2010年10月28日木曜日

総合政策演習D 第5回(10/28)

 今回はテキストの最後までがテスト範囲でした.

【授業の内容】
 これで前期後期含めてテキストを2回やり終えたのですが,今回の出来は非常に悪かったです.もう筆記試験もかなり近くに迫ってきたにも関わらず,この点数ではかなり不安になってきました.僕はともかく,皆さんは心配ではないのでしょうか?世間では内定がもらえない学生が多いと,全国の学生が危機感を持って動いているので,有名・無名を問わず,企業には学生が殺到してきます.そんな中,企業は多くの学生を一人一人時間をかけて面接できないので,急増した学生を筆記試験でかなりふるい落としてきますよ.今のままだと,ふるい落とされそうな人が多いように思え,非常に心配です.周りを見て安心しないように.

 後半は演習Cで皆さん全員にやってもらう企業プレゼンの例として,僕が宇部興産株式会社の3分間企業プレゼンをしてみました.企業プレゼンをする意図は次の2つです.まず企業研究になります.そして,人前で時間を指定されてわかりやすく話すトレーニングにもなります.僕もプレゼンが得意なわけではありませんが,いくらか参考になるところもあったと思います.

総合政策演習B1 第7回(10/20)

 今回はエッジワースボックスの確認と外部性の説明でした.

【授業の内容】
 エッジワースボックスで最も難しいのは予算線が出てくるケースです.予算線の傾きが相対価格を意味していることは頭ではわかっていても,どっちに傾くと,どちらの財の相対価格が上がるのかは落ち着いて考えなければ混乱してしまいそうです.しかし,これでエッジワースボックス関連して出てくるであろう最も難しいケースも十分に理解してくれたようなので,一安心です.

 後半は外部性の説明をしました.外部性の私的収益率(私的限界費用)と社会的収益率(社会的限界費用)のところはなかなかややこしいと思います.

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第7回(10/27)

 前回で独占市場は終り,今回から市場の失敗の例の2つ目,外部性について説明しました.

【授業の内容】
  外部性とはある経済主体による経済活動が,それとは無関係の第3者に与えるなんらかの影響のことです.このような市場の失敗が起こると,最適な資源配分が実現されません.そのため何らかの対策が必要になります.外部性の典型例としては公害や環境破壊が存在します.例えば,先進国がこれまでに100年以上に渡って消費してきた石油燃料のせいで地球温暖化,そして海面の上昇が進んだとすると(この説が本当かどうかは僕の専門外なのでわかりません.あくまで例です),海面上昇により国土が小さくなってしまい,大きな被害を受けているツバル共和国のような国にとってはまさにとばっちりです.これが外部性です.

 さて,外部性は第3者に悪い影響を与える場合だけでなく,良い影響を与える場合もあります.前者は外部不経済(あるいは負の外部性),後者は外部経済(あるいは正の外部性)と呼ばれます.
 また第3者に与える影響が市場を通じたものか,そうでないのか,によって金銭的外部性,技術外部性,というように区別されることもあります.

 良い外部性,つまり外部経済の例としては教育があります.例えば皆さんが受けている大学教育について考えてみると,大学教育は学生(というより学生の保護者?)と大学法人との間の取引です.保護者は学費を支払い,大学は教育サービスを提供します.
 さて保護者(と学生)と大学は取引の関係者なので内部ですが,この取引は外部にも影響を与えています.例えば総合政策学部の卒業生はある程度の法律や経済などの知識を持っているでしょうから,卒業生を雇う企業にとってはそれらの知識を教える必要がありません.企業にとっては人材育成コストがかからないので,大学教育は企業に外部経済を与えていると捉えることができます.
 余談ですが,大学などの高等教育が上記のような効果,つまり労働者としての価値を高めているかどうかについては経済学者の中でもコンセンサスはありません.「高等教育が人的資本(労働者としての能力)を高めるんだ!」という人もいますし,「企業は学歴を能力のシグナルとして使っているだけで,大学で学ぶことに期待などしていないよ」という人もいます.どっちでしょうね?大学関係者としては前者であると期待したいところですが….

 さて,このような教育は学生自身にとって有益であるだけでなく(大卒は給料が高い),企業にとっても有益なので,社会全体から見るとより有益です.そのため,政府がお金を出して教育費を安くして,より多くの人が大学で教育を受けられるようにすることが合理的です.また実際にそれは実現されています.旧国公立大学(現在は独立行政法人ですが)には国からの援助があるので学費は安く設定されていますし,私立大学にも私学助成金という形で(旧国公立大ほどではないにしても)援助されているので,実際にかかっているコストよりも学費は低いはずです.
 まとめると,外部経済がある場合は,社会的収益率の方が私的収益率よりも高いので,社会的に見て最適な水準よりも少なく(過小に)生産されます.そのため政府などが援助する必要があります.
 また逆に外部不経済がある場合は,社会的限界費用の方が私的収益率よりも高いので,社会的に見て最適な水準よりも多く(過剰に)生産されます.そのため政府によるなんらかの規制が必要です.

 さてこのような外部性への対処ですが,3つの方法があります.
1.課税・補助金(ピグー税)
 まず課税や補助金により最適な生産量を実現するという方法があります.導入が検討される炭素税もこれにあたります.またタバコ税もそうなのかもしれませんね.
2.内部化
 外部に効果が漏れるのが問題なら,漏らさないようにしようというのが,この内部化です.授業では駅ビルの建設によって,駅の集客能力を外に漏らさないようにすることを説明しました.
3.交渉
 内部と外部で交渉することでも,最適な資源配分が達成できることもあります.ただしその条件は「取引コストがほとんどかからないこと」です.これはコースの定理と呼ばれています.これについてはテキストに詳しい説明もあります.

 また,消費における外部性として,スノッブ効果とバンドワゴン効果を説明しました.スノッブは他者の消費が関係ない第三者の効用を下げる効果のことであり,周りと同じことが嫌な人なのでしょうね.周りが同じような商品を持っていると自分の持っている商品が色褪せたように感じることです.逆にバンドワゴン効果とは,他者の消費が第三者の効用を上げる効果のことです.流行りもの好きな人なのでしょう.あるいは,子供がよく言う「友達がみんな持っているから自分も欲しい」という気持ちもバンドワゴン効果と言えそうです.

経済学A 第6回(10/26)

 今回のテーマは年金です.皆さんの人生で避けて通れない話題なので,きちんと理解しておきましょう.

【授業の内容】
 まず言っておきますが,この授業の目的は年金の具体的な話ではありません.「どんな年金に加入するのか?」,「いくら払うのか?」,「いつからもらえるか?」,「どれぐらいもらえるか?」という話は,社会に出ると知る機会はいくらでもあります.
 この授業ではむしろ大枠を理解してもらうことを目的としています.つまり「社会保障とは何か?」,「年金とはどのような制度なのか?」,「賦課方式と積立方式はどのように違うのか?」を理解することです.もちろん,20歳になると強制的に加入するシステムなので,直近の話として「在学中はどうするべきか?」については具体的に説明しましたね.

 まず社会保障とは何かですが,大雑把に言うと,困っている人を社会全体で助けるシステムと思って良いでしょう.年金もかつては存在しませんでした(全国民が年金に加入することになったのは1961年のことです).「それまでは老人は生きていけなかったのか?」というと,もちろんそんなことはなく,家族あるいは所属する共同体が老人を養っていました.しかし,近代になり核家族化が進み,一人暮らしの老人も増えてきました.そのため,年金などの公的な社会保障システムにより経済的・社会的弱者を救済する必要が出てきたのです.
 社会保障のやり方は2種類あります.保険的方法と扶助的方法です.年金は前者です.というのも,我々は「年金」と呼んでいますが,正確には「国民年金保険」と言います.この他,保険的方法による社会保障の例としては,健康保険,介護保険,失業保険などがあります.いずれも,保険料を支払った人だけが利用できます.つまり受益者負担なのです.一方の扶助的方法の例としては,児童福祉,生活保護,災害援助などがあります.こちらは保険料を支払う必要はなく,(救済すべき人であると認定されれば)誰もが利用できます.年金も社会保障の1つであると考えれば,扶助的方法,つまり保険料収入に頼らず,すべて税金から賄うべきであると考えることもできます.実際,消費税率を上げて社会保障のための目的税にすべきだという意見は以前からあります.

 このように年金保険とは,保険料(+国庫負担)として集めたお金を,高齢者に年金として給付する仕組みになっています.ただ,この保険料の徴収と給付のやり方は,2つのパターンに分けられます.1つは積立方式,もう1つは賦課方式です.
 積立方式とは,積立貯金のように,各自が保険料を将来の自分のために積み立て,老後に給付を受けるというものです.一方の賦課方式は,現役世代が払った保険料をその時代の高齢者にそのまま給付するというものです.
 前者は少子高齢化の影響を受けませんが,デメリットとしてインフレに弱いという特徴があります.わずかなインフレも年金のように,納付から給付まで長期に渡る場合では大きな影響を受けます.そのため積立方式はあまり年金向けとは言えません.また積立方式なら,政府に頼らずとも民間の金融機関で同じサービスを受けることができるので,わざわざ政府がやる必要性は少ないでしょう.
 後者の賦課方式は,インフレの影響を受けませんが,デメリットとして少子高齢化に弱いという特徴があります.そのため,現在の日本のように急速な少子高齢化が進む状況では,現役世代の負担を大きく,もしくは給付を少なくせざるをえません.

 後半は少しですが,具体的な話もしました.まず,年金は2階建てになっていることから説明しました.1階部分には誰もが加入しなければならない国民基礎年金部分があり,その上に,職業によって異なる2階部分の年金(厚生年金,共済年金,国民年金基金など)があります.
 1階部分は全国民が共通した条件ですが,2階部分は収入などにより保険料および受け取ることができる年金額も様々です.まぁこの辺りは就職してからしっかり聞いてください.

 最後に世代間不公平の話もしました,またその背景には,政治家にとって若者よりも高齢者向けの政策をしたほうが合理的であることも説明しました.高齢者に嫌われてでも若者向けの政策(あるいは世代間で公平な政策)を選ぶインセンティブが政治家にはありません.なぜなら若い人は人数としても比較的少ない上に,選挙にもあまり行かないからです.

 このように年金の仕組みを理解した上で,年金に入るべきかどうかを考えてみましょう.まだ判断できない,という人も,とりあえずは20歳になったら学生納付特例制度を使って,払う意思があることを示しておきましょう.実際に払うかどうかは,就職してからでも考えましょうね.

2010年10月22日金曜日

経済数学入門 第4回(10/21)

 翌日に学祭が控えていることもあり,設営などの準備で結構公欠の人が多かったですね….まぁ,それほど難しいところじゃなかったから大丈夫かな?

【授業の内容】
 まず不等式のグラフを描きました.1次不等式と2次不等式のグラフでしたが,どちらもまずイコール(=)で結んだ場合,つまり普通の1次関数や2次関数であるとして直線,放物線を描き,その上で,どちらが範囲なのかを確認しました.皆さん1次関数と2次関数のグラフには不自由しないので,不等式も大丈夫でしょうね.
 この不等式の問題は,実は民間企業の筆記試験でもしばしば出てきます.なぜ不等式なのかはよくわかりませんが.

 後半は指数法則の説明です.
 まずは素数の説明と素因数分解,そして最大公約数と最小公倍数の復習です.子供の頃にやったから知っているとは思いますが,久々にやってみるのも良いでしょうね.
 そして指数法則です.指数法則は慣れると別に難しくはないのですが,簡単そうに見えるから,みんな雰囲気で計算してしまいがちなところが落とし穴です.雰囲気で計算せず,きっちりと「今,この指数法則を使っているんだ」と意識しながらやれば,そんなに難しくありません.でもいつもマイナス乗や0乗の所で間違える人が多いんですよ.気をつけてくださいね.

 今回配布した課題は翌々週(11/1)に提出してください.

【重要なお知らせ】
 第8回の授業(11/22)に中間試験を予定しています.日程は多少前後するかもしれませんが,また授業で通知します.

総合政策演習B1 第6回(10/20)

 今回は余剰分析と,エッジワース・ボックスについてでした.

【授業の内容】
 余剰分析も3回目ですが,今回は貿易の余剰を分析しました.学部の経済学で学ぶミクロ貿易理論では「小国の仮定」という前提条件に基づいて考えることがほとんどです.
 小国の仮定とは,その国の経済規模が世界市場から見ると非常に小さく,その国の需要や供給の変動が世界市場に及ぼす影響がないという仮定です.そのため,余剰分析では,ある国は財を同じ価格でいくらでも輸入することが可能です.もしこれが大国であれば,その国の需要が大きくなれば世界市場における需要も高まり,結果としてその財の世界市場での価格も上がるはずです.しかしそこまで考えるとやや煩雑になるので,話をシンプルにするため小国の仮定を置いています.

 演習として,閉鎖経済の場合,自由な貿易が可能な場合と,輸入品に関税をかけた場合の3つのパターンを比較しました.自由な貿易の場合が最も社会的余剰が大きく,関税ありの場合,閉鎖経済の場合と続きます.

 後半はエッジワース・ボックスでした.エッジワース・ボックスの見方を確認した後,パレート改善とパレート最適が図でどのように表現されるか,また相対価格の変化についても復習しました.最後の相対価格の変化がちょっとわかりにくいと思うので,次週改めて説明します.

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第6回(10/20)

 今回は独占市場の残りの形態である寡占と独占的競争です.

【授業の内容】
 まず簡単に前回やった複占の復習をしました.売り手が2社である市場に,ゲーム理論のナッシュ均衡の概念を応用しました.

 寡占とは売り手が少数である市場であり,現実的にもよくあるケースと言えます.ビール市場はその典型でしょうね.さて,売り手が少数だと各企業はどのような行動を取るのでしょうか.ここでは全企業が同質的な財を同じ価格で販売している状況を想定しました.そのうちの1社がもし値上げをしたら,ライバルたちはどのような反応を見せるでしょうか.おそらくライバルたちは値上げをしません.なぜなら今まで通りの価格で販売すれば,値上げした1社の販売量だけが少なくなり,その分,他の企業の商品はより多く売れるからです.結果,値上げした1社の販売量はガタ落ちとなるでしょう.
 逆に値下げをするとどうでしょう.ライバルたちが値下げをしなかったら,値下げをした1社にお客さんをほとんど奪われてしまうことになりそうです.そのためライバルたちは必ず値下げに反応して値下げをしてきます.そのため,最初に値下げした1社はせっかく値下げしたのに,あまり需要は増えないでしょう.このように値上げと値下げについて,ライバルたちは非対称的な動きをすることがわかります.
 結果として,企業の個別需要曲線は現在の価格を分岐点として屈折した形を取ります.また限界収入曲線もグラフに描くことができます.この限界収入と限界費用が等しくなる点で生産量が決まるのですが,限界収入曲線の形状の特徴から,寡占市場では,少しぐらい限界費用が増減しても生産量や価格が変化しないことがわかります.値上げも値下げもそれほど魅力的な選択でないため,余程コストが大きく変動しない限り,積極的に価格を変更しないのです.
 ライバルの値下げに追随する動きは,最近では牛丼業界で見ることができそうです.

 独占的競争とは売り手の数が多数の場合に,各企業がいかにして利潤を得るかを説明するものです.売り手が多数の場合,同質的な財を生産していては利潤は出ません.なぜなら似た様な財を多数の企業が売っていれば,消費者は価格が最も低い企業の財を選ぶため,結果として価格の値下げ合戦になってしまうからです.それは前期に学んだ内容ですね.そのため,利潤の最大化を目的とする企業は財を差別化し,一時的な独占状態を築こうとします.缶コーヒーのノベルティグッズなども差別化の一例でしょう.またユニクロが暖かい下着(?)などを販売するのも差別化ですね.
 しかしこの独占状態は永遠ではありません.なぜなら新規参入が可能なので,1社が儲けているとわかれば,どんどん他の企業が参入して同じような財を販売し始めるからです.これにより長期的には完全競争市場となり,どの企業も利潤を得られません.ユニクロの下着も1年も経たないうちに,似た様な商品が他の企業から販売されました.
 このように独占的競争においては利潤をだすためには常に新たな差別化をしなければなりません.ファッション業界で毎年新たな流行が生まれ,あっという間に廃れていくのは,上記のような企業の論理が背景にあるのかもしれませんね.

経済学A 第5回(10/19)

 今回は名目値と実質値について説明しました.名目値と実質値の違いは短期的にみるとそれほど重要ではありませんが,皆さんの人生のように長期的な視点でお金のことを考えるためには,非常に重要です.目先のお金に騙されず,その本当の値打ちを考えてみましょう.

【授業の内容】
 まず事前準備として物価の話をしました.「物価」は世間でよく使われる言葉ですが,果たして物価とはなんでしょう?最近野菜の値段は高いようですが,服や家電はどんどん値下がりしているような気がします.このような状況はインフレ(物価が持続的に上がること)なのでしょうか,それともデフレ(物価が持続的に下がること)なのでしょうか.
 物価を計る目安はいくつかありますが,今回は特にCPI(消費者物価指数)を詳しく説明しました.CPIは平均的な家計が一定水準の生活を続けていく上で必要となるお金の変化に着目したものです.つまり野菜が値上がりしたから物価上昇とか,家電が下がったからデフレとかいうものではなく,様々な財の総体的な価格を使って計算したものです.総務省のCPIのサイトから,どのような品目の価格を計算に用いているかがわかります.実に様々な財の価格を調べているようですね.
http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?bid=000001015979&cycode=0

 さて,この物価ですが,皆さんはあまり意識したことがないかもしれませんが,長期的に見てみるとずいぶん変動しており,特にインフレ傾向があることがわかります.物価が上昇すると,同じお金で買うことができる量が少なくなります.このような物価の変動に着目した視点が名目値と実質値です.授業ではその例として,名目所得と実質所得,名目GDPと実質GDPの簡単な計算をしてみました.我々が普段の生活で目にするのは名目値ばかりですが,名目値と同時に実質値のことも意識してみると,働き出してからの資産運用で騙されにくくなるはずです.
 今後はこの名目値と実質値の概念を使って,年金や資産運用の話もするつもりです.

 また今回は携帯電話を使ったアンケートをしました.結果は次回の授業でお知らせします.

2010年10月21日木曜日

経済数学入門 第3回(10/18)

 今回も関数でした.2次関数のグラフの描き方をやりました.

【授業の内容】
 2次関数が出てきた時に主にする計算は,放物線の頂点(あるいは底)を導くものと,横軸との交点を求めるもの,の2つです.前者は平方完成を使い,後者は2次方程式の解を因数分解もしくは解の公式により導出します.
 この2つはどちらも経済学で非常によく出てくる計算なので,必ずできるようにしましょう.平方完成はちょっと面倒くさいですが,実は第5回に出てくる微分を使えば不必要になるので,ちょっとしたつなぎ役に過ぎません.しかし,とりあえず今は平方完成でやります.

 授業の最後に小テストを行い,上記2種類の計算ができたかどうか確認しました.ちょっと不安だな,という人には呼び出しをかけました.早めに来て,苦手なところをつぶしましょう.

2010年10月16日土曜日

総合政策演習D 第4回(10/14)

 今回もテスト&解説です.あんまり書くことないですね….

【授業の内容】
 今回中心となったのは,損益算や分割払いなどお金に関係した問題ばかりです.損益算はよく出るらしいのですが,パターンがそんなにあるわけではないので,得意分野にしておきましょう.
 今回は比較的高得点の人が多かったですね.問題自体は難しくなかったと思いますが,計算は結構ややこしかったので,もう少し低いかと思いましたが.

 次週の予習範囲は非言語問題の最後までです.そして来週で僕の担当は終りです.

総合政策演習B1 第5回(10/13)

 今回も余剰分析でした.

【授業の内容】
 まずは質問があったので弾力性の説明をしました.需要の価格弾力性の定義を覚えて,それを変形させ,需要曲線の傾きを代入することができるようになる必要があります.また,定義の需要と価格がゴチャゴチャになりがちなので注意しましょう.

 さて,本題は余剰分析で,税金や補助金を導入した際の余剰を計算しました.従価税や補助金のパターンはミクロ経済学ベイシックでやってなかったのですが,一回話を聞けば十分理解できると思います.

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第5回(10/13)

 今回も独占市場です.前半は完全独占の復習,後半は複占の説明をしました.

【授業の内容】
 前回は完全独占が生まれる原因や,完全独占市場における最適な生産の意味などを説明しました.詳しく説明しましたが,その分だけややこしかったかもしれません.計算問題の解法も2種類(数学的な中身は同じですが)説明しました.
 今回はややこしい話はおいといて,とりあえず計算問題をどんどん解いていきました.とにかくMR=MCを作り,最適な生産量を導出し,さらにそれを需要曲線に代入し,価格を求めることが基本です.また,前期に学んだ余剰分析も行ないましたね.条件が同じであれば,完全競争市場に比べ,完全独占市場では社会的余剰が減少してしまうため,独占は経済的にみて良くないことがわかります.独占禁止法があるのも納得ですね.

 後半は2社のみが市場を支配している複占を学びました.ゲーム論の言葉で表現すれば,1回限りの,同時手番,完備情報,非協力ゲームです.ここではナッシュ均衡の概念を,複占に応用します.それをクールノー均衡(クールノー・ナッシュ均衡)と呼びます.
 ライバル関係にある2社はそれぞれ他社の生産量を一定であると仮定して,自らの利潤が最大となるように最適な生産量を決定します.この「他社の生産量(=変数)を一定であると仮定して」というところは,経済数学入門で学んだ偏微分が利用できます.他社の生産量がもう決まっている(いくらであるかは関係なく)ものとして,自らの利潤が最大となるよう微分をし,それを0と置くことで,相手の生産量さえわかれば,自らの最適反応(最適な生産量をどのように決定するか)がわかります.
 計算する上では,両企業とも自らのMRとMCが等しくなるように式を置けば,最適反応の方程式が出てきます.その両企業の最適反応を連立方程式として解くことで,両企業の最適な生産量が導けます.また得られた両企業の生産量を需要曲線に代入することで価格もわかります.

経済学A 第4回(10/12)

 今回は前回に引き続き経済学の歴史の説明とともに,マクロ経済学の基礎を紹介しました.

【授業の内容】
 授業の冒頭では,前回の続きではなく,少し経済学の本流から離れ,マルクス経済学(通称:マル経)の話をしました.日本に住む私たち,特に皆さんのようにソ連崩壊後に生まれた人たちにとっては,社会主義や共産主義といっても,なかなかピンと来ないと思います.
 日本を始め,現在の先進国は市場経済です.市場経済とは市場において,財(モノやサービスのこと)の生産量や価格が決められる経済です.一方,計画経済とは,国家が財の種類や生産量を決定し,人々に配分する経済システムです.計画経済が上手くいかなかった理由は主に2つあると考えられます.1つ目は,情報の流れが一方的で,計画立案に必要な情報が十分に入手できなかったことです.どんなに優れた人々であっても,少数の人々が経済全体を把握しようというのは困難です.市場経済では,無数のプレイヤーが市場を通じて互いに情報を交換しあうことができます.もう1つの理由は,インセンティブです.計画経済ではより優れた商品を,より効率的に生産しようというインセンティブがあまりありません.一方,市場経済では,優れた財を生産,また優れたアイディアを発明すれば,それが市場を通じて報われるため,人々は常に創意工夫します.これが新たなイノベーション(革新)を生み出し,経済に活力をもたらします.計画経済のもとでは人々が平等となり,ある意味で理想的な社会と言えるかもしれませんが,その実現が困難であることは,その後の歴史が証明しました.

 さて,本題に戻りましょう.1929年に起こった世界大恐慌を機に,経済学の表舞台に現れたのがケインズ派です.ケインズ派の代表格は,名前の通りケインズです.
 古典派とケインズ派は,経済の根本の理解が大きく異なります.古典派は供給(総生産)の大きさが需要(総支出)を決める「セイ法則」を信じていましたが,一方のケインズ派は需要の大きさが供給を決めるという「有効需要の原理」を信じていました.この違いは現実の政策に大きな違いをもたらします.セイ法則によれば,需要は供給の結果として生まれるので,重要ではありません.経済を成長させるためには,とにかく生産能力を高めれば良いのです.一方,有効需要の原理によれば,供給の大きさ(つまりGDP)を決めるためには需要の大きさこそが重要です.つまり,経済成長(や景気回復)させるためには需要を大きくしないといけないわけです.この考えの下,アメリカではルーズベルト大統領がニューディール政策を実施し,大不況から抜け出すことに成功します.
 もう1つ,古典派とケインズ派の大きな違いがあります.それは「市場に対する信頼」です.古典派は「神の見えざる手」に象徴されるように,市場の機能を信頼しています.そのため,政府は最小限の介入しかしないことになります.一方のケインズ派は市場を信頼していません.市場は不完全なもの(市場の失敗)であるため,政府が積極的に介入すべきだと考えています.このように積極的に市場に関与する政府は,大きな政府と呼ばれています.大きな政府では,積極的に介入するため,自動的にその財源となる税率も高めです.
 大恐慌以来,ケインズ派は経済の主役であったと言っても良いかもしれませんが,一部の国ではその座から引きずりおろされることになります.その国とはケインズを生んだイギリス,そしてアメリカや日本などです.

 ケインズ派の積極的な介入は,経済の下支えの役割を果たすことに成功しましたが,長期的に見ると弊害ももたらします.短期的には有効な薬なのですが,長期的に薬を飲み続けることによって,その薬の副作用である,財政赤字が蓄積され,巨額なものになってしまいました.政府が積極的にお金を使うと景気は回復するかもしれませんが,その財源は税収です.税金が足りない場合には国債を発行して(国の借金)賄います.借金である以上,時期がくれば返済しなければなりませんね.あまりに返済額が多くなると,税金を集めてもその多くは返済に充てられることになり,有効に活用することができなくなります.
 このように巨額の財政赤字を抱えた国々はケインズ派を捨て,改めて古典派(新古典派)に回帰します.つまり,政府の役割を最低限にし,民間の活力に期待するのです.このような政府は小さな政府と呼ばれます.その考えの下,日本でも1980年代には,国鉄,電電,専売の3公社が民営化されました.また規制緩和により,民間同士の競争が促進された時代でもあります.
 新古典派は,市場における競争を重視します.ただし,競争は勝者だけでなく敗者も生み出します.そのため,新古典派的な政策を良しとする小泉政権下で貧困や格差が社会問題として顕在化したのも当然かもしれません.

 さて,結論としてケインズ派と新古典派,言い換えれば大きな政府と小さな政府,これらのどちらが良いのでしょうか?その答えは「何を目的とするか?」によって異なるでしょう.おそらく「あまり経済成長しなくても,とにかく平等な社会が理想的だ」と考える人は大きな政府が良いと考えるでしょうし,「少しぐらい格差が生まれても,自由な競争により経済が成長することが理想的だ」と考えれば小さな政府が良いのかもしれません.
 僕個人としては,大きすぎる政府には反対です.やはり新しい技術やサービスは,自由で公正な競争があってこそ生まれるだろうと考えるからです.結果として貧困が生まれること,格差ができてしまうこと,これらは望ましいことではありませんが許容されると思います(ここは意見が分かれると思いますが).許容してはいけないのは,格差が生まれることではなく,格差や社会階層が固定してしまうことです.つまり,一度貧困層になってしまうと努力しても抜け出すチャンスがない社会,貧しい家庭に生まれると十分な教育を受けられない社会,このような社会であってはいけません.それは思想の問題ではありません.そのような社会は,全体として効率の悪い,劣った社会であるからです.ただ,残念ながら日本は少しずつ,そのような社会になってしまうのではと危惧しています.

2010年10月11日月曜日

総合政策演習D 第3回(10/7)

 今回は表の読み取り,順列・組み合わせ,確率です.

【授業の内容】
 後期は前期の復習がメインなので,特に説明することもありませんね.しっかり時間をかけて予習・復習するだけです.年末には忙しくなるので,その頃には筆記試験に十分な時間を割くことはできないと思いますよ.今の間にやっておきましょう.

 次週は今回の内容に加え,代金の精算,料金の割引,分割払い,損益算を出題します.この辺りはよく出題されるらしいので,苦手だと困りますね.

総合政策演習B1 第4回(10/6)

 今回は価格メカニズムと余剰分析でした.

【授業の内容】
 今回出てくるワルラス型,マーシャル型,クモの巣理論のいずれもベイシックでやりましたが,そこでは常識的な右下がりの需要曲線と右上がりの供給曲線でしか説明をしていませんでした.そのようなケースではワルラス型,マーシャル型ともに理解しやすいのですが,現実にはありえなさそうな右上がりの需要曲線や右下がりの供給曲線で考えるとややもすると混乱しそうになります.どちらも原則をきっちり理解して適用しましょう.
 クモの巣理論は通常の需要曲線と供給曲線で考え,そこからどちらの傾きが急だと収束するのか発散するのかを図を描いて逐一答えをだしましょう.暗記するのはちょっと怖い気がします.

 今回やった余剰分析は完全にベイシックでやった内容なので特に難しくなかったはずです.そのため,せっかくの機会なので,税金の種類(一括固定税,従量税,従価税)の表現について説明しました.

 次週は余剰分析の発展問題です.

2010年10月9日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第4回(10/6)

 今回から独占市場です.今回はその中でも基礎となる完全独占の説明と,具体的な数値例を用いた計算をしました.

【授業の内容】
 独占市場とは売り手の数が少数である市場のことです(買い手の数が少ない場合も独占市場と言いますが,この授業では取り上げません).また,特に売り手が1社のみである場合を完全独占と呼びます.売り手の数がどれだけかによって,独占の名前は変わってきますが,それはおいおい説明します.

 今回は売り手の数が1社だけの完全独占なのですが,前期は対照的に売り手の数が多数であった完全競争市場について学びました.後期は前期の内容をベースとして,少しずつ条件を変えていきます.結果として,企業の行動も変わってきます.
 完全競争市場における企業は,価格決定権を持たず,市場で決まる価格を前提として行動していました.このような企業は価格受容者と呼ばれます.また価格と限界費用が等しくなるように(P=MC),生産量を決定していました.
 一方,独占市場における企業は当然ながら価格を自身で決定できます.価格決定者です.そのため,もっとも利潤が大きくなるように生産量および価格を決定することができます.ではどうすれば利潤が最大になるかなのですが,授業では2つの切り口で考えてみました.

 1つ目は,これまでも使ってきた限界費用(MC)に加え,限界収入(MR)という概念を導入し,新たに生産した場合の限界費用と限界収入のどちらが大きいか,またその時には生産をすべきなのかを考えます.もちろん限界費用より限界収入の方が大きければ利潤は増加するので生産量を増加させるべきです.そのため,限界収入と限界費用が等しくなるように生産量を決定すると利潤が最大になることをグラフを使って説明しました.結果としてMR=MCという式を作れば,自動的に最適な生産量がわかり,またその生産量を需要曲線に代入することで最適な価格もわかりました.

 2つ目のやり方は,利潤の最大化を直接出す方法です.利潤は収入から総費用を引いたものです.授業の数値例では利潤は生産量(x)の2次関数となったため,利潤が最大となる生産量を導くためには,この式(利潤関数)を微分して0とおけば良いのです.
 ここでこの作業を元の式のまま行えば,利潤の微分は,収入の微分から総費用の微分を引いたものであり,それを0とする.つまり限界収入から限界費用を引いたものを0としているのです.これはMR-MC=0なので,直ちにMR=MCと同じ式であるとわかります.
 どちらでやっても数学的には同じものなので,直感的に理解しやすい方でやりましょう.

 ここは今後も必要となる計算なので,次回,改めて説明しますね.

経済学A 第3回(10/5)

 今回はマクロ経済学の入門編として,経済の仕組みの全体像を説明しました.

【授業の内容】
 まず前提条件として,経済学の目的は何かを説明しました.経済学は人々を幸せにすること,貧困を削減することを目的として誕生し,そのための目標値として,GDP成長率や,1人あたり所得などを用いることを説明しました.ポイントは「お金があることが幸せ」だと考えているのではなく,「幸せを測定するモノサシとして,(とりあえず)お金を使っている」点です.似たようなもんだ,と思うかもしれませんが,そこには大きな違いがあると,僕は考えています.
 というわけで,目標値であるGDPを説明しなければなりません.GDPとは,国民総生産のことですが,どれだけ商品を作ったかを示すものではなく,どれだけ付加価値を発生させたか,を示すものです.また,GDPとGNPの違いについても説明しましたね.

 ここから,経済学(と経済)の歴史について説明しました.大きな政府と小さな政府って何か?なぜ規制緩和するのか?政府が道路を造るとどんな効果があるのか?など様々な知識を,歴史と一緒に説明します.
 今回は経済学の誕生として,古典派の人たちが何を考えていたかを主に説明しました.古典派の人たちの主張を簡単にまとめると,「市場の働きを信頼しており,政府が市場に介入すると,そのメカニズムが乱されてしまう.そのため,政府は何もしない方が良い」というものでした.民間に任せておいても,まるで神の見えざる手が存在するかのように,うまく物事を治まるというものです.政府は最低限だけの役割(警察,国防,消防など)を行い,後は民間に任せるというものです.これはレッセ・フェールと呼ばれます.
 古典派のもう1つの特徴として,セイ法則があります.これは,供給の大きさが需要の大きさを決めるというものです.ある経済を,生産(供給),支出(需要),所得の3つの側面から測っても大きさが同じであると言うことを三面等価の原則と言いますが,古典派はこのうちの生産を重視します.なぜなら生産が大きければ需要は勝手についてくると考えたからです.

 このような古典派経済学は,1920年代後半に起きた世界大恐慌に際して無力でした.大不況であることがわかっても,有効な解決策がないからです.そこで,このような非常時に有効な薬をケインズたちが提示します.
 ということで,次回はケインズの登場から話します.

経済数学入門 第2回(10/4)

 今回も関数の続きです.

【授業の内容】
 前回は関数の大まかなイメージを説明しましたね.今回は具体的に1次関数と2次関数の確認をしました.

 まず1次関数ですが,ここでは経済学的には特に「傾き」が重要です.経済学では様々な機会で「傾き」を使うことがあります.そのため,「傾き」とは何か,しっかり定義しておきます.xによりyが決定されるy=f(x)という関数を例にすれば,xが1単位増えたときに,yがどちらにどれだけ変化するかが「傾き」です.
 前回使った「箸の関数」で言えば,食事をする人が1人増えると(xが1単位増加),必要となる箸の本数が2つ増えます(yが2単位増加).この場合の傾きは2です.1次関数は,この傾きが常に一定であるケースなんです.
 授業では1次関数のグラフを描けるように例題をやってもらいましたね.

 続いて2次関数ですが,2次関数が出てくる時によくやる計算は2種類あります.数学が苦手な人はこの2つを混同してしまって,意味のない計算をしていることが少なくありません.ここではっきり区別しておきましょう.2次関数のグラフはU字型もしくは逆U字型(山型)の放物線です.よくある計算の1つ目は,この放物線と横軸との交点を求める計算であり,もう1つは放物線の底もしくは頂点を求める計算です.
 今回は前者の交点の計算をしました.このやり方は2種類あり,1つは因数分解,もう1つは2次関数の解の公式を使います.因数分解ができれば簡単なのですが,問題によってはできないことがあるので,その場合は解の公式を使います.今回はここまでやったところで時間切れでした.次週は底(もしくは頂点)の計算から始めます.

 とまあ,このように文章で振り返ってもよくわかりませんよね.現在やっている所は基礎であり,非常に重要です!ここが苦手だとこの後の経済数学入門だけでなく,経済学系科目でも困ります.よくわからなかったらその週のうちに全学共通教育センターを活用しましょうね.

2010年10月1日金曜日

総合政策演習D 第2回(9/30)

 今回から通常通りの演習です.

【授業の内容】
 というわけで,早速テストをしました.前回やった,テキストに載ってないタイプの問題と,テキストの問題種1と2についてのテストです.平均はおよそ6点ぐらいでした.あまり難しいタイプの問題ではないので,まだ十分とは言えなさそうです.10月になり,いよいよ就活シーズンです.早い人は年内にも筆記試験を受けることになります.それまでに十分な対策ができそうですか?こちらから見ると,どうもそうではなさそうですよ.

 また,年内の主な合同企業説明会やセミナーの情報も紹介しました.その気になれば5分もあれば集められる情報ですが,皆さんは調べていましたか?就活は情報戦の一面もあります.もしあなたがその情報を持っていなければ,そもそもエントリーすらできないということもありえるのです.

 次週の試験範囲はテキストの問題種1~5です.しっかり予習・復習しましょうね.

総合政策演習B1② 第3回

 今回は3種類の複占でした.

【授業の内容】
 まずゲーム理論の混合戦略ナッシュ均衡を解きました.ベイシックでもやりましたが,公務員試験に出てくるのは,このタイプの問題がゲーム理論で最も難しいところでしょう.純粋戦略と同じく,ナッシュ均衡なので,両プレイヤーの最適反応が交差する点が答えです.計算も,期待値を出して,連立方程式を解くだけなので,それほど難しくはありませんね.

 続いて,複占の問題を,クールノー,シュタッケルベルグ,共謀の3種のやり方で解きました.特徴をまとめると,
クールノー均衡
 両企業が同時に(同時手番)生産量を決定する.それにより価格が決まる.両企業は自社の利潤の最大化のみを目的としており,相手企業とは敵対的に行動する.共謀時に比べ生産量は多く,利潤は少ない.

シュタッケルベルグ均衡
 ある企業(先導者)が先に生産量を決定し,それを見たライバル企業(追随者)が生産量を決定する(逐次手番).先導者は,自社が行動した後の追随者の生産量を合理的に求め,それを織り込んだ上で自社の生産量を決定する(後ろ向き帰納法).条件が同じであれば先導者の方が追随者より利潤は多い.

共謀
 両企業が共謀し(協力ゲーム)両企業の利潤が最大となるように生産量を決定する.

 いずれの解法でもMR=MCに従って生産量を決定すること自体は同じです.

 公務員試験のミクロでは,おそらくここが最難関です.1つ1つの問題は理解出来ていると思いますが,しばらく復習しないとゴチャゴチャになってしまいますよ.

 次週は独占的競争と寡占です.