2009年9月24日木曜日

経済学Ⅰ 第2回

 今日から本格的に講義をしました.今日はGDP,三面等価の原則を学んだ後,マクロ経済学の主要なプレイヤーの紹介,そして最後に経済学の流れを少しだけ説明しました.大事な点なので次週復習します.

【授業の内容】
 まずGDPとは何かを説明しました.GDPとは国内総生産の略です.国内総生産という名前ではありますが,実態は「どれだけモノを作ったか?」ではなく,「どれだけ価値を生み出したか?」を測る指標です.例えば日本のGDPの場合だと,1年間に日本国内で発生した付加価値の合計です.GNPとの違いにも注意しましょう.

 続いて三面等価の原則ですが,これは一国の経済力は総生産だけでなく,総所得,総支出という三つのどの面からみても同じだというものです.またそのうち,総支出の内訳についても説明しました.

 たったこれだけですが,理解しておくと経済政策(厳密に言うと財政政策)が我々の生活にどんな影響を与えるのかがなんとなくわかってきます.

 さて,マクロ経済学ですが,主要なプレイヤーは4つです.特に重要なのは,民間側の家計企業です.この2つによる経済活動がその国の経済の基盤になってきます.また家計と企業が経済活動を行う場のことを市場(しじょう)と呼びます.さらにそれらを補助する役割として,公側に政府中央銀行という2つのプレイヤーがいます.この2つは,市場がうまく働かないときに市場に介入してきます.その介入のスタンスに関して経済学は大きく2つに分類することができます.

 1つは,古典派です.名前の通り,もっとも古い経済学と言えるでしょう.古典派の基本的な考え方は,「神の見えざる手」という言葉に象徴されます.市場は,誰もが自分勝手に,自分の儲けだけを考えて行動していますが,トータルとしては不思議なことに上手く機能しています.みんながお米を欲しがってるのにお米がスーパーに並んでいないなんてことはめったにありませんね.不思議です.古典派はこの現象を「まるで見えない神がいて,取引に支障がないようにすべてを動かしているようだ」と考えたのです.別に本当に神様が実在して働いてくれていると考えたわけではありません.このように古典派は基本的には市場を信頼しているため,市場への介入には消極的です.「レッセフェール(なすにまかせよ)」,つまり「ほっとけ」というスタンスなのです.
 しかし,古典派が行き詰まる事態が発生しました.それが約80年前の世界大恐慌です.大恐慌を目の前にした古典派はどうやって対処してよいか途方にくれます.なぜなら,古典派のスタンスは「市場に任せること」だったからです.
 そこで経済学の檜舞台に躍り出たのはケインズ派です.ケインズ派は市場を信頼しておらず,積極的に市場に介入します.さて,このケインズ派も完璧だったわけではありません.1970年代以降,ケインズ派の欠点が少しずつ明らかになってきます….(というところで来週に続く)

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