2010年4月4日日曜日

開発経済学 第1回(4/2)

 今回は,データから開発途上国の現状を見たほか,ジンバブエを例に,国が豊かになれない原因について考えてみました.
 専門科目ですので,関心がある人だけ受講してください.単位が取りたいから,という人はより単位の取りやすい科目をおすすめします.レポートで要求する水準は結構高いと思います.

【授業の内容】
 まず,開発経済学とは何かを説明しました.経済成長とそれを実現するための政策という意味ではマクロ経済学ですでに学んだはずです.ではマクロ経済学と開発経済学はどこが違うのでしょうか?途上国の貧困問題を解決するためには,もちろんマクロ経済学の知識も使いますが,それだけでは不十分です.貧しい国にはそれぞれの国固有の問題があります.それぞれの国の事情に合わせて,有効な経済政策を導き出すための裏付けとなる理論的・実証的研究が開発経済学と言えます.
 
 さて,では実際に途上国はどれぐらい貧しいのか,所得,健康,教育など様々なデータを見てみました.いくつかのデータからわかることは,貧しさというのは決して所得の多寡だけで決まるものではないということです.
 次回は,その貧困とは何か?(幸せとは何か?)国レベルで貧困(幸せ)を測るためにはどんな指標が必要なのかを考えていきたいと思います.

 後半は1980年に独立したジンバブエが現在までどのような道を進んだのかを説明しました.
 まず,皆さんに「貧しい国が成長するために必要なものは何か?」を答えてもらいました.いきなり政府の統治(ガバナンス)という答えが出てきて驚きましたが,まさしくジンバブエに欠けていたものはガバナンスでしょう.ガバナンスを欠くことは国に何をもたらすのでしょうか.
 1980年に「アフリカでもっともめぐまれた独立」を果たしたジンバブエは,農業生産,天然資源に恵まれ,識字率も高く,社会的インフラも周辺国に比べて高い水準にありました.しかし,現在のジンバブエはアフリカの中でも悲惨な状況にあります.現在の状況に至った原因は,農業の軽視,長期独裁による政府の腐敗,批判をそらすために人種対立を煽ったこと,経済の原理を無視した政策などがあげられるでしょう.
 ここでは主に松本仁一(2008)「アフリカ・レポート」を参考にしました.授業時間内ではつたえきれなかった部分もあるので,興味のある人はぜひ読んでみてください.

 今回使ったPowerPointのファイルをHP上にアップしておきます.メモできなかった人は参考にしてください.

【さらに興味があれば】
ロバート・ゲスト(2008)「アフリカ 苦悩する大陸」東洋経済新報社
ウィリアム・イースタリー(2003)「エコノミスト南の貧困と闘う」東洋経済新報社

【受講条件,評価について】
 受講条件としてミクロ・マクロ経済学を履修済みであること.履修していない場合は必ずマクロ経済学ベイシックⅠを並行して受講すること.マクロの基礎的な知識がないと理解が困難です.
 評価は,毎回のミニレポートと,複数回(3回程度)のレポートにより行います.レポートを提出しなかった場合は単位を放棄したものとみなします.

【第1回課題:課題図書レポート】
 下のサイトの課題図書リストにある本の中から1冊を選び,それを基にしたレポートを提出せよ.
http://wmt.bunri-u.ac.jp/mizunoue/filedl.html
 期限:5月21日20:00
 文字数:表紙,図と表を除きA4用紙3枚以上(2枚+αでは不可,最低でもきっちり3枚は書くこと)
 なお「レポート作成マニュアル」を必ず参考にすること!レポートの最低限のマナーが守られていなければ評価できません.特に引用のルールは厳しいので要注意.

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