2011年6月25日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第11回(6/24)

 今回も引き続き生産者理論です.

【授業の内容】
 前回,価格と限界費用が等しくなるように生産することで利潤が最大となるような生産量がわかることを確認しました.今回はこれを用いて,どのような価格だと利潤が出るかを図で確認しました.

 それを理解するために,平均総費用(ATC)と平均可変費用(AVC)という新たな費用を紹介しました.ATCは生産量1単位当たりにかかる総費用であり,総費用を生産量で割ったものです.式ではATC=TC/xで表されます.ここから,TC=ATC×xも導くことができます.またAVCは生産量1単位当たりにかかる可変費用のことで,可変費用を生産量で割ったものです.こちらも式ではAVC=VC/xで表され,VC=ATC×xが導かれます.

 このATCとMCが交差する点を損益分岐点と呼びます.この点の価格よりも高く売れれば利潤はプラス,つまり黒字になり,この点より価格が低ければ赤字となります.

 ただし,この授業で確認したとおり,赤字だからと言って生産しないわけではありません.赤字でも生産したほうがマシな場合があります.なぜなら生産する前に固定費用(サンクコスト)がかかっているからです.そのため,生産前ですでに赤字は発生しており,生産することによってこの赤字が減るのであれば生産します.逆に生産すると赤字が増えてしまう場合もあるでしょう.この場合には生産自体を止めたほうが良いですね.これを見分けるポイントを操業停止点と呼びますが,その話はまた来週です.
 配布した練習問題をしっかりしておきましょうね.

【今回出てきた重要語句】
平均総費用(ATC):総費用を生産量で割ったもの.生産量1単位当たりの総費用.
平均可変費用(AVC):可変費用を生産量で割ったもの.生産量1単位当たりの可変費用.

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