2010年7月3日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第12回(7/2)

 今回も引き続き生産者理論を説明し,余剰分析も少し説明しました.

【授業の内容】
 生産者理論については,前回の内容の理解を深める形で,損益分岐点,操業停止点などを説明しましたね.また,そこから,操業停止点の右上部分の限界費用曲線が,企業の短期供給曲線であることがわかりました.また,企業の様々な規模の限界費用曲線から,長期の供給曲線も導出できました.

 後半は余剰分析でした.余剰分析を行うためには,消費者理論から導かれた需要曲線,生産者理論から導かれた供給曲線が必要です.また,以前に学んだ価格理論を思い出してみると,需要と供給が等しくなる点(均衡点)で価格や生産量(取引量)が決まるんでしたね.
 需要曲線と価格とのギャップ(出しても良いと思っていた金額と,実際に払ったお金との差額)が消費者余剰(CS)です.CSが大きいほど,消費者にとっては望ましい状況です.また,供給曲線と価格とのギャップ(限界費用と販売価格との差額)が生産者余剰(PS)です.PSが大きいほど生産者にとって利潤が増えることを意味します.
 またこのCSとPSの合計を社会的余剰(SS)と呼びます.この社会的余剰が大きいほど,社会全体にとって望ましい状況であると考え,様々な政策を評価することが余剰分析です.
 ちなみに基本的にはSS=CS+PSで良いのですが,税や補助金が出てきた時は次のように扱います.
SS=CS+PS+税収-補助金
なぜ税収の増加が社会全体にとって望ましいのかというと,税収は必ず社会全体のために使われるからです.逆に補助金は税収から出されるので,税収の減少と同じことなので,マイナスがついています.

 次週は具体的な数値例を用いて余剰分析をやります.

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