2010年11月12日金曜日

経済学A 第8回(11/9)

 前回に引き続き資産運用の基礎です.

【授業の内容】
 今回は,期待値,リスク,現在価値という前回学んだ内容を前提として,実践的な株価の分析方法,およびリスクへの対策を説明しました.

 まず株価の分析方法ですが,講義では2つの有名な分析方法を説明しました.最初はファンダメンタル分析です.これはある株を持ち続けていれば将来得られるお金の合計がその株の価値である,とするものです.ただし,10年後にもらえるお金はそのままの金額で評価するのではなく,現在の価値に直して(割り引いて)考える必要があります.いずれにせよファンダメンタル分析とは,その企業が将来どれだけ成長するか,どれだけ利益を出し,どれだけ配当を出すか,に着目します.そのため,現在ではなく,将来発展すると予想される株は高く評価されます.この分析方法を信頼して株を買うのであれば,その企業がいる業界に将来性があるか,その企業はその業界の中で勝ち残っていけるかをあなた自身で考える必要がありますね.
 もう1つの分析方法はテクニカル分析方法です.テクニカル分析とは,その株のこれまでの株価推移や取引高の情報から,今後の株価を予測するものです.名前もかっこいいし,なんとなく信頼できそうな気がしますが,その理論的裏付けはあまり強固なものではなく,テクニカル分析が有効であるかどうかを様々な研究者が調べていますが,適当に買うのと比べて儲かるというはっきりとした研究はあまりないようです.

 さて,株というのはリスクのあるものですが,そのリスクを減らすこともできます.リスクヘッジの例として,暖冬になるか厳冬になるかという気象リスクを考えてみました.暖冬になったら,自分が持っているすべての株が下がってしまった,というのではリスク対処になりません.暖冬の時,ある株は下がったが,あの株は上がった,となるような組合せをする必要があります.最大のリスクヘッジは分散投資です.ケインズは「卵は分けて持て」と言いました.ただし,分散投資をするとリスクが減る代わりにリターンも下がります.

 結論としては,リスクとリターンは比例します.様々な金融商品を紹介しましたが,リスクの低い金融商品はリターンも低く,リターンが高い金融商品はリスクが高い,というのが一般的な(どんな場合でも成立するという意味の)結論なのです.そのため,リスクが低くリターンが高い商品(「確実に儲かりますよ!」という商品)はありません.甘い話には騙されないように.もしあったら僕にも紹介してください.

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