2009年7月4日土曜日

経済政策論 第12回

 今回は少子化の3回目です.

【授業の内容】
 これまでにかなりポイントが絞れてきたので,課題を中心に話を進めました.

 まず最初に,企業の子育て支援にどのようなものがあるかを説明してもらいました.徳島県の企業についての発表でしたが,県により表彰された子育て支援企業の名前がいくつか挙がりました.ただし,この表彰は制度を導入しているかが中心となっており,実際にどれだけ子育て支援制度が利用されているかについての数値的な言及がないため,やや物足りないものに思えます.特に中小企業では,育児休業制度があっても,ある人が制度を利用した場合,その人がやっていた仕事を誰が補うのかが大きな問題となりやすいようです.そのため制度があっても名ばかりで使えないということになりがちです.

 続いて,幼稚園の延長保育の状況ですが,延長保育を実施している幼稚園は徳島県内には公立・私立合わせて44カ所あるようです.その公・私の内訳は発表されませんでしたがおそらくほとんどが私立ではないでしょうか.実際,徳島市のHPを見ても,公立幼稚園の延長保育についての記述は見つかりませんでした.延長保育が利用できないとすると,祖父母のサポートがあれば別ですが,そうでなければ保護者のうち少なくとも一方は正規の仕事に就くことは困難でしょう.やはり現在の幼稚園は,夫が働き,妻は専業主婦という家庭を想定したものなのでしょう.しかし現実には自発的な選択として専業主婦を選べる家庭は裕福な一部に限られており,現在のシステムが時代の変化に対応できていないように思えます.

 最後の課題は,若年層の失業率・所得の推移でしたが,これはデータの収集はやや難しかったようです.徳島県のHPからは入手不可能で,中央省庁を当たる必要がありました.発表してくれたのは,全国の失業率でした.僕が手に入れることができたデータは四国の若年層(15-24歳)の失業率の推移でしたが,これを見ると若年層の失業率は全体の失業率と比較すると,男性で約2~3倍,女性では約2~4倍も高いことがわかります.また長期的には男女とも失業率が高くなっていることもわかります.所得に関するデータは入手できなかったので推測に過ぎませんが,(失業率から考えて)おそらく若年層の平均的な所得は下がっているのではないでしょうか.そうであれば,雇用状況・所得の低迷が晩婚化・非婚化,そして少子化につながっているのではないか,という前回出た意見が裏付けられるかもしれませんね.

 次週からはおそらく最後のトピックになるであろう,環境問題を採りあげます.

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