2010年10月16日土曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第5回(10/13)

 今回も独占市場です.前半は完全独占の復習,後半は複占の説明をしました.

【授業の内容】
 前回は完全独占が生まれる原因や,完全独占市場における最適な生産の意味などを説明しました.詳しく説明しましたが,その分だけややこしかったかもしれません.計算問題の解法も2種類(数学的な中身は同じですが)説明しました.
 今回はややこしい話はおいといて,とりあえず計算問題をどんどん解いていきました.とにかくMR=MCを作り,最適な生産量を導出し,さらにそれを需要曲線に代入し,価格を求めることが基本です.また,前期に学んだ余剰分析も行ないましたね.条件が同じであれば,完全競争市場に比べ,完全独占市場では社会的余剰が減少してしまうため,独占は経済的にみて良くないことがわかります.独占禁止法があるのも納得ですね.

 後半は2社のみが市場を支配している複占を学びました.ゲーム論の言葉で表現すれば,1回限りの,同時手番,完備情報,非協力ゲームです.ここではナッシュ均衡の概念を,複占に応用します.それをクールノー均衡(クールノー・ナッシュ均衡)と呼びます.
 ライバル関係にある2社はそれぞれ他社の生産量を一定であると仮定して,自らの利潤が最大となるように最適な生産量を決定します.この「他社の生産量(=変数)を一定であると仮定して」というところは,経済数学入門で学んだ偏微分が利用できます.他社の生産量がもう決まっている(いくらであるかは関係なく)ものとして,自らの利潤が最大となるよう微分をし,それを0と置くことで,相手の生産量さえわかれば,自らの最適反応(最適な生産量をどのように決定するか)がわかります.
 計算する上では,両企業とも自らのMRとMCが等しくなるように式を置けば,最適反応の方程式が出てきます.その両企業の最適反応を連立方程式として解くことで,両企業の最適な生産量が導けます.また得られた両企業の生産量を需要曲線に代入することで価格もわかります.

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