2009年7月11日土曜日

経済学A 第13回

 今回は価格メカニズムについて説明しました.第1回にダイヤモンドと水の価格の話をしましたが,それを掘り下げた内容ですね.

【授業の内容】
 以前のアンケートで,「4枚切り食パンより5,6枚切りの方が高いのはなぜか?」という質問がありました.容量は同じだろうし,コストはほとんど変わらないはずですが,どうして5,6枚切りの方が高いのでしょう?そこには合理的な理由があるのでしょうか?

 さて,以前に価格は需要と供給のバランスによって決まると説明しましたが,それぞれの意味については深く追求しませんでした.需要とは,モノやサービス(総称して財と呼ぶ)を欲しがる気持ちのことですが,ただ単に「欲しいなぁ(けどお金がない…)」と思うだけでは需要ではなく,実際の購入につながるような場合に限ります.
 ほとんどの財の場合,価格が下がると需要が高まります.しかし,価格が下がらなくても需要が高まるケースもあります.この前者は「同じ需要曲線上の移動」であり,後者は「需要曲線そのもののシフト」であると,明確に区別されます.
 繰り返しになりますが,財の価格が下がると(上がると)需要は増えます(減ります).ただし,ちょっと値下げしただけで大きく需要が増えるケースもあれば,かなり値下げしたのにあまり需要が増えないケースもあるでしょう.こういった価格の変化に対する需要の反応の度合いを,需要の価格弾力性と呼びます.前者は弾力性が高い場合であり,後者は弾力性が低い場合です.需要の価格弾力性は,価格が1%変化すると,需要が何%変化するかを示したもので,具体的な数値として計算することができます.この弾力性が1より大きい場合は弾力性が高い,1より低い場合は弾力性が低いとしています.弾力性が高い場合には値下げをすることで財を売ることで得られる収入を増やすことができますし,逆に弾力性が低い場合は値上げをすることで収入を増やすことができます.学園祭で売る商品の価格決定に使えるかもしれませんね.企業の中には実際にこの弾力性を計算して価格を決めているところもあるそうです.

 最後に,価格決定メカニズムを紹介しました.このメカニズムにはいくつかの仮説があるのですが,その中のワルラス型価格調整メカニズムというものを説明しました.これは企業が決めた価格に応じて需要量,供給量が決まります.需要が供給より高い場合は超過需要が発生すると呼ばれます.この時,企業は価格を下げます.逆に超過供給が発生した場合は価格を上げます.これを何度か繰り返すことで,財の需要と供給は均衡するでしょう.これが絶対に正しい,というわけではなくあくまで仮説です.ただ,なかなか説得力はありますね.

 さて,なぜ4枚切りの方が5,6枚切りの方が高いのでしょう.弾力性から考えると5,6枚切りの方が弾力性が低いのかもしれませんね.あるいはそもそも5,6枚切りの方が需要が高いのかもしれません.あなたはなぜだと思いますか?

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