どもたちを学校に通わせる余裕はなく,様々な手伝いをさせている.
 さて,このような状況下であなたにできることは何でしょうか?どんなにがんばっても畑からの収穫量には限界があります.字の読み書きもできないし,権力者とのコネもないので現金収入が得られるような仕事にも就けません.そうなると,今の貧しい状況から抜け出すことはかなり難しそうです.つまり現在貧しいから,将来も貧しいのです.しかもさらに恐ろしいことに,今のままでは子どもたちは大きくなった時にもっと貧しい可能性があります.なぜなら畑を複数の子どもに分けてやらねばならないかもしれないからです.
 このような貧しいが故に貧しいという状況はヌルクセによって貧困の罠と名付けられました.この罠からどうやって抜け出せば良いのでしょうか?

 ローゼンシュタイン=ロダンは,この罠から抜け出すためにはビッグ・プッシュが必要だと唱えました.一旦,この罠から抜け出せば,今度は豊かであるが故に未来も豊かであるという高水準均衡状態に落ち着けそうです.
 どのようなビッグ・プッシュが望ましいかについて,ヌルクセ均斉成長戦略を主張しましたが,ハーシュマン不均斉成長戦略を主張しました.一見,相反する両者の主張ですが,政府が主導である,輸入代替戦略である,という共通点があります.かつての日本や現在の中国のように政府が主導的な役割を果たさなければ罠から抜け出すことは困難なのかもしれません.
 この他,"take-off"で有名なロストウの経済発展段階理論も紹介しました.

 さて,そもそも経済成長は貧困を削減するのでしょうか?この問いについて,クズネッツは逆U字仮説を主張しました.結論としては,経済成長により最初は不平等を招きますが,さらなる成長によりその不平等は小さくなっていくというものです.しかし,この仮説は後に「一般的ではない(どの国にも,いつでも通用するわけではない)」として棄却されました.
 また,つい最近までいくつかの国では,豊かになるのが一部の人(国)だけであったとしても,そのおこぼれは貧困層(国)にも届くはずだ,というTrickle down仮説が横行していましたが,経済学者たち(Dreze and Sen,1989)は歴史から,それが誤っていることを証明しました.経済成長すれば貧困は削減されるのではなく,経済成長とともに適切な公共政策が実施された時のみ貧困は削減されるのです.

 経済成長を妨げる要因としてついつい見逃しがちですが,地理的要因や偶然も実は国の将来を大きく左右する点も指摘しておく必要があります.

 今回の結論としては,貧困の罠から抜け出すためには,政府主導のBig Pushが必要であるが,「経済成長=貧困削減」ではなく,公共政策も欠かせないこと,また国によって成長を妨げる要因は様々なので,同じ処方箋を複数の国に使い回すことは効き目がないだけでなく,貧困を悪化させる可能性があるということです.

【今回の内容に関連した図書】
ジャレド・ダイヤモンド
  「銃・病原菌・鉄」草思社
ウィリアム・イースタリー
  「エコノミスト 南の貧困と闘う」東洋経済新報社
渡辺利夫
  「開発経済学入門」東洋経済新報社
いずれも図書館にありますよ.

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第3回

 今回も需要について学びました.今後もよく出てくる無差別曲線が初登場です.

【授業の内容】
 まず,前回導き出した需要曲線の意味を少し深く説明しました.価格の変化による需要の変化は同一需要曲線上の移動であるのに対し,同じ価格なのに需要が変化する時は需要曲線そのものがシフトしています.学生からは季節によってアイスクリームの需要が異なるという意見が聞かれましたが,まさにその通り,夏の需要曲線と冬の需要曲線は違うものなのでしょう.
 また,需要曲線を売り手側(企業)から見ると,一目で売上(収入)の大きさがわかるというなかなか便利なものです.企業が需要をどのように活用しているかは来週説明します.今回覚えてもらいたい式は次のものです.
収入=価格×量(記号では,R=P×x

 前回から1種類の財の需要について考えてきましたが,それを拡張して,2種類の財の需要について考えました.授業ではパンと牛乳を例にして,それらを朝食として1ヶ月にどれだけ消費するかを考えました.そこで,同じ効用が得られるようなパンと牛乳の組合せを集めてみると,原点に向かって凸の右下がりの曲線が得られました.これは無差別曲線と呼ばれます.無差別曲線を定義すると,一定の効用が得られるような財と財のすべての組合せを集めたもの,と言えます.また,無差別曲線にはその他,「すべての点には,そこを通る無差別曲線が1つだけ存在する」,「異なる無差別曲線同士は互いに交わらない」という特徴を持ちます.
 なお,無差別曲線の傾きは限界代替率と呼ばれます.同じ効用を保つためには,ある財の消費が低下したら,その代わりに他の財の消費を増加しなければならないから,代替という言葉を使うのです.

 後半は,予算線について説明しました.予算線とは,一定の予算をすべて費やして買うことのできる財と財の組合せを集めたものです.文章ではややこしいですが,計算すると簡単ですね.この予算線は,財と財の相対価格が変化すると傾きが変わります.また(実質)所得が変化すると(傾きはそのままで)シフトします.

 さあ,まとめとして,今回学んだ無差別曲線と予算線を1つの図に描いてみましょう.すると,限られた予算内では,どのような組合せで財を購入すれば最も高い効用を得られるかがわかりました.また,その点では,限界代替率と相対費用が等しくなっていることに注意しましょう.

2009年4月16日木曜日

総合政策演習D 第3回

 今日もSPIの問題を解きました.また賢い企業選びについても説明しました.

【授業の内容】
 前回,課題として「行きたい企業30社を就活ノートに書いてくるように」と言いました.少数ながらいまだに就活ノートをつくっていない人もいるようです.フットワークが軽く,パッと動けることは就活では非常に重要ですよ.
 さて,学生というものは多少の差こそあれ,だいたい同じような行動を取るものです.企業選びについても同様です.そのため,周りの人と同じように企業を選んでいては,多くのライバルと競争するはめになります.もちろんどうしてもその企業に行きたいのであれば「どうやれば競争に勝ち抜けるか?」を考えなければならないのですが,逆に他の人が選ばない企業を選ぶというのもアリでしょう.「学生に人気がない企業はつまらない企業だ」というのは勘違いです.学生というのは世の中に数多ある企業のほんの一部(多くはBtoC企業)しか知らないからです.そのため,みんなが知らない優良企業を自分で見つけることは,満足できる就職活動をする上で大きな前進だと思います.
 それを理解してもらうために,まずリクルートが調べた大学生の就職希望企業ランキングと自分が書いた30社を比較してもらいました.結構似てたのではないですか?
http://www.recruit.jp/library/job/J20090408/docfile.pdf
 続いて,自分が選んだ30社のうちBtoB企業,BtoC企業がそれぞれどれだけあるか調べてもらいました.ほとんどがBtoCだったのではないでしょうか?このような選び方だと大変でしょうね.さて,学生の人気ランキングではなく,データから見た客観的な優良企業ランキングも見てもらいました.こちらには学生にとっては聞いたこともないような企業がたくさん並んでいます.
http://markets.nikkei.co.jp/ranking/casma/
 「1位の任天堂はともかく,ファナック?キーエンス?ローム?」となるのが,普通の大学3年生でしょう.しかし1年後にこういった企業を知らないとなると,少々心配です.就職四季報や,業界地図,市場占有度などの本を使って,自分だけの掘り出し物企業を見つけるのって結構楽しそうだと思うんですけどね….
 就活はちょっとやり方を工夫するだけでずいぶん樂になるし,楽しいものになると思います.今日はそれを伝えたかったのですが伝わったでしょうか?

 SPIについては分割払い,お金のやりとり,速さ・時間・距離,通過算の説明をしました.次回の予習範囲はpp.104-119です.しっかり予習してください.

経済政策論 第2回

今日はベンチャー企業について学びました.

【授業の内容】 ベンチャー企業という名前はよく聞きますが,はたして何者でしょう?普通の起業とは何が違うのでしょうか?まずそこから話を始めました.
 ベンチャー企業という言葉についてのはっきりとした定義はまだ無いようですが,いくつかの定義の共通点は,「新技術や高度な知識」を持っていることのようです.またベンチャーキャピタルに出資してもらっている企業という定義もありましたが,こちらはトートロジーになりそうで参考にはならないかもしれません. また,この定義に関連して,エンジェル,ベンチャーキャピタルという言葉も出てきたので,それらの意味も確認しました.

 次の課題である「徳島にはどんなベンチャー企業があるのか?」について発表してもらいましたが,あまり見つからなかったようです.僕も調べましたが,少ししか見つかりませんでした.最近は大学発のベンチャーも増えてきたので,そういう例なら少しありましたね.

 最後に「ベンチャー企業のメリットとデメリット」について発表してもらいました.メリットとしては,実力主義であること,成功すれば高い報酬を得られる,自分のアイデアが実現できる達成感,早い出世,ストックオプションなどが挙げられます. 逆にデメリットとしては,忙しかったりヒマだったりという波が大きい,雇用が不安定である,低賃金,福利厚生が貧弱なことなどが挙げられました.
 我々が知っているベンチャー企業というのは総じて成功した例ばかりなので,「ベンチャー=金持ち」というイメージですが,ある年のデータでは約16万社起業していましたが,同じ年に株式公開していたのは155社であり,単純に比較すると1000社に1社です.それぐらい株式公開までの道は険しいのでしょうね.(経産省「ベンチャー企業の創出・成長に関する研究会 最終報告書のポイント」より)

経済学Ⅱ 第2回

今回は需要曲線の導出について説明しました.
【授業の内容】
 まず,経済学Ⅱの講義の大半で前提となる完全競争市場と,その条件(5つ)について説明しました.またその条件が満たされない場合についても説明しました.いずれにせよ,完全競争市場とは,売り手の間での競争が熾烈であり,どの企業も利益を得ることができないような状況です.

 さて,このような財市場におけるプレイヤーの一方である消費者は何を目的として行動するのでしょう.ここでは消費者は効用を最大化することを目的に行動(消費)しているとします.しかし,なかなか効用(幸せのようなもの?)を大きくすることはできません.なぜなら現実世界には様々な制約があるからです.
 制約の話に入る前に,まず効用がどのような性質を持っているのか学びましょう.授業ではパンの消費を例に効用がどのように変化するのか調べ,図にしました.ここに限界効用という概念を持ち込むと,限界効用は徐々に減少していくという傾向があることがわかりました.これは限界効用逓減の法則と呼ばれます.しかし,中毒性がある財などは例外的に限界効用は逓減しないようです.
 ここで用いた"限界"という言葉は今後もしばしば出てきます.経済学における限界とは,我々が普段話す「体力が限界だ」という意味ではないことに注意しましょう.

 さて,限界効用の図を金額表示にしてみると,個別需要曲線が導かれました.さらに,多くの人の個別需要曲線を足し合わせてみると総需要曲線が得られました.次回はこの総需要曲線を用いて話を進めます.

2009年4月14日火曜日

経済学A 第1回

 今日から始まった経済学Aですが,教室がすし詰め状態でしたね.まぁGW明けには(残念ながら)もう少し人も減ってくるでしょう.

【授業の内容】
 この経済学Aでは,皆さんが将来生きていくために最低限必要な経済の知識を伝えていきたいと思います.一部僕の趣味が入りますが….

 さて,今日は「経済学とは何か?」そして「経済学的な考え方とは何か?」を実例を挙げて説明しました.
 経済学とは,「どうすれば人々が幸せになれるか?」からスタートしていますが,残念ながら世間では「経済学=お金」というイメージがついているかもしれません.経済学の分析対象はお金だけに留まらず,様々な領域に渡っています(そのため経済学帝国主義と揶揄されることもあります).つまりなんでも屋ですね.経済学とは分析対象のことではなく,分析手法のことだと理解してください.

 続いて経済学を用いて様々な問題を考えてみました.そのポイントは2つ.1つは,選択肢に出くわしたら,それぞれのメリットとデメリットを考えて比較すること.そしてもう1つは,人々の行動を変えるには説得するよりもインセンティブを提示した方が効果的であるということです.インセンティブは簡単に言うと「アメとムチ」のことです.身も蓋もないですね….しかしこの考え方はこれからもよく出てきますので,きちんと理解しましょう.

 授業では紹介できなかった参考文献は以下の通りです.
【参考文献】
スティグリッツ『スティグリッツ入門経済学』東洋経済新報社 3465円
 これは少々高いですが,中身も重厚です.「しっかりと経済学の基本を学びたい」という人向けです.
中谷巌『痛快!経済学』集英社文庫 600円
 こちらは文庫で手軽に経済学のエッセンスが学べます.わかりやすいです.
辻,八田『What’s経済学―わかる楽しさ使うよろこび 』有斐閣アルマ 1890円
 こちらは僕の恩師の著書だから…,というわけではなく,ミクロとマクロという経済学の二本柱についてのわかりやすい入門書だからです.
レヴィット・ダブナー『ヤバい経済学』東洋経済新報社 1800円
 これはやや異端の経済学入門書です.正統派ではありませんが,経済学の考え方がわかるという意味では非常にオススメです.読み物としても面白い!図書館にあるのでぜひ借りてみてください.

 次週は「大学進学は合理的か?」を検証します.

2009年4月10日金曜日

開発経済学 第2回

 今回から人数が激減するかと思ったのですが,あんまり減りませんでしたね.

【授業の内容】
 今日は「貧困とは?(幸せとは?)」についてじっくり考えました.開発経済学とは貧困を撲滅するための学問であるので,当然ながら貧困とは何かをしっかりと理解しておく必要があります.そうでなければ「収入が増えた=貧困がなくなった」と安易な結論を出してしまうかもしれません.収入が低いことは貧困の1つの側面でしかありません.

 まずW.A.ルイスによる「牢獄での裕福な生活は幸せか?」という問いかけからスタートしました.もちろん誰もがNOと言うはずです.ではなぜ幸せではないのでしょう.ルイスは金銭的な豊かさと選択の範囲は別物であり,選択範囲が多いことを目的とすべきだと唱えました.その上で,目標とすべきは(とりあえず)1人あたりの産出量を増やすことだ,としました.結局はお金なのですが,その背景には選択肢という視点があります.
 次に,貧困はどうやって測るのかを説明しました.貧困とは多面的なものであり,「このモノサシさえあれば完璧だ!」というような指標はありません.そのためいくつもの指標が様々な目的のために作られました.
 まずはWHOの考える貧困ラインから説明しました.続いて世界銀行の定義による極度の貧困絶対的貧困),中程度の貧困相対的貧困もそれぞれ紹介しました.これらの指標の良い点は,直感的で理解しやすい点です.
 さらに貧困の集計方法として,貧困者比率貧困ギャップ比率を説明しました.

 これまでの指標はすべて所得がベースですが,所得以外を考慮した指標もあります.その基礎となったのはインドが輩出した偉大な経済学者であるアマルティア・センの研究です.センは潜在能力アプローチという画期的な貧困の概念を作り上げ,様々な分野に大きな影響を与えました.センは機能のリストとして,1人あたりGNP,平均寿命,幼児死亡率,児童死亡率,成人識字率,高等教育就学率を挙げました.この研究はUNDPのHDI(人間開発指数)作成に影響を与えます.
 HDIはマブーブル・ハックが中心となり作成されました.以後,毎年UNDPから人間開発報告という形でランキングが発表されています.現在はこの他にも,HPI(人間貧困指数),GDI(ジェンダー開発指数),GEI(ジェンダーエンパワーメント指数)など多くの指標が存在します.
 続いて,Chambersによる貧困も紹介しました.こちらの切り口はHDIとは異なりました.
 いずれにせよ,貧困というのは多面的なものであることが理解できたと思います.特にChambersの指摘するショックに対する脆弱性などはついつい見落としがちでしょう.

 さて,国際社会は我々に残された課題(貧困の撲滅)に向けて1つの合意をしました.それが2000年国連ミレニアムサミットのMDGs(ミレニアム開発目標)です.それは2015年までに貧困の半減を目指すものであり,それに向けて各国にはODA拠出の増額が求められています.しかし先進国の多くはこの目標(ODAの対GDP比0.7%)をなかなか達成できておらず,貧困半減というゴールにたどり着けるかはかなり怪しくなってきました.

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第2回

 今回から本格的にミクロを学びます.今日は効用と需要という正にミクロの基礎を説明しました.

【授業の内容】
 まず,ミクロ経済学の重要なプレイヤーである家計が何を目的として行動するかを説明しました.家計は効用を最大化しようと行動しますが,様々な制約(所得,時間など)があるため,無限に効用を増やすことはできません.「この仮定が単純すぎる!人間は他人への思いやりや使命感で行動するんだ!」と思う人もいるかもしれませんが(経済学者にももちろんいます),その人たちはもうしばらく待ってください.ミクロ経済学の授業は,まずは非常に単純な仮定から理解を始め,どんどんその仮定を壊していきます(現実に合わせていきます).

 次にしばらくつき合うことになる完全競争市場の条件を説明しました.完全競争市場とは競争が非常に熾烈な市場です.そのため売り手である企業は儲かりません.当然ながら企業は利益を出したいので,なんとかこの条件から外れようとしますが,その話はもう少し後で.いずれにせよ,今日紹介した5つの条件はしばしば出てきます.必ず覚えてください.

 続いて需要曲線を導出しました.まず個別需要曲線を出すために,効用限界効用限界効用逓減の法則について説明しました.限界効用が逓減することは皆さんも身近に心当たりがありますよね?
 個別需要曲線が出せたら後は簡単.単純にみんなの個別需要曲線を足し合わせていきましょう.これで総需要曲線が導かれます.
 来週はこの総需要曲線(面倒なので需要曲線と言いますが)を使います.必ず復習しておきましょう.

総合政策演習D 第2回

 今回からテストが始まりました.また,就職に備えて4月の今,何をすべきかを話しました.

【授業の内容】
 僕個人が考える「今すぐすべきこと」は以下の通り.
・就活ノートを作る(自己分析は今からでもできる.また気づいたこと,働きたい企業があればどんどん書き込む.)
・「大学時代に得たもの」を作る:面接の時に「私は大学時代にこれをしました」と胸を張って言えるものを今から作る.これまでなくても1年あればなんとかなる.
・インターンシップについて調べる:そろそろ夏休みのインターンシップについての情報が流れ始めるころです.
・志望する業界・企業を決める:まだ早いと思うかもしれませんが,インターンシップは内々定に直結する場合もあるので,ぼんやりとでも考えておくべきでしょう.

 とりあえず今回の課題は,「就活ノートを作る」と「行きたい企業を30社リストアップする」の2つです.リストアップさせる理由は次回説明します.

 ついつい忘れそうになりますが,この授業のメインはSPIです.今回は初めてのテストなので,小手調べに前回配ったプリントの数値だけを替えたものを出題しました.10点(満点)の人もいれば・・・.SPIは時間をかけた分だけ正答率は上がります.今から手間を惜しまないようにしましょう.筆記が悪ければ,いくら意欲があっても面接に進めませんよ.
 次回は今回の復習から5問,予習範囲(pp.86-103)から5問を出します.復習問題はすべて出来るようにしましょう.

経済政策論 第1回

 経済政策論は経済学Ⅰ・Ⅱ内容を基に,現実の様々な問題に取り組みます.講義もしますが,学生自身でも色々と調べてもらいます.

【授業の内容】
 初回は授業の説明とともに,来週のテーマを決めました.話し合いの結果,来週(から)のテーマは「徳島のベンチャー企業」になりました.
 調べてきてもらうのは次の3点です.
・ベンチャー企業とは?(定義)
・徳島にはどのようなベンチャー企業が存在するか?
・(就職先としての)ベンチャー企業の良い所と悪い所

2009年4月8日水曜日

経済学Ⅱ 第1回

 経済学Ⅱではミクロ経済学を学びます.ミクロ経済学とは,国レベルで経済をとらえたマクロ経済学とは対照的に,経済を構成するもっとも小さな単位である,個人(家計)や企業の行動に注目し,市場でどのように資源が配分されるのかを理解する分野です.

【授業の内容】
 今日はまず,上記のようにミクロ経済学とは何かを説明しました.ミクロ経済学のプレーヤーの1つである家計は我々自身なので,「我々はなぜこのような行動をするのだろうか?」ということをしっかり考えれば,ある程度答えは出てくるかもしれません.

 次にミクロ経済学の考え方を少し例を挙げて説明しました.まず「ダイヤモンドはなぜ高いのか?」を考えてみました.希少性と特性という答えが出てきました.どちらも半分正解です.というのは,ダイヤモンドの価格が高い理由はこの2つの条件が揃っているからです.いくら希少なものでもくだらないものでは高い値段で取引されません(例:僕が作ったお茶碗).また,どんなに重要なものでも,豊富に存在すれば値崩れします(例:水や空気).
 続いて,選択についても説明しました.我々は人生において,進学,就職,結婚,転職など様々な選択肢に出くわします.我々は無意識にそれぞれの選択肢のメリット,デメリットを思い浮かべ,より良い選択をしていることでしょう.さて,人々がある選択肢を選んだ時に,それを替えさせるにはどうすればよいでしょうか?ここで出てきた概念がインセンティブです.インセンティブは日本語に直せば誘因と訳されることもあります.インセンティブを使えば,人々の行動を替えることができるでしょう.わかりやすく言えば,アメとムチです.例として,車の買い換え,ゴミのポイ捨て,イスラエルの保育所,学生による発表などを説明しました.インセンティブという考え方は大事なので,ぜひしっかりと理解しましょう.

【評価について】
 基本的には期末試験の一発勝負です.ただし,経済学Ⅰと同様に発表点(max:20点を加算します.もし皆さんの学習意欲が低いと感じられれば,中間試験を課します.
 なお,学則により,1/3を超えて欠席した場合は当然ながら期末試験は受けられません.

2009年4月3日金曜日

開発経済学 第1回

 初回の今日は,データや動画により開発途上国の現状を見ました.専門科目ですので,関心がある人だけ受講してください.単位が取りたいから,という人はより単位の取りやすい科目をおすすめします.

【授業の内容】
 まず,開発経済学とは何かを説明しました.経済成長とそれを実現するための政策という意味ではマクロ経済学ですでに学んだはずです.ではマクロ経済学と開発経済学はどこが違うのでしょうか?途上国の貧困問題を解決するためには,もちろんマクロ経済学の知識も使いますが,それだけでは不十分です.貧しい国にはそれぞれの国固有の問題があります.それぞれの国の事情に合わせて,有効な経済政策を導き出すための裏付けとなる理論的・実証的研究が開発経済学と言えます.
 例としてボツワナを挙げました.ボツワナの貧困問題・経済成長を考える上で,HIVを無視することはできませんが,HIVによる影響なんてマクロ経済学では学ばなかったはずです.

 さて,では実際に途上国はどれぐらい貧しいのか,様々なデータを見てみました.いくつかのデータからわかることは,貧しさというのは決して所得の多寡だけで決まるものではないということです.
 次回は,その貧困とは何か?(幸せとは何か?)国レベルで貧困(幸せ)を測るためにはどんな指標が必要なのかを考えていきたいと思います.

 後半の30分を使って,カンボジアで活躍する日本の社会企業家についての動画を見ました.皆さんとそれほど年齢が変わらない人たちだったので,中には刺激を受けた人もいるかもしれません.

【今日の課題】
・社会企業家とはどのようなものか.募金による援助や,営利目的の企業との違いを明確に説明せよ.
・貧困とは何か?幸せとは何か?また,国レベルでそれぞれを測るためには何が必要なのか,自分なりの答えを出しなさい.
 上記2つについて記述し,4月6日20:00までにメールで提出すること.その際,必ず自分が誰なのかを文面もしくは件名に記入することを忘れないように.文字数の制限はありません.

【第1回課題:課題図書レポート】
 下のサイトの課題図書リストにある本の中から1冊を選び,それを基にしたレポートを提出せよ.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/filedl.html
 期限:5月21日20:00
 文字数:表紙,図と表を除きA4用紙3枚以上(2枚+αでは不可,最低でもきっちり3枚
は書くこと)
 なお,「レポート作成マニュアル」を必ず参考にすること!レポートの最低限のマナーが守られていなければ評価できません.

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第1回

 ミクロ経済学ベイシックⅠは必修科目ではありませんが,次年度以降も経済系科目を取るのであれば履修しておくべき科目です.初回からしっかりと講義しましたが,みんな真剣に聞いてくれているようなので,今後が楽しみです.

【授業の内容】
 今日は「ミクロ経済学とは何か?」と「ミクロ経済学ではどのように考えるか?」を中心に説明しました.ミクロ(micro)と言うだけあって,経済を構成する微小(micro)な要素である家計企業に注目し,それらの行動を分析します.主なプレーヤーは家計や企業であり,またそれらのプレーヤーの経済行動の場である市場(しじょう)の役割についても考察します.
 ミクロ経済学では,これらのプレーヤーはインセンティブに基づいて行動すると考えます.ある選択肢に出くわした時,プレーヤーはそれぞれの選択肢のメリットとデメリットを考え,どちらを選んだ方が得なのか判断します.皆さんも無意識のうちにこのような選択をしているでしょう.
 では,インセンティブの考え方を用いて,どのように問題を解決するのか.ゴミの不法投棄などいくつかの例をもとに説明しました.

 後半は,市場で決まる価格について,ちょっとした思考実験をしてみました.ダイヤモンドの価格が高いのはなぜなのか?発表してもらった仮説を検証しました.
 ちなみにダイヤモンドは経済学ではに含まれます.財とはモノやサービスの総称であり,それらが取引される市場は財市場と呼ばれます.市場ではこのほか労働も取引され,その市場は労働市場と呼ばれます.

【評価方法について】
 ミクロ経済学の評価方法は次の通りです.
・期末テストと複数回の小テストの合計点を100点とする.
・ただし,発表点を最大20点まで加点する.その結果,合計が100点を超えた場合は100点として評価する.
・出席による加点はない.ただし,1/3を超えて欠席した場合は期末試験および追再試試験の受験を認めない.

2009年4月2日木曜日

総合政策演習D 第1回

 総合政策演習Dは,民間企業の筆記試験としてよく用いられるSPI対策のための授業です.民間企業を志望する3年生は受講することを勧めます.

【授業の内容】
 今日は初回ということもあり,就活についてのいくつかのアドバイスと共に,SPIについて,そしてこの授業の進め方を説明しました.
 この授業の基本的なスタイルは,試験とその問題についての解説です.早速次週から試験を始めます.問題は10問で,今回配布した課題の類似問題です.できれば今週中にテキストを購入しましょう.
 今日配布した資料のうち,卒業生へのアンケート結果は,今後随時紹介していくつもりです.卒業生からのアドバイスの続きはこちら.http://mizunoue.blogspot.com/2009/04/blog-post.html
 また5月頃には,内定をもらった4年生に参加してもらい,就活へのアドバイスをしてもらおうと思います.

 授業の後半は,先月NHKで放送された就活についての番組を見ました.ちょうど文理の4年生が出演していたので,皆さんにはリアルな1年後として映ったのではないでしょうか?その番組の中でも出ていましたが,就活というのは,とにかく自己分析に尽きるようです!ぜひ今から「自分はどんな人間なのか?」ということを問い続けてください.きっと後で役に立つことでしょう.
 自己分析と並んで,皆さんにぜひ勧めたいのがインターンシップへの参加です.学部から派遣されるタイプのインターンシップも有効ですが,さらに効果的なのは,自分でインターンシップ先を開拓することです.ネットを調べればインターンを受け入れている企業がたくさん見つかります.それらの企業に自分から申し込んで,受け入れのための選考を体験することで,就職活動の練習ができます.ぜひ積極的に応募しましょう.
 就活関連のサイトはこちらにもあります.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/link.html

2009年4月1日水曜日

総合政策演習D 第1回資料のつづき

 卒業生から新3年生に対しての,就活アドバイスの全コメントです.

「前期:自分が何をやりたいのか考えてください。後期:やりたいことが見つかったら、行きたい企業を探してください。」

「前期は自己分析と行きたい企業を探すこと,企業に合わせた勉強をすること。後期は勉強を進めながら面接の対策や新聞などを読んで情報を得ること。」

「単位はとれるときにとっておいて、3年後期くらいには就活に時間を使えるように、余裕を持っておいた方がいいと思います。」

「前期:自分が興味ある会社やインターンシップに行く 
後期:企業研究」

「前期:自己分析後期:自己分析」

「前期:少しでも興味の持った企業のHPをのぞこう!後期:調べた企業を徹底的にサーチ。」
「新聞を読む。SPI対策は早めに。エントリーとか考える時間が増えるとSPIにかける時間が少なくなるから。あとは自己分析。面接でいっぱい語れるように、いろんな経験をしておく。」

「前期:自己分析後期:企業研究」

「前期:自己分析後期:自己PR」

「前期:できるだけ単位をとっておくこと後期:先輩などから情報をえる」

「前期:OB・OG訪問後期:説明会への積極的な参加」

「前期:自己分析はいつから始めても早すぎるということはありません。いつでも気づいたことをメモに残しておけば、就活の時、特に面接の時に役立ちます。 後期:面接の時に備えて、話のネタを集めるクセをつけた方がいいです。あとは資格・SPIの勉強をしましょう。」


「(徳島県外の上場企業に就職希望に向けて)就職活動は4年から、少なくとも3年終わりと考えている人は素晴らしい就活は諦めてもらいたい。その考えも間違いではないがそれは有名校も共通するものであり、彼らと対抗するには名前で既に負けている分、早めに行動を移す。3年になったらすぐにやる。それで初めてスタートラインが同じ。そのように考えてもらいたい。大体でもいいのでどんな会社に、そして何故?これを考える。余裕があるなら簿記3級←半年もあれば独学で取れます。程度の資格を取ってもらいたい」

「前期:サイトに登録する後期:業界分析」

「前期:目標を決め、単位をしっかり取る後期:自己分析等の就活を始める」

「前期:資格取得!後期:自己分析を完ペキに!」

「前期:調べて後期:動く」

「前期:SPI、本を買って読む(就活の本)」
「前期:自己分析、企業研究後期:前期と同様」

「後期:出来るだけ早くさらにたくさんの企業を見ておく」

「前期:公務員試験の勉強 自己分析後期:企業研究」

「前期:面接で話せる経験」

「前期:自己分析・企業研究後期:SPI等必要なものの勉強。」

「前期:自己分析後期:企業研究」

「前期:単位取得、就活資金、学業以外の活動(サークル、ボランティア) 後期:上の3つと自己分析」

「前期:モチベーション後期:モチベーション」

「前期:今から頑張って下さい後期:今から頑張って下さい」

「前期:遊べ後期:まだ遊べ」

「前期:夏くらいから自己分析後期:企業エントリー、企業研究」

「前期:就職するのか公務員試験を受けるかの自分の進路について考える。」

「前期:自己分析後期:就活イベントに足を運ぶことをすればいいと思います。」

「新聞を読む」