2009年7月20日月曜日

経済政策論 第14回

  次週の木曜日は月曜の授業が行われるため今回が最終回です.

【授業の内容】
 今回は地球温暖化(温室効果ガス)問題の続きです.

 まず,スマートグリッドというシステムについての説明をしてもらいました.アメリカでは送電網が老朽化しており,よく停電も起きているから送電網の改善は有効だけど,日本ではあまり効果がないという意見もあったようです.ただ,スマートグリッドというシステムは送配電網だけでなく,蓄電池,スマートメーターも同時に導入することを前提としているので,充分考慮すべきシステムだと思います.
 大阪の堺市ではシャープや関西電力により,太陽光発電の電力を路面電車などへ供給する計画があるそうです.その他,九州の離島などでもスマートグリッドの実験が行われているようです.

 続いて,太陽光発電に関するドイツの取り組みについて説明してもらいました.キーワードはFIT(フィード・イン・タリフ)という仕組みのようです.現状では太陽光発電は経済性(発電のためのコスト)の点で既存の発電手段より劣っており,普及のための障害となっています.そのため市場に任せておいては普及しないので,ドイツ政府はFITを取り入れました.FITは電力会社に対して,自然エネルギーによる電力を長期間,固定価格で買い取ることを義務づけました.高い価格で確実に買い取ってもらえるため,一般家庭,そして企業が安心して太陽光発電を導入しました.これによりドイツでは急速に太陽光発電が普及しました.その副産物としてQセルズというドイツの新興の企業が太陽光発電パネルの生産で日本勢を抜き去り世界一のメーカーになりました.やはり「環境を守ろう」と政府が掛け声をあげても,反応してくれるのは環境意識の高い一握りの人たちだけで,市場全体は反応しません.そうではなく,環境を守るインセンティブを高め,「環境を守った方が儲かるのか」と人々に思わせるシステムを作る方がはるかに現実的です.政府が人々の善意に頼った目標設定をするのは間違いだと僕は思っています(楽観的すぎる).

 最後に二酸化炭素の貯留についても発表してもらいました.実際に調べてもらうと,油田など一部では実用化されているものの,まだまだ研究段階の域を出ておらず,これに頼るのは危険かもしれませんね.

 今期の経済政策論は例年に比べ,様々なトピックについてより深く学べたような気がします.お疲れさまでした.

 今回のトピックについてのレポートは木曜日までに出してください.

0 件のコメント: