2011年7月24日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第15回(7/22)

 今回で最終回です.一般均衡の続きを説明しました.

【授業の内容】
 ややこしい話なので,まず前回説明したエッジワース・ボックス(ボックス・ダイアグラム)の復習から始めました.

 さて,まず2人のプレイヤーが財を配分された状態から話を始めます.エッジワース・ボックス上に1つの点を打ちます.これで両者の資源の配分を示すことができます.この初期状態の資源配分を初期賦存(ふそん)量と呼びます.プレイヤーがこの資源配分に満足してくれれば,話はこれで終わるのですが,このエッジワース・ボックスに相対価格という情報を加えましょう.相対価格は以前の消費者理論のところで予算線の傾きとして出てきましたね.この予算線は,プレイヤーが市場で売買した時に得ることができる財の組み合わせを示しています.つまり市場で売買することにより,初期賦存量から予算線上の他の点へと移ることができるのです.ではどこが予算線上で最も効用が高い点なのでしょうか.この問題はすでに消費者理論で学んだとおり,予算線と無差別曲線が接する点です.
 この時点では,両者が効用を最大化する点に,思うように移動できるかどうかはわかりません.なぜなら,資源の量は有限かつ一定なので,両者が欲しいと思う量(需要量)の合計が供給量を上回る(超過需要)かもしれないからです.一方,両者の需要量より供給量が多い場合(超過供給)もありえるでしょう.
 しかし,市場は良くできており,この超過需要,超過供給を解消することができます.その手段が価格の変化です.以前に学んだワルラス型メカニズムによれば,超過供給があれば価格は下落,超過需要があれば価格は上昇します.これにより需給は均衡するのです.

 ここでは消費者の話ばかりをしましたが,背景にはもちろん生産者もいます.相対価格の変化が起これば,相対価格と限界変形率が等しくなるように(予算線と生産可能性フロンティアが接するように)生産する財の組み合わせを変化させるのです.これはエッジワース・ボックスの形の変化として現れます.

 さて,次週はテストですね.問題はそれほど簡単ではないでしょうから,しっかり準備してください.説明どおり,試験ではこれまでに皆さんに提出してもらったメモを持ち込みできます(というか,用意しておきます).また,電卓を持ち込んでも構いません.ただし,通信や記憶機能など,計算以外の機能を持った電卓は持ち込み不可です.普通の電卓のみ持ち込み可です.

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