今回は前回の年金に関連して,日本の財政と税について説明しました.
【授業の内容】
その日の朝,「2008年度予算が83兆円台後半になる見通し」というニュースが流れました.皆さんにとってはあまり関心のないこの数字は果たしてどんな意味を持っているのでしょうか?
まず大きな政府と小さな政府って何だったか,久々に復習しました.大きな政府の代表格としてはスウェーデンやデンマークといった北欧諸国やフランスが挙げられます.逆に小さな政府の代表としてはアメリカ,スイス,韓国と言った国の他,実は日本も小さな政府のグループに含まれると言って良いでしょう.どんな指標を元に大きい,小さいと判断しているかはともかく,まずは日本の財政状況を見てみました.
財政状況はなじみのない言葉が多いため,財務省に倣って家計に置き換えて説明しました.
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_02.html
日本は収入以上に随分お金をつかっており,慢性的な借金体質のようです.普通の家ならすでに破産しているかもしれませんし,そもそも新たな借金はできないでしょうね.借金を減らすには,収入を増やすか支出を減らすか,あるいは同時に行うかしかないわけです.
まずは支出を減らすことを考えてみます.歳出を項目別に見ていくと一番多いのは社会保障費でした.社会保障は前回確認した通りですね.この項目は日本が少子高齢化である以上,なかなか減らせないでしょうね.今後も増加し続けると予想されています.一般歳出削減の方策の1つとして民営化があります.先日郵便局が民営化されたのは誰もが知っていますが,ハローワークや違法駐車取り締まりの民営化に関連して市場化テストという言葉がしばしば話題になりました.
次に歳入を増やすことですが,まずは税金の分類から始めました.税金は直接税と間接税,そして国税と地方税に分類できました.直接税の代表である所得税と,間接税の代表である消費税は,ひとくくりに税と言ってもその性質は大きく異なりました.それを公平性と公正性という観点から説明しました.
現在,消費税率を上げることがニュースになっていますが,消費税を上げると言うことはただ単に税金が増えて困る,という単純なものではありませんでした.
最後に冒頭の大きな政府と小さな政府に分類する指標として,国民負担率と潜在的国民負担率を紹介しました.これらを先進国間で比較すると日本はずいぶん税金の安い(=福祉水準も低い)小さな政府であることがわかりました.
【おまけ】
税金の無駄遣いを減らせ!と思っている人はこちらのゲームを試してみて下さい.なかなか予算を減らすのも簡単ではありませんね.
http://www.mof.go.jp/zaisei/game.html
2007年12月6日木曜日
経済学A 第12回
2007年12月3日月曜日
ミクロ経済学ベイシックⅡ 中間テスト結果
中間テストの採点が終わりました.
満点:30点
平均点:15.71点
標準偏差:7.577
最高点:30点
最低点:1点
問題はそれほど簡単ではなかっただけに,もっと悪いかと思っていたのですが,予想よりも良かったです.出席してる人はかなり真面目に講義を聴いてるからでしょうね.僕にもみんなの真剣さは伝わります.独占が終わってからは少々力が抜けたようですが….
それにしても満点が出たのは嬉しいような残念なような.僕がテスト受けても計算ミスで間違えそうなややこしい計算でしたが,皆さんよくがんばりました.
この中間テストの内容は期末試験の範囲に含まれますので,忘れないうちに復習しておきましょう.解答はHP上に掲載されていますよ.
自分の点数が知りたい人は研究室までどうぞ.
ラベル: 2007, お知らせ, ミクロ経済学ベイシックⅡ
経済学Ⅰ 第11回
テストを1週はさんで,引き続き貿易でした.
【授業の内容】
今日は互いに得意な産業を持つ両国による貿易と,得意な産業のない国と苦手な産業のない国の貿易が,それぞれ何をもたらすのかを説明しました.
まずは漁師と農民を例として,互いに得意(絶対優位)なものがある場合に,ロビンソンクルーソーのように自給自足をするのか,それとも互いに得意なものを作り交換するのとどちらを選ぶべきか説明しました.
このような場合には,自給自足するよりも,互いに絶対優位を持つもの(漁師は魚釣り,農民は米作り)に専念して(特化),作ったものを交換することで両者とも幸せになれることを数値例で確認しました.
上記の例では,交換(貿易)するとお互いに幸せになれるというのは,なんとなく予想できましたね.では次に,テレビと自動車の生産について絶対優位を持つ国と,どちらも絶対劣位である国の場合ではどうでしょうか?わざわざ自国と比べ絶対劣位にある国と貿易する意味はあるのでしょうか?また絶対劣位にある国は,優位な国と貿易してしまうと負けて損失を出してしまいそうな気がします.
しかし,数値例でも確認した通り,テレビと自動車に絶対優位にある国は,どちらも得意だがあえて言えばより得意な(比較優位)テレビの生産に特化し,逆に絶対劣位にある国は,どちらも苦手だがテレビに比べればまだマシな(比較優位)自動車の生産に特化します.その上で貿易をすることで両国とも幸せになりました.
比較優位は直感的な印象と,その中身が違うので驚くのではないでしょうか?僕は大学生の時に比較優位を学んで驚いたのを今でも覚えています.
さて,これまでの例から自由な貿易は両国を幸せにすることがわかりました.しかし現実には自由な貿易が行われているとは言えません.我々が購入する様々なもの(あるいはその原材料)には関税がかけられています.
なぜ日本政府は日本全体が幸せになれる自由な貿易をわざわざ妨げているのでしょうか?それは先ほどの話は数値例に過ぎませんでしたが,実際にはテレビに特化して自動車の生産を減らすことは,自動車産業が規模を縮小することであり,そこで働く労働者が失業することを意味しています.失業すれば当然その家族にも影響が出ることになりますね.
そのため,関税により保護されている業界のことだけを考えれば,自由な貿易というのは決して歓迎されるものではないでしょう.当然ながら強硬に反対するはずです.
しかし,関税により一部の産業を保護することは,日本全体のことを考えればマイナスです.なぜなら他の国と比べ効率が悪い産業に従事する労働者を増やすことになるからです.長期的な視点に立てば,関税を撤廃することで労働者が非効率的な産業から効率的な産業へと移動することになるため,労働者としてもより高い賃金を得ることになるかもしれません.
自由な貿易は一時的には波風を起こすことになるでしょうが,長い目で見れば一国全体の生産の効率性を高めるものです.それに自由な貿易は世界的な流れであり,日本だけがその流れを押しとどめることは不可能です.
自由な貿易を押し進める流れは,各国政府間で結ばれる自由貿易協定(FTA)の数に現れています.現在日本はメキシコ,シンガポール,マレーシアなど8ヶ国とFTAを発行あるいは署名済みです.さらにASEAN全体やインド,韓国などとも交渉中です.
【お知らせ】
授業でも伝えた通り,中間テストの再テストを行います.ただし,テストを受けるのは15点未満だった人だけです.新年1回目の授業(1月21日?)の後半を使ってテストをします.そのテストで7~8割を取れれば中間テストの成績を15点に修正します.
15点未満の人にはポータルサイトを通じて個人呼び出しがかかっているはずです.きちんと確認しましょう.