2008年9月19日金曜日

経済学Ⅰ 第2回

 この講義は早くも2回目ですね.今回は前回の復習をした上で,経済のプレイヤーたち(経済主体)を紹介し,経済学の歴史(の一部)を説明しました.

【授業の内容】
 経済には様々なプレイヤーがいます.まずもっとも重要な2つの経済主体として,民間側に企業家計がいます.この2つの主体が市場で様々な取引を行うのですが,これが市場経済の原動力です.この他,民間側には企業と家計の間でお金の仲介を行う銀行が存在します.一方,民間側ではないところ(公)には,政府中央銀行というこれまた重要なプレイヤーがいます.この2つは様々な形で市場に介入を行います.
 さて,今回は経済学の歴史をこの「介入」をキーワードに説明しました.まずは18C後半のアダム・スミスを筆頭とする古典派から始まります.古典派の特徴は,「神の見えざる手」の存在,つまり市場では企業や家計が各自の利益だけを求めて好き勝手に行動しているにもかかわらず,市場全体として需要と供給が上手く均衡しており,まるで見えない神の手が物事を調整しているようだ,というものです.簡単に言えば,「市場はよくできている」ということです.そのため,政府が介入をすると邪魔になるので,なにもするな,ほっとけ「為すに任せよ(レッセ・フェール)」というのです.政府が関与して良いのは,警察や消防など,民間側が行ってくれない最低限の公共的な仕事のみなので,古典派の理想とする国家像を夜警国家と呼んだりもします.また供給が需要を決定するセイ法則というのも特徴でした.
 しかし,世界大恐慌を期に,ケインズ派が台頭します.ケインズ派は市場を信頼しておらず,市場が失敗すると積極的に介入しようとします.需要が供給(総生産)を決めるという有効需要の原理を唱えるため,景気が悪いときには政府支出を増加して,需要を喚起し,景気回復を狙います.
 日本でもこの理論に則り,景気が悪けりゃ道路を作れ,ダムを造れとしてきたわけですが,近年あまり効果は実感できませんでした.そして残ったのは巨額の借金(国債残高)です.アメリカ,イギリスもすでに同様の状況に陥り,財政再建を目指して新古典派へと転換していました.日本も遅ればせながら財政再建に取り組みます(たぶん…).
 新古典派のキーワードはやはり「市場への信頼」です.そのため,近年の日本では「規制緩和」,「官から民へ」といったフレーズが繰り返し用いられました.郵便局も民営化されましたね.

 次週は物価について説明します.

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