2009年12月9日水曜日

総合政策演習B1② 第12回

 今回は,情報の非対称性の問題,所得配分の問題とミクロ貿易理論の説明をしました.

【授業の内容】
 情報の非対称性も,市場が完全競争市場(つまり最適な資源配分)となるのを妨げる要因の1つです.情報の非対称性が存在すると,逆選択という,特定の取引ばかりがなされる現象が発生します.よく出てくる例としては,中古車市場(レモン市場)における情報の非対称性により,品質の悪い中古車(レモン)ばかりが流通するとか,生命保険における情報の非対称性により,健康に不安のある人ばかりが保険に入る,といった話があります.
 逆選択と混同されやすいのがモラルハザードです.モラルハザード(道徳的危険)とは,ある取引により,その経済主体の行動が変化してしまうことを指します.例としては,生命保険に入った人が,健康に注意を払わなくなるような変化があります.
 なお,情報の非対称性による問題をなくすためには,情報を対称的にすること,つまり情報が少ない経済主体に情報をなんらかの方法で伝えることがあるでしょう.学歴が能力のシグナル(能力そのものではない)として使われるのもこの理由によるものです.

 続いて,ローレンツ曲線およびジニ係数の説明をしました.これは,所得の不平等度などを調べるときに使われます.貧しい人から豊かな人を一列に並べ,その累積所得比率を縦軸にあらわしたものです.ジニ係数は0から1の値をとり,不平等度の目安となります.

 最後に残った時間でミクロ貿易理論の手始めとしてリカードの比較生産費説を説明しました.次回はこの続きをやりましょう.

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