2010年11月24日水曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第10回(11/24)

 今回はリスクと不確実性です.来週も同じテーマです.

【授業の内容】
 その前に,前回の内容で一部,時間不足のため説明できなかった所があるので説明しました.それは,情報の非対称性の解決方法です.前回の授業中に少し説明したのですが,今回は特にシグナリングの例として学歴,また評判の例として年功序列型賃金の話をしました.どちらも「非合理的だ」と考える人もいるかもしれませんが,経済学からは情報の非対称性を解決する方法として合理的な説明が可能です.

 さて,リスクと不確実性ですが,まず,期待値の復習をしました.経済数学入門で説明済みですね.また,それを使ってサンクトペテルスベルグのパラドックスを説明しました.確かに期待値が無限大になりますが,こんなゲームを誰もやりませんよね.この背景には,次回説明する効用の形状があります.

 続いてリスクの説明です.リスクとは世間一般では「危険度のこと」だと理解されているかもしれませんが,厳密には「結果のバラつきのおおきさ」つまり「分散(標準偏差)の大きさ」のことです.そのため,確実に悪いことが起きる場合にはリスクはないと言えます.
 多くの人にとってリスクは好ましいとは言えません(後に見るように,例外もいます).ではどうすればリスクを減らすことができるのでしょうか.授業では株を例にリスクヘッジの基本を考えました.

 ここで気分転換として,モンティホール問題を紹介しました.直感的な確率と理論的な確率が違う例ですね.この問題にはいくつかのバリエーションがありますので,興味があればWikipediaで調べてみてください.また,モンティホール問題のシミュレーションが見つかりました.何度かやってみると,確かに変更したほうが確率が高いことが実感できます.
http://gascon.cocolog-nifty.com/blog/2007/09/flash_c2ac.html

 続いて不確実性の説明です.しばしばリスクと混同されてしまいがちです.どちらも未来に何が起きるかわからないことは同じですが,リスクの場合は未来に起こる選択肢とそれが起きる確率がわかっていますが,不確実性の場合はどんなことが起こりうるのか,またそれがどんな確率で起こるのかもわからない場合です.現実には,リスクよりも不確実性に直面するケースの方が多そうですね.

 最後にリスクに対する選好を少し説明しました.リスクそのものをどのように評価するかで,リスク愛好家,リスク中立的,リスク回避者の3つに分類しました.次週はこの話から再開します.

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