2009年1月13日火曜日

経済学A 第13回

 今日は少子化と結婚の経済学です.新年最初の授業,しかも寒いので出席率が低いかと思ったのですが,むしろ高かったですね.

【授業の内容】
 少子化はずいぶん前から話題になっているのに加え,最近は晩婚化・非婚化に関連して「婚活」という言葉も出てきました.今日は少子化と結婚について経済学の立場から考察しました.

 前半は少子化についての説明です.まず合計特殊出生率とは何かを説明しました.その後,少子化のメリットとデメリットを列挙しました.少子化の本当のデメリットとは,世代間の人口バランスが崩れてしまい,社会保障制度の根幹を揺るがしてしまうことです.それさえ乗り切れば,人口が減ること自体は特に大きな問題ではないでしょう.
 世間では少子化のメリットが語られることは少ないかもしれませんが,メリットもあるはずです.講義では,1人あたり資本の増加,環境負荷の軽減,人口過密の緩和などを紹介しました.
 さて,この少子化はどういう原因で起こるのでしょうか?学生からは「女性の社会進出」,「子育て費用の増加」という意見が出ました.前者については,バッツ=ウォード仮説というものを紹介しました.原因としてはその他にも様々なものが考えられますが,日本において最も重要なのは,おそらく晩婚化・非婚化が進んでいることでしょう.授業では言い忘れましたが,実は結婚している夫婦が産む子供の数(有配偶出生率)はいまだに2を超えています.つまり結婚さえすれば平均して2人の子どもをつくるわけです.問題は晩婚化・非婚化が急速に進んでいることです.

 後半は結婚について考えました.まず,「あなたたち(学生)はいつ,誰と結婚するのか?」をデータから説明しました.データが示すことは,同類婚が多いということ.つまり自分と似たような相手を選ぶということです.考えてみれば当たり前で,結婚するには事前にその人と知り合わなければならないわけです.じゃあどこで知り合うのかというと,大学であったり,職場であったりするのでしょう.同じ職場には同じような経歴の人が集まるので,結果としてやはり自分と似たような人と結婚するのでしょう.
 結婚についての経済学からの仮説として,イースタリンの相対所得仮説を紹介しました.これは女性が育った家庭の生活水準(つまり親の所得)と,その女性が結婚した時に築く家庭の生活水準(夫の所得)に着目した仮説です.これによれば,近年の若年層の収入が二極化し,また収入が不安定化していることが,女性に結婚を思いとどまらせているのかもしれません.

 このテーマについてはもっと話したいことがあるのですが,時間の制約上,1回限りです.まあそれほど生活の役に立つという話でもないですしね.
 次週は,開発経済学についてです.

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