2011年12月17日土曜日

経済学A 第11回(12/6)

今回は貿易とグローバル化です.


【授業の内容】
 まずパワーポイントを使って,パレート改善,絶対優位と比較優位について説明しました.
 パレート改善とは,他の人の幸せを犠牲にすることなく,ある人は幸せになれるような変化のことです.もちろんみんな幸せになることもパレート改善です.この話をしたのは,貿易が良い変化をもたらすのかどうかを理解するためです.
 まず結果が予想しやすい例として,互いに絶対優位がある場合を考えました.例として挙げたのは,魚釣りが得意だけど米作りが苦手な漁師と,魚釣りは下手だけど米作りが得意な農家の取引です.このような相手より得意に生産できることを絶対優位と呼びます.漁師は魚釣りに絶対優位があり,農家は米作りに絶対優位があると言います.漁師と農家がそれぞれ自給自足で生活するよりも(国際貿易で言えば鎖国状態),それぞれが得意な魚釣りと米作りに専念し(これを特化と呼ぶ),作ったものを交換することで両者ともより豊かになれることが確認できました.
 さて,では何でも得意な国(A国)と,何でも苦手な国(B国)があったとすると,さすがにこの両国の間には貿易は起こらないのでしょうか.具体的に数値例を使って,この両国の貿易を考えてみました.両国は2種類の財を作っているとします(XとY).
 A国はB国よりもXとYどちらの財についても効率的に生産できます.しかし,より得意な財があるとします.これをXであるとしましょう.するとB国はどちらも苦手だけど,まだマシなのはYということになります.A国にとってのX,B国にとってのYは,比較優位があると言います.A国はXに比較優位があり,B国はYに比較優位があるのです.
 この場合,両国がそれぞれ比較優位にある財の生産に特化して輸出し合うとどうなるでしょう.この場合も先程の例と同じく両国が豊かになれる可能性があることがわかりました.みなさんに事前に結果を予想してもらいましたが,この結果を予想した人はほとんどいませんでしたね.僕としては狙い通りで,ワクワクしてしまいました.

 後半はTPPやグローバル化する未来についての話です.
 TPPは簡単に言うと,多国間で自由な貿易を進めようという取り組みのことです.ただし,自由な貿易を進めるためには関税の撤廃だけでなく,関税以外の障壁も取り除く必要があり,加盟国間で様々なルールを共通させようというものであるため,幅広い影響が予想されます.
 グローバル化とはヒト・モノ・カネが国境を越えて移動することと定義することができます.ITの普及に伴い,グローバル化は急速に進展しています.グローバル化すると起こり得ることの1つに,同じ仕事を巡って世界中の人々が争うことがあります.少し前までは日本で働く看護師は日本人がほとんどだったわけですが,今ではインドネシアなどからの看護師を受け入れるようになりました(条件は非常に厳しいですけどね).今後もこの傾向は強まるでしょう.特にプログロマーなどの話す言語に関係なく同じ条件で働ける仕事では,すでに国際的な競争は激しく行われていますね.

 というわけで,皆さんも将来,世界市場で外国人と仕事を争うことになるでしょう.その時により有利な条件で働けるよう,専門的な能力を在学中にしっかり身に付けましょうね.

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