2009年7月20日月曜日

ミクロ経済学ベイシックⅠ 第14回

 前回に引き続き一般均衡です.今回まででテストの範囲はすべてカバーしました.

【授業の内容】
 前回はボックス・ダイアグラムの見方ぐらいまでで終わりました.今回はそこに相対価格を取り入れ,どのようにして価格が調整されるかを見ていきました.

 消費者理論のところですでに学んだ内容ですが,予算線の傾きは相対価格を意味していました.傾きが緩やかになるとX軸側の財の価格が相対的に安く(Y軸側は高く),逆に急になるとX軸側の財の価格が相対的に高く(Y軸側は安く)なることを確認しました.
 ボックス・ダイアグラムに,初期賦存量である点を取り,そこを通る予算線を描くことで,ある相対価格において,各プレーヤーはどのような取引をし,結果としてどのように消費をすると効用が最大になるかがわかります.消費者理論のところでもそうでしたが,結局,予算線と無差別曲線が接するような点(効用が最大になる点)を選ぶのです.しかし,適当に決めた相対価格のもとで,各プレーヤーがそれぞれ効用を最大にするよう行動すると,財によって超過供給や超過需要が発生する可能性が高いです.そのような不均衡が発生すると,市場メカニズム(ワルラス型メカニズムを確認しよう)により,相対価格は調整されるはずです.超過供給が発生した財の価格は安く,超過需要が発生した財の価格は高くなるため,不均衡は解消される方向に進みます.この調整は,両者の無差別曲線が接するまで行われ,結果的にパレート最適が達成されます.
 ボックス・ダイアグラムを使うことで,初期賦存量の基での不均衡が,市場の価格調整メカニズムにより均衡へと調整されることがわかります.大事なポイントは,各プレーヤーは自分の効用を最大にするよう利己的に行動するだけで,パレート改善が行われ,パレート最適へと導かれるような仕組みが市場には備わっている点です.凄くないですか?わかりにくい?

 さて,このように完全競争市場では,市場は最適な資源配分を実現するのですが,現実の世界は完全競争市場ではないケースがほとんどです.現実の経済にはどのような問題があるのでしょう?それは後期のベイシックⅡで学んでいきます.

【テストについて】
 期末試験は持ち込みなしです.

【補講についてのお知らせ】
 この講義の最終回(金曜日)にテストを行うため,授業が1回分減るので補講を行います.補講は7月21日(火曜日)5限に23202で行います.

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