2010年12月11日土曜日

経済学A 第11回(12/7)

 今回は貿易とグローバリゼーションについての説明でした.

【授業の内容】
 今回は珍しくパワーポイントを使いました.今回は表を描くのが大変なのです.まず,パレート改善という良い変化の定義を説明しました.パレート改善とは,他の人の幸せを損なうことなく,誰かが幸せになれるような変化のことです.では貿易をするとパレート改善になるのでしょうか?
 貿易について理解するため,リカードの比較生産費説を紹介しました.まずは絶対優位の説明です.例として,漁師と農家で考えました.漁師は魚釣りに絶対優位があり(農家より効率よくできる),農家はお米作りに絶対優位がある(漁師より効率よくできる)というように,互いに相手より得意なものがある場合の説明です.この場合,それぞれが自分の得意な物に特化し(集中して生産すること),それを相手と交換することで,両者とも豊かになれる,つまりパレート改善できます.
 続いて,なんにも得意なものがない国と,その国に比べてなんでも得意な国との貿易を考えました.事前に皆さんに予想してもらうと,ほとんどの人は貿易により両国とも不幸せに,もしくはどちらかの国が不幸せになると考えたようです.しかし,具体的に数値を入れて見てみると,わずかではありましたが,両国とも貿易をする前よりも豊かになれ,またしてもパレート改善できています.ただし,何に特化して輸出するかと言えば,なんでも得意な国はその中でも他国と比べより効率的に生産できるものを,そして何でも苦手な国は,他国と比べ,まだマシな物の生産に特化します.

 後半はグローバル化について説明しました.グローバル化は貿易のようにモノが自由に移動するだけではありません.それ以外に,ヒトやカネ,そして情報が国境を越えて移動することを指します.ヒト,つまり労働力が国境を越えて自由に移動できるようになると何が起こるでしょう?日本人が外国人と同じ仕事をめぐって競争をするようになるでしょうね.EUではずいぶん前から,比較的貧しい東欧から西欧に向かって労働者が流入し,西欧の労働者の失業率が上がり社会問題化しましたが,日本でも現在積極的に移民を受け入れようという動きがあります.ただ,実際に外国人労働者が日本にこなくても,企業が日本を捨て,海外に会社の機能や工場を移すことになれば,日本人が国内で働く機会は減りますね.つまり,今後は皆さんは同じ日本人だけでなく,外国人とも競争をすることになるのです.その競争を勝ち抜くためには,労働力の「差別化」が必要です.わかりやすく言うと,他の人が持っていない能力(専門的能力)を身に付けることが必要です.誰でも持っている能力しか持っていなければ,安い賃金で働くしかありません.

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