2010年7月12日月曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第13回(7/9)

 今回も余剰分析です.ただし,具体的な数値例を使った計算を行ないました.

【授業の内容】
 前回の復習をした後,厚生経済学の第一基本定理を紹介しました.財の価格と量が競争市場で決められた時,社会的余剰は最大となるというものです.つまり現在やっているような完全競争市場がもっとも理想的だということです.このような話はマクロ経済学でも出てきますね.

 では完全競争市場で価格(や量)が決定されない場合とはどんな場合でしょう.それは政策によるものと,市場によるものがあります.
 政策によるものとしては,政府により価格統制,(取引)数量制限,課税,補助金などが採られた場合です.
 また市場によるものとしては,独占がありますが,こちらは後期の内容なので飛ばします.

 今回はこの中でも特に課税(従量税)のケースの説明に時間をさきました.
 従量税とは,売買される量の多さによって税額が変わってくるものです.例えば酒税やタバコ税などがこれにあたります.取引される酒やタバコの量に応じて,1単位あたり何円かの税金が課せられます.これは需要関数と供給関数にどのような形で表現できるのでしょう.
 課税は企業にとってはコストです.1単位あたり100円の従量税は,限界費用を100円分引き上げます.また総費用関数では,100円×量だけ総費用が増加すると表現できます.
 このような課税は消費者余剰,生産者余剰をともに減少させますが,税収は増加します.税収は社会的余剰に含まれますが,税収の増加分より,消費者余剰と生産者余剰の減少分の方が大きいため,社会的余剰は減少し,死荷重が発生します.

 さて,ここで問題ですが,
1.社会的余剰が減少するにもかかわらず,なぜ政府は課税を行うのでしょう?
2.従量税が100円課せられたにもかかわらず,取引価格は100円も上がりませんでした.なぜでしょう?
 テストも近いし,考えてみましょうね.

0 件のコメント: