2007年7月7日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第12回

 今回で前期の内容は一通り終わりです.これまでのまとめとして一般均衡について説明しました.テキストではpp.208-215にあたるところが中心です.

【授業の内容】
 まず本題であるエッジワース・ボックスです.ちなみに授業中はぼやかしてしまいましたが,やっぱり考えたのはエッジワースという経済学者でした.そのエッジワース・ボックスですが,2人の消費者の無差別曲線(2財)を組み合わせたものです.両者の間でいかにして効率的に財を分配するか,その目安としてパレート最適を説明しました.
 パレート最適を説明する前に,まずパレート改善を知る必要があります.パレート改善とは,「他の人の効用を下げることなく,ある人が効用を上げる」ような変化のことです.例えば,僕にとって必要のない服を友人にあげたら友人が喜んだとすると,僕の効用には変化ありませんが友人の効用は上がったので,明らかにパレート改善であると言えます.というわけで,いらない服をどんどん友人にあげれば(さらに友人がそれを喜んでくれるならば),僕と友人との間でパレート改善が繰り返されますが,いらない服を全てあげてしまうと,それ以上パレート改善できません.さらに友人が効用を上げるためには,僕が必要だと思っている服を譲らねばなりません.友人は嬉しいかも知れませんが,僕は必要な服がなくなるので効用が下がってしまします.このように「他者の効用を下げなければ,ある人の効用を上げられない状況」をパレート最適と呼びます.パレート最適となるような財の配分方法はたくさんありますが,そのうちどれがもっとも望ましいか,については判断しないことにします.ちなみにエッジワース・ボックス上のパレート最適となる点を集めたもの(曲線)は,契約曲線と呼ばれます.

 さて,ではこのエッジワース・ボックス上で2財の価格が与えられると,価格によってそれぞれの財に需要超過,供給超過が発生します.それらは以前に学んだワルラス型価格調整メカニズムによると,価格の変化を引き起こします.さらに財価格の変化は消費者側には需要量の変化という形で影響を与えますし,生産者側には生産量の変化という形で影響を与えます.財価格の変化が消費者理論,生産者理論でどのような影響を与えるかについては具体的に確認しておきましょう.

【補講について】
 テストは試験期間中ではなく,来週(7/13)なので授業が1回少なくなります.そのため,来週水曜日の5限を補講にあてます.補講は501教室を予定しています.補講では質問を受け付けますので,それまでにちゃんと復習しておきましょう.

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