2010年9月30日木曜日

経済学A 第2回(9/28)

 今回は「大学進学は合理的か?」,「ダイヤモンドはなぜ高い?」,「どういう企業で働くと賃金が高いか?」をテーマに説明しました.

【授業の内容】
 まず「大学進学は合理的か?」ですが,ここでは前回に引き続き経済学的思考を養うため,2つの選択肢(大学進学と高卒として就職)のメリットとデメリットを比較しました.また重要な概念である機会費用を紹介しました.機会費用という考え方は話を聞けば「そりゃそうだな」と思ったと思いますが,普段なかなか厳密に意識することは少ないのではないでしょうか.機会費用の定義は「ある選択肢を選んだ際の,次善の選択肢から得られたであろうもの」です.例えば,経済学Aの講義を受講することを選んだことによって,あなたはそれ以外の選択肢を捨てることになります.例えば「朝からバイトする」,「昼間で寝る」,「他の講義を受講する」などです.これらのうち,あなたにとって最も良いものを選んだときに得られたものが機会費用です.もしそれが「他の講義(法学A)を受講する」であれば,あなたは経済学Aを選んだことによって,法学の考え方,法律の知識を学ぶ機会を失いました.これが機会費用という概念です.

 続いて「ダイヤモンドはなぜ高い?」のかを説明しました.ここではダイヤモンドを題材に,需要と供給という考え方を学びました.価格は需要だけ,あるいは供給だけで決まるものではなく,需要と供給のバランスによって決まります.例えば,人間にとって必要不可欠(つまり需要が高い)水や空気は,需要を上回るだけの供給量があるので非常に安価(もしくはタダ)です.僕が教室で「空気1リットルを100円で売ってあげる」と言っても100円を出す人はいませんね.しかし富士山の頂上付近や深海でなら話は変わるでしょう.そこでは平地に比べ空気は希少なので,高い値段で売れるかもしれませんね.
 この需要と供給という考え方は,実は最後の問いである「どういう企業で働くと賃金が高いのか?」にも応用可能です.

 どんな企業で働いている人,あるいは職業は給料が高いのでしょう.皆さんに聞くと,弁護士という答えが最初にでました.なぜ弁護士は給料が高いのでしょうか.
 そもそも給料とは何でしょう?給料とは人の労働につけられた価格です.そのため,どんな人の給料が高いのかは,どんな商品が価格が高いのか,と同じ枠組みで分析できそうです.ダイヤは供給に比べ需要が高いからこそ,高い値段で販売されています.では弁護士の給料が高いのも,(弁護士の労働時間の)供給よりも需要の方が高いからなのではないでしょうか.弁護士に対する需要がどれぐらいあるのか見当がつきませんが,少なくとも供給は少なそうです.司法試験という高いハードルを越えないと弁護士にはなれないので,どこにでもいるわけではありません.逆にコンビニ店員(バイト)の時給が安いのはなぜでしょう?弁護士に1時間相談にのってもらうには1万円ぐらいはかかると思いますが(時給1万円!),コンビニのバイトでは時給800円ぐらいしかもらえません.これはコンビニでバイトできる能力を持った人(供給)がたくさんいるからです.特に技能を身に付けていなくても,普通の高校生や大学生でも十分できます.
 このように考えれば,皆さんが将来高い給料を得たいと考えれば,需要が高いけれど供給が少ない仕事を選べば,あるいはそんな能力を身につければよいわけです.というわけで,大学在学中に,周りの人が持っていない希少な能力を身につけましょうね.そのための1つの道は,専門科目をしっかりがんばることだと思いますよ.

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