2007年9月18日火曜日

経済学A 第2回

 今回はカネ,カネという講義でしたね.しかし,経済学は必ずしもお金だけを考える学問ではありません.今回はたまたまです.

【授業の内容】
 まず前半は,「大学への進学は合理的か?」という問題について考察しました.新しい概念として機会費用を説明しました.みなさんの大学進学を学費や生活費だけでなく,機会費用(大学に進学しなかったら受け取ったであろうお金)も含めて合理的であったか改めて計算してみたわけです.学費や生活費も高いですが,機会費用もかなり高いですよね.皆さんはそれだけの費用を払って大学で学んでいるわけです.払った費用の分だけ,キッチリと知識を身につけてもとを取りましょう.
 結論からすると,生涯所得で比べると大卒の平均と高卒の平均には大きなひらきがありますし,あくまでお金の面だけ考えれば進学は合理的でしょうね.(もちろん家庭に進学させる余裕がある場合です.金銭的な制約があれば,進学を断念せざるを得ない場合もありますからね.)また,講義から離れて僕個人の意見ですが,大学で得るもので重要なのは大卒という肩書きではなく,何を学んでも良いという自由な時間と友人だと思います.ただし,そういうのは経済学では分析対象になることは稀です.

 後半は,「どんな企業で働くと給料が高いのか?」という,生々しいテーマでした.といっても,大学の講義ですので,ランキングを見て「へー」というだけではなく,高い給料を払っている会社に共通する特徴を考えてみました.
 給料は我々が企業に労働時間を売る時の売値だと考えることもできます.そう考えれば,前回の「ダイヤモンドはなぜ高い?」を応用すれば,我々が労働時間を高く売るためには,労働力に対する供給よりも需要が高ければ良いわけです.つまり,みなさんは企業が求めているが(需要),周りの学生があまり持っていない(供給)能力を持つ人材になれば良いのです.こんなことを言うと学生はすぐ「じゃあ資格を取らなければ!」と安易に思うわけですが,実際にはそうでもないようです.
 経済産業省が発表した社会人基礎力に関する中間とりまとめによると,従業員数100人以上の企業に対するアンケートで,「採用時に重視する能力」としてもっとも回答が多かったのはコミュニケーション能力であり,資格取得は7番目でした.コミュニケーション能力に続いては,ビジネスマナー,基礎学力,積極性(外向性),責任感が並んでいます.
経済産業省 社会人基礎力に関する研究会「中間とりまとめ」報告書
http://www.meti.go.jp/press/20060208001/shakaijinkisoryoku-gaiyou-set.pdf
11ページを参照.
 学生にとっては意外かもしれせんね.敵を知り己を知らば百戦して危うからず,ですね.まずは敵(企業)のことを知りましょう.

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