今回は少子化と結婚の経済学について説明しました.今回と言っても一週間以上前ですね….
【授業の内容】
少子化が問題であると,よく聞きますが,はたしてどうして少子化は問題なのでしょう.また少子化の原因,解決策は何なのでしょう.
少子化と結婚は切っても切り離せない問題なので,結婚についても経済学的観点から説明します.
まず少子化とは何かを考える上で必要なキーワードである合計特殊出生率(TFR)を説明しました.先進国では人口を維持するためにTFRが2.08程度必要だそうです(これを置換水準と呼びます).しかし現在の日本は1.4を下回っており,このままでは日本の人口が減少し続けることは確実です.
さて,少子化,そしてその結果人口が減少すると何が起こるのでしょう.それをメリットとデメリットに分けてみましょう.
まず少子化のデメリットですが,なんといっても社会保障の問題に尽きます.これ以外はそれほど深刻な問題ではないでしょう.少子化は高齢化でもあるため,人口に占める高齢者の割合を増加させます.そのため,年金や健康保険,介護保険などにかかる費用が増加します.現在の年金制度は賦課方式をとっており,人口バランスが崩れると給付水準を維持することが困難になることは以前に年金の回に説明しました.
この他には,労働力人口の減少により,GDPの減少,それに伴い国際的な存在感が小さくなることも考えられます.またクズネッツの才能原則も当てはまるかもしれません.
逆に少子化のメリットとしては,1人あたり資本の増加により所得水準が上がることが考えられますし,環境負荷の軽減,人口過密の緩和なども考えられます.世界を見渡してみると,1人あたり所得の高い国は,ルクセンブルク,スイス,リヒテンシュタインなど人口の小さな国が多く,必ずしも「人口が多い」=「豊か」ではないようです.
さて,少子化はなぜ起こるのでしょう.こちらも世界を見てみると,少子化が課題となっているのは先進国ばかりです.また先進国の中でも,日本,韓国を始めとするアジア,そしてイタリアやスペインなど南ヨーロッパで深刻な問題となっています.
少子化が起こる原因を説明する仮説をいくつか紹介しましたが,現在の日本の状況を説明する説得力のある仮説としては,イースタリンの相対所得仮説があります.
後半は結婚についての経済学的考察を行いました.経済力あるいは学歴が未婚率に大きな影響を持つことをデータから紹介しました.このあたりは,テレビなどではあまり触れられないかもしれませんね.
2010年1月21日木曜日
経済学A 第13回
2010年1月9日土曜日
経済数学入門 第14回
ここでは第14回と書いてあり,レジュメにも第14回と書いてありますが,どうやら本当は第13回のようです.勘違いなのか第2回を飛ばしてありました.まあわかりにくくなるので,このまま行きます.
今回は確率と統計でした.社会科学をやるなら統計についての基礎的知識は欠かせません.2年次以降に統計関係の講義をぜひ受けてください.
【授業の内容】
まずΣの意味を説明しました.期末テストでは特に必要ないのですが,今後統計の勉強をするなら必要です.
続いて,平均値,分散と標準偏差の定義および,それらの計算をしました.平均値はいまさら説明するまでもありませんね.分散と標準偏差というのは,データの散らばりの大きさを測るものです.馴染みのある所では,偏差値にも標準偏差が用いされています(厳密に言うと正規化しなきゃいけないのですが).テストは電卓を持ち込んで構わないので,標準偏差も計算しましょう.
後半は集合の和と積の説明や,期待値の定義の説明や計算などを行いました.ちなみに平均値と期待値の違いは,前者はすでに起きたこと,起きていることについての平均であるのに対して,後者はまだ起きていないことについての確率的な平均値(の予想)です.
2010年1月7日木曜日
経済学Ⅰ 第12回
今日は日本の財政について説明しました.来週は税について説明します.
【授業の内容】
財政とは国の収入(歳入)と支出(歳出)のことです.様々なデータを見ましたが,現在の日本は,歳出が税収を大きく上回っています.収入が少ないのに,借金をして身の丈に合わないお金を使っています.
歳出と歳入の内訳を見ましたが,歳出でもっとも大きいのは社会保障費でした.社会保障費とは,年金や健康保険などにかかるお金のことです.少子高齢化が止まらない日本では,今後も社会保障費が増加することはなかなか止められないでしょう.
財政の健全化,つまり毎年の赤字(国債発行額)を減らすためには,基本的には歳出を減らすか,歳入を増やす(増税),もしくはその両方が考えられます.自分が借金しているわけではないから国債残高が少なくても構わない,と思う人もいるかもしれませんが,国の借金を返すのは将来の私たちです.今,あまりに大きな借金を作っておくと,将来の私たち,そしてその子ども,孫の世代が苦しむことになります.
そのように考えると,定額給付金のように現在政府からお金をもらっても,将来の増税という形で(利子をつけて)返さなければならないので,必ずしも喜んで良いものではないでしょう.実際,そのように先のことを見越した人は,お金をもらったからと言って無駄遣いをするはずがありません.結果,消費は増えず,景気も回復しないでしょう.これをリカード=バローの中立性命題と呼びます.
さて,ところで日本は,財政規模が大きい“大きな政府”なのでしょうか,それとも“小さな政府”なのでしょうか.それを測る目安が国民負担率と潜在的国民負担率です.このいずれでみても日本は先進諸国の中では小さな政府であることがわかりました.
来週は歳入の要である税について説明します.