2007年12月6日木曜日

経済学A 第12回

 今回は前回の年金に関連して,日本の財政と税について説明しました.

【授業の内容】
 その日の朝,「2008年度予算が83兆円台後半になる見通し」というニュースが流れました.皆さんにとってはあまり関心のないこの数字は果たしてどんな意味を持っているのでしょうか?
 まず大きな政府と小さな政府って何だったか,久々に復習しました.大きな政府の代表格としてはスウェーデンやデンマークといった北欧諸国やフランスが挙げられます.逆に小さな政府の代表としてはアメリカ,スイス,韓国と言った国の他,実は日本も小さな政府のグループに含まれると言って良いでしょう.どんな指標を元に大きい,小さいと判断しているかはともかく,まずは日本の財政状況を見てみました.
 財政状況はなじみのない言葉が多いため,財務省に倣って家計に置き換えて説明しました.
http://www.mof.go.jp/zaisei/con_02.html
 日本は収入以上に随分お金をつかっており,慢性的な借金体質のようです.普通の家ならすでに破産しているかもしれませんし,そもそも新たな借金はできないでしょうね.借金を減らすには,収入を増やすか支出を減らすか,あるいは同時に行うかしかないわけです.
 まずは支出を減らすことを考えてみます.歳出を項目別に見ていくと一番多いのは社会保障費でした.社会保障は前回確認した通りですね.この項目は日本が少子高齢化である以上,なかなか減らせないでしょうね.今後も増加し続けると予想されています.一般歳出削減の方策の1つとして民営化があります.先日郵便局が民営化されたのは誰もが知っていますが,ハローワークや違法駐車取り締まりの民営化に関連して市場化テストという言葉がしばしば話題になりました.
 次に歳入を増やすことですが,まずは税金の分類から始めました.税金は直接税と間接税,そして国税と地方税に分類できました.直接税の代表である所得税と,間接税の代表である消費税は,ひとくくりに税と言ってもその性質は大きく異なりました.それを公平性と公正性という観点から説明しました.
 現在,消費税率を上げることがニュースになっていますが,消費税を上げると言うことはただ単に税金が増えて困る,という単純なものではありませんでした.

 最後に冒頭の大きな政府と小さな政府に分類する指標として,国民負担率と潜在的国民負担率を紹介しました.これらを先進国間で比較すると日本はずいぶん税金の安い(=福祉水準も低い)小さな政府であることがわかりました.

【おまけ】
 税金の無駄遣いを減らせ!と思っている人はこちらのゲームを試してみて下さい.なかなか予算を減らすのも簡単ではありませんね.
http://www.mof.go.jp/zaisei/game.html

 

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