2009年12月20日日曜日

ミクロ経済学ベイシックⅡ 第13回

 今回はリカードの比較生産費説,貿易のミクロ理論について説明しました.

【授業の内容】
 まず絶対優位と比較優位について説明しました.絶対優位とは,他国に比べ,ある財をより効率的に生産できることです.逆にある財の生産が他国より苦手な場合は絶対劣位と呼びます.例としては,日本はアメリカと比べ自動車の生産に関して絶対優位を持っているでしょう.しかし多くの農作物については絶対劣位にあるはずです.

 さて,このように絶対優位はわかりやすい概念ですが,次の比較優位はややわかりにくいかもしれません.
 比較優位とは,ある国が他国に比べ,A財の生産についても,B財の生産についても絶対優位(絶対劣位)にある場合,より効率的に生産できるのはA財とB財のどちらか,というものです.逆により非効率的な生産しかできない財は比較劣位にあるといいます.

 世界中の多くの国は他の国と比べ絶対優位にあるなんらかの財を持っているでしょう.その場合,その国は絶対優位にある財の生産に集中します.これを特化と呼びます.その財の生産に特化して,それを輸出する.また,絶対劣位にある財は国内で生産することを諦め海外から輸入します.
 そうすることで,貿易前に比べ自国が豊かになるだけでなく,貿易の相手国も豊かになります.まさにパレート改善です.
 また絶対優位にある財がなくても,比較優位にある財の生産に特化し,貿易することでもパレート改善できることを数値例で確認しました.
 ただし,今回の話は海外への輸送にコストがかからないという仮定で話しました.日本から南米やアフリカに輸出するよりも,アジアに輸出する方が多いのはこれで説明できます.

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