2010年5月17日月曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第5回

 今回は予算制約下の効用最大化問題と,その結果から個別需要曲線を導出するところまでやりました.

【授業の内容】
 しばらく間が空いてしまったので,無差別曲線の復習からやりました.無差別曲線とは,同じ水準の効用が得られるような,財と財との組み合わせを集めたものでした.

 さて,誰でも幸せになりたい(効用を高めたい)はずですが,無限に効用を高めることはできません.なぜなら様々な制約があるからです.僕は本が好きなのですが,無限に本を買うことはありません.僕の所得にも限りがありますし(予算制約),読書に費やすことができる時間にも限りがあります(時間制約),置き場所にも困るでしょうし(空間的制約),妻の怒りを買うことでしょう(政治的制約?).
 このように様々な制約がありますが,まずは予算制約に限って話を進めます.授業では,予算内でx財とy財を消費することを考えました.まず,グラフに予算線を描き,その予算制約下で最も効用が高まるような無差別曲線を選びました.
 ちなみに予算線の傾きは相対価格を意味しており,無差別曲線の傾きは限界代替率と呼ぶことから,効用が最大となる点は,相対価格と限界代替率が等しくなる点である,ということができます.

 予算線についてもう少し付け加えると,予算線の傾きが相対価格である(A財とB財の価格の割合)ことの他に,予算線のシフトが(実質)所得の変化であることも覚えておきましょう.ここで実質とつけた理由は授業では説明していませんが,A財とB財の価格が同じ割合で変化した時には,所得は変わっていなくても予算線がシフトします.これは所得そのもの(名目所得と言います)は変化していなくても,その所得で買うことができる財の量(実質的な豊かさ,実質所得)が変化したからです.これについては,次回また確認します.

 さて,予算制約下の効用最大化ですが,一方の財の価格だけを変化させていくと,財の価格が安くなると,その財の消費が増え,逆に高くなると消費が減るようです.この価格と消費の関係だけを抜き出して図にすると,個別需要曲線が描けました.

 次回はこの個別需要曲線の傾きが何を意味しているのかを説明します.

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