2010年1月23日土曜日

経済学A 第14回

 今回はこれまでに皆さんから受け取った質問のうち,回答していないものをまとめて説明しました.

【授業の内容】
 まず財の価格に関連した質問から.
・様々な職業の平均給料が知りたい
 これについては企業別生涯所得のランキングを資料として配布しました.そこから,どういう企業が上位にあるのかを考えてみましょう.

・ドン・キホーテはなぜ安い
 昨今,ドン・キホーテ,ユニクロ,ヤマダ電機やダイソーなど,低価格を売りにする小売店に人気が集まっています.これらの企業が安売りできる理由はなんでしょう.
 理由はいくつか考えられます.まずスケールメリットがあることです.街の電気屋さんと異なり,ヤマダ電機はメーカーから直接大量に仕入れることで,メーカーに対する交渉力を高め,安く仕入れられると考えられます.またユニクロも,日本中,そして海外にも販売店を広げることで,同じ製品を大量に生産することが可能になります.
 また仕入れ以外にも様々なコスト(流通,人件費など)を削減することで,安く売っても儲かる仕組みが出来上がっている可能性もあります.

・品物の原価はいくら?
 原価率がいくらであるかは,業種により,商品により異なるため一概には言えません.ただし,飲食店では原材料費が売上の4割弱というのが1つの目安だそうです.
 メガネやスーツのようにあまり量がさばけない商品は原価率がかなり低いでしょうね.そうでなければ商売が成り立たないでしょう.
 また,供給が少数の企業によって独占されている商品も原価率は低くなりがちです.なぜなら,ライバルが少ないため原価が低くても高く売りつけることが可能になるからです.マイクロソフトのOSなどがこれにあたるでしょう.

・コンビニとスーパーの値段はなぜ違うのか?
 これを説明するために,需要の価格弾力性という概念を説明しました.これは,価格が1%変化すると需要が何%変化するかを示したものです.弾力性が高いとは,消費者が価格の変化に敏感に反応することを示しているため,価格を下げることで売上を伸ばすことができます.
 おそらくコンビニに来る客とスーパーにくる客とでは,弾力性に違いがあるのでは,というのが僕の予想です.

・チロルチョコの20円のものは,10円のものと比べ,大きさが2倍もないのはなぜか?
 この着眼点は面白いですね.ほとんどは大きな商品の方が割安なのに,なぜチロルチョコは違うのか,ということですね.20円のものはコンビニに多く,10円のものは駄菓子屋に多いということから,弾力性の違いである可能性がありますね.

 続いて,経済全体の話.
・衰退している産業はどうすれば活気づくか?
 これは個別の産業によって異なるため,一般的な回答は難しいのですが,衰退の理由別に考えてみました.
 まず,代替品の発明などにより,その商品自体に対する需要がなくなってきた場合があります.経済は,新たな発明により既存の商品が価値を失うこと(創造的破壊)を繰り返してきました.薄型テレビが一般的になり,ブラウン管テレビが廃れていくように,その産業が価値を失ってしまったのなら,活気づけることは諦める方が良いでしょう.なぜなら,価値を生み出さない産業に労働者を従事させることは,その国に取って労働力を無駄遣いすることだからです.
 ただし,その商品自体に対する需要はあるけれど,他国に仕事を奪われて廃れてしまった場合にはやり方はあるでしょう.効率性の改善や,生産拠点の移動などで,他国との競争に対抗すべきでしょう.

 その他の話題では,
・高速道路の無料化は良いのか,悪いのか?
 これは誰に取って良いか,悪いかによって異なるでしょうが,とりあえず日本全体に取っての影響を考えました.
 経済学ではまず,無料化のメリットとデメリットを考え,比較します.無料化のメリットは,人々の移動が活発になり,消費が増えるかもしれません.また料金所付近での渋滞,また一般道路の渋滞が緩和され,環境にとって良い影響があるかもしれません.
 逆にデメリットとしては,人々が公共交通機関ではなくマイカーを使うことで2酸化炭素の排出量が増えるでしょう.また,高速道路の維持にかかる費用を日本全体で負担することになるので,受益者負担の原則に反しています.

 これ以外にも面白い質問があったので,春休み中にブログ上で回答したいと思います(予定).

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