2011年11月26日土曜日

経済数学入門 第7回(11/14)

今回が中間試験前最後の授業です.最大化と最小化の説明をしました.また偏微分についても説明しました.

【授業の内容】
 今回の中心は最大化・最小化問題です.経済学ではしばしば出くわす問題なのですが,今回は公務員試験の専門試験に出てくるタイプまでを取り上げました.経済学の大学院に行こうと思ったら,もうちょっとだけ数学の知識が必要ですが,公務員試験なら国家一種でもこの程度です.

 さて,最大化・最小化問題を見たら,
1.まずはとにかく目的と制約をはっきり見分けましょう.
 どれを最大化・最小化することが目的なのか,そして最大化・最小化を妨げる制約は何かを確認するのです.ここがいい加減だと問題が解けません.
 例えば僕が寝ることが大好きなら,睡眠時間の最大化が目的となるでしょう.しかし,1日は24時間しかない,あるいはずっと寝てるとクビになってしまう,などが制約です.

2.続いて変数を減らそう.
 制約の式を変形させて,ある変数(例:y)を他の変数(例:x)で表現します.例えば,2x+y=10という制約があったとすれば,y=10-2xと変形します.これにより,yの代わりに10-2xを使うことができるのです.なぜこんなことをするのかと言うと,数学というのは(経済学も一緒だけど),変数が1つ増えると飛躍的に問題がややこしくなるからです.そのため,上記のような変形をして,使う変数がxだけで済むようにしたいのです.

3.制約の式を目的の式に代入しよう.
 2.である変数を他の変数で表現する式が得られました.その式を目的の式に代入します.これにより,多変数だった目的の式も,さっぱりとした1変数だけの式に変わります.経済数学入門の授業やミクロ経済学の授業,および公務員試験などでは,この代入により,目的の式が1変数の2次関数となることがほとんどです.こうなれば後は簡単.2次関数の最大化や最小化はこれまでにやってきましたね.グラフを描いて,最大,あるいは最小となる点(頂点や底)を見つければ良いだけです.

4.最後に
 出てきた値を2.で導いた式に代入すると(元々の制約の式でも可),もう1つの答えも出てきます.

 学部で出くわすほとんどの最大化・最小化問題は上記の手順で解けます.

 おまけに偏微分も説明しました.偏微分は2変数以上の関数において微分する方法です.これまでの微分は1変数の関数における微分でした.偏微分のやりかたは,ある変数で偏微分するときは,他の変数をただの数字(係数)であると扱ってやって,普通に微分するだけです.計算自体は簡単です.
 さて,その意味は,となるとなかなかややこしいところです.大雑把に言うと,他の変数が変化せず一定であるとした上で,ある変数について微分するということなんですが,わかりにくいですね.具体的なイメージとして眉山の頂上を求める話もしたのですが,理解できたでしょうか?

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