2011年7月10日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第13回(7/8)

 今回は余剰分析です.

【授業の内容】
 まず厚生経済学の第1基本定理を紹介しました.これは完全競争市場で財の価格と量が決定された時に,社会的余剰が最大になるというものです.つまり完全競争市場で政府などからの介入もなく,自由に競争した場合に最も社会全体にとって望ましい結果になるということです.

 社会的余剰(SS)は消費者余剰(CS),生産者余剰(PS),税収(T),補助金(S)からなり,次のように与えられます.
SS=CS+PS(+T-S)
 税収や補助金は場合によって出てきます.

 消費者余剰とは,その財に対する評価額から価格を差し引いたものの合計です.分かりやすく言うと私たち消費者にとっての儲けのようなものですね.生産者余剰は,価格から限界費用を引いたものの合計であり,これは利潤の源泉なので,やはり大きければ大きいほど企業にとっては良いことです.(税収や補助金がないとすれば)この2つを合計したものが社会的余剰となります.

 授業では完全競争市場で決まった場合と,①政府が価格統制をした場合,②同じく生産量を限定した場合,最後に③従量税を課した場合を,数値例を使って計算しました.
 いずれの場合も完全競争市場で決まった場合に比べ社会的余剰は小さくなります.この社会的余剰の減少分を死荷重(デッド・ウェイト・ロス)と呼びます.

 今回は従量税を用いましたが,これはその名の通り,取引される財の量に応じて課税するタイプの税です.現実の例では,酒税,たばこ税,揮発油税(ガソリン税)などが従量税にあたります.数式では税額に量を掛け合わせたもので表現されていますね.
 対して従価税というものもあります.従価税とは価格に応じて課税するタイプの税,現実の例では,消費税ですね.消費税はパンを何個買ったかで決まるわけではなく,パンの値段がいくらなのかによって決まりますね.

 次回は一般均衡についてです.ベイシックⅠも総まとめです.

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