2010年1月7日木曜日

経済学Ⅰ 第12回

 今日は日本の財政について説明しました.来週は税について説明します.

【授業の内容】
 財政とは国の収入(歳入)と支出(歳出)のことです.様々なデータを見ましたが,現在の日本は,歳出が税収を大きく上回っています.収入が少ないのに,借金をして身の丈に合わないお金を使っています.
 歳出と歳入の内訳を見ましたが,歳出でもっとも大きいのは社会保障費でした.社会保障費とは,年金や健康保険などにかかるお金のことです.少子高齢化が止まらない日本では,今後も社会保障費が増加することはなかなか止められないでしょう.
 財政の健全化,つまり毎年の赤字(国債発行額)を減らすためには,基本的には歳出を減らすか,歳入を増やす(増税),もしくはその両方が考えられます.自分が借金しているわけではないから国債残高が少なくても構わない,と思う人もいるかもしれませんが,国の借金を返すのは将来の私たちです.今,あまりに大きな借金を作っておくと,将来の私たち,そしてその子ども,孫の世代が苦しむことになります.

 そのように考えると,定額給付金のように現在政府からお金をもらっても,将来の増税という形で(利子をつけて)返さなければならないので,必ずしも喜んで良いものではないでしょう.実際,そのように先のことを見越した人は,お金をもらったからと言って無駄遣いをするはずがありません.結果,消費は増えず,景気も回復しないでしょう.これをリカード=バローの中立性命題と呼びます.

 さて,ところで日本は,財政規模が大きい“大きな政府”なのでしょうか,それとも“小さな政府”なのでしょうか.それを測る目安が国民負担率と潜在的国民負担率です.このいずれでみても日本は先進諸国の中では小さな政府であることがわかりました.

 来週は歳入の要である税について説明します.

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