2008年7月5日土曜日

経済学Ⅱ 第13回

 今回は独占市場です.次週はこれまでの復習などを行うので,テストの範囲は今回までになります.

【授業の内容】
 まず,久々に完全競争市場の条件を確認しました.今回分析するのは,その条件のうち,「多数の買い手と多数の売り手が存在」,「自由な参入と退出」を満たしていないケースです.
 独占市場では,生産量が少なく,価格が高くなり,企業にとっては利潤が出るので望ましい状況ですが,社会的に見ると(死荷重が発生しており)良くありません.それらを余剰の点から,図を用いて説明しました.
 ある企業が独占している市場に,もし他の企業が自由に参入可能であれば,市場への供給量が増えるために,当然ながら価格は低下します(ワルラス型価格調整メカニズムで考えてみよう).価格が下がれば当然利潤は減少します.それでももし,利潤がまだあるなら,また新たな企業が参入してくるため,既存企業の利潤はどんどん減少していきます.完全競争市場では利潤がなくなるまで新規参入は止まりません.

 余剰でも確認したとおり,独占というのは社会的に見て良いことではありません.そのため独占禁止法(略称)という,競争を促すための法律も存在します.ではなぜ独占は生まれるのでしょうか?授業ではその原因別に,資源独占,政府による独占(規制や特許,著作権),自然独占の3つに分類しました.
 このうち,不思議なのは政府による独占です.なぜ社会的に望ましくない独占を政府が作り出すのでしょうか?その答えは,著作権や特許権を認めなければどうなってしまうかを考えればわかりますね.創作活動のインセンティブを守るためです.しかし現状の著作権による保護は過剰でしょう.作家や音楽家が孫の生活を守ることを目的として創作活動をしているとは思えません.

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