2010年10月9日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第4回(10/6)

 今回から独占市場です.今回はその中でも基礎となる完全独占の説明と,具体的な数値例を用いた計算をしました.

【授業の内容】
 独占市場とは売り手の数が少数である市場のことです(買い手の数が少ない場合も独占市場と言いますが,この授業では取り上げません).また,特に売り手が1社のみである場合を完全独占と呼びます.売り手の数がどれだけかによって,独占の名前は変わってきますが,それはおいおい説明します.

 今回は売り手の数が1社だけの完全独占なのですが,前期は対照的に売り手の数が多数であった完全競争市場について学びました.後期は前期の内容をベースとして,少しずつ条件を変えていきます.結果として,企業の行動も変わってきます.
 完全競争市場における企業は,価格決定権を持たず,市場で決まる価格を前提として行動していました.このような企業は価格受容者と呼ばれます.また価格と限界費用が等しくなるように(P=MC),生産量を決定していました.
 一方,独占市場における企業は当然ながら価格を自身で決定できます.価格決定者です.そのため,もっとも利潤が大きくなるように生産量および価格を決定することができます.ではどうすれば利潤が最大になるかなのですが,授業では2つの切り口で考えてみました.

 1つ目は,これまでも使ってきた限界費用(MC)に加え,限界収入(MR)という概念を導入し,新たに生産した場合の限界費用と限界収入のどちらが大きいか,またその時には生産をすべきなのかを考えます.もちろん限界費用より限界収入の方が大きければ利潤は増加するので生産量を増加させるべきです.そのため,限界収入と限界費用が等しくなるように生産量を決定すると利潤が最大になることをグラフを使って説明しました.結果としてMR=MCという式を作れば,自動的に最適な生産量がわかり,またその生産量を需要曲線に代入することで最適な価格もわかりました.

 2つ目のやり方は,利潤の最大化を直接出す方法です.利潤は収入から総費用を引いたものです.授業の数値例では利潤は生産量(x)の2次関数となったため,利潤が最大となる生産量を導くためには,この式(利潤関数)を微分して0とおけば良いのです.
 ここでこの作業を元の式のまま行えば,利潤の微分は,収入の微分から総費用の微分を引いたものであり,それを0とする.つまり限界収入から限界費用を引いたものを0としているのです.これはMR-MC=0なので,直ちにMR=MCと同じ式であるとわかります.
 どちらでやっても数学的には同じものなので,直感的に理解しやすい方でやりましょう.

 ここは今後も必要となる計算なので,次回,改めて説明しますね.

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