2010年11月7日日曜日

経済学A 第7回(11/2)

 今回は資産運用入門です.

【授業の内容】
 資産運用とは言え,株をどこで買うかとか,そんな話は自分で調べればわかるものなので,ここでは,資産運用の理論的な部分を説明しました.

 まず,利子と現在価値の関係を説明しました.現在,手元にある100万円を銀行に預ければ(利子率1%とする),1年後には101万円になります(税金や手数料は無視しておく).つまり,この場合,現在の100万円と1年後の101万円が同じ価値であると言えます.お金は時間が経つと増えると考えても良いかもしれません.
 さて,では逆に考えることも可能です.つまり1年後の101万円を現在の価値に直すと100万円です.このような考え方を,現在価値(現在割引価値)と言います.将来受け取るお金を現在の価値に直すときには利子率で割り引かねばなりません.きちっとした計算式は講義中に書きました.

 期待値の説明です.株が確実に値上がりすれば良いのですが,未来のことは誰にもわかりません.そのため,まだ起きていない未来のことについての平均値である期待値のことを説明しました.期待値は高校の数学でも学んだかもしれませんが,起こり得る結果とそれが起こる確率とをかけ合わせ,出てきたものをすべて足しあわせたものが期待値です.例として,サイコロを振って,5か6がでれば300円がもらえ,それ以外の目がでれば100円がもらえるゲームがあったとすると,サイコロを1回振ったときの期待値は次のようになります.
E=300×(2/6)+100×(4/6)

 続いてリスクの説明もしました.経済学の世界で言うリスクは,世間で使われているリスクの意味とは少し違います.リスクとは,起こる結果のばらつきの大きさのことを指します.正確に言えば分散(あるいは標準偏差)のことですが,わからなくても大丈夫です.
 そのため,良いことが起こるかどうか,悪いことが起こるかどうかがリスクではないのです.

 最後に株を買うメリットを考えました.株についてあまり知識がないと,「株を買うのは,安く買って高く売り,差額で儲けるためだ」と考えてしまうのではないでしょうか.この売買による儲けはキャピタル・ゲインと呼びます.しかし株を買うメリットはそれだけではありません.それに加えて,株を保有していると配当が得られます.この儲けをインカム・ゲインと呼びます.配当はそれほど大きな金額ではありませんが,長い目でみれば大きな金額になりますし,株価を予想する上でも重要です.
 続きはまた来週です.

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