2008年4月25日金曜日

開発経済学 第4回

 今回はいわゆる「二重構造」についてでした.

【授業の内容】
 まず日本を含むアジア諸国の産業構造についての資料を配付しました.これから見ると,高所得国は3次産業の比率が高く,貧困国ほど1次産業の比率が高いようですね.日本も年々1次産業の比率が減り,代わりに3次産業の比率が上昇しています.

 産業構造は成長とどのような関係にあるのでしょう?なぜ貧困国では1次産業が多いのでしょう?それとも1次産業の比重が高いから貧しいのでしょうか?
 その答えの1つは,それぞれの産業が持つ特徴にあります.農業や軽工業(繊維など)といった産業は生産における労働投入量のウェイトが大きい労働集約的産業であると言われます.一方,重工業(機械,金属など)は資本のウェイトが大きい資本集約的産業であると言われます.
 出生率が高く,余剰労働力が豊富で,かつ資本の少ない貧困国では,必然的に労働集約的な産業に比較優位を持つことになるため,農家が多くなります.

 さて,途上国は人口が多く,雇用機会が少ないにも関わらず失業率はそれほど高くありません.その理由は,偽装失業にあります.
 偽装失業とは何かも含め,途上国の産業構造を理解するため,ルイスの2部門モデルを学びました.このモデルは対照的な伝統部門と近代部門からなり,両者の間での労働力の移動を説明しています.詳しくは参考図書である渡辺利夫(2004)やジェトロ他(2004)にあります.
 この2部門モデルからは,余剰労働力の枯渇が工業化を止めることと,その罠から抜け出すためには伝統部門における技術革新が必要だということです.実際の例としては緑の革命を紹介しました.
 できればハリス=トダロ・モデルも説明したかったのですが時間切れで断念しました.

【アンケートの結果】
 どんな人に講演に来てもらいたいかのアンケートをしましたが,主な意見は次の4つに分類できました.
・農業の専門家
・教育の専門家
・都市開発の専門家
・水道整備や橋など技術者
 また地域についてのコメントではアジアというのが目につきました.

 このアンケートを基に依頼してみます.

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