2008年7月9日水曜日

経済学A 第11回

 今回は久々に固い内容で,日本の財政と税についてです.国の借金(公債残高)は,国民1人あたりに直すと約665万円と,ものすごい額になります.

【授業の内容】
 まず,マクロ経済学の復習として,政府の役割や,大きな政府と小さな政府の違いなどを確認しました.
 次に,そもそも税とは何のためにあるのか説明しました.道路や警察など,民間に任せておいても供給されないもの(公共財と呼びます)を供給するため,というのはすぐに思いつきそうですが,その他に,所得の再分配機能や景気の安定といった機能もあります.
 さて,日本の財政状況はどれぐらい深刻なのでしょう.何兆円という単位だとピンとこないので,我々の家計に置き換えて説明しました.それによれば,月収が40万円しかないのに支出が58万円もあるため,毎月18万円も新たな借金をしている,大変な浪費家であることが判明しました.しかも長年にわたって借金を続けたために,その額は4600万円にもなってしまっています.借金を返すために借金をしているような状況です.我々であればとっくの昔に破産していてもおかしくありませんが,日本が破綻しそう,という話は聞いたことありませんね.日本政府はいつからこんなに借金をするようになったのでしょうか,それを国債発行額の推移を見ながら,歴史的な経緯について説明しました.ただ,バブル前後の話は,学生の多くが生まれた頃の話なのでイメージしづらいでしょうね.

 後半は税制についての説明です.税には3つの原則,簡素・中立・公平があります.それを踏まえながら,多くの種類があってややこしい税金を分類しました.特に直接税と間接税の違いは重要です.それぞれ公正性と公平性という特徴を持っています.また間接税の代表である消費税は脱税が不可能という素晴らしい利点があります.一方,直接税の代表である所得税は,所得の把握が難しい自営業者など一部の職業では脱税を見逃してしまう恐れがあります.どちらも一長一短ですが,少なくとも今後の日本は消費税のウェイトを大きくする方向に進むようです.単に税の負担が重くなる,というものではありません.(大袈裟に言えば)日本のあり方が変わるような変化です.
 日本はみんなのイメージとは違って(?),実は税率の低い国であり,小さな政府である国です.それらの判断の根拠は,国民負担率と潜在的国民負担率です.これらで見ると日本は先進国の中でトップクラスの負担が少ない国です.

【テストについて】
 さて,そろそろ期末テストです.経済学Aは筆記テストであり,持ち込みは不可です.ただし内容はそれほど難しくないと思います(たぶん).毎回きちんと出席していて,話を聞いていた人であれば,レジュメを見直して,わからない言葉がないように復習すれば問題ないと思います.

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