2009年7月20日月曜日

経済学Ⅱ 第14回

 今回はパレート改善についてです.効率的な資源配分について考えました.

【授業の内容】
 まずこれまでの復習をしました.消費者理論と生産者理論です.

 さて,その後,2人のプレーヤーの間でいかにして2種類の財を分けるかを考えました.そのために,まず「どんな変化が良い変化なのか?」を考えました.その基準として絶対的なものはありませんが,とりあえず多くの人が同意してくれそうなパレート改善という考え方を紹介しました.パレート改善とは,他の人の効用を下げないまま,ある人が効用を上げることができるような変化のことです.つまり人を不幸せにすることである人が幸せになっても,それは社会全体にとって良い変化とは認めないことです.
 ではこのパレート改善を良い変化の目安にするとどんなことがわかるのでしょう.授業では,ボックス・ダイヤグラム(エッジワース・ボックス)という図を使って,2人のプレーヤーの間での効率的な資源配分を考えました.ある配分割合からスタートして,どのように変化すればパレート改善になるのかを考えました.またどんどんパレート改善をしていけば,そのうちに,これ以上パレート改善できないような点に行き着くことがわかりました.この点はパレート最適と呼ばれています.パレート最適となる点は1つではなく,無数にあります.パレート最適となる点の例としては,Aさん,BさんがXとYという2つの財を分配する際では,AさんがX,Yをどちらもすべて所有するような分け方もパレート最適です.なぜなら,この状況からAさんがBさんに,少しでもどちらかの財を渡すような変化は(Bさんの効用はかなり改善するかもしれませんが)Aさんの効用は少しだけ下がるからです.これはパレート改善ではありません.このような1人がすべての財を独占してしまう状況はパレート最適ではありますが,経済学はこの状況が理想的だと言っているわけではありません.あくまで最も効率的な配分方法の1つだと言っているだけです.繰り返しになりますが,パレート最適となる点は無数にあるので,その中からどれが社会的に望ましいのかについてはまた別の基準が必要になりそうです.
 経済学Ⅱの範囲はこれで終わりです.次週は練習問題を用意しますので,復習をしましょう.

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