2010年12月17日金曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第13回(12/15)

 今回と次回に渡ってミクロ貿易理論の説明です.

【授業の内容】
 今回はまずリカードの比較生産費説の説明をしました.両国がそれぞれ絶対優位にある財を持つ場合は,両国とも絶対優位にある財の生産に特化し,それを輸出し合うことで,両国とも豊かになれることがわかりました.これは直感的な予想と合致することでしょうから,あまり驚きはないでしょう.
 続いて,一方の国(A国)があらゆる財の生産に絶対優位を持ち,他方の国(B国)はあらゆる財の生産で絶対劣位にある場合を想定しました.この場合,A国はすべての財について他国より効率的に生産できますが,その中でもより効率的に生産できる財もあれば,B国より少し効率的なだけの財もあるでしょう.A国はこの場合,B国と比較して最も効率的(比較優位)な生産が可能な財の生産に特化し,B国は,A国と比べて劣っている中でも,最も効率性が近い(まだマシな)財の生産に特化します.それぞれが比較優位にある財の生産に特化して,輸出し合うことで,この場合でも両国とも豊かになれることがわかりました.
 つまり両国とも貿易によりパレート改善できるのです.唯一パレート改善できない場合は,両国がどんな財の生産に関しても,双子のようにまったく同じ効率性を持つ場合です.

 ただし,上記の比較生産費説は輸送費の問題や,技術進歩の可能性を排除しています.それらを導入すると結論はどんなふうに変わってくるでしょうか?

 最後に比較生産費説の中身をグラフで表現する貿易三角形を説明しましたが,わかりにくかった気がするので,次回の講義で改めて説明します.

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